1972/ 2/11 Armoury, Wilmington, Delaware
Lineup 2 最後のアメリカ・ツアー初日の演奏。
DGM Live のライナーによれば、当日実は2回演奏していて、『 Earthbound 』 収録の ” 21st Century
Schizoid Man " と ” Groon ” は2回目の演奏を収録したものとのことで、本テイクは1回目の演奏とのこと。
2回の演奏を行ったことの真偽は判らないが、この2曲を 『 Earthbound 』 収録のテイクと比べてみるとその違いは明らかである。
特にインプロ・パートが多い ” Groon ” の違いは全編顕著に現れている。 聴き慣れているという贔屓目を除いても、個人的には 『
Earthbound 』 収録ヴァージョンの方が好きで、特にラストのフリップの艶っぽいギター・ソロの有無は大きい。
シンフィールドがいなくなって改めてバンドが結束するかと思ったら、リハーサルに持ち込んだコリンズの新曲のアイディアをフリップが拒否して再び結束が弱まった、などというクリムゾン史に残る出来事後の演奏ではあるが、コンパクトにまとまった選曲は違和感なく楽しむ事ができる。
(追加:2013年6月10日)
1972/ 2/18 Grande Ballroom, Detroit, MI
11日と全く同じセット・リスト。
ネガティブな違いは音質。 同じカセット録音にもかかわらず、特に出鼻の音質は悪い。
ポジティブな違いは ” Groon ”。 メイン・リフもそこそこに、長めのブルース・パートに突入する。
ウォーレスの激しいドラムに先導されるように、コリンズのソロが炸裂するところが凄い。
フリップが明らかに演奏を諦めている箇所があるのを確認することができる。
(追加:2013年6月10日)
本作品はリリース時には2月17日のライヴとクレジットされていたが、2月18日のライヴと修正されている。
(追記:2018年5月10日)
1972/ 2/19 Arie Crown Theatre, Chicago, IL
DGM Live のライナーに、「2つの興味深い謎がある」と記載されている音源。
1つ目は公演日が未だ確定できないこと。 『 Frame By Frame 』 や 『 21st Century Guide To King
Crimson 』 においては、2月19日にはシカゴのグランドボールルームで演奏されたと記載されているが等、確証がもてないとのこと。
2つ目は僅か2曲しか収録されていないこと。
多分この程度のことは40年前の状況を考えれば普通のことであって、これが特筆されることは逆に、フリップとDGMによる音源活用・管理がしっかりしていることを示している。
(追加:2013年4月10日)
1972/ 2/25 Auditorium, Miami Beach, FL
この時期のセット・リストは、ほぼ同じなのだが、本作品には2大特典(笑)がある。
1つ目は ” Cirkus ” ラストでのメロトロンの洪水。 メロトロンの洪水という表現もいい加減陳腐だとは思うが、一聴の価値はある。
2つ目は、” Ladies Of The Road ” のラストで、フリップが ” Day Tripper ” のフレーズを弾きかけること。
どんな勢いで演奏したのかわからないが、味わい深い。
(追加:2013年6月10日)
1972/ 2/26 Live in Jacksonville, FL
本作品は、D.G.M. Collectors' Club の2作品目として販売されたものと同じもの。
(追加:2013年6月10日)
1972/ 2/27 Kemp Coliseum, Orlando, FL
本作品は、King Crimson Collectors' Club の23作品目として販売されたものと同じもの。
(追加:2013年6月10日)
1972/ 3/ 6 Stanley Warner Theatre, Pittsburgh, Pennsylvania
解散に向けて一直線な時期なライヴ。 打開策を見出そうとする意思は既にないのか、ほぼお決まりのセット・リストで展開している。
プロフェッショナルとしての意地と演奏能力のポテンシャルの高さは充分に感じられるのだが、一度ステージ上でお遊びが始まってしまうと収拾がつかなくなってしまっている。
” Ladies Of The Road ”
での悪ふざけは、この時期のバンドの状態を知っている今だからこそ許容できるが、会場で体験したら耐え切れないと思う。
(追加:2013年10月25日)
1972/ 3/ 8 Riverside Theatre, Milwaukee, Wisconsin
本作品の最大の特徴は、”
21st Century Schizoid Man
” の弾き直しである。
フリップのギターが鳴らないというとんでもない理由のため、ギター無しのイントロが流れヴォーカル・パート直前まで演奏している。
演奏し直された同曲は荒々しく格好良いのだが、その再開までのサウンドチェックでフリップが短くコード・カッティングするところが最大の聴きどころだと思う。
怒りをぶつけるようなカッティングはおよそフリップらしくなく、「ロックン・ロールのコンサート」っぽい雰囲気が良く出ている。
(追加:2013年10月25日)
1972/ 3/10 The Barn, Peoria, IL
本ライヴには、『 Earthbound 』 に収録されている ” Peoria ” の原型が ” Groon Peoria ”
として収録されている。
” Groon Peoria ” というタイトルは後付として、実態は ” Groon ” として演奏された楽曲の前半部を ”
Peoria ” として 『 Earthbound 』 に収録されていたことが確認できる。
そして無闇に長いドラム・ソロの後、唐突に「きよしこの夜」のフレーズが出てきて終了する。 演奏日は3月10日であるにもかかわらず。
(追加:2013年12月25日)
1972/ 3/11 FairGround Coliseum, Indianapolis, IN
この日もフリップに不幸が訪れる。
ペダルボードが不調のため、” Sailors Tale ”
の前半、ギターのダイレクト音しか出ないため、中途半端なカッティングでコリンズのバックをつとめ、その後メインリフが展開した後もダメ、ラスト近くになってようやく復調して思いっきり歪んだギター・ソロを展開するが、時過で遅しといったところ。
他の3人のメンバーとの不仲が取りざたされる時期のライヴではあるが、こうした機材トラブルがフリップの気持ちを更に萎えさせていたに違いない。
(追加:2013年12月25日)
1972/ 3/12 Summit Studios, Denver, Colorado
本作品は、D.G.M. Collectors' Club の9作品目として販売されたものと同じもの。
(追加:2014年2月10日)
1972/ 3/13 Sound Track, Denver, CO
デンバーのサウンド・トラックでの初日。
演奏曲目が少なく全体像が掴みにくいが、比較的スタジオ・テイクに忠実なオーソドックスな前半の演奏が、” Ladies Of The Road ”
のボズのヴォーカルあたりから荒い演奏になり、最後の ” 21st Century Schizoid Man ”
でフリップのギターが炸裂する、と静から動への展開が激しいライヴである。
その ” 21st Century Schizoid Man ” では、フリップのギター・ソロの一部が左右にパンする編集がちょっと珍しい。
(追加:2014年2月10日)
1972/ 3/14 Sound Track, Denver, CO
本作品は、D.G.M. Collectors' Club の35作品目として販売されたものと同じもの。
(追加:2014年2月10日)
1972/ 3/21 Winterland Arena, San Francisco, CA
オーソドックスな内容。
もうこの時期のライヴは、ウォーレスやボズが暴走したり、機材の不調が重なったりで流石にフリップを同情したくなるのだが、そんな時期にもかかわらずオーソドックスな内容である。
ただ逆に、何もないというか、可もなく不可もなくいった印象も残る。
アクシデントがアクセントになってしまうということが、この時期の限界だったのかもしれない。
音質は限りなく悪く、” 21st Century Schizoid Man ” など、風呂場で再生してかのような音である。
(追加:2014年2月10日)
1972/ 3/27 Orpheum, Boston, MA
本作品は、D.G.M. Collectors' Club の40作品目として販売されたものと同じもの。
(追加:2014年2月10日)
1972/ 3/31 Municipal Auditorium, New Orleans, LA
『 Islands 』 編成での最終音源。
本作品の特徴は、2曲のインプロを収録していることである。 このラインナップでのインプロだけにブルース色を隠すことはできないが、それでもその色は弱くフリップによるコントロール化での演奏であることがわかる。
残念なのは、その内容が面白いかというと、決してそうではないことである。
暴走させることなく演奏したにもかかわらず、その内容は満足できるものではない、フリップの心中を察して余りある。
(追加:2014年2月10日)