1980
Third Wave Civilization : Ian Lloyd
" Trouble " Produced by Roy Thomas Baker, Mick Jones, Ian McDonald and Bruce Fairbairn
イアン・ロイドのサード・アルバム。
マクドナルドが共同プロデュースを行っている ”
Trouble ” だが、フォリナーの 『 Head Games 』
と同時にレコーディングされた可能性が高い。 プロデュースにロイ・トーマス・ベイカーの名前がある上、本曲のみ
「 The "Aliens" : All instruments on "Trouble"」
とわざわざクレジットされている。 Aliens
という安易なネーミングは、どう考えても Foreigner の変名だろう。
もちろんそんなクレジット云々以前に、ちょっと聴いただけでフォリナーによる演奏とわかる良質な楽曲である。 他の曲のレベルも高くアルバムとしての完成度も素晴らしいが、やはり
” Trouble ”
のみが突出している。
(追加:2005年12月25日)
1985
On The Fritz : Steve Taylor
Produced by Ian McDonald and Steve Taylor
Mixed by Ian McDonald and Alan Douches
1980年代において、殆ど音沙汰が無かったマクドナルドの活動をとらえた作品。 スティーヴ・テイラーなる人の作品をプロデューサーを務めるとともに、演奏も行っている。
正に1980年代ど真ん中の音で、運とプロモーション活動に恵まれていたら、ひょっとしたかもしれない作品で、当時の売れ線を冷静に分析し、アウトプットする能力がマクドナルドにはあったことを証明している。 いかにも1980年といった作品をマクドナルドにプロデュースしてほしいとは思わないけど...
ギター奏者は複数クレジットされていてマクドナルドの演奏は判別できず、サックスも間奏でそこそこに演奏するだけで、プレイヤーとしてのマクドナルドは全く没個性。
(追加:2010年6月10日)
1996
To Cry You A Song ・ A Collection Of Tull Tales
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John Wetton
- Vocals ( 4 )
Ian McDonald - Flut ( 4,10 )
マグナカルタのプログレ・トリビュート・アルバム・シリーズのジェスロ・タル編で、マクドナルドは2曲においてフルートを演奏している。 そのままマグナカルタ御用達ミュージシャンに成り下がらなかったのは、本当に良かったと思う。
” Nothing Is Easy ”
は、ウェットンのヴォーカル、マンザネラのギターとそれなりに豪華なメンツとともに演奏、イントロからフルート吹きまくり、終始マクドナルドのフルートを堪能することが出来る。
” New Day Yesterday ”
は、フルート・ソロはあるものの、曲の中心はカンサスのロビー・スタインハートのヴァイオリン。
(追加:2001年5月25日)
The Tokyo Tapes : Steve Hackett
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リリースは1998年
flute/sax/guitar/keyboards/vocals
動くマクドナルド、で日本人ファンの度肝を抜いたライヴをほぼ完璧に収録した作品。 ライヴの完成度が高かったため、本作品自体の出来も素晴らしく、プログレの流派(笑)を超えたマスト・アイテムだと思う。
クリムゾン・ナンバーの演奏もさることながら、”
Firth Of Fifth ”
において本ライヴではじめてフルートを演奏した瞬間の観客の異常なまでの盛り上がり、これが全てを現している。 頭髪の薄さこそ年齢を感じさせられたが、演奏に衰えはなくマクドナルド復活を宣言するに足る素晴らしい出来だと思う。
金銭的な問題もあったのであろうが、本プロジェクトでの活動後すぐにソロ・アルバムのリリースと繋がれば、もう少しその後の活動も恵まれたものになったであろうと思うと、少し残念。
(追加:2001年5月25日)
1997
Hazy Monet - Live In New York : John Wetton
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リリースは1998年
flute, harmony vocal
ウェットンの粗製ライヴ・アルバムのひとつ。
当然のことながら、本作品のウリはマクドナルドとの共演なのだが、全曲にマクドナルドがフルートを演奏しまくっているなどということはなく、数曲でちょこっと演奏しているだけ。 実際のライヴにおいて、コーラスをしていたのかステージから降りていたのかは不明。
アコースティック・セットであることを意識したのかサックスこそ演奏していないものの、なかなか捻れたフルートを演奏している。
(追加:2001年5月25日)
1998
Wachenroder
1. Day Dream ~白昼夢~ 52.Catastrophe ~崩壊~ 53.Blind Girl |
マクドナルドの復活を期待させた、セガ・サターン用ゲームのサントラ。 マクドナルドの演奏面での関与がどの程度のものであるかは不明だが、3曲にマクドナルドの名前がクレジットされている。
パッケージにちりばめられた「どこかでみたことのあるような」キャラクター群や、ELPやクリムゾンのパロディとしか思えない曲が散見する作品の中において、マクドナルドは見事に埋没している。
ソロ制作のための資金集めが目的であったとしか思えないような作品。
(追加:2001年5月25日)
Take A Train : The Wallace / Trainor Conspiracy
Alto Saxophone
ウォーレスとキーボードのブライアン・トレイナーによる、アーバンな(笑)ジャズアルバム。
” Evidoid Suite ( 21st Century Schizoid Man, Evidence )
”
は、そのアルバム全体の雰囲気を壊すことのない、おしゃれな演奏。 気が抜けて腰砕けになりそうになる。 マクドナルドの演奏もたいしたことはない。
個人的には、マクドナルドのことよりも、荒々しさの欠片もなくなったウォーレスのドラムのほうに失望。
(追加:2001年5月25日)
1999
Produced by Ian McDonald
イアン・マクドナルドのファースト・ソロ・アルバム。 ハケット、ウェットン、ジャイルズ、シンフィールドにルー・グラムやイアン・ロイドと、豪華なようで想像のつくメンバーが参加している。
「どうだ!俺のマルチ・プレイは」っといったプレイヤー・オリエンテッドの嫌みなところは全くなく、曲自体を聴かせようという意向が感じられところには好感がもてる。
ただその曲自体が全体に小ぶりなのが残念。 ポップな曲も、プログレ指向の曲もともに中途半端で、マクドナルドの多彩な音楽性が悪い形で表現されているように思える。
厳しいことを書いたが、個人的には愛聴盤。 期待が大きかっただけに肩透かしをくらったことが響いているのだと思う。
尚、”You Are A Part Of Me ”
はシングル( カップリングは ”Sax Fifth
Avenue
”)としてもリリースされたが、レコード会社側にどこまで売ろうとした意志があったかは不明。
(追加:2001年5月25日)
Action Harp Play Set : Park Stickney
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Park Stickney, harp
also featuring :
Erik Della Penna, guitar, voice ( 3, 5 )
Ian McDonald, guitar ( 7 )
Rich Rosenzweig, drums ( 10 )
Darren Solomon, bass (10 )
ジャズ・ハープ 奏者、Park
Stickney の作品。
ハープに対する知識は殆ど無いし、ましてジャズ・ハープなる分野が存在することも本作品で初めて知った程度なので多くは語れないが、「ポピュラーな楽曲をハープをメイン楽器に演奏しているのかな」という想像を全く裏切らない作品である。
そんな作品に、マクドナルドはギターとプロデユーサーでクレジットされている経緯は、同時期に発表されたマクドナルドのソロ、『 Drivers
Eyes 』の ” Hawaii ” に Park Stickney
が参加していることによるものと思われる。 律儀に恩返しをするマクドナルドの本領発揮である。
(追加:2012年1月25日)
Darktown : Steve Hackett
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Sax
『 Genesis Revisite 』
関連の活動を終えた後、安易に同傾向の活動を行わなかったスティーヴ・ハケットの傑作アルバム。 全体を覆う暗い雰囲気のためか、あまり話題にはならなかったが、現役度の高い作品である。
マクドナルドはアルバム・タイトル曲である ”
Darktown ”
でサックスをプレイ、緊張感あるフレーズで曲の完成度の高さに貢献していると思う。
(追加:2001年5月25日)
2000
Welcome To Heaven ( Sinister ) : John Wetton
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Alto flute
” E-SCAPE ”
においてのみ、ウェットン(キーボード)、フリップ(サウンドスケイプ)とアルト・フルートで共演。
キーボードとサウンドスケイプをバックに、マクドナルドがアルト・フルート吹くだけの地味な曲。 曲自体たいしたものではない。
このままマクドナルドがフェード・アウトしていきそうで怖い。 いつまでもウェットンやハケットと共演しているだけではダメだ。 売れ線を狙おうが狙わないかではなく、しっかりとしたソロ・アルバムを制作してソロとしてのキャリアを確実に歩んでほしい。
(追加:2001年5月25日)
2001
Four Corners No Walls : Maria Antonakos
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Bagpipes Ian McDonald
ギリシャ系カナダ人のマリア・アントナコスの作品。
ヨーロッパ各地の過去そして現代の音楽を程良くブレンドした作品、というのが当人の狙いらしいが、その結果として提示されている音楽は、民族楽器風の音を使用したAOR。 AOR自体を否定するつもりは全くないが、魅力の無い楽曲ばかりで良い点を見つけるのがちょっと難しい。
同姓同名のイアン・マクドナルドというミュージシャンがいる可能性はあるが、バグパイプを演奏するイアン・マクドナルドとなると、やはりここで取り上げるべきイアン・マクドナルドなのだと思う。 ”
Byzance-Liturgy For The 21st Century ” のコメントにおいてバグパイプが言及されているので、少なくとも本曲においてはマクドナルドが演奏しているのだと思う。 ただ、バグパイプ特有の音が効果音的に差し込まれるだけで、特に目立つ演奏ではない。
(追加:2003年12月10日)
Star Eyes : Joan Bender
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Ian McDonald - Piano
ジョアン・ベンダーという女性ジャズ・ヴォーカリストのアルバム。
ジャズ・ヴォーカリストと言ってもその唄は果てしなく下手くそで、色つやがないとか、ノビがないとかそういったレヴェルにすら到達していない凄まじいもの。 80年代の日本のアイドルにも、ここまでの音痴はいなかったと思う。 淡々と演奏されるバックとの落差は激しく、新手のアヴァンギャルド・ミュージックを聴かされているような気がする。
売り出そうとした側もその辺りのことはわかっていたようで、半乳の表ジャケット以外も、股間おっぴろげ状態の写真等を満載しており、エラの張った大願面さえ気にしなければ股間にズキズキと訴えてくるものがある。
で、「Ian McDonald - Piano」とクレジットされているその演奏なのだが、前述した通り淡々とジャズ・フォーマットのピアノを演奏している。 器用貧乏のマクドナルドのスタジオ・ミュージシャンとしてのお小遣い稼ぎといったところ。 当人、ですよね?
(追加:2003年12月10日)
2003
Isn't It Pretty To Think So? : Waking In The Blue
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Coombes(読めない!)
夫妻を中心としたユニット、ウェイキング・イン・ザ・ブルーの作品。
サックスをフィーチャーした2曲も良いが、フルートを演奏している2曲、特に
” Window ”
におけるメロトロンをバックにヴォーカルやギターと絡むソロが絶品。 残念ながらメロトロン自体はCoombes(読めない!)夫が演奏しており、マクドナルドのメロトロン嫌いがここでも証明されている。
流暢なメロティと演奏、売れ線を狙いすぎていない楽曲にユニットとしてのポテンシャルの高さをそれなりに感じることができる。 それだけに「元クリムゾンのマクドナルド」を正しく利用しているように思える。
内ジャケットには、セッションの様子をとらえた写真が掲載されており、サックスやギターを弾くマクドナルドの姿を確認することができる。 その中央には、透け透けのブラウスのおかげで黒ブラをはっきりと確認できるCoombes(だから読めない!)妻が大きくフィーチャーされている。 ジョアン・ベンダーのパターンと同じで、色仕掛けに弱いのか?
(追加:2005年6月10日)
Happiness with mimimal side effects : Ian Wallace
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Flutes
イアン・ウォーレスの傑作ソロ・アルバムにおいて、マクドナルドは2曲でフルートを演奏している。
クレジットにはマクドナルドの演奏が後から付け加えられたことが記載されており、プログレ・ファンを当て込んだ客演であることがすぐにわかる。 ただ、肝心のマクドナルドの演奏はたいしたものではない。
アルバム全体の完成度は高く、プログレ・アイコンとしてのマクドナルドの必要性は全くないほど。 逆にウォーレスとマクドナルドの現役度の違いがクローズ・アップされることになり、残念である。”
(追加:2003年5月25日)
To Watch The Storm : Steve Hackett
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Steve Hackett Vocals, Guitar
Roger King Keyboards
Rob Townsend Brass, Woodwind
Gary O'Toole Drums, Vocals
John Hackett Flute on Serpentine Song
Ian McDonald Sax on Brand New
Jeanne Downs Backing Vocals
Sarah Wilson, Cello & Howard Gott, Violin
Jerry Peal, Keyboards and Billy Budis, Bass Guitar on Flame
ライヴ音源の大量リリースが続いていたスティーヴ・ハケットの、久しぶりのスタジオ・レコーディングによる作品。
己の持つ全てのパターンを引き出しから出しきったような作品で、シンフォニック・プログレ、ゴシック・プログレ、ブルース、打ち込みに、アコースティック・ギターやサスティーンかかりまくったロング・トーンが縦横無尽に絡んでくる。 また、引き出しからの出し方も洗練されており、ネタ切れによる在庫一掃といった悪いイメージもなく、現役ミュージシャンとしてのハケットの柔軟性を感じることができる。
ただ、マクドナルドの演奏には失望してしまう。 サックスでクレジットされているため激しいブロウを期待したのがいけないのかもしれないが、エフェクト処理された(サンプリングされた?)「プップー」という音が効果音的に使われているだけのもの。 日本マーケット用にハケットに利用されたのかもしれない。
(追加:2004年1月10日)
2004
Unu : PANGAEA
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Ian McDonald's flute - Recorded by Perry Margouleft and Ryan Simms at Pie Recording Studios, Glen Cove, New York
日本の新人バンド、PANGAEA
の作品でマクドナルドはフルートを演奏している。
やはりプログレ・フォーマットでのマクドナルドのフルートは素晴らしい。 クレジットを見る限り、マクドナルドの演奏は後から被せられたものと思われるが、プロデューサーでもある厚見玲衣氏のキーボードとの絡みが美しい。
特に ” Mudy Stream ”
においては、メロトロンをバックにしたフルート・ソロ、などという失禁ものの興奮を味わせてくれる。
(追加:2004年5月10日)
2006
The Bruised Romantic Glee Club : Jakko M. Jakszyk
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21st CSB
でクリムゾン・ファンに知られることになったジャコのソロ・アルバム。
マクドナルドは、フルートで ” Variations on a Theme by Holst ” のみに参加している。
(追加:2007年12月10日)
2009
Garage Band Halloween Volume Two
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Vince Martell : Guitar & Vocals
Chuck Adler : Bass
Neil Capolongo : Drums
Peg Pearl : Vocals
Tony Pinisi : Organ
Scott Treibitz : Mellotron
Ian McDonald : Flute & Harpsichord
John Garner : Lead Vocals
ジャケット 、間違ってません。
ガレージ・バンドのオムニバスに、ヴァニラ・ファッジのギターリスト、ヴィンス・マーテルが参加し ”
In The Court Of The Crimson King ”
をカヴァー。 マクドナルドはフルートとハープシコードで参加している。
同曲に限らず、収録されている楽曲には「ガレージ・バンド」というカテゴリーとアルバム・ジャケットから想像されるような勢い一発のノリはなく、しっかりと作り込まれている。
とはいえ、である。 ヴィンス・マーテルとどんな関係があったのかわからないが、自曲のカヴァーに律儀に参加する必要はなかったのではないか。 良い人なのか、もしかしたら仕事に恵まれていないのか、微妙な線を感じさせる作品である。
(追加:2012年1月10日)
Talking With Strangers : Judy Dyble
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Ian McDonald - Flute, Saxophone, Uklele
Robert Fripp
- Guitar and Soundscapes
Pat Mastelotto
- Drums, Percussion
元カノであるジュディ・ダイブルのソロに参加! ってあまり話題にはならないのかもしれないが、演奏は充実している。
歌メロと絡むフルートの演奏はしっかりと計算されている。
(追加:2009年8月25日)
2010
Beautiful Accident : The Third International
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the players
Andrew Pearson vocals, guitars, guitar synthesizer,
electronic percussion
Ian McDonald alto sax, flute, alto flute, percussion
Bill Foster bass
Nick Difrisco drums, percussion
マクドナルドがプレイヤーとしてクレジットされている、今のところ最新作品。
1曲目からマクドナルドのサックスが炸裂するため初聴時の期待は高いのだが、爆音をバックに美メロが絡むという凡庸なパターンが続くため、残念ながら徐々にがっかりしてくる。
クリムゾンの楽曲カヴァーに参加したり、クリムゾン関連ミュージシャンの作品にゲスト参加する、といった活動に物足りなさを感じていただけに、レギュラー参加の作品に対する期待度が高すぎたのかもしれない。
(追加:2012年2月10日)
2017
Bad Old World : Honey West
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イアン・マクドナルドが、舞台関係の仕事をしている Ted Zurkowski と組んだ
Honey
West の作品。
ギターを弾きたくて弾きたくてしょうがなかったんだ、というマクドナルドの想いが伝わってくる作品である。
ただそのオールド・スタイルの演奏は、聴いていて必ずしも心惹かれるものではなく、活躍度の低いフルートやサックスのソロが出て来るのを楽しみにしてしまう。
マクドナルドと Ted Zurkowski
が近所に住んでいること、そしてマクドナルドの息子がベースで参加していること等から、本来は好き勝手にやりたいことをやっただけのプライベートな作品なのかもしれない。
趣味性が強い作品だけに、とやかく言うことはナンセンスなことかもしれない。
ただ、それでも私はマクドナルドの凄さをもう一度是非体験したい。
思いっきりプログレな作品への参加は、本人の興味外のことかもしれないが期待したい。
フォリナーの再結成ライヴのアンコールにゲスト参加したらしいが、パーマネント・メンバーとしてスタジオ・アルバムへの参加を期待したい。
1996年にスティーヴ・ハケットとともに来日したマクドナルドが、ジェネシスの ” Firth Of Fifth ”
でフルート・ソロを演奏した時、観客の盛り上がりで東京厚生年金会館全体が揺れた。 これは大袈裟な話でも比喩的表現をしたのでもなく、本当に揺れた。
その時と同じような興奮を、私はもう一度味わいたい。
(追加:2017年8月10日)