2001
Spacetime : Mujician
Spacetime
Exquisitely Woven Spiritual Communication
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リリースは2002年
Paul Dunmall soprano, tenor saxophones
Tony Levin drums
Paul Rogers double bass
Keith Tippett piano
Victoria Rooms studio
Bristol UK location
February 24, 2001 date
Mujician がスタジオでレコーディングした作品。 とはいえ彼らの場合即興一発のレコーディングであることはライヴと変わらず、1日でレコーディングを終了している。
全ての曲が短くて1分、長くても10分弱で、この点が Mujician の他の作品とまず異なる。 しかも大曲をパート毎に分けたのではなく、明らかに異なる曲を ” Spacetime ” や ” Exquisitely Woven Spiritual Communication ” といったコンセプトでまとめたように思える。
またソロ・パートやデュオ・パートの比率も高く、これも Mujician の他の作品と異なる点である。
即興のためのリハーサル、と言ってしまうと相矛盾してしまうが、4人によるアイディア出しを収録した作品なのかもしれない。
(追加:2023年8月25日)
Imago : Pete Fairclough & Keith Tippett
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リリースは2003年
Peter Fairclough - drums & percussion
Keith
Tippett - unprepared piano & percussion
Recorded by Nigel Pease at the Bluecoat Arts
Centre, Liverpool, 11th October, 2001
& Djanogly Recital Hall, Lakeside
Arts Centre, Nottingham, 17th October, 2001
イギリス人ドラマー、ピーター・フェアクロウとのデュオ作品。
フェアクロウとはキース・ティペット・オクテットで共演もしているのだが、本作品は同じ打楽器同士でガチにぶつかり合っている。
ドラマーとのデュオというと南アフリカ出身のルイ・モホロとの作品が先ず浮かんでくるが、フェアクロウともいくつかのデュオ作品をリリースしている。 出身が異なるモホロとの演奏は同じ武器で違う競技をしているようなぶつかり合いなのに対し、同じイギリス出身のフェアクロウとの演奏は同じ武器を使って同じ競技をしているような印象が強い。
その傾向が最も強いのは45分にも及ぶタイトル曲 ” Imago ” で、
曲展開は目まぐるしいのだが唐突感がなく聴きやすい内容となっている。
(追加:2024年7月25日)
2002
Another Part of the Story : Howard Riley / John Tilbury / Keith tippett
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リリースは2003年
Howard Riley piano centre
John Tilbury piano right
Keith Tippett piano left
Digital recording by Steve Lowe
London ( Gateway Sturios )
2002 August 12
キース・ティペットのピアノ・ガチンコ勝負を極めたような作品で、デュオでいくつかの作品を残しているハワード・ライリーに、イギリス人ジョン・ティルベリーを加えた3人のピアニストによるスタジオ・ライヴである。
素人ながらにも3人が目を合わせながら演奏しているだろうことが判るパート、ソロ若しくはデュオのパート、そして3人がひたすら弾きまくるパートと目まぐるしく展開していく。
3人の演奏は左右センターに振り分けられているのだが、ティペットの演奏はプリペアド・ピアノのような判りやすい音色の時だけでなく、3人が物凄い勢いで同時に演奏しているパートでモノラル再生したとしても一聴して判別できるような時がある。 私がティペットの演奏に惹かれるのはこうした所なんだと思う。
(追加:2024年7月25日)
2003
Pianoforte : Tippett ・ Riley ・ Grew ・ Thomas
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リリースは2004年
Live at Sheffield University, Firth Hall Oct 28th 2003.
当時30代であったステファン・グルーとキース・ティペットの出会いをきっかけに、ハワード・ライリーとパット・トーマスが加わえた4人のイギリス出身のピアノ即興演奏者による作品。
ツアーをするための資金集めに苦労したらしいが、本作品はそのツアーの初日の演奏が収録されている。
4人ものピアノ即興奏者のソロとデュオが混在しているが、キース・ティペットの演奏はトラック・ナンバーを確認しなくても判別できる。
よく聴き込めば、ではなく一聴してわかるところが、ティペットの凄さ、オリジナリティの高さを立証している。
さてこのピアノフォルテなる企画だが、コンサート会場や聴衆数はどの程度のものだったのだろうか。
ソロとデュオとの演奏となるとピアノは最低2台必要とはいえ、大掛かりな音響装置はいらないはずである。
それにもかかわらず前述の通り資金集めが困難であったとのこと。
フィジカル・メディアからダウンロードへの移行云々以前に、この手の音楽、企画は成立し得ない状況になってしまっている。
(追加:2018年10月25日)
Live At The BBC : Elton Dean's Ninesense
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1-4 Recorded 19th May 1975 for
Jazz In Britain on BBC Radio 3.
Mongezi Feza : pocket trumpet
Marc Charig :
cornet,
tenor horn
Radu Malfatti, Paul Nieman :
trombone
Elton Dean : alto saxophone, saxello
Keith Tippett : piano
Harry Miller :
bass
Louis Moholo :
drums
5-6 Recorded 17th March 1978 for Jazz In
Britain on BBC Radio 3.
Harry Beckett : trumpet
Marc Charig : cornet,
tenor horn
Nick Evans, Radu Malfatti :
trombone
Elton Dean : alto saxophone, saxello
Alan Skidmore : tenor
saxophone
Keith Tippett : piano, celeste
Harry Miller : bass
Louis Moholo :
drums
BBCで放送された、エルトン・ディーンズ・ナインセンスの音源集。
『 Oh! For The Edge 』
リリース前の1975年の演奏と、『 Happy Daze 』
リリース後の1978年の演奏が収録されており、特に前者には同年亡くなったトランペット奏者モンゲジ・フェザの演奏が収録されている。
『 Oh!
For The Edge 』 と 『 Happy Daze 』
に収録されている曲名と微妙に異なる曲が収録されているが、基本は同じ曲でソロの展開が異なっているだけである。
しっかりと作曲された曲の根幹+インプロも含めたソロで、エルトン・ディーンズ・ナインセンスの楽曲が構成されていることがよく分かる。
作曲パートもインプロ・パートもキース・ティペットは弾きまくっているのだが、好き勝手に弾いているようで暴走半歩手前で収めているところがすごい。
(追加:2008年5月10日)
2004
The Monk Watches The Eagle : Keith Tippett
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リリースは2020年
Composed and conducted by Keith Tippett
Text and solo voice Julie Tippetts
Saxophone ensemble
and improvising soloists
Poul Dunmall - soprano, Kevin Figes - alto,
Ben Waghorn - tenor, Chris Biscoe - baritone
The Apollo Saxophone
Quartet
Tim Redpath - piano, Rob Buckland - alto, Andy Scott - tenor,
David Roach - baritone
The BBC Singers
The recording is of the first performance at Norwich Cathedral on Friday, 14th May 2004.
キース・ティペットの死後に発表された作品。
ティペット自身は作曲と指揮をしておりピアノは演奏していない。
サックスとコーラスが交錯する本作品を本質的に理解するためには、教会や宗教音楽に対する理解が必要となるはずで、そういう意味では私は正しい聴きて手ではないかもしれない。
ただ本作品はジュリー・ティペットがプロデュースをしており、リリースにあたって経済的援助を受けたことに対してのジュリー・ティペットの謝辞もクレジットされており、しっかりとコントロールされた作品であることは述べておきたい。
元音源は BBC Radio
での放送を目的として録音されたとのことで、ティペット関連のこうした埋もれた音源がこれからもリリースされ続けることを期待したい。
(追加:2020年2月10日)
2005
There's No Going Back Now : Mujician
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リリースは2006年
Keith Tippett Piano
Paul Rogers 7-String A.L.L. Bass
Tony Levin Drums
Paul Dunmall Soprano & Tenor Saxophones
Recorded 12 June 2005
Victoria Rooms, Bristol, UK
Mujician としてのライヴ・アルバム。
不定期な活動とは言え、メンバーを変えることなく演奏している成果か、相変わらず圧倒される作品である。
焼き肉をガツンガツン飲みながらビールをラッパ飲みするような勢いとは正反対だが、周りをねじ伏せる勢いはそれ以上だと思う。
Mujician
の作品に共通して言えることだが、毎日聴くような音楽ではないし、これなしでは過ごせないといった作品でもないが、
聴くたびにその凄さを実感することができる。
ただ凄すぎるが故に、ある程度以上心身ともに好調な時でないとまともに聴くことができないのが難点かもしれない。
(追加:2007年4月15日)