1972
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Bryan Ferry - Voice & Piano
Graham Simpson - Bass Guitar
Andrew Mackay - Oboe & Saxophone
Eno - Synthesiser &
Tapes
Paul Thompson - Drums
Phil Manzanera - Guitar
Produced by Peter Sinfield
ロキシー・ミュージックのファースト・アルバム。
多くのところで語られている通り、本作品の魅力は単なる思いつきに近いアイディアの断片を、そのまま羅列している所だと思う。 ”
Re-Make / Re-Model ” におけるソロの応酬にしても、” The Bob ( Medley )
”
の強引なまでのメドレイにしても、楽曲としてのまとまりなど全く意識していないように思えるが、最初期のロキシーの格好良さはまさにここにあるのだと思う。 イーノというノイズ発信担当を内包することができたのも、もとまりの無さが許されていたからのはずである。
音楽プロデューサーとしての技能があったとは思えないシンフィールドがクレジットされているのは名前貸し以外のなにものでもないはずだが、技能がない(=何もできなかった)ことが本作品のまとまりの無さに見事に寄与している。
(更新:2004年7月10日)
1973
Still : Pete Sinfield
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のどかと言えばいいのであろうか。 セリーヌ・ディオンで今やクリムゾン・ファミリーの中で一番の印税生活を送っているシンフィールドのファースト&ラスト・ソロ・アルバムは、とても穏やかなアルバムである。
クリムゾン時代に忌み嫌っていた、ボズ、コリンズ、ウォーレスをセッション・メンバーとして起用していたり、サビの部分の殆どにレイクのヴォーカルもしくはストリングスを被せてヴォーカルの脆弱さを隠していたりと、情けないところが散見するものの、歌詞もクリムゾン時代ほど観念的な世界に陥っておらず、この時期にシンフィールドが出せる力の全てを出し切っているように思える。
ただやはり、「元クリムゾン」の「シンフィールド」の作品という看板を外せば、何回も聴く気にはなれないと思う。
尚、1993年に 『 Stillusion 』
として曲追加&曲順変更で発表された内容は以下の通りである。
Photos of Ghosts : Premiata Forneria Marconi
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Flavio Premoli
Keyboards & Vocals
Franz Di Cioccio Drums & Vocals.
Giorgio Piazza Bass.
Franco Mussida Guitar & Vocals.
Mauro Pagani Violin & Woodwind.
Celebration and Old Rain produced by Pete Sinfield who also remixed the other tracks and produced the English vocals.
PFMの英語圏デビュー・アルバム。
そして、「プロデュース」、という言葉が何を意味するのかを考えさせる作品である。
本作品においてシンフィールドはプロデューサーとして、(そして更に)リミックスを担当したとしてクレジットされているものの、コンセプト・メーカーである(or
コンセプト・メーカーに過ぎない?)シンフィールドが音楽的に寄与した可能性はほとんど無いと思う。 にもかかわらず、本作品を語る際にシンフィールドの名前を外すことができない理由は、「PFMをイタリア圏外に紹介した」という歴史的業績に他ならない。 もし本作品がシンフィールドによってマンティコアからリリースされていなければ、PFMの素晴らしさに接する機会はもっと少なかったはずである。
ロキシー・ミュージックのファースト・アルバムと同じように、「名前貸す」という行為が、プロデューサーとしての重要な責務であることを認識させる一枚である。
(追加:2010年1月10日)
1974
Brain Salad Surgery : Emerson Lake & Palmer
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Keith Emerson Organs, Piano,
Harpsichord, Accordion, Custom built Moog Synthesizers & Moog Polyphonic Ensemble
Greg Lake
Vocals, Bass, Zemaitis Electric 6 string and 12 string guitars
Carl Palmer Percussion and Percussion Synthesizers
Many thanks and garland of martian fire flowers to Pete Sinfield for his collaboration on
the lyrics on Karn Evil 9 and Benny The Booucer.
Produced by Greg Lake at Advidion Studio.
ELP最盛期の作品。
聞き流すことが困難なで、それなり以上の覚悟をもって取り組まなければいけない作品。 もちろんパーマーのパーカッション・シンセサイザー等、演奏している方は楽しいだろうけど、ヴィジュアル無しで聴いているのは辛いパートがあるのは事実だが、よくもここまで造り込んだものである。
ただ、やはり本作品がエマーソンの作品であることは否めない。 ” Still... You Turn Me On ”
の完成度は高いし、ピート・シンフィールドと構築したタイトル曲のコンセプトは見事なまでのハッタリをかましているが、レイクの貢献度は必ずしも高くない。
クリムゾンのファンの立場からすると、ちょっと残念な作品。
(追加:2009年9月10日)
Danse Macabre : Esperanto
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Glenn Shorrock : Lyricist, backing vocals, ideas
Brian Holloway : Featured guitarist on "The Decision," "The Duel" and
"The Cloister"
Brigette Du Doit : Vocal on "The Duel, "
"Fringe Members"
Raymond Vincent : 1st Violin and Chief Arranger (Belgian)
Bruno Libert : Piano, Organ, ARP Odyssey, Vibes, Harpsichord, Arranger, Backing Vocals
(Belgian)
Tony Malisan : Drums (Italian)
Gino Malisan : Bass (Italian)
Keith Christmas : Lead Vocal (English)
Godfrey Salmon : 2nd Violin, Tenor Voice (English)
Tony Harris : Viola (English)
Timothy Kraemer : Cello (English)
Produced by Peter Sinfield
ピート・シンフィールドがプロデュースをした、エスペラントの作品。
エスペラントと言いながらもミュージシャンはヨーロッパに限定、弦楽器をフィーチャーした楽曲はピート・シンフィールド云々以前に欧州プログレそのものの音。
この辺りの作品が、キング・ユーロ・ロック・シリーズにどっぷり浸かるようなるかどうかの試金石になるのだと思う。 ” The Journey ” や ”Danse Macabre ” の疾走感には滅茶苦茶惹かれるがそれ以外はちょっと、といったる私のような嗜好の人は、ユーロ・プログレの深淵なる世界に入らないで終わるのだと思う。
まぁ、その代わりクリムゾンの泥沼に嵌っているのだけど...
シンフィールドの本作品の楽曲そのものへの関与度は不明。 確かにシンフィールドが好きそうな作品だとは思うが。
(変更:2011年4月25日)
The World Became The World : Premiata Forneria Marconi
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Franz Di Cioccio Drums, Percussions and Vocals
Ian Patrick Djivas Bass Guitar and Vocals
Franco Mussida Guitars and Lead Vocals
Mauro Pagani Woodwind, Violins and Vocals
Flavio Premoli Keyboards and Vocals
PFM の英語圏2作品目。
静から動、動から静だけではなく、動から動、静から静でも曲展開が目まぐるしく変化するのが、本作品の魅力である。 そして、これをライヴで人力で演奏していたことが、PFMの凄さだと思う。
前作でプロデューサーのクレジットまでされたシンフィールドは、ここでは作詞(英詩)としてのみクレジットされている。 「紹介行為」が終了しているだけに、妥当な所だと思う。
個人的には、そのシンフィールドが関与していないインスト曲が、一番のお気に入りだったりする。
(追加:2011年9月25日)
Brighter Day : Keith Christmas
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マンティコアからリリースされた、キース・クリスマスのソロ・アルバム。
キース・クリスマスについては、ピート・シンフィールド人脈から、牧歌的なイメージが強いが、実際にはファンキーな曲調の楽曲が多い。
ウォーレスの参加はそういった意味では正解。 プロデューサーであるシンフィールドが人選までしていたなら、彼のプロデュース能力が高いということになる。
(追加:2007年3月31日)
1975
Fish Out Of Water : Chris Squire
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The drums and percussion were played by Bill Bruford
The saxophones
Mel Collins
The flute Jimmy Hastings
The organ & bass synthesizer Patrick Moraz
The pipe organ Barry Rose
The acoustic & electric pianos Andrew Pryce Jackson
The basses & twelve string electric guitars were played by myself I
also sang all the vocals with some help from Nikkion," Hold out your hand"
For suggestions on "Safe" Pete Sinfield
イエスのクリス・スクワイアのソロ・アルバム。
クレジットからすると ” Safe ( Canon Song ) ”
に関与していると思われるが、共作のクレジットはなし。
(追加:2006年1月25日)
1976
The 'Original' Bad Co. Anthology : Bad Company
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ボズ・バーレルが参加していたバッド・カンパニーのベスト&発掘音源集。
発掘音源の中にシンフィールドが作詞した曲が1曲含まれている。 しかもそのタイトルは
” Smokin' 45 ”。
不思議な関係だとつくづく思う。
(追加:2007年1月10日)
1979
In A Land Of Clear Colours : Robert Sheckley
Music
Brian Eno
Narration Peter Sinfield
Music Produced At R.P.M. Sound Studios INC. Brian Eno
Narration Engineered Poli Palmer
Final Mixdown Produced Poli Palmer
Engineered Poli Palmer
Illustrations Leonor Quiles
ピート・シンフィールドがナレーションを、イーノが音楽を担当している作品。 アイコンを並べれば画期的だが、内容を紹介しようとすると微妙な表現を使わざるを得ないもの。
オリジナルは、作家であるロバート・シェックリーの作品にレオノール・クリスがイラストを添えた絵本が付属しており、都内のレコード店で5年に1度位の割合でオーバー2万円で見かけることができる。 1993年に
Voiceprint
から絵本無しでCD化されており、私が保有しているのもこちら。 CDのジャケットから確認することができるイラストは、絵心の無い私にはアピール度ゼロで、絵心のある人にとってもたいしたものでは無いように思える。
シンフィールドは、発音がしっかりとした聞き取りやすいナレーションをしており、ダメ出しを喰らいながら何度も録音しなおしたことが伺える。
イーノの音は相変わらずのアンビエントもの。 ただ、ナレーションのバックでサントラの様に使われていることが幸いして、音だけを聞かされる時のような苦痛感はない。
(追加:2003年10月10日)
Highdown Fair : Angelo Branduardi
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Tiziana Botticini : harp
Angelo Branduardi : violin, guitar, piccolo guitar, lute, flute
Gigi Capellotto : bass
Bruno De Filippi : bouzuki, cuica, benzo, sitar, harmonica
Maurizio Fabrizio : guitar, lute
Mario Lamberti : percussions
Gianni Nocenzi : clarinet, piano
Andy Surdi : drums
English Version, Based Upon The Original Lyrics, Written And Produced By
Pieter Sinfield.
イタリアのミュージシャン、Angelo Branduardi の作品。 本国でリリースされた 『 Alla Fiera dell'Est 』
をシンフィールドが英詩化している。
ジャケットや構成楽器等で醸しだされる雰囲気からプログレ色の濃い作品に思えるが、実際はフォーク・ロックな作品。 プログレ色が感じられる所もあるが、朴訥とした歌モノが並ぶ。
シンフィールドは、本作と 『 Fables And Fantasies 』(原題 『 La pulce d'acqua
』)でも英詩化をおこなっているが、PFMの場合と異なり作品全体のプロデュースにまで関与しておらず、Angelo Branduardi
側から英詩化だけを依頼された可能性もある。
シンフィールドが商業作詞家としての活動を開始する前の、過渡期の作品となる。
(追加:2012年2月10日)
No More Fear Of Flying : Gary Brooker
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プロコル・ハルムのゲイリー・ブルッカーが、バンド解散時期に発表したソロ・アルバム。
実は...プロコル・ハルムの曲は ” A Whiter Shade Of Pale ”
しか聴いたことがない、と相変わらずプログレ3級程度の知識しか持ちあわせていないにも拘わらず本作品を所持しているのは、シンフィールドが作詞を担当しているからに他ならない。
従ってバンドとソロの違いはわからないが、本作品自体はオーソドックス(≠凡庸)で安心して聴くことができる。
シンフィールドとゲイリー・ブルッカーは、その後イアン・マクドナルドのソロ
『 Drivers Eyes 』 の ” Let There Be Light ”
において、作詞家とヴォーカリストとして共演している。
(追加:2011年12月25日)
1981
Bucks Fizz : Bucks Fizz
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女性2人男性2人のイギリスのヴォーカル・グループのファースト・アルバム。
1980年前後において、ABBAもどきの女性2人男性2人のヴォーカル・グループは全世界で100組以上あったはずだが、その中でも売れたグループである。
ABBAをパクるという明確な目的なもと、メンバーが集められ良い楽曲を用意するという、プロフェッショナルな対応のなせる技だったと思う。 ただ当時日本では、ABBAとは別編成のヴォーカル・グループであるノーランズによって本アルバムのマーケットが草刈られた後であったためか、殆ど話題になることは無かった。
そしてここにピート・シンフィールドである。
プロフェッショナルな作詞家として2曲を提供しているのだが、シングルに採用されることもなく地味な楽曲にクレジットされている。
(追加:2018年7月25日)
The Entire Collection : Paris
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この Paris
なるグループ、アルバムもリリースすることなく終わっており、情報も少なくよく判らないのだが、アンディ・ヒルの名前がクレジットされている楽曲が多く、同時期のバックス・フィズのプロトタイプというか、マーケティング用グループだったものと思われる。
そしてそのデビュー・シングル ”
Have You Ever Been In Love
”
にはその流れでアンディ・ヒルの他ピーター・シンフィールドがクレジットされており、デジタル・シンセサイザー普及前のイギリス版歌謡曲といったアレンジも正にバックス・フィズそのままである。
ただ女性のヴォーカルがハスキーで、サビの歌い上げるパートにはちょっと向いていないと思う。
(追加:2019年2月10日)
1982
Are You Ready : Bucks Fizz
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バックス・フィズのセカンド・アルバム。
アラジンの ” 完全無欠のロックンローラー ”
がグランプリを受賞した第12回世界歌謡祭に出場後に、本アルバム先行シングルとして ” The Land Of Make
Believe ”
がリリースされ大ヒットしたのだが、そこにはピート・シンフィールドが作詞家としてクレジットされている。
個人的には ” Twentieth Century Hero
” の歌詞の中に、” 21st Century Schizoid Man ”
の歌詞の一部をこっそり忍ばせてくれてたりしたら嬉しかったのだが、プロフェッショナルな音楽産業チームの中でそれは許されなかったのだろう。
なお、NHK で放送されていた 『笑う洋楽展』 において、本作品からのもう1曲の大ヒット・シングルである ” My Camera Never Lies
” が放送され、その際に「女性シンガーが脱いでしまう」と紹介されたのだが、アルバムのインナー写真からその片鱗を伺うことができないのが残念である。
(追加:2018年7月25日)
World Radio : Leo Sayer
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レオ・セイヤーがアメリカ市場を狙って、そして失敗した作品。
メジャーに躍り出ることがなかった Paris
ではあったが、そこに提供した ”
Have You Ever Been In Love
” の楽曲としてのポテンシャルの高さに制作着目したのか、ジェフ・ポーカル他一流ミュージシャンをバックにレオ・セイヤーが唄っている。
Paris
の女性ボーカリストのハスキーな声より、レオ・セイヤーの透き通ったような高音の方が本曲にはマッチングしているし、実際アメリカ狙いで制作したアルバムの中から、イギリスで本曲はヒットしている。
無数に販売されているレオ・セイヤーのベスト・アルバムにも本曲は必ず収録されており、ピーター・シンフィールドの財政状態にそれなりには寄与していると思うし、当のレオ・セイヤーにしてみても自身のオリジナルと認識しているに違いない。
(追加:2019年2月10日)
1983
Have You Ever Been In Love : Leo Sayer
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アメリカ市場を諦めたレオ・セイヤーが、改めてイギリス市場をターゲットにした作品で、自身のお気に入りの楽曲に新アレンジを施して収録している。
前年イギリスでヒットした ”
Have You Ever Been In Love
” をアルバム・タイトルにまでしているのも、購買者からの「私がラジオで聴いたのとは違う!」とのクレームを避けるために同曲のみ
『 World Radio 』 収録テイクをそのまま収録しているのも、「売ること」を目的にした正しい選択だと思う。
「売ること」に徹するためのこの手の手法は古今東西変わらないものだと改めて認識した。
(追加:2019年2月10日)
1984
I Hear Talk : Bucks Fizz
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バックス・フィズの4thアルバム。
セカンド・アルバムの大ヒットをピークに人気が下がった末での作品。
ジャケットからもわかるように派手さを抑えてアーティスト性を全面に出そうとしたのだろうが、華やかさを失っただけの作品となってしまっている。
ファン層の平均年齢を上げることでマーケットを拡げようとして失敗した典型例である。
ピート・シンフィールドが作詞をしているのは1曲のみ。シングル・カットもされたアルバム・タイトル曲なのだが、こちらもセールス的には成功していない。
その ” I Hear Talk
” は、曲の最後 talk talk と繰り返すところがエイドリアン・ブリューっぽいのだが、それよりも
hear はいらないから、talk に続けて to the wind と言って欲しかった。
(追加:2018年7月25日)
1993
The Colour Of My Love : Celine Dion
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所謂クリムゾン・ファミリーの中で、印税で最も財をなし裕福な生活をしている人となると、やはりシンフィールドだろう。 グレッグ・レイクによる
” I Believe In Father Christmas ”
にとどまらず、主にアンディ・ヒルとライティング・チームを組み多くの楽曲を提供、クリフ・リチャード、シェール等で大ヒットを飛ばしている。
で、その中でも極めつけなのがセリーヌ・ディオンへの提供であろう。 ”
Think Twice ”
はイギリスのチャートでNo.1を記録している。 当然のことながら、歌詞の中には墓碑銘だ聖歌隊だといった物騒な単語はなく、バラードに即した素晴らしい愛が語られている(笑)
結婚後に妻のCDライブラリー(とはいっても30枚程度)の中から本作品を発見。 自腹を切らなかった唯一のクリムゾン関連作品として、自分のCD棚に移設した。
(追加:2002年5月25日)
1999
Drivers Eyes : Ian McDonald
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イアン・マクドナルドのファースト・アルバムに、1曲のみ作詩で参加。
また、本作品にはマイケル・ジャイルズも参加している。
(追加:2006年1月25日)