1973
Air Cut : Curved Air
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U.K.
来日公演の興奮そのままの勢いで、ジョブソンが参加したカーブド・エアの作品を紹介。
VCS3、オルガン、ヴァイオリンに加えメロトロンまで、プログレ・アイコンが存分に散りばめられており、楽曲の充実度と併せ、完成度の高い作品となっている。
演奏のみならず曲の提供まで、ジョブソンは初参加とは思えない程活躍しているのだが、ジャケットに収まっている変なニット帽を被った写真だけはいただけない。 映画
『 マトリックス 』
に出てくるような最近の格好にも微妙な違和感があるが、本作品に収まったヒッピー崩れのような格好はしてほしくない。 もっと浮世離れして、良い意味で世間知らずで育ちの良さそうな格好が、ジョブソンとジョブソンの音楽にはマッチしていると思う。
(追加:2011年5月10日)
Lovechild : Curved Air
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リリースは1990年
Sonja Kristina, Acoustic Guitar, Vocals
Florian Pilkinton-Miksa, Drums
Eddie Jobson, Keyboards, Electric Violin
Kirby, Electric Guitar
Mike Wedgewood, Bass Guitar
Jim Russell, Drums
U.K.
来日公演の興奮そのままの勢いで、ジョブソンが参加したカーブド・エアの作品を紹介。
『 Air Cut 』 リリース後にレコーディングされた作品ではあるが、リリースされたのは1990年、つまりお蔵入りになった作品である。
お蔵入りになってしまった理由は判りやすい。 ブルースよりのギターリストが主体になった場合とジョブソンが主体になった場合で、あまりにも曲調が異なっており、統一感の無い作品となっている。 バンドに核があり、核を中心にバラエティに富んでいるのではなく、別なバンドの曲が収録されているように思えてしまう。
ただ、逆の見方をすれば、ジョブソン主体の曲ではジョブソンがやりたい放題やっているだけに、キーボード、ヴァイオリンと演奏をたっぷり堪能することができる。 ロキシー・ミュージックやザッパと一緒の時よりも、ジョブソンの活躍度は遥かに高い。
この後、ギターリストが脱退しジョブソン主体で次の作品をと思ってたところで、ジョブソンがロキシー・ミュージックに引きぬかれてしまったのは、バンドにとっては大誤算であったのだろう...
(追加:2012年6月25日)
Stranded : Roxy Music
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Bryan Ferry - Voices
and Piano
Andrew Mackay - Oboe and Saxophone ( & Treatments )
Paul Thompson - Drums and Timpani
Phil Manzanera - Guitar ( & Treatments )
Eddie Jobson - Violin Synthesizer and Keyboards
Johnny Gustafson - Bass
Chris Lawrence - String Bass on ' Sunset '
The London Welsh Choir on ' Psalm '
イーノ脱退後のロキシーに、ジョブソンが参加した最初の作品。
飛び道具のイーノが脱退したことで、ジョブソンには「演奏できるミュージシャン」としての活躍が期待されたわけだが、個性を充分に発揮するところまで至っていない。 その結果この後の2作品と比べて、ジョブソンの存在も作品自体の印象も地味なものになってしまっている。
となると本作品の最大のウリは、ジャケットの女性の赤いドレス越しに浮き立つ右乳首であろう。 個人的には
『 Country Life 』
のジャケットよりも、着エロとしての完成度は遥かに高いと思う。 ただ乳首だけではなく、乳輪のデカさが容易に想像できてしまうのが、残念である。
(追加:2010年1月25日)
1974
Ain't Gonna Play No Second Fiddle : Dana Gillespie
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デヴィッド・ボウイの元恋人、ダナ・ギレスピーのソロ・アルバム。
日本人的には好き嫌いが分かれるだろうきつい顔つきに思いっきりメイクが施されているジャケットからは、グラムっぽい音楽を期待してしまうが、内容としては地味めなヴォーカル・アルバムである。
エディ・ジョブソンが参加している ” Really Love The Man
”
は、ヴォーカルに絡むジョブソンの演奏がカントリー・ミュージック風なのだが、ほのぼのとした佇まいというより、コンセプトの甘さから中途半端な印象だけが残ってしまう。
ジョブソンにしてみれば、ロキシー・ミュージックでの活動が充実していた時期であり、思いっきりお仕事モードでの参加だったのであろう。
(追加:2017年3月25日)
In Search Of Eddie Riff : Andy Mackay
1974
1977
|
1974
Andy Mackay : Saxophone, Oboe, Voice
Phil
Manzanera : Guitar, Saxophone Treatment
Lloyd Watson : Slide Guitar,
Bass Guitar (3 6 8)
Roger Glover : Bass Guitar (1 2 4 5 7)
Eddie
Jobson : Piano (2 4 6 8) Organ (4 8) Synthesiser, Glokenpiel, Violin,
Strings and String Arrangements
Brian Chatton : Piano (3 9) Clavinet
(1 4 5) Organ (3)
Paul Thomson : Percussion
Bruce Rowlands :
Percussion (7 9)
Countess' Sadie MacKenzie : Ethereal Voice
1977
Andy Mackay, Phil Manzanera, Lloyd Watson, John Porter,
Roger Glover, John Gustafson, Eddie Jobson, Brian Chatton, Bruce
Rowlands, Countess Sadie MacKenzie, Jane Riff, Eno
ロキシー・ミュージックのアンディ・マッケイのファースト・ソロ・アルバム。
当時のアンディ・マッケイに期待されたのは、ほのかに漂うロキシー・ミュージックの香りであったはずだが、本作品にはその要素は全く無い。
一言で言ってしまえば、スーパーで流れている BGM 集のようである。
そして、そうなっている要因は、バックの演奏でも楽曲自体でもなく、アンディ・マッケイの演奏である。
ロキシー・ミュージックでのヘタウマ感が感じられた演奏も、ソロで主導を握ったことで「ウマ感」要素が無くなり、一本調子の演奏がひたすらフィーチャーされている。
エディ・ジョブソンは、ロキシー・ミュージックと同じく堅実かつ華やかな演奏をしているのだが、それが全く目立っていないのがもったいない。
ただ本当に不思議なのは、このスーパーの BGM を時々無性に聴きたくなってしまうことである。
その魅力がどこにあるのか判らないのだが、これがマッケイの戦略だとしたら、本当にたいしたものである。
なお、1977年に再リリースされた際には楽曲が入れ替えられ、新たにイーノとの共作曲が収録されている。
(追加:2020年6月25日)
Country Life : Roxy Music
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Bryan Ferry - Voices & Keyboards
Andrew Mackay - Oboe & Saxophone
Paul Thompson - Drums
Phil Manzanera - Guitar
Edwin Jobson - Strings, Synthesizer, Keyboards
John Gustafson - Bass
ジョブソンが参加した2作品目。 今の感覚では普通のジャケットも、結構大騒ぎされたらしい。
本作品の最大の成果は ” Out Of The Blue
”
だろう。 ジョブソンのヴァイオリン・ソロがあるから、という思いっきり贔屓目があるのも事実だが、全体に重苦しい雰囲気が多い本作品の中で、その出来は突出している。
もちろんそれ以外にも ” The Thrill Of It All
” といった佳曲が含まれているが、” Out Of
The Blue ”
の存在が、本アルバム全体の印象を向上させている。
(追加:2009年8月10日)
Mulgrave Street : Blondel
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Boz
もセッションで参加しているアメイジング・ブロンデルの作品。 ジョブソンはタイトル作でシンセとヴァイオリンで参加。 あまり目立つ演奏ではない。
(変更:2009年8月10日)
Mike Heron's Reputation : Mike Heron's Reputation
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元インクレディブル・ストリング・バンドのマイク・ヘロンによる作品。
マイク・ヘロン自身はイギリスのミュージシャンであるが、1曲目のタイトルにわかりやすくメンフィスという単語がある通り、総じてアメリカ南部やスワンプの香り高い作品となっている。
エディ・ジョブソンが参加している経緯はよく判らないが、後乗せ感が満載である。 ” Residential Boy ” のヴァイオリン・ソロも、” Angels In Disguise ” でのヴォーカルとの絡みもジョブソンである必然性は殆どない。 個性を出すことなくそつなく演奏をこなすことができる、という捉え方もあるが、ジョブソンの力量を踏まえるともったいない。
(変更:2022年1月25日)
1975
Siren : Roxy Music
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Bryan Ferry Voices & Keyboards
Andrew Mackay Oboe & Saxophone
Paul Thompson Drums
Phil Manzanera Guitar
Edwin Jobson Strings, Synthesizer, Keyboards
John Gustafson Bass
ジョブソンが参加しているロキシー・ミュージックの最後の作品。 ロキシーについては、イーノ在籍時、ジョブソン在籍時、スタジオ・ミュージシャンとのコラボレーション時の3つにわけて考えているのだが、本作品はジョブソン在籍時の最高傑作だと思う。
ヨーロッパのダンディズムの象徴のようにいくら祭り上げられたところで、ブライアン・フェリーの音楽的バック・グラウンドがR&Bにあることは明白で、本作品はそのイメージと実態が程良く折衷している。 同じように程良く折衷している作品に、スタジオ・ミュージシャンとのコラボレーション時の
『 Avalon 』 があるが、R&Bからヨーロッパへのアプローチであった
『 Avalon 』 に対し、本作品はヨーロッパからR&Bへのアプローチが程良く行われている。
ジョブソンのバッキングは決して目立つものではないが、本作品の成功に大きく寄与していると思う。
(追加:2009年1月10日)
Mad Dog : John Entwistle's OX
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Eddie Jobson for Violins on (5) (7) Piano on (3) (7) (9)
The Who
のベーシストであり、最高のロッケン・ローラーであるジョン・エントウィッスルの作品。
インストの ” Jungle Bunny ”
を除けば、豪快且つポップな楽曲が並ぶ作品に、ピアノとヴァイオリンでエディ・ジョブソンが4曲に参加している。
活動歴の長さから比べると、セッション参加数が少ないジョブソンであるが、そんな少ないセッション活動の中でも、異質な演奏を繰り広げている。
ただ、異質ではあるものの完璧な演奏をこなしており、演奏テクニックと、それを支える音楽的素養の豊かさを充分に伺うことができる。
引き手数多なセッション活動を取りうることができたジョブソンの凄さが、ここにある。
(追加:2014年4月25日)
1976
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Bryan Ferry Voice And Keyboards
Andrew MaCkay Saxophone And Oboe
Paul Thompson Drums
Phil Manzanera Guitar
Edwin Jobson Strings Synthesizer Keyboards
John
Wetton Bass
John Gustafson, Rick Wills, Sal Maida Bass
The Sirens Backing Vocals
エディ・ジョブソンが参加しているロキシー・ミュージックのライヴ・アルバム。
ロキシーをイーノ参加時代、ジョブソン参加時代、スタジオ・ミュージシャン多用時代にわけた場合、実はジョブソン参加時代が一番好みから外れている。 ヨーロッパのダンディズム(笑)路線が強すぎたのか、曲調が重苦しく思えることが多いからだ。 その原因のひとつに、フェリーの意向をそのまま表現するだけの演奏能力をジョブソンが持ち合わせていたことを挙げることができると思う。 もう少し、我を強く出してくれていたら、この時期もっと違った展開もあったかもしれない。
よって本作品の個人的な楽しみ方は、ジョブソンによるイーノ時代の楽曲の演奏だったりする。
(追加:2007年6月30日)
Philly '76 : Frank Zappa
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リリースは2009年
Philadelphia, 29 October 1976 Live at The Spectrum
Frank Zappa Guitar, Vocals
Bianca Odin Vocals, Keyboards
Ray White Vocals, Rhythm Guitar, Cowbell
Eddie Jobson Keybaords, Violin
Patrick O'Hearn Bass, Vocals
Terry Bozzio Drums, Vocals
フランク・ザッパの死後に発表されたライヴ・アルバム。
エディ・ジョブソンがフランク・ザッパのライヴに参加していた時期は、ザッパが作品のリリースについてワーナーと揉めていた時期と重なっているため、こうした作品が公式リリースされるのは嬉しい。
短期間だけ活動を共にしていた女性ヴォーカル&キーボードのレディ・ビアンカが参加していることで、同年末のニューヨークでのライヴを収録した 『 Zappa In New York 』 と印象が大きく異なる作品である。
一方ジョブソンはどちらかというとバックに廻ることの方が多いのだが、” Black Napkins ” での長尺かつ色っぽいヴァイオリン・ソロが最大の見せ場となっている。
(追加:2024年8月25日)
Zappa In New York : Frank Zappa
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Frank Zappa conductor, lead guitar, vocals
Ray White rhythm guitar, vocals
Eddie Jobson keyboards, violin, vocals
Patrick O'Hearn bass, vocals
Terry Bozzio drums, vocals
Ruth Underwood percussion, synthesizer and various humanly impossible
overdubs
Don Pardo sophisticated narration
David Sauels timpani, vibes
Randy Brecker trumpet
Mike Brecker tenor sax, flute
Lou Marini alto sax, flute
Ronnie Cuber baritone sax, clarinet
Tom Malone trombone, trumpet, piccolo
John Bergamo percussion overdubs
Ed Mann percussion overdubs
Lou Anne Neil osmotic harp overdubs
最初のリリースは1977年
U.K.
としての来日が決定したエディ・ジョブソンが、オリジナルU.K.
の前に参加していたフランク・ザッパの作品。
いかにもジョブソン!と言わんばかりの綺羅びやかなシンセ・パートが出てくるのは嬉しいが、そういう場面は実は少なかったりする。 個々のプレイヤーの技量を、バンドとしてのアンサンブルに集中させている
conductor としてのフランク・ザッパのなせる技だと思う。
ジョブソンのファンとしては残念ではあるが、怒涛の勢いで繰り広げられる演奏に圧倒されていると、仕方ないかなとも思えてくる。
(追加:2011年2月25日)
Studio Tan : Frank Zappa
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リリースは1978年
ザッパがワーナーと揉めてた時期の作品。 ジョブソンがキーボードとヨーデル(笑)で参加している楽曲が1曲収録されている。
イントロからいきなりジョブソンのソロが炸裂! というパターンは、ザッパ作品のパターンでは稀少。 3分足らずの短い楽曲なのは残念だが、ザッパ、及びザッパ・バンドの影に隠れざるを得ないジョブソンが、ここまでフィーチャーされていることは少なく、それだけに、嬉しい。
(追加:2011年10月25日)
1977
Shut Up 'N Play Yer Guitar : Frank Zappa
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リリースは1981年
Keyboards Eddie Jobson
Recording Date 2/17/77
Recording Location Odeon Hammersmith, London
フランク・ザッパの 『 黙ってギターを弾いてくれ 』 に、ジョブソンは ” Black Napkins ”
の別テイク ” Pink Napkins ” にクレジットされている。 まぁザッパの楽曲に別テイクという表現が正しいのかよくわからないが。
『 You Can't Do That On Stage Anymore Vol.6 』
に収録されていた ” Black Napkins ”
とは異なり、今度はゆっくりとしたギター・ソロがフィーチャーされているが、ジョブソンのキーボードが目立たないことは変わりがない。
(追加:2017年3月25日)
Listen Now : Phil Manzanera / 801
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フィル・マンザネラが、801名義での名作ライヴ・アルバム発表後に出したソロ・アルバム。
ジョブソンは3曲でピアノを演奏している。
(追加:2015年2月10日)
1980
A : Jethro Tull
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Ian Anderson Vocals and Flute
Martin Barre Guitar
Dave Pegg Bass
Mark Craney Drums
and special guest
Eddie Jobson Keyboards and Electric Violin
ジョブソンが参加したジェスロ・タルの作品。
よく知られているように、本作品はもともとイアン・アンダーソンのソロとして制作されたものが、最終的にジェスロ・タル名義になったものである。 ジョブソンの参加経緯もこのあたりにあると思われる。
本来のらしさが無いためジェスロ・タルのファンには不評らしいが、ジョブソンのキーボードとヴァイオリンをしっかりと堪能することができるのは嬉しい。
ジャケットには、他のメンバーと一緒に作業服をまとったジョブソンがしっかりと収められている。 アイドル然としたジョブソンのルックスには、当然全く似合っていない。
(追加:2009年11月10日)
1983
The Green Album : Eddie Jobson / Zinc
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Vocals, Keyboards and Electric Violin : Eddie Jobson
Guitars :
Nick Moroch (2,3,8,9) Cary Sharaf (7) Gary Green (11,12) Michael Cuneo (2,9,11,12)
Bass :
Alon Oleartchik (3,7,8,11) Jerry Watts (2,5,9,11,12)
Drums :
Michael Barsimanto (2,3,8,9,11,12)
Music and Words written and arranged by Eddie Jobson
Produced by Eddie Jobson
『 USA 』
でヴァイオリンとピアノをオーヴァー・ダブしたエディ・ジョブソンの実質的なソロ・アルバム
U.K.解散後、ほとんど音沙汰がなかったジョブソンの作品ということもあり、当時かなり好意的に受け入れられたと記憶している。
初期デジタル・シンセのザラザラとした音は、今の耳には確かに辛い。 捨て曲と言わざるを得ない、中途半端なインストも含まれている。 ただそういったマイナス面もあるものの、” Turn It Over ”
に代表される、ポップなメロディ&キメのヴァイオリン・ソロという展開は全てを許してしまうほどの格好良さがある。
YESへの瞬間加入、ニュー・エイジ・ミュージック、U.K. 再編失敗と、本作品リリース後のジョブソンは未だ迷走を続けている。 是非もうひと花咲かせてほしい。
(追加:2004年6月25日)
1985
Theme Of Secrets : Eddie Jobson
|
All compositons by Eddie Jobson
Performed by Eddie Jobson on the Synclavier Music Computer
エディ・ジョブソンのソロ・アルバム。 『
The Green Album 』 が Zinc
との共同名義であったことを踏まえると、名実ともに初のソロ・アルバムということになる。
ゲスト・ミュージシャン抜きのシンクラヴィア独演ということで、ニュー・エイジ風の持続音+SE
といった組み合わせに走るのではないかと危惧したが、良い意味で裏切られた。 ビー玉を転がす音、といったいかにもシンクラヴィアですと言わんばかりの音も時折差し込まれるものの、機材オリエンテッドな作品に陥っていない。 この辺りは、キーボード・プレイヤーとしてのジョブソンのセンスの良さが現れているのだと思う。
インストのみの作品集だが、1曲1曲が短いこともありアルバム全体にメリハリが出ている。 ロキシーやザッパでの演奏のような派手さはないものの、クオリティの高いしっかりとした作品だと思う。
(追加:2005年12月10日)
Piano One
|
プライベート・ミュージックからリリースされた4人のミュージシャンによるピアノのソロ楽曲集。
お洒落で音楽性も高い超一流レーベルのプライベート・ミュージックの作品について述べるのは気が引けるが、音楽にお洒落さも音楽性の高さも求めていない三流の私にも楽しめる作品である。
全8曲中3曲もクレジットされているエディ・ジョブソンの楽曲は、どれも流麗なメロディである。 同時期にリリースされたシンクラヴィアによる 『 Theme
Of Secrets 』 とは対極的な作品であり、この2作品でバランスを保っているようにも思える。
(追加:2022年1月25日)
1986
Breakout : Spyro Gyra
|
Synclavier Programming by Eddie Jobson
Manolo Badrena Percussion
Julio Fernandez Guitar
Tom Schman Keyboards
Jay Beckenstein Saxophones, Lyricon
Richie Morales Drums
Kim Stone Bass
Dave Samuels Vives, Marimba, KAT Synthesizer
フュージョン・バンド、スパイロ・ジャイラの作品。
エディ・ジョブソンのクレジットはとても明確である。 演奏には参加していない、シンクラヴィアのプログラミングを行っているだけである。
本作の前年の1985年、ジョブソンはシンクラヴィアだけのソロ・アルバム 『 Theme Of Secrets 』 をリリースし、いかにもシンクラヴィアという音色と楽曲に適した音色を見事に使い分けている。
スパイロ・ジャイラ側がジョブソンの支援を仰いだのは、『 Theme Of Secrets 』 での「楽曲に適した音色」使いに惹かれたためだと思われる。
(追加:2024年8月25日)
1992
You Can't Do That On Stage Anymore Vol. 6 : Frank Zappa
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Eddie Jobson ( keyboards )
29 December 1976
The Palladium, New York City
フランク・ザッパの 『 You Can't Do That On Stage Anymore 』
シリーズの第6弾、ジョブソンは 『 Zoot Allures 』 に収録されていた ” Black Napkins ”
にクレジットされている。
サックス・ソロを中心とした管楽器と、別ソースから編集したことが明らかなギター・ソロが目立つ一方、キーボードとしてクレジットされているジョブソンの活躍度は殆ど無い。
(追加:2017年3月25日)
1996
Läther : Frank Zappa
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フランク・ザッパの死後に発表された作品。
とは言え、生前のザッパがリリースを希望した内容(に近い)形でリリースされた作品である。
ではそのザッパに意向に反してリリースされた 『
Zappa In New York 』、『 Studio Tan 』、『 Sleep Dirt 』
の3作品の楽曲を並べ替えると本作品になるかというと、やはりそんなことはなく、無限にリリースされるザッパ・ワールドに翻弄されることになる。
まぁ、無限にリリースされるのはクリムゾンも同じことではあるが。
エディ・ジョブソンがザッパのバンドに在籍した期間は長くないが、総じて活躍が目立つ楽曲、作品は残されていない。
それがザッパとの相性だったのか、それともそもそも求めれれたいなかったのかはわからないが、ジョブソンが U.K.
の活動に移行していったのは正しい選択だったと思われる。
(追加:2017年3月25日)
2002
Road Games : Allan Holdsworth
|
オリジナルは1983年
Tom Voli And Eddie Jobson Re-release executive producers
アラン・ホールズワースが1983年に発表した名盤EP 『 Road Game 』。
2002年にCDフォーマットで再リリースされた再に、新たにエディ・ジョブソンの名前がエグゼクティヴ・プロデューサーとしてクレジットされている。
音的に加えたものは多分無いものと思われるが、ジョブソンによるホールズワースへの賛辞もライナーには記載されており、ごく狭い世界において強力なセールス・ポイントとなっている。
(追加:2017年3月25日)
2003
Brother Bear An Original Walt Disney Records Soundtrack
|
Produced and Arranged by Mark Mancina and
Phil Collins
Choral Arrangement by Eddie Jobson
Performed by The Bulgarian Women's Choir
エディ・ジョブソンの名前がクレジットされているディズニー映画のサントラ。
主役はフィル・コリンズ。 エディ・ジョブソンの参加は The Bulgarian Women's Choir
のアレンジ担当とい間接的なもの。
ここに繰り広げられるのは、The Bulgarian Women's Choir
もジョブソンに期待してしまうプログレ色も全くない、純然たるディズニー音楽である。
中途半端さは全くなく、逆にディズニー映画に対して完璧な曲を提供する音楽家としてのジョブソンのポテンシャルの高さが立証されている。
(変更:2014年1月25日)
2009
|
Aaron Lippert - Vocals
Trey Gunn - 10-string Touch Guitar
Eddie Jobson - Keyboards, Electric Violin
Alex Machacek- Guitar
Marco Minnemann - Drums
Recorded, Mixed & Produced By Eddie Jobson
エディ・ジョブソンによる UKZ の CD-Single。
” Radiation ” の映像作品が Youtube
で先行リリースされた時に誰もが感じた違和感が、そのまま全体にあふれている。
なよなよとしたルックス(褒め言葉)から繰り出されるヴァイオリン・ソロとシンフォニックなシンセサイザーを期待するのは時代錯誤かもしれないが、ゴシック調のプログレ曲はエディ・ジョブソンのイメージにはやはり合わない。
もちろん、これが今ジョブソンの指向している音楽である以上、ステレオタイプなイメージを期待するほうが間違っているのかもしれないが、バンド名に
「 UK 」
という綴りが入っているが故に高まった気持ちもわかってほしい。
この後リリースされるフル・アルバムも本作と同傾向と思われるだけに、ちょっと悲しい。
(追加:2009年2月25日)
2010
Ultimate Zero Tour - Live : Eddie Jobson
Disc U
|
The U-Z Project :
Eddie Jobson - Keyboards, Electric Violin
with:
John Wetton
- Vocals, Bass, Acoustic Guitar U3-4, U-6,U8-10, Z6-8
Tony Levin
- Stick U3-4, U6,U8-10, Z7-8
Greg Howe - Guitar U1-4, U8-10, Z2, Z4, Z7-8
Trey Gunn
- Touch Guitar Z3-4
Ric Fierabracci - Bass U1-2, U5, Z2
Simon Phillips - Drums Z4
Marco Minnemann - Drums U1-4, U7-10, Z2, Z4, Z6-8
復活エイジアが好きですか?
Emerson & Lake の来日公演中止は残念でしたか?
21st Century Schizoid Band に再活動してもらいたいですか?
Steve Hackett に再び Genesis Revisited してもらいたいですか?
私は全てYesと答えます。 もちろんそのどれも今の自分にとってNo.1の存在ではないけれど、外すことはできない。 でも、そういう人って多いのではないだろうか?
エディ・ジョブソン自らが、過去のプログレ曲再演を公言する The
U-Z Project
の本作は、そんな人達向けの作品である。 この時代にどうしてここまで音質が悪いのかはわからないが、内容については絶賛することも貶すこともできない期待通りの作品になっている。
プログレ・ファンが流派を超えて愛すべき作品である。
(追加:2010年12月10日)
2011
Reunion UK - Live in Tokyo : UK
DVD
CD
|
リリースは2012年
Eddie Jobson - Keyboards & Violin
John Wetton - Vocals & Bass
Alex Machacek - Guitar
Marco Minnemann - Drums
復活 U.K.の2011年来日公演アルバム。
当然のことながら、2012年のオリジナル3人でのライヴもいずれリリースされるはず。
(追加:2012年5月10日)
2013
Blu-ray
CD
|
リリースは2015年
Recorded at CLUB CHITTA, Kawasaki, Kanagawa, Japan - November 8, 2013
Eddie Jobson - keyboards, electric violin
John Wetton - vocals and bass
Alex Machacek - guitar
Marco Minnemann - drums
エディ・ジョブソンのプロ・デビュー40周年記念の一環として行われた、U.K.による全曲再現ライヴを収録した作品。
(追加:2022年6月25日)
Four Decades Special Concert : Eddie Jobson
Blu-ray
CD
|
リリースは2015年
Recorded at CLUB CHITTA, Kawasaki, Kanagawa, Japan - November 9, 2013
Eddie Jobson - Keyboards, Electric Violin and Vocals
Alex Machacek - Guitar
Ric Fierabracci - Bass
Marco Minnemann - Drums and Acoustic Guitar
with
Sonja Kristina - Vocals and Acoustic Guitar
John Wetton - Vocals And Bass
Aaron Lippert - Vocals
U.K.による全曲再現ライヴの翌日に行われたエディ・ジョブソンのヒストリー・ライヴ。
ジョブソンのプロ・デビュー40周年記念公演は、パッケージ・ツアーとして各国を廻ったものではなく日本独自の企画と思われる。 その結果、短期間且つ急造メンバーとスタッフでの準備には無理があったのか、さすがプロフェッショナルと唸らせる場面と、準備不足がそのまま露呈してしまった場面が混在している。
人選に人間関係が優先されたのは当然としても、やはりソニア・クリスティーナのヴォーカルはキツイ。 年齢を考慮すれば高音が出なくなったとか声量が無くなったのはしょうがないとしても、そのぎこちなさから何年もオーディエンスの前で唄っていないのは明らかである。
一方前日に U.K. 全曲ライヴをこなしたジョブソン & ウェットンは絶好調で、特にウェットンのヴォーカルは前日と比べて冴えまくっている。
演奏曲目としてはジョブソンの活動をほぼ俯瞰している。 ただ前日に U.K. として演奏した ” Nothing To Lose ” が無いのは仕方ないとして、『 The Green Albumu 』 からの ” Turn It Over ” は演奏してほしかった。
(追加:2023年3月10日)
2018
1971-1979 The Band Years : Eddie Jobson
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Produced and Remastered by Eddie Jobson
エディ・ジョブソンのデビューから U.K. 時代までのコンピレーション・アルバム。
選曲に偏りがあるのは権利関係の問題があったのかもしれないが、初期の未発表曲が収録されているのが嬉しい。
また、ブライアン・フェリーのソロ・シングルとしてリリースされていた ” As The World Turns ”
が収録されているのだが、ジョブソン自らのライナーにロバート・フリップが参加していることが言及されている。
聴けば一発でわかるフリップのロング・トーンなのだが、公式にフリップの参加が確認できたのがめでたい。
そして
U.K. なのだが、『 U.K. 』 からは8曲中6曲、『 Danger Money 』
からは6曲中5曲が収録されている。 よりによって 『 Danger Money 』
から1曲のみオミットされているのが ” Nothing To Lose ” である。
本曲だけが権利関係に問題があったはずはなく、収録していないのはジョブソンの強い意向によるものと推測されるが、やはりフラストレーションは溜まってしまう。
この後、The Solo Years、The Scoring Years、The Ecletic
Years、The Retrospective Years の4作品のリリースがアナウンスされているが、The
Solo Years には ” Turn It Over ” を漏れなく収録してもらいたい。
(追加:2018年12月25日)