King Crimson Data Base |
Keith Tippett Discography |
2020年6月14日、キース・ティペットが亡くなりました。
お悔やみ申し上げます。
1970
The Fence : Harold McNair
 
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- The Fence
- True Love Adventure
- Early In The
Morning
- Scarborough Fair
- Here, There And Everywhere
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-
Harold McNair : Sax, Flute, Electric Sax
Rick Grech : Bass Guitar
Keith Tippett : Piano Colin Green : Guitar Alan Branscombe : Piano
Terry Cox : Drums Danny Thompson : String Bass Tony Carr :
Percussion
- ジャマイカ出身のサックス、フルート奏者、ハロルド・マクネアの作品。
主役の演奏が徒に前面に出ることはなく、各奏者のソロが程よくフィーチャーされている。
特にノン・クレジット(ライナーによるとスティーヴ・ウィンウッドによるものらしい)ながら全体にフィーチャーされているオルガンの活躍度は高い。
キース・ティペットの最初期のセッションの一つであるが、ピアノ奏者がもう一人参加しており、各曲毎にクレジットがされていないのが残念である。
ただ、” Early In The Morning ”
でのフリーキーなピアノは明らかにティペットであり、同曲でのオルガンとの絡みは絶妙で、主役そっちのけで申し訳ないが、本作品のハイライトとなっている。
(追加:2019年12月10日)
Fable Of The Wings : Keith Christmas
 
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- Waiting for the Wind to Rise
- The Fawn
- Lorri
- Kent Lullaby
- Hamlin
- Fable of the Wings
- Bednotch
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- Vocals, Guitar - Keith Christmas
Vocals - Shelagh McDonald on The
Fawn Bass - Mike Evans, Pat Donaldson Drums - Gerry Conway, Roger
Powell Piano - Keith Tippett Piano, Organ, Mellotron - Ian Whiteman
Autoharp - Bob Stewart
- 後にピート・シンフィールドのプロデュースでマンティコアからも作品を出した、キース・クリスマスのセカンド・アルバム。
弾き語りに近い楽曲と、バンド編成の楽曲から成り立っておりフォークロックの王道のような作品である。 後の 『 Brighter Day 』
の方がヴァラエティに富んでる分聴きやすく、個人的には繰り返し頻度が高いのだが、本作品の方が堪らん、という人は多いと思う。
本作品がリリースされたのは、キース・ティペット・グループのファースト・アルバムと同年である。
自ら名を冠したバンドで鳴り物入りでデビューした一方で、ティペットにしてみれば、セッション活動にも対応できる奥の深さを示すことで、当時の音楽業界いおいて自分のポジションを確保するために必要な活動であったのかもしれない。
(追加:2017年12月25日)
You Are Here ... I Am There : The Keith
Tippett Group

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- This Evening Was Like Last Year ( To Sarah )
- I Wish There Was A Nowhere
- Thank You for the Smile ( To Wendy and Roger )
- Three Minutes from an Afternoon in July ( To Nick )
- View from Battery Point ( To John and Pete )
- Violence
- Stately Dance for Miss Prism
- This Evening Was Like Last Year ( To Sarah )
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Keith Tippett ( piano, electric piano )
Mark Charig ( cornet )
Elton Dean ( alto sax )
Nick Evans ( trombone )
Jeff Clyne ( bass, electric bass )
Alan Jackson ( drums, glockenspiel )
Giorgio Gomelsky ( bells )
-
キース・ティペットのレコーディング・デビュー・アルバム。
大作が並ぶ前半2曲は、多少の息苦しさを感じてしまう。 これがジャズ・バンドとしての本領を発揮しきった結果なのか、それともレコーディングに慣れていなかったためかは判らないが。 一方小曲が並ぶ後半は、メリハリが効いているためか、とっつきやすい内容となっている。
多分、この前半と後半に対する評価の違いが、「ジャズ・ロック」に対する入り方の違いなのだと思う。 私は元々、そして現在でもジャズを知らず、ロックから「ジャズ・ロック」に入ったためか、前半にはどうしても閉塞感を感じてしまう。 逆に言えば、この前半を楽しめる素養がないわけで、それはそれで非常にもったいないのかもしれない。 所謂ジャズ・ロックについて、非常に考えさせられる作品である。
(追加:2012年9月25日)
Album : Shelagh McDonald
 
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- Mirage
- Look Over The Hill And Faraway
- Crusoe
-
Waiting For The Wind To Rise
- Ophelia's Song
- Richmond
- Let No Man Steal Your Thyme
- Peacock Lady
- Silk
And Leather
- You Know You Can't Lose
- Ophelia's Song
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- 女性フォークロックものとして、非常に評価の高いシェラ・マクドナルドの作品。
同年リリースされたキース・クリスマスの 『 Fable
of the Wings 』
と、同一プロデューサーによる同一ミュージシャンが参加している作品であり、かつクリスマスとマクドナルドがお互いの作品に参加していることから、同タイミングでレコーディングされた作品と推測される。
クリスマスの作品同様ピアノ奏者がもう一人いるため、ティペットの演奏を識別するのは難しいが、” Waiting For The Wind To
Rise ” でのヴォーカルのメロディに寄り添ったり離れたりするピアノは、ティペットによるものと思われる。
(追加:2017年9月25日)
1971
If You Saw Thro' My Eyes : Ian Matthews
 
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- Desert Inn
- Hearts
-
Never Ending [
Piano : Keith ]
- Reno Nevada
- Little Known
- Hinge
- Hinge
- Southern Wind
[ Piano : Keith ]
- It Came Without Warning
- You Couldn't Lose
-
Morgan The Pirate
- If You Saw Thro' My Eyes
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- イアン・マシューズのソロとしてのファースト・アルバム。
メロディは一貫して流暢で、70年代後期のソロのようなポピュラリティの高さは無いが、その分味わい深さがある。
そしてジャズというフィールドで主に活躍していたにもかかわらず、こうした傑作に参加する機会が与えられ程、当時のティペットが英国音楽シーンで注目を浴びていたことを端的にしめしている。
ティペットが参加しているのは、ギターとピアノのみの ”
Never Ending ” と、バンド編成の ” Southern Wind
” の2曲で、やはり前者でのギターやヴォーカルと絡むピアノの美しさに惹かれる。 後者も悪くないのだが活躍の場は少ない。
同じバンド編成の楽曲なら、大曲 ” Morgan The Pirate ” で彩りを添えるような演奏をして欲しかった。 (追加:2008年5月10日)
Dedicated To You, But You Weren't Listening : The Keith Tippett
Group

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- This Is What Happens
- Thoughts To Geoff
- Green And Oranges Night Park
- Gridal Suite
- Five After Dawn
- Dedicated To You, But You Weren't Listening
- Black Horse
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Keith Tippett, Piano/Hohner Electric Piano
Elton Dean, Alto/Saxello
Marc Charig, Cornet
Nick Evans, Trombone
Robert Wyatt, Drums
Bryan Spring, Drums
Phil Howard, Drums
Tony Uta, Drums/Cow Bell
Roy Babbington, Bass/Bass Guitar
Neville Whitehead, Bass
Gary Boyle, Guitar
1969 : Julie Driscoll

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- A New Awakening
Arranged by Keith Tippett -
Those That We Love
Piano and Celeste - Keith Tippett -
Leaving It
All Behind
Piano - Keith Tippett, Arranged by Keith Tippett - Break-Out
- The Choice
- Lullaby
- Walk
Down
Piano and Celeste - Keith Tippett, Arranged by Keith Tippett
- I Nearly Forget - But I Went Back
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- ジュリー・ティペットが、キース・ティペットと結婚する前のジュリー・トリスコール名義で発表したソロ・アルバム。
ジャズ・ロック+ジュリーのヴォーカルによる曲と弾き語りの曲に大別できるのだが、やはり魅力があるのは前者である。 その中でも特に、バックが殆どキース・ティペット・グループのメンバーでしめる ” A New Awakening
” と ” Walk
Down ” の素晴らしさが著しい。
本作品と前後してキース・ティペット・グループは、傑作 『 Dedicated To You, But You Weren't
Listening 』 をリリースしており、その勢いがそのまま反映されたものと思われる。
ジュリー・ドリスコールは、後にジュリー・ティペット名義で 『 Sunset Glow 』
をリリースするが、本作と構成が良く似ており、どちらも素晴らしい内容である。
(追加:2017年3月10日)
1972
Blue Print : Keith Tippett

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- Song
Keith Tippett - Piano, Roy Babbington - Bass, Keith Bailey - Percussion
- Dance
Keith Tippett - Piano, Frank Perry - Percussion, Julie Tippetts - Guitar
/ Voice, Roy Babbington - Bass
- Glimpse
Keith Tippett - Piano, Roy Babbington - Bass, Frank Perry - Percussion
- Blues I
Keith Tippett - Piano, Roy Babbington - Bass, Julie Tippetts - Voice /
Guitar
- Woodcut
Keith Tippett - Piano, Roy Babbington - Bass, Frank Perry - Percussion,
Julie Tippetts - Recorder / Voice
- Blues II
Julie Tippetts - Mandolin, Keith Tippett - Piano, Roy Babbington - Bass
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- キース・ティペット名義の初アルバムであり、且つ、この後の Ovary Lodge
としての活動に繋がっていく作品。
キース・ティペット・グループでは、特に管楽器系のアンサンブルに事前の約束事を見出すことができたが、ここで聴くことができる演奏にはその要素を見出すことは難しく、良い意味で整合感が全く無い作品となっている。
しかも出音の静騒とは関係なく、提示されている音は果てしなく過激で、ティペットのピアノ・ソロ・アルバム同様、聴き終えると疲労感を覚える程の作品である。
プロデューサーとしてのフリップが、この手の音をまとめるのに長けているとは思えず、むしろ本作品から得たものを、この後の 『 Larks'
Tongues In Aspic 』 に活かしていると言って過言ではない。
(追加:2016年5月10日)
1973
Ovary Lodge : Ovary Lodge

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- First Born
- Mountain Temple In Spring
Part 1 : Amethyst, Gold And Royal Blue ( My way of Saying Thank You )
Part 2 : A Frail White Butterfly, Beneath The Spell Of Moon Is Sleeping
On The Huge Bronze Bell
- Tropic Of Capricorn
- Come On In
- Nursery Rhyme
- Sylphs In Pisces
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- Keith Tippett, Piano ( Zither on Tropic Of
Capricorn )
Roy Babbington, Bass
Frank Perry, Percussion ( Piano Interior on Tropic of Capricorn )
- キース・ティペット名義の 『 Blue Print 』 に続く作品と位置づけられる
オヴァリー・ロッジ名義の作品。
ジャケットにフィーチャーされているフランク・ペリーのパーカッション・セットの圧倒されるほどの物量から想像できる通り、ティペットのピアノとのインタープレイを堪能することができる。
打音の激しさに依存するのではなく、ティペットとペリーが真摯に向き合ったインプロの成果が、凄まじい情報量を提供する作品として提示されている。
そして、ミックスによるものなのか、私のオーディオ・システムのプアな再生能力によるものなのか、多分その両方にも問題あると思うのだが、ピアノの音とパーカッションの音が区別つかなくなることがあるのだが、それはそれで本作品の素晴らしさを強調している。
フリップがプロデューサーとして関与しているが、多分そこには名義貸し以上の貢献は全く無いはず。
(追加:2016年5月10日)
1974
Dance : Arthur Brown
 
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- We've Got To Get Out Of This Place
-
Helen With The Sun
[ Piano / Keith Tippet ]
-
Take A Chance
- Crazy
- Hearts And Minds [
Piano / Keith Tippet ]
- Dance
- Out Of Time
- Quietly With Tact
- Soul Garden
- The
Lord Will Find A Way
- Is There Nothing Beyond God
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- アーサー・ブラウンが、キングダム・カム解散後に発表したソロ・アルバム。
セールス的には多分、殆ど成果を出すことができなかった作品だが、内容は判りやすくプロモーションのやり方次第ではもう少し何とかなったのではないかと思える内容である。
ただ総じてシンセサイザーの音色と音量がバックの演奏と馴染んでおらず、一聴するとそれが面白く感じられるものの、聴き続けていると違和感だけが残ってしまう。
「 t 」 が一文字少なくクレジットされているティペットは、ヴォーカルのバック、インスト・パートと活躍場面が多く与えられている。
特にヴォーカルとの絡みで聴かせる演奏は、「もちろんこんなの簡単にこなせるけど、興味ないだけだよ」という余裕さえ感じさせられる。 (追加:2018年5月10日)
TNT : Stan Tracey & Keith Tippett

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- Dance 1
- Dance 2
- Skipover
- Biformis
- TNT
- Two-Way Stretch
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-
Keith Tippett ( Piano ) Left Channel Stan Tracey (
Piano ) Right Channel
-
Recorded live in London at The Wigmore Hall 1974
December 21
-
2013年に亡くなったスタン・トレイシーと、キース・ティペットによるデュオ・アルバム。
左右にはっきりと振り分けられた編集がなされているが、集中して聴いていないとソロ演奏なのか、デュオ音声なのか、それとももっと大勢のピアノ奏者で同時に演奏しているのか判らなくなる程、一枚の音の壁が攻めてくるような印象がある。
お互いの様子を伺っているようには見はないが、相手を無視しての演奏もない。
本作品がリリースされた背景も判らないが、20歳も年が違う2人がライヴ・レコーディング一発でが、こうした作品を生み出せるところに只々驚いてしまう。 (追加:2019年3月10日)
1975
Which Way Now : Harry Miller's ISIPINGO
 
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- Family Affair
- Children At Play
- Eli's Song
-
Which Way Now
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- Nick Evans trombone
Mongezi Feza trumpet
Harry Miller bass
Louis Moholo drums
Mike Osborne alto sax
Keith Tippett Piano
- Recorded at Post-Aula, Bremen, Germany on November 20, 1975.
- ハリー・ミラーズ・イシピンゴ名義の作品。
3管+ピアノ+リズム隊という編成はキース・ティペット・グループと同じなのだが、トローンボーン、トランペット、サックスの活躍度が高くティペットのピアノが目立っていないことで、印象は大きく異なる。
長尺ながら勢いがある楽曲ばかりなので、ここにティペットのピアノが縦横無尽に絡んだらとんでもないことになっていたと思えるだけに、そうしなかった理由がよく判らない。
もしかしたら、ピアノの音自体が小さいのもミキシングの問題ではなく、そもそもステージ上の音のバランスが悪いことに起因しているのかもしれない。
そしててそのことがティペットの演奏の覇気の無さに繋がったのかもしれない。
(追加:2020年3月10日)
Sunset Glow : Julie Tippetts

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- Mind Of A Child
[ Harmonium ]
- Ocean And Sky ( And Questions Why ? )
[ Piano ]
- Sunset Glow
- Now If You Remember
- Lillies
- Shifting Still
[ Piano ]
- What Is Living
- Behind The Eyes
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Ovary Lodge : Ovary Lodge
 
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- Gentle One Says Hello
- Fragment No.6
- A Man
Carrying A Drop Of Water On A Leaf Through A
Thunderstorm
- Communal Travel
- Coda
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- Keith Tippett Piano, Harmonium, Recorder, Voice, Maracas
Harry Miller Bass
Frank Perry Percussion, Voice, Hsiao ( Chinese bamboo flute ), Sheng
( Chinese bamboo mouth organ)
Julie Tippetts Voice, Sopranino Recorder, Er-hu ( two-stringed
Chinese violin )
- Live recording at Nettlefold Hall, London SE17, 6 August 1975
- オヴァリー・ロッジの、前作と同じくバンド名をタイトルにしたライヴ・アルバム。
ライヴ・アルバムであること以外に、ベース奏者がハリー・ミラーに変わったこと、ジュリー・ティペットが参加していることが前作との違いなのだが、キース・ティペットとフランク・ペリーの絡みが作品の根幹を成していることは変わりない。
にもかかわらす、ライヴを収録した本作より、スタジオ作品の前作の方が完成度が高いことが興味深い。
ライヴでのインプロがそのまま収録された本作の方が、緊張感は高いはずなのだが何かが足りない。
勿論これは、キース・ティペットの作品に求めるレベルが高すぎることに起因するのだが、一方でインプロであることを徒に礼賛することなく正しく感じた事実である。
(追加:2016年5月10日)
1976
Oh! For The Edge : Elton Dean's Ninesense
- Dance
- Fall In Free
- Forsoothe
- M.T.
- Friday Night Blues
- Prayer For Jesus
-
Elton Dean - Alto Sax, Saxello. Alan Skidmore -
Tenor Sax. Harry Beckett - Trumpet, Flugelhorn. Mark Charig -
Trumpet, Tenor Horn. Nick Evans - Trombone. Keith Tippett - Piano.
Harry Miller - Bass. Louis Moholo - Drums.
-
Recorded Live At Grass Roots Jazz Club At The Ido
Club, Ido Oxford Street, London W.I. On Monday, March 22 1976.
-
エルトン・ディーンズ・ナインセンスのファースト・アルバム。
ディーン自らのライナーには、「1969〜70年に自分達(キース、チャリグ、ニック、そして自分)が参加していた六重奏団の拡張版で、スピリットは似ている」と記載してあるのだが、この六重奏団というのは当然キース・ティペット・グループということになる。
とういことで本作品は、アンサンブルとソロのぶつかり合いが交差する激しいジャズ・ロックとなっている。
時折差し込まれる判りやすい美メロさえも、毒っけたっぷりで、緊張感を正しく強いられる感じがする。
バンド名に自分の名前が有る無しなど関係なく、キース・ティペットはピアノを弾きまくっている。
ジャズ・ロック系の作品を多く残した70年代の作品の中でも、本作品でのティペットの演奏は秀逸である。
(追加:2018年6月25日)
They All Be On This Old Road : EDQ
- Naima
- Dede - Bup - Bup
- Nancy ( With The Laughing Face )
- Easy
Living
- Overdoing It
- Not Too Much
-
リリースは1977年
-
Elton Dean alto sax, saxello
Keith Tippett piano Chris Lawrence
bass Louis Moholo drums
-
Recorded live at the Seven Dials, Shelton Street,
London WC2 on 18 November 1976
-
エルトン・ディーンが、カルテットで演奏したライヴを収録した作品。 ジョン・コルトレーンの ”
Naima ” や、コルトレーンやソニー・ロリンズも取り上げたジャズのスタンダード( ” Nancy ( With The Laughing
Face ) ” と ” Easy Living ” が演奏していること、そして 「 They All Be On This Road 」
というタイトルから、正統派ジャズ・カルテットを意識した作品と思われる。 そうした趣旨から本作品の中心奏者はエルトン・ディーンとなる。
サックスを主としたカルテットでのピアノ奏者の標準的な演奏というのがどういうものか判らないが、キース・ティペットの演奏は目立たない。
ディーンとティペットの火花を散らすようなソロの応酬が楽しめないのは残念であるが、これはこれで珍しい演奏を楽しむことができる。
(追加:2017年9月25日)
1977
Happy Daze : Elton Dean's Ninesense
 
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- Nicrotto
- Seven For Lee
- Sweet F.A.
- Three For All
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Elton Dean : Alto Sax, Saxello Alan Skidmore :
Tenor Sax Harry Beckett : Trumpet, Flugelhorn Marc Charig : Cornet,
Tenor Horn Nick Evans : Trombone Radu Malfatti :
Trombone Keith Tippett : Piano Harry Miller : Bass Louis Moholo :
Drums
-
Recorded At Redan Recorders London W.2. On July 26.
1977
- エルトン・ディーンズ・ナインセンスのセカンド・アルバム。
今回のライナーにもわざわざとナインセンスが、「1969/1970年のキース・ティペット・グループの精神的後継者」と記載されており、実際その音の肌触りは
『 You Are Here ... I Am There 』 や 『 Dedicated To You,
But You Weren't Listening 』 と似ているところがある。
などと簡単に記載してみたが、この2作と似ているということは、それだけで大傑作ということである。
キース・ティペット・グループの作品程のポピュラリティは獲得していないものの、70年台後半においてもこれだけのテンションを保つだけのケミストリーが、このメンバーの間であったものと思わる。
一方このライナーには、本作品が Bracknell Jazz Festival から委託され、The Arts Council Of Great
Britain から基金が提供されたと記載されている。
つまりこれだけの演奏を披露する機会とLPとして発表するためには、金銭的支援が無いと成り立たなかったということである。
ミュージシャンが、所謂ジャズ・ロック、フリー・ジャズを演奏するだけでは生活が成り立たないだけではなく、そもそも演奏する機会に恵まれないことを、本作品は明らかにしている。
70年台後半においてである。 中々考えさせる作品である。 (追加:2018年6月25日)
Cruel But Fair : Hopper / Dean / Tippett /
Gallivan

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- Seven Drones
- Jannakota
- Echoes
- Square Enough Fire
- Rocky Recluse
- Bjorn Free
- Soul Fate
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- ヒュー・ホッパー、エルトン・ディーン、キース・ティペット、ジョー・ギャリヴァンのカルテットによる作品。
前3人の名前から思いっきり期待されるジャズ・ロックな楽曲もあるが、もっと混沌として無秩序な音も提示されたりする。
そして凄いのが、その「混沌として無秩序」なことが、「勢いだけで制作して未整理」なのではないことである。
ド真ん中のジャズ・ロックが苦手な人にも、本作は好まれるかもしれない。
他流試合にも強いキース・ティペットの凄さは、本作でも充分に発揮されているのだが、ギャリヴァンの演奏するシンセサイザーと絡む生ピアノというのも聴きどころである。
(追加:2016年12月25日)
Supernova : Stan Tracey - Keith Tippett
 
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- Veli Nebula
- Vela Pulsar
- Parallax
- Upernova
- Conjunction
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Keith Tippett - piano ( right channel ) Stan Tracey
- piano (
left channel )
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Recorded live at the ICA, London on 21st August 1977
-
スタン・トレイシーとキース・ティペットによる2枚目のデュオ・アルバム。
前作での1974年のライヴから3年経ているわけだが、メディア化されていないだけでその間にも二人での演奏の機会はあったものと思われる。
ただそうした経験を重ねたことが演奏に反映しているということはなく、前作同様ガチンゴで演奏に向かい合っている。
クレジットから左右のチャンネルが前作と反対になっていることがわかるが、そもそも二人の演奏が塊になって出てきているので、その差さえ感じることはない。
デュオでの成果を踏まえ、ティペットは全ての楽器の奏者を2人揃えた、Keith Tippett's ARK による 『 Frames 』
で、スタン・トレイシーに起用することにしたのだと思う。 (追加:2019年3月10日)
1978
In Conference : Harry Miller
- Traumatic Experience
- Orange Grove
- Dancing Damon
- New Baby
- Traumatic Experience Closed
-
Harry Miller bass Willem Breuker
soprano, tenor saxophones, bass clarinet Trevor Watts
alto, soprano saxophones Julie Tippetts voice
Keith Tippett piano Louis Moholo
drums
-
Recorded on 27 January 1978 at Redan Recorders,
London W2.
- ハリー・ミラー名義の作品。
レコーディングは、ルイ・モホロ・オクテット名義の作品 『 Spirits Rejoice ! 』
と同じ1978年1月にロンドンで行われており、一連のイヴェントの中で演奏されたものと思われる。
B面での管楽器とジュリー・ティペッツのヴォーカルのダブル・リードに絡むキース・ティペットのピアノも良いが、アップテンポな ”
Orange Grove ” でリズム隊をバックに演奏するのソロ・パートがとても良い。
ティペットにしては珍しい、と言って良いのか判らないが、跳ねるように楽しげに演奏しており、ティペットの柔軟性が見事に表現されている。
(追加:2020年3月10日)
Frames Music for An Imaginary Film : Keith Tippett's
Ark

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- Frames Part 1
- Frames Part 2
- Frames Part 3
- Frames Part 4
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Keith Tippett - piano, harmonium
Stan Tracey - piano
Elton Dean - alto sax, saxello
Trevor Watts - alto & soprano saxes
Brian Smith - tenor & soprano saxes, alto flute
Larry Stabbins - tenor & soprano saxes, flute
Mark Charig - trumpet, small trumpet, tenor horn, Kenyan thumb piano
Henry Lowther - trumpet
Dave Amis - trombone
Nick Evans - trombone
Maggie Nicols - voice
Julie Tippetts - voice
Steve Levine - violin
Rod Skeaping - violin
Phil Wachsmann - electric violin, violin
Geoffrey Wharton - violin
Alexandra Robinson - 'cello
Tim Kramer - 'cello
Peter Kowald - bass, tuba
Harry Miller - bass
Louis Moholo - drums
Frank Perry - percussion
- ティペットによる2枚組ジャズ・オーケストラ。
これだけの大作を作曲・アレンジしたティペットのミュージシャンとしての底力には圧倒される。 似たコンセプトの作品に
Centipede 名義の 『 Septober Energy 』
があるが、破壊力は本作が遙かに上回っている。
大勢の奏者を使ったこうした作品を世に問い続けるには、準備期間を含め相当のお金が必要なはずで、セールス面で成功した経験のないティペットには厳しいのかもしれない。 ピアノ・ソロや小人数の
Mujician
での作品も素晴らしいが、もし金銭面の問題でティペットが本作のような大作をリリースし続けることができないのであれば、とても残念なことである。
どこかに良いスポンサーはいないものだろうか。
(追加:2008年6月10日)
Sprits Rejoice ! : Louis Moholo Octet
- Khanya Apho Ukhona
- You Ain't Gonna Know Me 'Cos
You Think You Know Me
- Ithi-ggi
- Amaxesha Osizi
- Wedding Hymn
- ルイ・モホロによるオクテットでの作品。
殆どの曲が、メイン・テーマ → フリー・パート →
メイン・テーマ、という展開で、全体像が掴みやすい作品である。 キース・ティペットはつくづく自己主張が激しいミュージシャンだと思う。
演奏者が少ない時やソロ作品においてだけでなく、本作品のように演奏者が多い場合でも弾きまくっていることがよく判る。
本作品においては、フリー・パートでは管楽器と激しく渡り合うのも凄いが、メイン・テーマに絡みまくる演奏を聴いていると、つくづく素晴らしいミュージシャンだなと思わずにはいられない。 (追加:2018年3月25日)
1979
The 100 Club Concert 1979 : Elton Dean's Ninesense

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CD One : First Set
- Oases 〜 solos : Charig + Dean + Malfatti + Tippett
-
One Three Nine 〜 solos : Dean + Beckett + Tippett
- Sweet F.A. 〜 solos : Skidmore + Beckett + Tippett
-
Seven For Lee 〜 solos : Dean + Skidmore
CD Two : Second Set - Augmented by Jim Dvorak, trumpet
- Nicrotto 〜
Evans / Malfatti duet
- Macks 〜 solos : Dean + Beckett
-
First Born 〜 solos : Evans + Dean + Tippett
- Bounce 〜
solos : Dvorak + Skidmore
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リリースは2000年
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Elton Dean : alto sax, saxello Alan Skidmore :
tenor, soprano saxes Marc Charig : cornet, tenor horn Harry Beckett
: flugelhorn, trumpet Nick Evans : trombone Radu Malfatti : trombone Keith Tippett
: piano Harry Miller : bass Louis Moholo : drums
-
The 100 Club, 100 Oxford St, London, England 〜 March
5th 1979
- エルトン・ディーンズ・ナインセンスの1979年のライヴを収録した作品。
同バンドのライヴの全容を捉えた作品は、本作品が初めてということになるのだが、それに寄与しているのが、SONY の
TC-D5M、通称「デンスケ」の導入である。 ライナーの表紙に同機の写真が大きく鎮座している。
ただ、同機なのか使用したマイクロフォンの性能によるのか判らないが、キース・ティペットのピアノの録音状態が良くない。
クレジットにも、ステージの左側、バンド全体から離れた所に位置するピアノの音が非常に遠く感じてしまう。
ソロ回しが1曲毎にクレジットされているのが判りやすいのだが、一方で何だか判らないけど凄くて圧倒されてしまう、という楽しみ方ができなくなるので、私はクレジットを見ないで聴くようにしている。
(追加:2018年6月25日)
1980
Boundaries : Elton Dean Quintet

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- Boundaries
- Oasis
- Basho
- Out Of Bounds
- Fast News
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-
Elton Dean saxello, alto saxophone
Mark Charig cornet
Keith Tippett piano, marimba, voice, bottle Louis Moholo drums
( Sonor ) Marcio Mattos bass
-
Recorded February 1980 at Tonstudio Bauer,
Ludwigsburg
-
エルトン・ディーンが、クインテットで演奏したスタジオ録音作品。 カルテットで演奏した EDQ
では、ジャズのスタンダード曲を取り上げる等エルトン・ディーン流の正当ジャズへの取り組みが試みられていたのに対し、本作品はフリー・ジャズやジャズ・ロック。
つまり、管楽器がエルトン・ディーンのサックスとマーク・チャリグのコルネットの2つだけになったエルトン・ディーン・ナインセンスである。
よってティペットの煽りまくり弾きまくりのピアノを充分に堪能することができる。
更に、スタジオ録音であるということと管楽器が少なくなったことにより、ティペットのピアノが埋もれることなく再現されているのが嬉しい。 また、”
Out Of Bounds ” では、ティペットによるマリンバの演奏と雄叫び(「voice」とはクレジットされているが)を確認することができる。
(追加:2017年9月25日)
No Gossip : Keith Tippett & Louis Moholo
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- Black And White Unite
- Dedicated To Mandela,
Biko, Sobukwe
- Zimbabwe Is Free
- All People... God's People... Don't Worry!
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-
リリースは1982年
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Keith Tippett - piano & Louis Moholo - drums
-
Recorded during the " Workshop Freie Musik " March
20th and 23rd, 1980 at the " Academy of Arts", Berlin
- キース・ティペットとルイ・モホロによるデュエット・アルバム。
モホロが南アフリカの出身であることを踏まえると、各曲のタイトルは相当の思いを込めてつけられたものと思われる。
1,4曲目がティペット、2,3曲目がモホロによる楽曲とクレジットされているが、どちらかが主導を取っているということはなく、生ピアノと生ドラムという打楽器同士のぶつかり合いがひたすら続く。
ジャケット裏にステージの写真が掲載されているのだが、お互いを見合えるような近距離にセッティングされており、正にガチンコの勝負であったことがわかる。
本作品は1980年に行われたベルリンでのワークショップ、多分フェスティバルで行われた演奏を収録している。
こうしたフェスティバルでは、メンバーを入れ替えながら多くの演奏が繰り広げられたはずで、そんな中から二人の素晴らしい演奏が作品化されたことは貴重である。
(追加:2018年3月25日)
1981
Mujician : Keith Tippett
- All time, all time
- I've got the map, I'm coming home
- I hear your voice again
-
リリースは1982年
-
Piano solo
-
Recorded at FLÖZ / Berlin December 3rd and
4th, 1981
-
紛らわしいのであらためて整理。 1980年代にティペットがソロでリリースした作品名に「 Mujician
」があり、1990年代以降ティペットがカルテットで演奏する際のグループ名に「 Mujician
」がある。本作品はティペットがソロでリリースした「 Mujician 」シリーズの第1作であり、1982年にリリースされている。
肉声を重ねた ” I've got the map, I'm coming home ” や、プリペアード・ピアノの ” I hear your voice again
” も良いが、やはり ” All time, all time ” の凄まじさが際立っている。
低音部の連打はピアノではなくパーカッションの演奏を聴かされているようで、ピアノが構造上打楽器であることを嫌と言うほど思い知らされる。
本作品の成功が、ピアノ・ソロの「 Mujician 」のシリーズ化に繋がったことは間違い無い。 (追加:2019年8月25日)
First Encounter : Howard Riley / Keith Tippett
 
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- First Encounter
- Two In One Part 1
- Two In One Part 2
- Twenty First Century Blues
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リリースは2001年
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Recorded / 22nd May 1981 In a live concert at /
Goldsmith's College, London
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Howard Riley / Piano Keith Tippett / Piano
ハワード・ライリーとキース・ティペットの初めてのデュオ演奏を収録した作品。
ライリーによるライナーによると、アンコールを含めライヴ全編を収録しており、そのライヴ前にはリハーサルもディスカッションとも行わなかったとのこと。
勿論このパターンはその後のデュオ作品にも引継がれていくだが、やはり本作品には熟れていないところがある。 特にアンコールで演奏したと思われる ” Twenty First Century Blues
” は、緊張感が切れたのか演奏がだらけてしまっている。
キース・ティペットに対してはハズレの作品が無いと言っても過言でないだけに、本作品は珍しいかもしれない。 (追加:2018年10月25日)
Elton Dean's Ninesense Suite
Beckett / Miller / Moholo
 
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Elton Dean's Ninesense
- Ninsense Suite
Beckett / Miller / Moholo
- Natal
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リリースは2011年
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Elton Dean's Ninsense Elton Dean
Saxello, Alto Saxophone Alan Skidmore Tenor Saxophone Marc Charig
Trumpet Harry Beckett Trumpet Nick Evans
Trombone Radu Malfatti Trombone Keith Tippett
Piano Harry Miller Bass Louis Moholo
Drums
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Jazzwerkstatt Peitz No.41 June 20, 1981
- メディア化された中では、エルトン・ディーンズ・ナインセンスの最後期の演奏を収録している作品。
他のエルトン・ディーンズ・ナインセンスの作品と大きく異なっているのは、同バンドとバケット・ミラー・モホロのトリオによる楽曲がカップリングされているというフォーマットだけではなく、その収録されている楽曲の内容である。
エルトン・ディーンズ・ナインセンスの楽曲は、綿密に作曲されたパートと自由度が高いソロ・パートを組み合わせたものが多いのだが、本作品収録曲は40分超各自がインプロを繰り広げている。
9人もの奏者がインプロを繰り広げればを崩壊してしまってもおかしくないのだが、個々の技量の高さとバンドとしての経験故か崩壊することなくとどまっているように思えるが、やはり冗長的な印象が強い。
キース・ティペットの演奏もそれ程際立ったものではない。 (追加:2018年6月25日)
1982
Epiphany : Company
 
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- Epiphany ( Section 1 )
- Epiphany ( Section 2 )
- Epiphany ( Section 3 )
- Epiphany ( Section 4 )
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Epiphanies I-VI : Company
 
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- First (UO/MY)
- Second
(JT/PW/DB)
- Third (FF/GL/AS/MY/DB)
- Forth (ALB/KT/PW/MY/AS/UO)
- Fifth
(PW/KT/GL/ALB/UP/AS/JT)
- Sixth (MY/AS/DB)
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Epiphanies VII - XIII : Company
 
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- Seventh (FF/GL/ALB)
- Eighth (PW/UO)
- Ninth (DB/MY/GL)
- Tenth (AS/MY/ALB/JT/PW)
- Eleventh (FF/GL)
- Twelfth (DB/UO/GL)
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Thirteenth (KT/FF)
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Ursula Oppens Piano Fred Frith
Electric Guitar, Live Electronics, Percussion George Lewis
Trombone Anne Le Baron Harp Akio Suzuki
Glass Harmonica, Analapos, Spring Gong, Kikkokikiriki Julie Tippetts
Acoustic Guitar, Voice, Flute Moto Yoshizawa Bass
Keith Tippett Piano Phil Wachsmann
Violin, Electronics Derek Bailey Acoustic & Electric
Guitars
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These recordings were made between June 29 and July
3, 1982 in London during Company Week.
- カンパニーの1982年のライヴを収録した作品。 元々は今回紹介する 『
Epiphany (以下 『 黄 』)
』 と 『
Epiphanies I-VI(以下 『 青 』)
』 に相当する内容が
『 Epiphany 』 というタイトルで2枚組LPとして1982年にリリースされており、2019年に 『 黄 』 と 『 青 』
に加え当時の残りの音源を収めた 『
Epiphanies VII-XIII (以下 『 赤 』 )』 がリリースされた。 『 黄 』 が45回転2枚組、『 青 』
が33回転2枚組、そして 『 赤 』 が33回転3枚組というの、ヴォリュームが多いのか少ないのか判りにくいフォーマットとなっている。
カンパニーの作品は、1981年、1983年、1986年のミューア入りライヴが既に再発されており、今回の1982年のライヴにはミューアは参加していない一方、キース・ティペットが参加している。
全員で演奏している 『 黄 』 の他、” Forth ”、” Fifth ”、”
Thirteenth ” でティペットは演奏しているのだが、総じて相性が悪いように思える。
多くを語らない単音の積み重ねがカンパニーの特徴とするならば、ティペットの演奏は余りに雄弁、かつ積み重ねることより対峙することが多いためである。
本来ならば、フレッド・フリスとのデュオ作品である ” Thirteenth ”
などは話題性充分のはずだが、ティペットの演奏には窮屈さのようなものを感じてしまう。 (追加:2020年5月25日)
Tern : Louis Moholo ・ Larry Stabbins ・Keith
Tippett
 
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- Tern ( First Part )
- Tern ( Second Part )
- Mania / Dance
- Shield
- The Greatest Service
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Keith Tippett - Piano Larry Stabbins - Soprano &
Tenor Sax Louis Moholo - Drums
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Recorded during The " Total Music Meeting "
Performances On November 3rd & 5th, 1982 At The "Quarter Latin" in
Berlin.
- サックス奏者のラリー・スタビンスとルイ・モホロとのトリオでの作品。
ピアノ奏者/非ピアノ奏者とのデュオでもなく、バンド編成でもなく、サックス、ドラム、ピアノというキース・ティペットにしてみると珍しいパターンでの演奏である。
単音楽器であるサックスとの共演ということもありティペットはそのソロのバックアップを担当する、などという場面も無いわけではないが、3人がガチに音をぶつけ合う演奏がほとんどで、2枚組LPにたっぷりと収録されているヴォリュームとともに、ひたすら圧倒されてしまう。
本作品の初聴時、私は深夜であったため音量を絞っていたのだが、” Tern ( Second Part ) ”
の後半にサックスとドラムのみのパートにエアコンの室外機の低音のような音が聴こえたため、レコーディング時のノイズだと思った。
だがそれがあまりにも長く続くので恐る恐る音量を上げたところ、それがティペットによる低音連続演奏だと判り驚愕したのを覚えている。 最初から音量を上げて、いやそれ以前にしっかりとした再生装置で聴いていたらこんな勘違いはしなかったはずだが、逆にこの勘違いによってティペットの凄さを改めて認識することができた。 (追加:2020年10月25日)
1983
Live
at Ronnie Scotts : Weekend with Keith Tippett

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- Where Flamingos Fly
- Winter Moon
- Nostalgia
- Weekend Off
- A Day In The Life Of...
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- Recorded live at Ronnie Scotts on Sunday 20th March 1983 by Grant Showbiz
from Street Level Studios
- 所謂ニュー・ウェイヴの終末期に、元ヤング・マーブル・ジャイアンツのヴォーカルだったアリソン・スタットンを中心に結成されたウィークエンドのライヴ・アルバム。 3曲目まで(A面)がヴォーカル・ナンバーで、残り(B面)がインスト。 キース・ティペットはスペシャル・ゲストとしてフィーチャーされている。
アリソン・スタットンの表層的で深みのない気取っただけのヴォーカルはウンコ以下だと思うが、ヴォーカル・パートと絡むピアノは、”
Cat Food ”
を彷彿させるところがあり、格好良い。 またインストにおいても、ピアノ・ソロのパートが多く、ティペットのピアノを堪能することができる。
アルバム発表当時、ティペットの活動がクローズ・アップされる機会は少なく、本アルバムでティペットの名前が出てきたときにはかなり唐突な印象だったと記憶している。 ティペットが客演というかたちで自分のフィールド外のミュージシャンの作品に参加することは極端に少ないだけに、内容の良さも相まって、それなりにめずらしい作品だと思う。
ブルーフォードのように、(良い意味で)お金のために仕事をする、という割り切りができない性格なのかもしれない。
(追加:2002年2月25日)
1984
A Loose Kite In A Gentle Wind Floating With Only
My Will For An Anchor : Keith Tippett Septet
 
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- Part 1
- Part 2
- Part 2
- Part 4
- Dedicated To Mingus
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Larry Stabbins - tenor / soprano saxes Elton Dean
- saxello / alto sax on Dedicated To Mingus Marc Charig - cornet /
tenor horn Nick Evans - trombone Paul Rodgers - double bass Tony
Levin - drums / percussion Keith Tippett - leader / piano
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This music was recorded live by the BBC during the
septet's national tour, at the Barnfield Theatre, Exeter, on the 25th
October 1984.
- キース・ティペット・セプテット名義での作品。 編成がセプテットということ以上にそのメンバー構成が特異で、Mujician
のリズム隊をバックに、エルトン・ディーンズ・ナインセンスのフロントが演奏していることになる。
エルトン・ディーンにしてもキース・ティペットにしても、自分の名前がタイトルにクレジットされていようがいまいが弾きまくることには変わりなく、2人の対峙が中心となっている。
4面に渡るタイトル曲は、モチーフが判りやすい始まりからフリーな演奏に突入し、泣きのメロディも出てくるメランコリックな演奏に展開していく。
そしてアンコールとして演奏したと思われる ” Dedicated To Mingus ” さえも10分強の演奏でたたみかける。
本編成と近い編成の作品として、1996年に Dean / Dunmall / Levin / Rogers / Roswell /
Tippett 名義での 『 Baldik 』 があるが、レヴィンとロジャースの自己主張が未だ少ない分、『 Baldik 』
に以上にディーン&ティペットの破壊力は強い。 (追加:2020年8月10日)
In Focus : Howard Riley / Keith Tippett

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- In Focus - Part 1
- In Focus - Part 2
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リリースは1985年
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Recorded live at a concert given on 13th June 1984 at
the Tramshed, Woolwich, London as part of the Grennwich Festival
ハワード・ライリーとのデュオ作品。 ライナーを書いている Kenneth
Ansell
という人によると、ライリーがテーマを発展させ多層化することに厳格だが、ティペットは楽器のテクスチャとハーモニックを拡張していくことに関心があるとのこと。
わかったようなわからないような解説である。 私はハワード・ライリーの単独演奏は、後述する 『 Pianoforte
』 でしか聴いたことが無いのだが、ティペットと比べて端正な演奏をしているとの印象が強かった。
本作品を聴いていると、ティペットの演奏に煽られてか、ライリーがその端正な演奏から逸脱してよりフリーな演奏に取り組んでいるように思える。
ここまで来ると好き嫌いは完全な個人の好みになるのだが、演奏能力を含めた音楽的素養が無くても、ティペットはやっぱり凄いんだということがわかる作品である。 (追加:2010年10月25日)
1985
Mercy Dash : Hopper / Dean / Tippett / Gallivan

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- Intro
- Calyx
- Waffle Dust
- Brass Wind Bells
- Anguishy
- Waffling Again
- Punkom
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- ヒュー・ホッパー、エルトン・ディーン、キース・ティペット、ジョー・ギャリヴァンの1977年のライヴを収録した作品。
どこまでが作曲によるものなのか、どこからがインプロなのか、その境界線が良い意味でわからなくなっているのは、ライヴが充実しているからこそなのだと思う。
イントロ、と言いながら、全体の三分の一をも占める ” Intro ”
からしてティペットのピアノの活躍度は前作以上で、破綻直前まで追い込む各楽器との絡み、そして圧倒的なソロの凄さを堪能することができる。
(追加:2016年12月25日)
1986Mujician II : Keith Tippett
- Dan Sing Music First Part
- Dan Sing Music Second Part
-
Piano solo
-
Recorded Live On June 13th, 1986 During The "Just
Music" Concert Series At The FMP-Studio, Berlin
-
キース・ティペットの 「 Mujician 」
シリーズの2作品目で、前作から5年後のレコーディングとなる。 長尺1曲をLPフォーマットのため2曲に分けたのではなく、1曲めが終了したところで観客の拍手も収録されている。
プリペイドピアノを多用した1曲めも、低音の不気味なフレーズから始まる弾きまくりの2曲めも、どちらもいかにもティペット!、と言わんばかり内容である。
ただ、マイクの設置位置の問題だと思うが、ピアノの低音部がこもりながら割れていてしまっており、聴いていると気になってしまう。
ジャケットには長めのコートを着て演奏するティペットの姿が捉えれているのだが、実際の演奏時にも着用しているとは考えられず、宣材用写真と思われる。
(2019年8月25日)
1987
Mujician
III ( august air ) : Keith Tippett

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- I Love You, Julie
- August Air
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リリースは1989年
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Recorded live during the 'JUST MUSIC' concert series
on June 25th + 26th 1987 at the FMP-Stusio, Berlin) In Berlin.
ティペットがソロでリリースした「
Mujician 」三部作のラスト。
妻への愛をそのままタイトルにした23分にも及ぶ1曲目も良いが、47分にも及ぶタイトル曲の演奏が凄まじい。
後半の高音部の早弾きとプリペアード・ピアノの組み合わせに至るまで、なんと30分超も低音部の連打を中心とした演奏が続くのである。 低音部を中心とした演奏、ではなく、低音部の連打である。
ジャズ・ミュージシャンとしての演奏能力と精神力の成せる技だと思うが、聴く側にも相当な覚悟が必要とされる。 「8月の空気」などというタイトルとはほど遠い緊張感がそのままパッケージされた作品だと思う。
(追加:2006年5月25日)
Low Flying
Aircraft : Low Flying Aircraft
- Sybilization
- Fourth Dimension
- Baptism by Fire
- Poolside
- Abstrac Blue
- Moronathon
- Amnesia
- Reflection [ Maurer/Juhn/Tippett/Cross ]
- What Did You Do [ Maurer/Juhn/Tippett/Cross ]
- Radically Conservative
- Dan Maurer - drums, EMU II, whirled tube
Jim Juhn - guitar, bass, EMU II, percussion, whirled tube
David Cross
- violins
Keith Tippett - piano
also featurin :
Ron Linton - tenor sax on "Baptism" and "Rad", bass clarinet on
"Poolside"
Eric Drew Feldman - DX7 on "Poolside"
Paul Burwell - percussion squeek drum, bowed metal and whirled tube on
"Moronathon"
Produced by Dan Maurer an JimJuhn
- ダン・モーラーとジム・ジューンによるプロジェクトに、クロスとティペットが加わったセッションを収録した作品。
(追加:2003年12月25日)
1988 Couple In
Sprit : Keith & Julie Tippett

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- Daybreak
Keith and Julie : Bottles. Julie : Shaker, Voice.
Keith: Piano, Voices.
- Morning Psalm
Keith : Piano. Julie : Voices.
- Brimstone Spring Lullaby
Julie : Two Voices.
- Evening Psalm
Julie : Voices. Keith: Piano.
- Marching (We Shall Remember Them )
Julie : Zither, Voices. Keith: Two Harpsichords.
- The Choir And The Sunset Improvisers
Keith : Piano, Harmonium [ on bridge only ]. Julie : Voices.
- The Key At Dusk
Keith : Piano.
- Grey Mist With Yellow Waterfall Entwines Evening
Turquoise
Keith : Piano, Harpsichord, Bells. Julie : Voices, Recorder, Shaker.
Keith and Julie : Bottles.
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- Mixed by Robert Fripp
Produced by Keith and Julie Tippett
- ロバート・フリップがミックスを担当した、キース&ジュリー夫妻の作品。
夫婦ならでは、と安易に言い切れるようなケミストリーは、本作品においては発生していない。
キースのピアノのジュリーによるヴォーカル(発声)の絡みの妙はゼロとまでは言わないものの、あまり感じられない。 デュオによる楽曲と各々のソロを1曲ずつという整合性のある構成で、小さくまとまっていることにも原因があるように思える。
2人でやってみたら期せずして歪な構成のこんな作品になりました、なんて感じで提示された作品であったら、もっと凄いことになっていたに違いない。
フリップがクレジットされていることだけでありがたく拝聴するまでには至らない作品である。
(追加:2017年3月10日)
1989
Fire In The Mountain : Working Week
 
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- El Dorado
- This Time
- Waters Of The Moon
-
Fire
From The Mountain
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Waiting In Vain
- Flamingo
-
Blade
- Lost Weekend
- El Dorado ( 12" Re-Mix )
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- Keith Tippett Piano on Waiting in Vain and Fire from
the mountain
- おしゃれジャズを標榜する、泣きたくなる程ウンコ以下のバンドの作品。
ウィークエンドからの流れで、サックス奏者のラリー・スタビンスが一時の気の迷いで結成しただろうワーキング・ウィークの作品に、律儀にキース・ティペットが参加する必然性な無かったと思う。
「シャレオツ、シャレオツ、シャレオツ...」と念じながら吹いていたであろうスタビンスのサックスのバックでティペットはピアノを演奏しているのだが、サックスを前面に押し出したミックスがなされているためピアノの演奏が目立っていない。
おしゃれに付き合うことなく自分の演奏を繰り広げるティペットの潔さは素晴らしいが、その弾きまくっている演奏が目立っていないのが残念である。
(追加:2017年12月25日)
1990
The Dartington Concert : Keith Tippett

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- One For You, Dudu
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Performed by Keith Tippett in The Great Hall, Dartington
on 2nd August 1990 during the Dartington International
Summer School
The Vortex Tapes : Elton Dean
 
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- Second Thoughts Recorded on
25/9/90
- First Impressions Recorded
on 24/9/90
- Going Fourth Recorded on
27/9/90
- Third Time Lucky Recorded
on 26/9/90
- Taking the Fifth
Recorded on 28/9/90
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- エルトン・ディーンが、1990年9月に The Vortex Club (多分現在の
Vortex Jazz
Club )で行ったライヴを収録した作品。
5日のライヴから1曲ずつ収録されているため、日によって参加メンバーが異なるのか、曲毎に参加メンバーが異なっているのか判らないが、キース・ティペットが参加している楽曲は2日目の1曲のみ収録されている。
ただ、この1曲は凄い。
ソリスト2人の対決と言えば良いのだろうか、お互いの演奏に煽り煽られ、というより、相手を煽ることだけに徹したような演奏が繰り広げられている。
ティペットとエルトン・ディーンの組み合わせが最良な形で現れた楽曲の1つである。
(追加:2017年9月25日)
Ophelia's Shadow : Toyah

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- Ophelia's Shadow
- The Shaman Says
- Brilliant Day
- Prospect
- Turning Tide
- Take What You Will
- Ghost Light
- The Woman Who Had An Affair With Herself
- Homeward
- Lords Of The Never Known
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- トーヤは EG からソロ・アルバムを3作出しているが、これはその3作品目。
その3作の中でフリップの関与は一番少ないのだが、キース・ティペットが凄まじいピアノ・ソロを演奏している。 最終曲の ”
Lords Of The Never Known
” で3分のヴォーカル・パートが終了した後、1分30秒にも及ぶ演奏を繰り広げている。
トーヤのヴォーカルどころか、他の楽器との絡みも一切なく、只々独りピアノを演奏している。
トーヤに対しては大変申し訳無いのだが、本作品はラスト1分30秒を繰り返し聴くことが多い。 それだけ凄い演奏である。
(追加:2017年12月25日)
The Journey : Mujician

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- The Journey
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リリースは1992年
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Paul Dunmall - Eb clarinet, soprano, tenor, baritone
saxophones
Tony Levin - Drums, percussion
Paul Rogers - Double bass
Keith Tippett - Piano
Recorded June 2nd, 1990 at St. Georges Hall, Bristol,
England - Bath Festival
Broadcast on Radio 3
First Broadcast Data : June 9th, 1990
キース・ティペットが、ソロとして発表した作品に「
Mujician
」とタイトルされた作品があるが、本作品は彼がカルテットで演奏するグループ「
Mujician 」の作品。
紛らわしいついでに記載すると、本作品にクレジットされているドラマー「Tony
Levin」はクリムゾンの人とは別人だし、ベーシスト「ポール・ロジャース」もフリー(最近ではクイーンか)の人とも異なる。
1曲55分の作品は、どの程度の決まり事がなされた上でのインプロなのかわからないが、だれることなく一気に演奏されている。 ティペットのソロ作品と比べて楽器がバラエティに富んでいるだけ敷居が低くなっており、ティペット入門作品として適しているかもしれない。 ただティペットのピアノに圧倒される場面は、当然ソロ作品より少なくなってしまっているのが残念。
(追加:2006年10月25日)
1991
Everything And
Nothing : David Sylvian
 
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- The Scent of Magnolia
- Heartbeat ( Tainai Kaiki II )
- Blackwater
- Albuquerque ( Dobr #6 )
- Ride
- The Golden Way
- Ghosts
- Pop Song
- Every Colour You Are
- Wanderlust
- God's Monkey
- Let The Happiness In
- I Surrender
- Thoroughly Lost To Logic
[ Keith Tippett : Piano ]
- Jean The Birdman
- Cover Me With Flowers
- The Boy With The Gun
- Riverman
- Apama and Nimisha ( Dobro #5 )
- Midnight Sun
- Orpheus
- Some Kind Of Fool
- Cries and Whispers
- Godman
- Laughter and Forgetting
- Buoy
- Weathered Wall
- Bamboo Houses
- Come Morning
- The Scent of Magnolia ( edit )
- The Blinding Light of Heaven
- The Scent of Magnolia ( Portobello Mix )
- Brilliant Trees ( version 2000 )
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- 2000年にリリースされたデヴィッド・シルヴィアンの編集アルバムに、ティペットが参加している未発表曲 ”
Thoroughly Lost To Logic
” が収録されている。
ただ残念ながら、本楽曲は2人が真っ向から向かい合ったものではなく、ティペットのピアノをマテリアルとしてシルヴィアンがヴォーカルを被せたような作りである。
ケミストリーの発生云々以前に、そもそも2人が同時に取り組んだ楽曲であるかも怪しい。
坂本龍一、ホルガー・チューカイ、デレク・ベイリー、そしてロバート・フリップと、パートナーからの刺激を音楽創りに取り組むシルヴィアンも、ティペットとの共作は新たな創造に結びつかなかったのかもしれない。 (追加:2017年12月25日)
1993
The Bern Concert : Howard Riley Keith Tippett
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Interchange
-
リリースは1994年
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Recorded Dec 8th 1993 Studio Bern Swiss Radio DRS
キース・ティペットとハワード・ライリーのデュオ3作品目。
本作品での二人は、お互いを挑発することも無視することもなく、協調し合うこともあれば一人しか演奏していない時もあり、どのようにしてこのようなアウトプットになったのか想像もつかない、特異な演奏を行っている。
固定カメラ一つの映像でも残っていれば二人の間で演奏中に何が生じたのかが判ったのかもしれないが、今はもうそれを期待することもでいない。
LP/CD化された以外にも、二人による演奏機会は多くあったと思われるが、そうした演奏機会を通じて過度に馴れ合うことなく切磋琢磨しあった成果が本作品に結集している。
本作品は傑作である。
(追加:2018年10月25日)
1994
Poem About The Hero : Mujician
 
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- First Verse
- Second Verse
- Third Verse
- Fourth
Verse
- Fifth Verse
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Keith Tippett - Steinway Grand Piano, wood blocks,
plastic pan pipe, pebble and maraca
Paul Rogers - Five string double bass
Tony Levin - Drums and percussion
Paul Dunmall - Soprano and tenor Saxophones
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Recorded live February 5th, 1994 at The Michael
Tippett Centre, Bath, England
- Mujician が1994年に行ったライヴを収録した作品。
1分強のインタールード的な曲から、30分超えの曲までバラエティに富んでいるが、曲の長短にかかわらず、どの曲でもひたすら4人の奏者がぶつかりあっている。
聴いていると、複数の怪獣同士が冒頭からラストまでただただ戦い続ける怪獣映画を観ているような気がしてくる。
勿論それだけだと飽きてしまう人もいるとは思うが、どうでもよい人間模様を絡めるくらいなら戦闘場面を増やして欲しい、と思う人もいるわけで、そういう需要に本作品は見事に応えている。
唯一の難点をあげるとすれば、会場の問題なのかマイクのセッティングの問題なのか判らないが、ティペットのピアノの音が奥に引っ込んでしまっている。
それだけは残念である。
(追加:2017年5月25日)
1995
Birdman : Mujician

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- Birdman
- Shubunkins
- The Hands Are Just Shadows
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リリースは1996年
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Paul Rogers Double Bass
Paul Dunmall Alto And Tenor Saxophones, Chinese Shenai
Keith Tippett Piano { Woodblocks, Pebbles, Chimes }
Tony Levin Drums, percussion
Recorded May 6th, 1995 At The Michael Tippet Centre,
Bath, England
Une Croix Dans L'ocean : Keith Tippett

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- Une Croix Dans L'ocean
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1997
Baldik : Dean / Dunmall / Levin / Rogers / Roswell
/ Tippett

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- Forearmed
- Too Suchmuchness
- ' K Ad Lib
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Elton Dean Saxes
Paul Dunmall Saxes
Tony Levin Drums
Paul Rogers Bass
Roswell Rudd Trombone
Keith Tippett Piano
エルトン・ディーンとポール・ダンモールという2人のサックスと、Mujician が競演した作品。
エルトン・ディーンとキース・ティペットが一緒に演奏する、というのは魅力的なフレーズなのだが、一緒に演奏することによるケミストリーは感じられない。 感じられない、というよりもケミストリーの必要性がない、と言った方が的確なのだと思う。
一聴すればわかるように、凄まじいまでの破壊力を持つ作品である。 このクオリティは2人の作品のいつものことであって、2人が一緒に演奏する!、という聴く側の期待や思い込みなど、ましてや必要ない。
インプロを中心とした3曲とも長尺な演奏だが、聴き終えると1つの音の固まりを短時間にぶつけられたような疲労感を感じる作品である。
(追加:2012年12月10日)
Colours Fulfilled : Mujician

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- Part 1
- Part 2
- Part 3
- Part 4
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リリースは1998年
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Tony Levin - drums
Keith Tippett - piano [ woodblock, pebble ]
Paul Dunmall - tenor and soprano saxes, E♭ clarinet, bagpipes
Paul Rogers - double bass
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Recorded at Gateway Studio, Kingston, UK
May 18th 1997
- Mujician が1997年に行ったライヴを収録した作品。
私は、キース・ティペットの2013年の来日公演を観る機会に恵まれた。
小さなライヴ・ハウスでのピアノ独演は、ティペットとピアノのとの対峙を目の当たりにすることができる素晴らしい機会であった。 あとはもう
Mujician のライヴを観たい。 ある程度の決め事に基づくだろうインプロが、どのような過程で構築されていくのか、その瞬間を目の当たりにしたい。
大勢の観客数は期待できないと思うので、興行的には厳しいかしれない。 それ以前にそもそも Mujician
が今も定期的な活動をしているのかも判らないのだが、、本作品を聴いていると益々そう思えてくる。
プリペアード・ピアノの活躍度が目立つ作品ではあるが、勿論通常のピアノを弾きまくるティペットを堪能することができる作品である。 (追加:2017年5月25日)
Friday The 13th : Keith Tippett

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- Friday The 13th
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- Produced by Keith Tippett
- Recorded on Friday the 13th, June, 1997 in Sendai Japan
- キース・ティペットの初来日コンサートを収録したライヴ・アルバム。
50分弱の楽曲が1曲収録されているだけだが、とにかく凄まじい演奏。 インプロを中心とした50分もの曲を一人で演奏していれば、通常なら中だるみに近いスローなパートが差し込まれるのだろうが、ティペットはただただ、ひたすら弾きまくっている。
50分もの間、たった一人で緊張感を維持しながらこれだけの演奏を続けることができるのか不思議に思えてくる。
木片や石等をピアノの中に入れたプリペアード・ピアノによる偶発的な音や、サスティン・ペダルを踏みっぱなしにすることによる分厚い音などトリッキーな奏法も含まれているが、そのトリッキーさがだけが目立ったりしていないことが、この演奏の素晴らしさを物語っていると思う。
聞き流してしまうことなく、スピーカーの前でティペットに対峙してしまう名盤。
(追加:2003年3月10日)
1998
Mujician
I & II Piano Solo : Keith Tippett

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- All Time, All Time
- I've Got The Map, I'm Coming Home
- Dan Sing Music / First Part
- Dan Sing Music / Second Part
- I Hear Your Voice Again
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Recorded On December 3rd And 4th, 1981 (Tracks #1,#2
and #5)
And on June 13th, 1986 (Tracks #3 and #4) In Berlin.
本作品はティペットがソロでリリースした「 Mujician
」三部作の最初の2作品を1998年にCD化したもの。 1,2,5が1982年にリリースされた 『 Mujician I 』
から、3,4が1986年にリリースされた 『 Mujician II 』 からで、4,5が短縮化されている。
『 Mujician II 』 のジャケットを、『 Mujician 』 の薄い紺色を使って再現したジャケットには、長めのコートを着たままピアノを演奏するティペットの姿が収められており、唯一無二の彼の演奏と見事にマッチしている。 作品トータルの完成度も非常に高い名盤だと思う。
(追加:2005年2月11日) (変更:2018年8月25日)
1999
Bò kay La Vi-a : Francine Luce

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- Lè La Tè Ka Kléré
- Au Fil Du Temps
- A Round 7
- Quand La Vie Nous Sourit
- Pokéya
- Not Why!
- Déjà Vu
- L'Amour Vaut Bien Une Chanson
- À Petits Pas D'Toi
- An Dlò
- Rencontres
- Luna
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Francine Luce - voice, water on 5 & 10 Evan
Parker - tenor & soprano saxophones, water on 5 Claude Deppa -trumpet,
flügelhorn, water on 5 Paul Rutherford - trombone Keith
Tippett - piano, music box Paul Rogers - double bass Louis Moholo -
drums, percussion
フランス出身のジャズ・シンガー、フランシース・リュース(多分)のソロ・アルバム。
彼女がどのような経緯でこのソロ・アルバムのリリースにまで至ったのかは判らなが、バックが凄い。
キース・ティペットがいて、ポール・ロジャース(ベースのね)、ルイ・モホロ、そしてエヴァン・パーカーという人選で、ボーカリストのデビュー・アルバムをレコーディングするという発想が出てきたところが凄い。
ただその結果として、リュースのヴォーカル・スタイルが正統派ジャズというよりフリキーなのが、彼女自身の資質なのか、それともこのメンバーに触発されたものなのかは判らなくなっている。
当然ながらキース・ティペットは弾きまくっており、ジュリー・ティペッツ以外のヴォーカリストとの絡みを珍しく堪能できる。 (変更:2019年12月10日)
2000
Two's and Three's : Elton Dean

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- He Who Dares
- P.R. Department
- Uprising
-
Reconciliation
- K.T. [ Elton Dean
Alto, Keith Tippett Piano ]
- Riolity
- The Duke
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- エルトン・ディーンが1989年にカセット・テープでリリースした 『 Duos 』 と 『 Trios』 を中心に編集した作品。
ティペットの演奏は、前者には1曲、後者には2曲収録されているが、残念ながら本作品には前者からの1曲、” K.T. ” のみが収録されている。
タイトルがそのまんまの ” K.T. ” は、8曲弱のデュオ演奏。
どちらかと言えばディーンのサックスが主体の楽曲で、その隙間をティペットが埋めていく展開。 ティペット中心に聴こうとすると、物足りなさが残る。 (追加:2017年9月25日)
Couple In Spirit II : Keith And Julie Tippett

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- Together
- Rain-bow
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Keith - piano, woodblocks, pebbles, maraca, bells
Julie - voice, thumb piano, recorder, wind chimes
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Live at the Stadtgarten, Cologne
- キース&ジュリー・ティペットによるライヴ・アルバム。
これは素晴らしい作品である。 即興演奏であることは前作 『 Couple In
Sprit 』 と同じなのだが、ライヴという環境が良い方向に触発したのか、緊張感溢れる内容になっている。
2人による判りやすいコール&レスポンスはなく、お互いに常に対峙しあっている。
対峙しあってはいるが一方的に自分がやりたいことを投げつけあっているのではなく、絡み合っている。 このあたりのギリギリのバランス感覚が、本作品の最大の魅力である。
(追加:2017年3月10日)
Viva La Black Live At Ruvo : Keith Tippett,
Julie Tippetts, Louis Moholo - Moholo & Canto Generàl

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- Mra
- Thoughts To Geoff
- Dedicated To Mingus
- Mongezi Feza
- Four Whispers For Archie's Chair
- Traumatic Experience
- Cider Dance
- A Song
- Dancing Damon
- Septober Energy
- South African National Anthem
- You Ain't Gonna Know Me 'Cos You Think You Know Me
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Keith Tippett
piano, conduction Julie Tippetts Voice Louis
Moholo - Moholo drums with Canto Generàl : Gianna
Montecalvo, Cinzia Eramo, Gabriella Schiavone, Teresa Vallarella, Loredana
Perrini, Maristella Schiavone voices Vittorino Curci
alto sax Roberto Ottaviano soprano sax, alto sax
Fabrizio Scrafile tenor sax Felice Mezzina
tenor sax Nicola Pisani baritone sax Marco Sannini,
Luca Calabrese, Vincenzo De Luci, Vito Mitoli trumpets &
flugelhorns Beppe Caruso, Lauro Rossi, Franco Angiolo, Michele Marzella
trombones Giorgio Vendola, Francesco Angiuli acoustic
& electric basses Livio Minafra piano, keyboards
Vincenzo Mazzone drums
-
Linückea recorded at Gateway Studios Kingston
3-2000. Let The Music Speak recorded at Gateway Studios for BBC Radio
Mazz On 3
ティペット夫妻とルイ・モホロが南イタリアのイタリアのカント・ジェネラルと共演した作品。
複数のサックス奏者、トランペット&フルーゲルホーン奏者、トロンボーン奏者が在籍するカント・ジェネラルと共演した結果、キース・ティペット・グループやルイ・モホロ・オクテット、センティピード、はてはティペットやモホロが参加しているマーク・チャリグのソロ作品の楽曲が収録されており、キース・ティペットのジャズ・ロックど真ん中の時期の活動が再現されている。
もちろん、ニック・エヴァンス、マーク・チャリグ、ハリー・ミラー、そしてエルトン・ディーンもここにはいないが、それでもジャズ・ロック領域で演奏するティペットの魅力を堪能することができる秀作である。
(追加:2020年10月25日)
2003
Pianoforte : Tippett ・ Riley ・ Grew ・ Thomas
 
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- Magnesium ( Grew solo )
- Shifty lad one ( Grew & Thomas )
- Shifty lad two ( Grew & Thomas )
- Burnt ( Thomas solo )
- Just trust ( Tippett solo )
- Before the storm ( Riley solo )
- Point of delivery ( Riley
& Tippett )
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-
Live at Sheffield University, Firth Hall Oct 28th
2003.
当時30代であったステファン・グルーとキース・ティペットの出会いをきっかけに、ハワード・ライリーとパット・トーマスが加わえた4人のイギリス出身のピアノ即興演奏者によるピアノフォルテの作品。
ツアーをするための資金集めに苦労したらしいが、本作品はそのツアーの初日の演奏が収録されている。
4人ものピアノ即興奏者のソロとデュオが混在しているが、キース・ティペットの演奏はトラック・ナンバーを確認しなくても判別できる。
よく聴き込めば、ではなく一聴してわかるところが、ティペットの凄さ、オリジナリティの高さを立証している。
さてこのピアノフォルテなる企画だが、コンサート会場や聴衆数はどの程度のものだったのだろうか。
ソロとデュオとの演奏となるとピアノは最低2台必要とはいえ、大掛かりな音響装置はいらないはずである。
それにもかかわらず前述の通り資金集めが困難であったとのこと。
フィジカル・メディアからダウンロードへの移行云々以前に、この手の音楽、企画は成立し得ない状況になってしまっている。 (追加:2018年10月25日)
Live At The BBC : Elton Dean's Ninesense
 
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- Dancin'
- Soothing
- Sweet Francesca
- Bidet
Bebop
- Nicra
- Seven For Me
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1-4 Recorded 19th May 1975 for
Jazz In Britain on BBC Radio 3. Mongezi Feza : pocket trumpet Marc Charig :
cornet,
tenor horn Radu Malfatti, Paul Nieman :
trombone Elton Dean : alto saxophone, saxello Keith Tippett : piano Harry Miller :
bass Louis Moholo :
drums 5-6 Recorded 17th March 1978 for Jazz In
Britain on BBC Radio 3. Harry Beckett : trumpet Marc Charig : cornet,
tenor horn Nick Evans, Radu Malfatti :
trombone Elton Dean : alto saxophone, saxello Alan Skidmore : tenor
saxophone Keith Tippett : piano, celeste Harry Miller : bass Louis Moholo :
drums
- BBCで放送された、エルトン・ディーンズ・ナインセンスの音源集。
『 Oh! For The Edge 』
リリース前の1975年の演奏と、『 Happy Daze 』
リリース後の1978年の演奏が収録されており、特に前者には同年亡くなったトランペット奏者モンゲジ・フェザの演奏が収録されている。 『 Oh!
For The Edge 』 と 『 Happy Daze 』
に収録されている曲名と微妙に異なる曲が収録されているが、基本は同じ曲でソロの展開が異なっているだけである。
しっかりと作曲された曲の根幹+インプロも含めたソロで、エルトン・ディーンズ・ナインセンスの楽曲が構成されていることがよく分かる。
作曲パートもインプロ・パートもキース・ティペットは弾きまくっているのだが、好き勝手に弾いているようで暴走半歩手前で収めているところがすごい。 (追加:2008年5月10日)
2005
There's No Going Back Now : Mujician

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- There's No Going Back Now
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- Keith Tippett Piano
Paul Rogers 7-String A.L.L. Bass
Tony Levin Drums
Paul Dunmall Soprano & Tenor Saxophones
- Recorded 12 June 2005
Victoria Rooms, Bristol, UK
- Mujician としてのライヴ・アルバム。
不定期な活動とは言え、メンバーを変えることなく演奏している成果か、相変わらず圧倒される作品である。
焼き肉をガツンガツン飲みながらビールをラッパ飲みするような勢いとは正反対だが、周りをねじ伏せる勢いはそれ以上だと思う。
Mujician
の作品に共通して言えることだが、毎日聴くような音楽ではないし、これなしでは過ごせないといった作品でもないが、
聴くたびにその凄さを実感することができる。
ただ凄すぎるが故に、ある程度以上心身ともに好調な時でないとまともに聴くことができないのが難点かもしれない。
(追加:2007年4月15日)
2011
From Granite to Wind : Keith Tippett Octet
 
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- From Granite to Wind
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tenor & soprano saxes Paul
Dunmall alto sax James Gardiner - Bateman drums
Peter Fairclough ( cymbal sculptures by Steve Hubback ) alto & baritone
saxes Kevin Figes double bass Thad
Kelly voice, seed pods, Balinese xylophone, toy xylophone, struck thumb
piano Julie Tippetts tenor sax ( System 54 ), bass
clarinet Ben Waghorn piano, keyboard & interior,
pebbles, maraca, woodblocks, music box Keith Tippett
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Recorded & mixed by Mat Arnold at Real World Studios
on 30/31 January 2011.
- キース・ティペット・オクテット名義での作品。
同一名義では、後にリリースされた 『 The Nine Dances Of
Patrick O'Gonogon 』 という2014年レコーディングの作品があるが、メンバーは異なっている。
大人数編成での演奏ということもあり、事前に構成を決めていたと思われ、静と動のコントラストが明確になっている。
静のパートの中心はジュリー・ティペッツのヴォーカル、動のパートはインストゥルメンタルが中心で、それはそれで面白いのだけど、ちょっと判りやすすぎる気もする。
破綻ギリギリの所でせめぎあうような演奏を期待したいのだが、流石にオクテットともなるとそうもいかないのか。
(追加:2020年8月10日)
2012
Mujician Solo IV : Keith Tippett
 
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- Piacenza
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- Keith Tippett : Steinway Grand Piano
- Recorded live at Conservatorio Nicolini, Piacenza, Italy, January
14, 2012
- 四半世紀を超えてリリースされた、ソロとしての Mujician 作品。
Mujician I,II,III は関連性のある作品として捉えることができた一方で、本作品を Mujician IV
として位置づけることに無理があるのは否めまい。 売るためのタイトルとして使用したに過ぎない。
ただ、そんなことはどうでも良い。
Mujician の冠を使おうが使うまいが、ティペットが一人でピアノに対峙た時の凄まじさは尋常ではない。
本作品では、ステンウェイの弦をこれでもか活用しており、他のティペットのピアノ・ソロとの差異化がなされている。
ただこの差異化は、作品の為に意図的に行っているのではなく、ティペットがその日に演奏した結果がそのまま現れたものである。
凄まじい。
(追加:2016年5月10日)
2013
Songbook #1 : The Vicar

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- Girl with the Sunshine
- Childhood Days
[ Fretless Bass : Tony Levin ]
- That Boy's Not Cool
- The Moony
Song [ Electric Guitar : Robert Fripp ]
- Twenty Two
- Three Sides of Me
- Man With a Woman
- Forever
- San Manuel
- She Closes Her Eyes
- In Dying Fire
[ Backing Vocals : Jakko Jakszyk ]
- Count y our Blessings
- Inside My Head
- Lonely Sunday
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2014
The Nine Dances Of Patrick O'Gonogon : Keith Tippett
Octet

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Group 1
- The Dance And Return Of The Swallows
segue
- The Dance Of The Intangible Touching
segue
- The Dance Of The Sheer Joy Of It All
Group 2
- The Dance Of The Walk With The Sun On His Back
segue
- The Dance Of The Day Of Observance
- The Dance Of The Longing
Group 3
- The Dance Of The Bike Ride From Shinanagh Bridge With The
Wind At His Back
- The Dance Of Her Returning
- The Dance Of The Wily Old Fox Of The Ballyhoura Mountains
Coda a
- The Dance Of Her Returning (with voice)
Coda b
- The Last Rose Of Summe
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リリースは2016年
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Fulvio Sigurta - trumpet / flugelhorn Sam Mayne
- alto & soprano saxophone / flute James Gardiner Bateman - alto
saxophone Kieran McLeod - trombone Rob Harvey - trombone Tom
McCredie - bass Peter Fairclough - drums / percussion Keith Tippett
- piano / composer with Julie Tippetts - voices on The Dance Of Her
Returning
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Recorded and produced at Real World Studios on
24/25 October 2014
キース・ティペット・オクテット名義で発表された作品。 久々のスタジオでのレコーディング作品であり、オクテット+ジュリー・ティペッツの大所帯だけに、レコーディング前に作曲とアレンジは綿密に行われたものと思われるが、型にはまってしまった堅苦しさは全く無い。
スタジオという場を活用したライヴ作品と捉えた方が正しいかもしれない。 ただリリースにあたっては資金が足りなくなったらしく、Discus は
Kickstarter を使って資金を集めている。 こうした音楽への需要が無くなったことを端的に表しているが、本当に残念なことである。
本作を含めティペットの作品には、「 May music never just become another way of making money
」とクレジットされているものが多い。
ポピュラリティの高い作品にお小遣い稼ぎのゲスト参加をしていないティペットの姿勢を反映したクレジットだと思うが、無尽蔵にライヴ・レコーディングされているだろうティペットの音楽を聴く機会がもっと増えたら嬉しい。
また、本作品はティペットが心臓発作と肺炎の合併症で療養した際に、売上がその支援に使われている。
お金のためだけに音楽に取り組むことを良しとしないティペットが、音楽によって救われる。 意義が大いにある作品である。 (追加:2019年5月25日)
2016
A Mid Autumn Night's Dream : Keith & Julie Tippett
Lino Capra Vaccina Paolo Tofani

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- A Mid Autumn Night's Draem
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リリースは2019年
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Keith Tippett piano,
musical box, woodblocks, pebbles, Maraca Julie Tippetts
voice, small bells, struck thumb piano, swivel drum, miniature xylophone
Lino Capra Vaccina vibraphone, cymbals, percussions,
gongs, tam-tam, timpani, chimes, bells Paolo Tofani
madhura, santoor, electronics & devices
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recorded "Musiche Nuove A Piacenza" festival on
October, 2016 at Conservatorio Nicolini, in Piacenza by Alberto
Callegari.
キース・ティペットから心臓発作と肺炎の合併症から復帰した後にリリースされた作品。
とはいえ実際には発症前の2016年にライヴ・レコーディングされた作品である。
ジャズやジャズ・ロック寄りの作品ではなく、総じてアヴァンギャルドなフリー・ミュージックといった様相である。
これは楽器編成が特異なこと以上に、やはりジュリー・ティペッツのヴォーカル・パフォーマンスに負う所が大きい。
アレアのギターリスト、パオロ・トファーニの参加という珍しさもあるが、結局のところ楽器数を増やしたキース&ジュリー・ティペットの作品と捉えた方が正しいと思う。
勿論その結果としてティペットのピアノは活躍しまくりである。 『 Mujician Solo IV 』 と同じ Dark Companion
Records からのリリースで、簡素なつくりの手書きナンバー入りジャケットなのだが、コストがかかっているのか、かかっていないのかよく判らない。
(追加:2019年5月25日)
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