1970
The Yes Album : YES
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drums, percussion
スティーヴ・ハウ参加後、イエスがプログレ・バンドとしてステイタスを確立したアルバム。
” Roundabout ”
のような有無を言わせぬ程突出した名曲はないものの、捨て曲が一切無い完成度の高い作品。
ブルーフォードとスクワイアのコンビネーションは、この作品にて完成の領域に入っている。 ”
Your Is No Disgrace ” や ” All Good People ” での疾走感、” A Venture ” や ” Perpetual
Change ”
での複雑なリズム・セクションは見事としか言いようがない。 インタビュー等で判断するところ、内向的でパンクチュアルなブルーフォードと外向的でルーズなスクワイアと全く異なる性格と分類できる2人で、どうしてここまでのコンビネーションがなしえるのかが不思議なほどである。
尚、” Your Is No Disgrace ”
では、2人にハウを加えた3人のユニゾンによるフレーズも出てきて、これもまたひたすら格好良い。
(改訂:2003年3月25日)
(初版:1999年8月10日)
Live in New Haven, Yale Bowl 1971 : YES
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リリースは2019年
YES の1971年7月24日のライヴを収録した作品。
リック・ウェイクマンがキーボードとしてクレジットされているが、ライヴの時期と演奏曲からトニー・ケイが演奏しているものと思われる。
とまぁそんな緩いところからも、契約の隙間をついた作品ということがよく判るのだが、映像のリリースが先行していたこの時期の YES
のライヴをしっかりと聴くことができるのが嬉しい。
ただその演奏は一本調子で、同じ楽曲を同じ展開で演奏しているにもかかわらず、スコアを舐めているような感じである。 リリースから間もない 『 The
Yes Album 』 以前の楽曲であればもう少しこなれた演奏だった思うのだが、比較することができないのが残念である。
ブルーフォードの演奏も同様で、聴いていてワクワクする所が少ない。
(追加:2020年4月25日)
Musik Laden Live : YES
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若き日のビル・ブルーフォードを確認することができる貴重なライヴ映像。
白黒映像の ” No Opportunity Necessary, No Experience
Needed ”
では、時々ブルーフォードがアップになるものの、シンバルが高めにセッティングされており、見事なまでに顔が隠れてしまっている。 当時のおきまりのセッティングというより、意図的に顔を隠しているようにも思える。 本映像のみ1969年のもので、続く2曲は1971年のもの。
” All Good People ”
は、アホ面で踊る映像が時々挟み込まれて笑える。
” Your Is No Disgrace ”
は、本作品の中でも白眉の出来。 元々の楽曲の良さもあるが、中だるみの無い見事な演奏で一気に聴かせる。 それだけに、この時代特有のサイケな映像処理がうるさく、肝心の演奏場面が見にくくなってしまっているのが残念。
尚、タイトル・インデックスのバックに1971年の演奏と思われる ”
No Opportunity Necessary, No Experience Needed ”
が少しだけ流れる。 出し惜しみせず、ちゃんと収録してもらいたかった。
(追加:2003年12月25日)
Live Hemel Hempstead Pavillion October 3rd 1971 : YES
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ブルフォード 在籍時の YES の映像。
収録時間30分足らずの作品で完奏は無い。 もう少し後年のことを考えた編集をしておいてくれたならと、つくづく思うが、この時期の動く YES
が観られるだけで幸せなのかもしれない。
ブルーフォードのフィーチャー度は高く、ドラム・ソロだけではなく、くわえタバコで演奏するロックン・ローラーな姿が収録されている。
(追加:2014年4月25日)
1972
Fragile : YES
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Drums, Percussion
ブルーフォードのソロである ” Five Per Cent For Nothing ”
はギミック的には面白いが、実はブルーフォードに作曲能力の欠如をあらわしているという見方もある。 それよりもブルーフォードのドラム自体を堪能するのであれば、名曲
” Roundabout ” や ” Heart Of Sunrise ”
のイントロの方が遙かに機能していると思うのだが。
(追加:1999年8月10日)
Yesterdays : YES
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リリースは1974年
Drums
アトランティックのオムニバスに収録されていた ” America ”
が、本コンピレーションのウリ。 全員がリードをとり続けることにより、アレンジが破綻寸前の緊張感にあふれていた時期の作品だけに、10分強の長尺の曲ではあるが一気に聴かせるすさまじさがある。 カバー曲においてもこのテンション、ブルーフォードの後任に平凡なドラマーを選びたくなったのも納得できる。
(追加:1999年8月10日)
Close To The Edge : YES
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Percussion
名盤として語られることの多い本作品において、ブルーフォードのドラムは実はあまり収録されていない。
” Close To The Edge ”
においては18分30秒の内、イントロ及びアウトロで各1分、中間部で5分40秒ドラムレスのところがある。
” And You And I ”
においては10分4秒の内、イントロで70秒、アウトロで50秒、中間部で30秒と1分30秒ドラムレスのところがある。
トータル約37分30秒の内11分40秒(約3分の1)がドラムレスという状態。
長ければ良いわけでも無いが、意外な結果である。
(追加:1999年8月10日)
Yessongs : YES
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リリースは1973年
不憫でならない、ブルーフォードが。 いくらクリムゾン加入のための突然の脱退とはいえ、2曲を除きスタジオ・アルバムにすら参加していないドラマーのテイクが採用されているとは。 酷い当てつけである。
しかも相手はアラン・ホワイト。 ブルーフォードの場合、どんなに手数が多くなっても繊細さが失われないのがその特徴の一つだと思うのだが、そんな繊細さがホワイトによってことごとく破壊されている
自分の庭を蹂躙されるとは、まさにこのことなのだろうか。
(追加:1999年8月10日)
1973
The Six Wives Of Henry VIII : Rick Wakeman
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Drums
リック・ウェイクマンがイエス在籍中にリリースした
( 多分 )
ファースト・ソロに、クリムゾン時代のブルーフォードの唯一のセッションが収録されている。
キーボードとドラムのシンコペーション等、両者のテクニックに裏付けされたコンビネーションはイエス時代そのままで、聴いていて心地よい。 ただやはり、パトリック・モラーツとの共演と比べると緊張感は少ない。 この辺りが、パトリック・モラーツとの共演が断続的に続くのに対し、この後リリースされるウェイクマンの推定200枚
( ウソ )
のソロ・アルバムにおいてブルーフォードとの再演が実現しなかった理由かもしれない。
(追加:1999年8月10日)
1974
Norway And Germany 1974 : Gong Feat Bill Bruford
Chateau Neuf, Oslo, Norway December 15th 1974 New Radio
Aula Der Oberpostcirektion, Bremen, Germany November 4th 1974 SQ Radio Bremen
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リリースは2019年
放浪時代のビル・ブルーフォードがゴングのライヴに参加した際の音源。
ゴングの作品を聴き込んでいるわけではないが、ゴングとブルーフォードの相性は良くないだろうなとの事前予測を全く裏切らない内容である。
ゴング自体がリズムにルーズとは思わないが、ブルーフォードのドラムはあまりにもタイトで切れが良すぎる。
ライナーによれば、正ドラマーのローリー・アランの一時的離脱期間のみの参加らしいが、それにしてもである。
例えばジェネシスのツアーに参加した音源の場合、聴いてみて初めて「やっぱり合わないね」との判断になるのだが、ゴングとの相性については最初から用意に判ってしまう。
当人達にしてみても、リハの段階で判ったはずで、短期間とはいえ活動をともにした背景には大人の事情があるに違いない。
(追加:2020年9月10日)
1975
Been In The Streets Too Long : Annete Peacock
リリースは1983年
アーネット・ピーコックの、1974年から1983年に録音された音源を集めた作品集。
ブルーフォードが参加しているのは、インスト・ヴァージョンの ” So Hard, It
Hurts! ”
で、ヴォーカル・ヴァージョンの同曲が1974年、インスト・ヴァージョンが翌1975年にレコーディングされている。
インスト・ヴァージョンといっても実態はヴォーカル・ヴァージョンとは全く異なる12分にも及ぶジャズ・ナンバーで、イントロからブルーフォードのドラムが鳴り響く、秀逸な楽曲となっている。
この時期モロにジャズ、といった楽曲でのレコーディングは少なく、ブルーフォードの演奏史上でも貴重なテイクである。
(追加:2015年7月10日)
Fish Out Of Water : Chris Squire
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The drums and percussion were played by Bill Bruford
The saxophones
Mel Collins
The flute Jimmy Hastings
The organ & bass synthesizer Patrick Moraz
The pipe organ Barry Rose
The acoustic & electric pianos Andrew Pryce Jackson
The basses & twelve string electric guitars were played by myself I
also sang all the vocals with some help from Nikkion," Hold out your hand"
For suggestions on "Safe" Pete Sinfield
スクワイア+ブルーフォードという黄金のリズム・セクションを堪能することができるアルバム。
走りまくるスクワイアのベースと、リズムをキープした上でたたきまくられるブルーフォードのおかず、たしかにこのアルバムはイエスではないが、黄金期のイエスのリズム・セクションを彷彿させる名演奏だと思う。
(追加:1999年8月10日)
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2007年に再発された本作品には、”
Hold Out Your Hand ” と ” You By My
Side ”
のプロモーション・ヴィデオが収録されている。
プロモーション・ヴィデオといっても、映像が汚い上に口パク演奏だったりするのだが、ブルーフォードも参加しているのが最大の特徴。 本人のイニシャルを意識したと思われる「B」とプリントされたTシャツを着ながら演奏するブルーフォード。 彼の屈折した性格を踏まえると味わい深い。
(追加:2007年12月25日)
HQ : Roy Harper
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フロイドとの関連性からプログレ本でも語られることの多いロイ・ハーパーのアルバムに、ブルーフォードはトリガーなるバンドのて一員として全面参加している。
日本における本アルバムの購買層の多分半分以上はクリムゾン・ファンと思われるが、そのファンの思いを木っ端微塵にぶち壊してしまうほど、ブルーフォードのドラミングは没個性である。 「
ブルーフォードがこんなつまらない太鼓をたたいている! 」
とマゾヒスティックに楽しむ方法もあるかもしれないが、一番マゾなのは
(多分)文句をぶーたれながらもこんなプレイをしているブルーフォード自身かもしれない。ブルーフォードの記念すべき
「 食っていくためのお仕事アルバム 」 第一弾である。
(追加:1999年8月10日)
The BBC Tapes Volume IV In Concert 1975 : Roy Harper
リリースは1997年
Recorded 3rd July, 1975 First TX date 6th September, 1975 Source BBC Archives
で、そのロイ・ハーパーとのライブとなると、ブルーフォードのドラムは反省したのかしないのか、おかず入れまくりの自己主張。 おまけにリズム・ブレイク時のアクセントの付け方などまさにやりたい放題。
まとまりが無いというよりも、同一指向が見いだせないライブ、解体するのも無理もないと思う。
(追加:1999年8月10日)
The BBC Tapes Volume V 1975-1978 : Roy Harper
リリースは1997年
Recorded 10th June, 1975 First TX date 23rd June, 1975 Source BBC Archives
同じくBBCのライヴ音源。 ただしこちらはコンピレーションで、ブルーフォードを含むトリガーの演奏は3曲のみ収録されている。先の
Volume 4
の1週間後の演奏だが、ライナーによれば放送は先に行われている。
” Hallucinating Light ”
は、スタジオ盤と同じく地味目な曲で面白くない。
” The Spirit Lives ”
は、リズム・チェンジ後の疾走感がスタジオ盤×150%といったところで、最後のクリス・スペディングの長めのギター・ソロを除けば非常に格好良い。
” Referendum ”
は起伏が激しい曲の展開に併せてブルーフォードが見事なドラムを演奏している。
(追加:2003年12月25日)
Beginnings : Steve Howe
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Drums, Percussion
『 Relayer 』 と 『 Going For The One 』
の間にリリースされた、イエスのメンバーによるソロ・アルバム集スティーブ・ハウ編。 イエス脱退&クリムゾン参加という経緯が無ければ、『
Feels Good To Me 』 より2年早いこの時期に、ブルーフォードもソロ・アルバムをリリースしているはずである。 当時天敵アラン・ホワイトのソロ・アルバムまでリリースされたことを踏まえると、ブルーフォードとしても思う所大のはずである。
ブルーフォードの演奏はそれほど目立ってはおらず、最終曲のスネアの音にらしさを感じる程度である。
(追加:1999年8月10日)
Flash Fearless VS The Zorg Women Parts 5 & 6
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Bill Bruford (Drums )
アメリカン・コミックのサウンド・トラック。 カーマイン・アピスやケニー・ジョーンズとともに、ドラマーとしてブルーフォードがクレジットされている。
SF・ヒーローもの(だと思う。添付のコミックを見る限り)のサウンド・トラックにも拘わらず、ヒョロヒョロとしたシンセが鳴り響くような曲はなく、所謂ロックン・ロールやカントリー風の曲が中心に収められている。
ブルーフォードは、ザ・フーのジョン・エントウィッスルとリズム隊をしているのが面白い。
(追加:2001年3月25日)
Missing Pieces : National Health
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リリースは1996年
Drums
このアウト・テイク集でのブルーフォードのプレイは、手堅く格好良い。
この時期のブルーフォードは、まともなアルバム、バンドに参加する機会などなく、正に最低な状態。 それ故このままナショナル・ヘルスに正式加入していたのなら、また別な人生を歩むことができたのかもしれない。
ただファンにしてみれば、ブルーフォードの選択は結果として正しかったのかもしれない。 もしこのままナショナル・ヘルスに加入していたとするならば、この後約1000枚(笑)のカンタベリー関連の作品にちょこちょこと顔を出し、たまに発売される日本盤のライナーに
「 3曲目には元イエス~キング・クリムゾンのビル・ブルーフォードが参加、ジャージィーなプレイを聴かせてくれる
」 程度の文章が添えられて終わるのが関の山だったろう。
(追加:1999年8月10日)