2011
Raised In Captivity : John Wetton
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The Players :
John Wetton : Vocals, acoustic guitar, bass guitar, keyboards
Billy Sherwood : Guitars, drums, percussion
Outstanding guest artists :
Mick Box : Guitar solo, New Star Rising
Geoff Downes : Keyboards solo, Goodby Elsinore, Steff's Ring
Steve Hackett : Guitar solo, Goodbye Elsinore
Eddie Jobson : Violin, The Devil and the Opera House
Tony Kaye : Hammond Organ, Human Condition, Don't Misunderstand Me
Alex Machacek : Guitar solo, The Last Night of my Life
Steve Morse : Guitar solo, Lost for Words
ウェットン約8年ぶりのスタジオ・レコーディング作品。
活動の軸足が ASIA
他に移行していると思っていたため、本作に対する期待感は無かったのだが、大きく裏切る傑作。 いやほんと、どうしちゃったんだろうという位の出来の良さ。
1曲目がいきなりパワー・ポップ。 こんな曲がずっと続くことはなく後半は中途半端なバラードで息切れするのではないかと不安になるが、アップテンポの曲もスローな曲も最後までしっかりとつくりこまれており、非常に完成度の高い作品となっている。 ビリー・シャーウッドとの相性が良かったこともあるのだろうが、ハケット、ジョブソン、ミック・ボックス、トニー・ケイが効果的な客演をしたことも功を奏したのだと思う。
ちなみにフリップはタイトル曲
” Raised in
Captivity ”
の共作者としてクレジットされており、イントロとアウトロが明らかにサウンドスケイプス。
(追加:2011年9月10日)
Reunion UK - Live in Tokyo : UK
DVD
CD
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リリースは2012年
Eddie Jobson - Keyboards & Violin
John Wetton - Vocals & Bass
Alex Machacek - Guitar
Marco Minnemann - Drums
本作品を最初なめてかっかた自分を恥じている。
収録曲の中に ” Nothing To Lose ” は無いし、DVD+CDというパッケージもなんとなく納得いかないし、なによりも2011年の来日公演自体を直接観に行っていただけに、購入をちょっと躊躇した。 結局は購入したのだが、入手してからもしばらく放置した上に、確認でもするかなどという軽いノリで視聴を開始した。
で、画面に釘付け。
U.K. に対して斜に構えていた自分が恥ずかしい。 凝ったつくりも何もなく、只々演奏を収録しただけの作品なのだが、それが U.K.
の楽曲の良さ、演奏の良さを際立たせている。
もっともっと話題になっても良い、素晴らしい作品である。
(追加:2012年5月10日)
Seeking Major Tom : Wiliam Shatner
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スタートレックの初代艦長役、ウィリアム・シャトナーによる、宇宙絡みの楽曲のカヴァー・アルバム。
目眩でクラクラしそうになる程、ゲスト・ミュージシャンの顔ぶれは豪華。 皆、ある程度以上のトレッキーではないかと勝手に想像しているのだが、よくもまぁこれだけのメンツが集まったものである。 企画モノとして位置づけるのが適切な作品だと思うが、これだけ好き勝手にやれるウィリアム・シャトナーは、日本で想像するより遥かに高いステイタスを得ているのだろう。
ウェットンが参加しているのは、クィーンの ” Bohemian Rhapsody ”。 オペラ・パートだけではなく、普通の(と言うのも変だが)ヴォーカル・パートもフェイクが中心で、ウェットンが唄っているのか、ベースで参加しているのかもよくわからない。
(追加:2011年11月25日)
2012
XXX : ASIA
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復活エイジアの3作品目。 プログレ耳を持つ限り、どんなに斜に構えても否定することができない作品である。
ライブ再開後2008年に 『 Phoenix 』 をリリースしてから既に4年が過ぎている。 この4年という期間を初期 ASIA 史で置き換えると、『
ASIA 』 を出して、『 Alpha 』 を出して、ウェットンが抜けてレイクが入って抜けてウェットンが入ってハウが抜けて、『 Astra 』
を出して更に1年たった期間と同じである。 この期間、これだけのクオリティの作品を出し続けていることは、驚愕に値する。
各メンバーが ASIA 以外の活動を自由に行なえるどころか ASIA での活動が常に同窓会状態で人間関係で対立することはなく、ASIA
に求められる作品を意識しながら出せる状態をキープしているていることが、逆説的に今の ASIA
の素晴らしさを成り立たせている。 ここまで来るとその是非を議論することはナンセンスで、素晴らしい作品を、再発ではなく新譜として堪能することができる今の状況を素直に喜ぶべきである。
本作品を意図的に聴かない理由は、無い。
(追加:2012年7月10日)
Trouble With Machines : District 97
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Additional Lead & Backing Vocals on " The Perfect Young Man " by John Wetton
ウェットンは、この District 97
というバンドのライヴにもゲスト参加して、クリムゾンの楽曲を歌ったりしている。
本作品では、ソロ・ヴォーカル・パートもあったりする。
とても、もったいない。
キャリアに傷がつく、などということはウェットンのレベルにまで達すればありえないが、演奏にも楽曲にも全く魅力が無いバンドに参加する必要は無いと思う。
(追加:2013年9月10日)
Genesis Revisited II : Steve Hackett
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Jakko (CD-2 3)
スティーヴ・ハケットによる、ジェネシス・リヴィジテッドのリヴィジテッド。
曲毎に多彩なゲストが参加する、という手法は前作と同じだが、そのゲストの顔ぶれが若干落ちる。 そして2回目 & 2枚組ということもあり、「あれ、この曲、どのアルバムに入ってたっけ」と、オリジナル・アルバムのクレジットを確認するケースも出てしまう。 決して悪い作品ではないのだが、前作と比較してしまうとやはり分が悪い。
ウェットンはヴォーカルのみで ” After glow
” 1曲のみに参加。 ベースを弾いてブルーフォードと共演までした前作と比較してしまうと、こちらも残念である。
(追加:2012年12月25日)
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The Biggest Prog Rock Supergroup Ever
Assembled! とい煽り文句の元、ビリー・シャーウッドのプロデュースでリリースされた作品。
作品の内容は、正に「ビリー・シャーウッド品質」。 これだけ同品質の作品を創り続けられるのは、ある種の特殊才能なんだと思う。 購入する(した)人は、自分の好きなミュージシャンの演奏を楽しめば良い。 楽曲自体とか、アルバム全体を楽しもうなんてことは、全く不可能なレベルの作品である。
1曲めの " The Laws Of Nature "
にはウェットンとレヴィンが参加。 レヴィンが参加している結果、ウェットンはヴォーカルのみの参加。 どうせならレヴィンには別な曲に参加してもらって、ウェットンにベースも演奏してもらいたかった。
(追加:2012年9月10日)
2013
New York Minute : John Wetton and The Les Paul Trio
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リリースは2015年
John Wetton - Lead Vocal
with The Les Paul Trio :
Nikki Parrott - Bass
Rodney Holmes - Piano
Lou Pallo - Guitar
Produced by John Wetton
Live at The Iridium, New York, 2013
ザ・レス・ポール・トリオと演奏したライヴ・アルバム。
勿論、画期性は無いが、個人的には秀逸な作品だと思う。 所謂ロックのスタンダードを中心に、ASIAとウェットンのソロが各々1曲という選曲が良い。
ドラムレスの演奏でウェットンのヴォーカルが全面に出ているのが良い。 少数と思われる観客の前で暖かく迎えられているのが良い。
と、ジャケットのダサさを除けは、充分楽しむことができる作品である。
となると我儘になるもので、声の調子が全盛期のウェットンが、本作品に収録されているようなロック・スタンダードを唄ったのを聴きたくなってくる。
当時のウェットンがそんな企画に真剣に取り込む可能性は全く無かったのだが、無い物ねだりをしたくなってしまう。
(追加:2016年2月10日)
Blu-ray
CD
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リリースは2015年
Recorded at CLUB CHITTA, Kawasaki, Kanagawa, Japan - November 8, 2013
Eddie Jobson - keyboards, electric violin
John Wetton - vocals and bass
Alex Machacek - guitar
Marco Minnemann - drums
エディ・ジョブソンのプロ・デビュー40周年記念の一環として行われた、U.K.による全曲再現ライヴを収録した作品。
残念ながらウェットンは高音が出ていない。 ジョブソンのデジタル・キーボードはプログレっぽくない。 ドラムはズンドコしていて特にビル・ブルーフォードの楽曲にあってないし、ギターはダニエル・クレイグの007に出てくるQみたいで頼りげない。 でもそれがどうしたって言うくらいひたすら格好良い。 これはもうプログレ文化遺産としか言いようが無い。
全編見どころ満載の作品なのだが、それでもやはり最大の見せ場は ” Nothing To Lose ” である。 エディ・ジョブソンは同曲が大嫌いらしく、自選のコンピレーションから排除したり、本ライヴと合わせて行われたヒストリー・ライヴでも演奏していない。 更に本作品のライナーでは「 Was this the first 'ASIA' hit? 」などとコメントしている。 しかしここでは演奏が始まったところのロング・ショットでウェットンを見ながら微笑んでいるのが確認できる。 そしてその後、「な、楽しいだろう」と言わんばかりのウェットンの笑顔のアップを確認することができる。 ” Nothing To Lose ” でジョブソンを微笑ませ、そしてしてやったりと笑うウェットン。 最高である。
ライヴの趣旨を踏まえジョブソンを立てながらも、ジョブソンの引き出しの奥から宝物を引き出しているウェットン。 その人格の良さが見事に表現されている作品である。
(追加:2022年6月25日)
Four Decades Special Concert : Eddie Jobson
Blu-ray
CD
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リリースは2015年
Recorded at CLUB CHITTA, Kawasaki, Kanagawa, Japan - November 9, 2013
Eddie Jobson - Keyboards, Electric Violin and Vocals
Alex Machacek - Guitar
Ric Fierabracci - Bass
Marco Minnemann - Drums and Acoustic Guitar
with
Sonja Kristina - Vocals and Acoustic Guitar
John Wetton - Vocals And Bass
Aaron Lippert - Vocals
エディ・ジョブソンのプロ・デビュー40周年記念の一環として行われた、ヒストリー・ライヴを収録した作品。
ライヴ現場ではジョブソンの機材から音が出なくなったアクシデントがあり、その際にジョン・ウェットンがベース・ソロを演奏したのだが、残念ながらその場面は収録されていない。
(追加:2023年3月10日)
One More Red Night Live In Chicago : District 97 with John Wetton
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リリースは2014年
John Wetton - Lead Vocal
Leslie Hunt - Lead and Backing Vocals
Jim Tashjian - Guitar, Backing Vocals
Rob Clearfield - Keyboards, Additional Guitar
Patrick Mulcahy - Bass
Jonathan Schang - Drums
Recroded live on Octobeer 17, 2013 at Reggie's Music Joint, Chicago, IL
この District 97 というバンドと、ウェットンは何故ツアーまで行い、このライヴ・アルバムをリリースすることに同意したのであろうか。
クリムゾンの楽曲をコピーしているのだが、難しいと思われるパートはフェイクで誤魔化しているし、そもそも全楽器のリズムがヨタヨタである。 一方ウェットンのヴォーカルは、2010年代においてという注釈は付くものの好調である。 それだけに、思い出作りのためだけに結成された即席学際バンドをバックにプロフェッショナルなヴォーカリストが唄っているという印象しか残らない。
ウェットンが楽しく唄っていることは充分伝わってくるのだが、才能の無駄遣いとしか思えない。 バンドに悪意はないのだろうが、結果としてウェットンの人の良さに付け込んだ作品となってしまっている。
(追加:2024年1月25日)
2014
Gravitas : ASIA
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John Wetton : Lead vocal, bass and acoustic guitar
Carl Palmer : Drums
Geoffrey Downes : Keyboards
Sam Coulson : Guitars
エイジアがプログレであることを立証した作品。
復活エイジアが高クオリティな作品をリリースし続けた要因は、各メンバーがエイジアを one & only の存在としなかったところにある。
バンドとしての結束(拘束)を求めなかったことが、バンドとしてのケミストリーを生んだという、稀有な存在であった。
にもかかわらずハウが脱退したということは、相当以上のダメージをエイジアに与えるものと覚悟していた。
しかし、その心配は杞憂であった。
生涯を通じて本作品がベストであるとか、無人島に持って行きたいアルバムに選ばれることはありえない作品であるが、今この瞬間にプログレの新作を聴きたいと思った人に、この作品以外薦めるものがない。
自分より年齢が若いギターリストが参加していることなど、組曲形式の楽曲が2曲も収録されていることを踏まえれば、取るに足らないことである。
(追加:2014年4月10日)