1981
The Complete Score From The Broadway Production Of "The Catherine Wheel" : David Byrne
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イーノとバーンが蜜月を過ごしていた時期の作品。 CD化に際して曲目を追加、長尺盤となっている。
その流れの中で、ブリューがいいように使われているのは、クレジットを見ることで充分にわかる。 表記にはイーノの意向が色濃く反映されてしまっている。
The Crimson ProjeKct のライヴ会場で、ブリューの人気の高さを改めて実感したのだが、ここに至るまでの道は長かったとしみじみと思う。 ザッパ、ボウイ、トーキング・ヘッズという流れでクリムゾンに加入したら Discipline Crimson を揶揄する際に必ず挙げられ、楽器系の雑誌ではフランジャーを手元で操作していることばかりが挙げられる等、ありのままのミュージシャンとして扱われることは余りにも少なかった。
にもかかわらず、主メンバー/サポートを問わず作品をリリースし、来日し続けたことが、今のブリューの評価に繋がったのだと思う。
ブリューは、人格者である。
(追加:2013年4月25日)
Magic Windows : Herbie Hancock
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Lead Guitar : Adrian Belew
ハービー・ハンコックの1981年の作品。 レコーディングされた時期、ブリューはディシプリンのリハーサルをしていた頃と思われる。
” The Twilight Clone
” 1曲のみの参加なのだが、ブリューのギターは全篇鳴りっぱなし。
歪みまくったソロ、カモメの鳴き声なような音、フィードバック、トリッキーなアーミングと、この時期のブリューに対して求められたものを全て出しきっている。
参加に至った経緯はよくわからないが、やはりトーキング・ヘッズへの参加がブリューの活動の幅を大きく拡げるきっかけになったことは、間違いない。
本アルバム制作のために、もう2,3曲セッションしてたりはしないのだろうか。 そんな音源があるならば是非発掘して欲しい。
そう思わせるのに充分な程、素晴らしい内容である。
(追加:2014年6月10日)
The Red And The Black : Jerry Harrison
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Adrian Belew : Guitar on Slink, guitar solos on Worlds In Collision, The Red Nights, Things Fall Apart, The New Adventure, No Warning, No Alarm
トーキング・ヘッズのギターリスト、ジェリー・ハリソンのソロ・アルバム。
本作品は1981年6月3日からレコーディングされており、これがどういう時期かと言うと、クリムゾンが 『 Discipline 』
をレコーディングを終えてから僅か10日ということになる。
バーンのソロ、トム・トム・クラブに参加したのだから、ジェリー・ハリソンのソロにも、と考えたのかどうかわからないが、義理堅い人である。
ただやはり演奏となるとその自己主張は激しく、一聴しただけでブリューのギター・ソロとわかる演奏が繰り広げられている。
ギターリストのソロにゲスト参加して何もそこまで、と思ってしまう程の内容である。
(追加:2015年3月10日)
Tom Tom Club : Tom Tom Club
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日本では、あるいはアメリカ/イギリスにおいても、トーキング・ヘッズより名前が売れているトム・トム・クラブのファースト・アルバム。
実際のところ、” Psycho Killer ” は聴いたことがなくても、”Wordy Rappinghood ” と ” Genius Of
Love ” なら聴いたことがある、という人が多いと思う。
私自身も、カリブ海にも80年代ディスコにも縁がなかった中学生であったが、それでも本作品を現役で聴いていた。 そして今でも、やはり ” L'Éléphant
” は気になってしょうがない。 クリムゾンが ” Elephant Talk ” を含んだ 『 Discipline 』
をリリースするのに僅か遅れて、ブリューのギターによる象の鳴き声を思いっきりフィーチャーした楽曲を屈託なくリリースするセンスは素晴らしいと思う。
(追加:2015年3月10日)
左うでの夢 : 坂本龍一
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Adrian Belew : guitar and angry animals, drums
坂本龍一のソロ・アルバム。 ブリューとM(ロビン・スコット)の参加が大々的に謳われているが、純然たるソロ・アルバムである。
殆どの楽曲がシンセによるリフを中心に構築されており、華やかさは無い。 ロビン・スコットが活躍する場面が殆ど無かったことは容易に想像できるが、ブリューのノイズすれすれのギターは、楽曲の喧騒感をより強めている。 ただそれはキーボードによる発音であっても代用できたものであって、ギターである必要、そしてそのギターをブリューが弾いている必然性は無い。
『 Discipline 』
のレコーディングは終了しており、リリースを待つ時期に来日し、本アルバムのレコーディングに参加。 ブリューの人の良さを象徴する作品の一つである。
なお、同年本作品のマテリアルを元に、坂本龍一&ロビン・スコットの名義で 『 The Arrangement 』
という12インチがリリースされている。
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(追加:2012年11月10日)
死ぬのは嫌だ、戦争反対! : スネークマンショー
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Guitar : Adrian Belew
スネークマンショーのセカンド・アルバム。 エイドリアン・ブリューは、本作に参加している Melon の楽曲に参加している。 タイミングとしては、坂本龍一の 『 左腕の夢 』 参加のために来日していた時期のレコーディングと推測される。 ちなみにこの1981年にブリューは2月のトーキング・ヘッズのライヴ、7,8月の 『 左腕の夢 』 のレコーディング、12月のキング・クリムゾンのライヴと3回来日していることになる。
” I WILL CALL YOU ( AND OTHER FAMOUS LAST WORDS ) は、カッティング中心の演奏をと思わせて最後の最後に象の鳴き声をかましている。
一方 ” HONEY DEW ” では、ハワイアン風のというかスティール・ギター風の音色の演奏を行っている。
(追加:2024年9月25日)
1982
Lone Rhino : Adrian Belew
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Adrian Belew guitars, effects drums,
percussives and lead vocals
Christy Bley acoustic piano and vocals
William Janssen alto/baritone sax and vocals
J.Clifton Mayhugh bass/fretless bass guitar and vocals
Audie Belew ( age 4 ) acoustic piano on " The Final Rhino "
produced by Adrian Belew
「あ~か~」 と ” Red ”
を紹介したクリムゾン初来日直後にリリースされた、エイドリアン・ブリューのファースト・ソロ・アルバム。 つまりブリュー・パッシングが最も厳しい時期にリリースされた作品ということになる。
ポップなメロディにトリッキーなギターをフィーチャーした楽曲は、ブリューの資質が評価されはじめた
Double Trio Crimson
以降ならともかく、リリース直後は中途半端に受け取られ、評価を下げるだけで残念であった。
楽曲のクオリティは高く、80年代特有のリズムのもったりとした点を除けば、今でも充分楽しむことができる。 ただ、象の次にサイというのはあまりにも安易だと思う。 自分が期待されているトリッキーな面を素直に出しただけなのかもしれないが、このサービス精神の旺盛さこそが、ブリューの一番損している所だと思う。
(追加:2002年11月10日)
Sheffield Steel : Joe Cocker
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Adrian Belew Guitar on Sweet Little Woman
ジョー・コッカーが、『 愛と青春の旅立ち 』 の主題歌で大ヒットする直前にリリースしたアルバム。 その勢いに乗じて大ヒット、などとということはなく、セールス的には全く成功していない作品。
アイランド・レーベルからのリリース、レコーディングはコンパス・ポイント・スタジオ、当然ながらスライ&ロビーが参加、ということから容易に想像される通りのバックに唄うジョー・コッカーというのは決して悪くない。
ただ映画での甘ったるいデュエット曲の購買層が本作品に流れるとは、やはり思えない。
ブリューが参加しているのは、フリーのアンディー・フレイザーによる ” Sweet Li'l Woman
”。 レゲェのリズムをバックに絡むブリューォのボリューム奏法を駆使したギター・ソロが格好良い。
歪んだギター・ソロもボリューム奏法のギター・ソロも、勿論ブリューがオリジナルではないが、それらを過度なまでにやりきったところが当時のブリューが画期的であった理由であると、本楽曲を聴きながら改めて認識した。
(追加:2017年9月25日)
Maybe It's Live : Robert Palmer
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ロバート・パーマーのライヴ&アウトテイク集に、ブリューは1曲クレジットされている。
ブリューが参加している ” Si Chatouillieux
”
はスタジオ・アウトテイクで、ロバート・パーマーにしてみればボツ曲となるのだが、ブリューのギターは後半から鳴りっぱなしで、ブリューのファンの立場だとありがたいことこの上ない。
(追加:2015年4月10日)
The Name Of This Band Is Talking Heads : Talking Heads
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Featuring / David Byrne : vocals, guitar
Chris Frantz : drums
Jerry Harrison : guitar, synthesizer
Tina Weymouth : bass, guitar, synthesizer, percussion, backing
vocals
With / Adrian Belew : guitar, backing vocals
Nona Hendryx : backing vocals on " Life During Wartime ", " Take Me To
The River " & " The Great Curve "
Busta Jones : bass, guitar
Dolette McDonald : backing vocals, percussion
Steven Scales : congas, percussion
Bernie Worrell : clavinet, backing vocals
拡大盤としてリリースされた、トーキング・ヘッズのライヴ・アルバム。 拡大に伴い
『 Remain In Light 』 時のライヴは、その全容をほぼ収録している。
『 ミュージック・マガジン 』と 『 ロッキング・オン』
でトーキング・ヘッズの評価が大きく別れた、なんて話は既に30年も前の話だが、そのきっかけの一つとなった来日公演も収録されている。
自分自身は、そんな論争から距離を置いていた、というか良くわからないままに、ひたすらブリューのギターにしびれていたというのが実際のところだった。 スタジオ盤でも堪能できた拉げまくったギター・ソロが、ここでは更に破壊力が増しているのが嬉しい。
ラストに収録されている ” The Great Curve
” が、本作品の白眉。
(追加:2012年7月10日)
1983
Twang Bar King : Adrian Belew
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Adrian Belew guitars, percussion, lead vocals
Christy Bley acoustic piano, vocals
William Janssen saxophones, bass clarinet, vocals
Larrie Londin drums
J.Clifton Mayhugh bass, vocals
produced by Adrian Belew
Discipline Crimson
活動期に発表された、ブリューのセカンド・ソロ・アルバム。
キャッチーなヴォーカル・パートとトリッキーなギターを中心としたインストが交錯するという前作と同じ路線で、ブリュー・パッシングが続く時期にリリースしたこともあり、ほとんど無視されてしまった悲しい作品。
直球勝負の ” I'm Down ” や、”
Thela Hun Gingeet ” のギター・カッティングそのままの ” Paint The Road ”
等、個々の楽曲としては楽しめるものがあるのだが、やはり前作とアルバム全体の印象は変わりなくワンパターンであることは否めない。
ところで、『 地球音楽ライブラリー キング・クリムゾン 』 と、2002年に紙ジャケで再発されたCDのライナーにおいて、” She Is Not Dead ” が前作『 Lone Rhino 』
に収録されている ”The Man In The Moon”
を逆回転させパーカッションやヴォーカルを加えたもの、との記述があったため、検証をしてみました。 検証に当たっては、DigiOnSound
Light 1.10D を使用し、
” The Man In The Moon ” をリバースして ”
She Is Not Dead ” と比較
” She Is Not Dead ”
をリバースして ” The Man In The Moon ” と比較
の2つを試してみました。
リスニングの上での結論を言うと、” The Man In The Moon ”
からドラムとベースを除いて逆回転させたトラックの一部分を使用している、ということになります。
(追加:2004年2月10日)
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ジョーン・アーマトレーディングがセールス的に成功していた時期にリリースされた作品で、グラミー賞にもノミネートされている。
シングル・カットされた ” Drop The Pilot ” には参加していないものの、エイドリアン・ブリューの活躍度は高い。 バッキング・パートもしっかりこなした上でソロ・パートでは記名性の高いソロを展開するのだから、この時期のブリューが重宝されたのもよく判る。 そのままセッション・ギタリストの枠に収まらなかったことが本当に良かったと思う。
多彩な演奏を繰り広げている中でも、” ( I Love It When You ) Call Me Names ” のラスト近くでのギター・ソロが個人的に好みである。
(追加:2024年9月25日)
Mister Heartbreak : Laurie Anderson
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” O Superman ”
の大ヒット後、日本でもローリー・アンダーソンが流行していた時代に発表された作品。
流行りものの宿命なのかもしれないが、シンクラヴィアの音自体が、四半世紀近くたった今の耳で聴くとかなり古くさい。 元々芸術家畑のノン・ミュージシャンだけに、楽器としてセンス良くシンクラヴィアを演奏することより、シンクラヴィアの音自体を前面に出すことに面白さを感じた結果なのかもしれない。
そこに絡むブリューのギターはディストーションで歪みまくったノイズすれすれのもので、整合感のとれたシンクラヴィアとの対比が面白い。
予定調和と言ってしまえばそれまでなのかもしれないが、自分に与えられたノイズ・メーカーとしての役割を、きちんと果たしたブリューは見事だと思う。
(追加:2007年2月25日)
1984
Zoolook : Jean - Michel Jarre
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Musicians :
Laurie Anderson - Vocals. (Diva)
Adrian Belew - Guitars And Effects.
Yogi Horton - Drums.
Jean - Michel Jarre - Keyboards And Electronic Devices.
Marcus Miller - Bass.
Frederic Rousseau - Additional Guitars.
残念ながら次期クリムゾンのメンバーではなくなってしまったエイドリアン・ブリューが参加しているジャン・ミッシェル・ジャールの作品。
ジャン・ミッシェル・ジャールと言われて出てくる一般的なイメージは、『 幻想惑星 』 のジャケットとシンセサイザーによる主旋律なのだが、本作品は異なる。
日本語を含めた複数言語をサンプリングし、編集したものを主体に構成している。
ブリューは、ローリー・アンダーソン等とともにニュー・ヨークのスタジオでのオーバー・ダブに参加している。
クレジットはギターとエフェクトとなっているが、主体はエフェクト。
サンプリングされた音声との調和を求められた結果に基づくものと思われるが、それ程の義理があるわけもなく見事に使われてしまっている。
いい人ブリュー、の萌芽がここにある。
(追加:2013年11月10日)
Lights Out : Peter Wolf
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J.Geils Band から脱退後に併せて発表されたピーター・ウルフのファースト・ソロ・アルバム。
散漫とした作品。 J.Geils Band
からの差異化を図ろうとした結果、それ以外の全てをやってしまったといった内容で、なんだかよくわからない。
唐突にブリューが参加していること自体が、そのことを証明している。
カッティング中心の演奏が続きフラストレーションがたまりかけるのだが、最後に思いっきりのギター・ソロがフィーチャーされている。
何故自分が、などということにこだわらず、しっかりと仕事をするブリューはやはり素晴らしい。
(追加:2015年4月10日)
1986
Desire Caught By The Tail : Adrian Belew
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instrumental music for guitar and percussion composed and performed by Adrian Belew
produced by Adrian Belew
困った...作品である。
ブリューの3作品目となるソロ・アルバムは、全ての楽器を自ら演奏したインスト集で、よく言えば前衛的な作品、ちょっと気を使うと実験的な作品、平たく言うとノイズすれすれの気ままな演奏を契約履行を目的に出した作品、ということになる。
クリムゾン解散後のこの時期、ブリューはセッション活動が中心で、下手をすると「あの人は今」的な扱いをされかねなかった。 そんな時に起死回生の充実したソロ・アルバムではなく、こうした作品をリリースしてしまうところに、ブリューの度量の深さを感じてしまう。
トリッキーなギター音が満載された作品ではあるが、トリッキーな音だけをそのまま提示されても面白くはない。 ポップなメロディとトリッキーな音の微妙なブレンドがブリューの最大の魅力だと思う。 本作品はそうしたブリューの魅力を、残念ながら堪能することはできない。
(追加:2004年9月10日)
True Colors : Cyndi Lauper
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シンディー・ローパーの傑作2ndアルバム。 その中からシングル・カットもされた ”
What's Going On
” に、ブリューがアレンジとギターで参加している。
とにかく名曲だらけの作品だけに、もっと多くの曲にブリューが参加していてくれたらと思うのは、贅沢なお願いなのかもしれない。
もう一人ギターリストがクレジットされており、バックに流れる地味なギターのカッティングはブリューである可能性は低い。
それより、間奏で流れる管楽器系のシンセ音が、ブリューのギターによるものだと思いたい。
この時期ブリューの活動は比較的地味だっただけに、こうしたメジャー作品での活躍は嬉しかった。
(追加:2013年5月25日)
The Best Remises : Cyndi Lauper
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リリースは1989年
シンディー・ローパーの 『 True Colors 』 に収録された ” What's Going On ” のクラブ・ヴァージョン。
当然ながらブリューの直接関与はゼロ。
(追加:2015年4月10日)
Home Of The Brave : Laurie Anderson
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ローリー・アンダーソンはある種絶対であった。
パフォーマー、という言葉とともにカルチャーの最先端にいて、ローリー・アンダーソンが理解できないなどと言うものなら、そのセンスの全てを否定されても仕方がなかった。
それだけに、当時も今もオシャレ度ゼロの自分は、ブリューを通すことでカッティング・エッジな彼女の世界に恐れ多くも接する機会を頂戴していた。
時代を超えた普遍性を持ち、スノッブとは程遠い人達が聴き続ける本作品において、「シンクラヴィアみたいな最先端音だけだと飽きられれしまうので、アナログなギターという楽器の音を出して下さい」といったようなリクエストに、ブリューはしっかりと応えている。
(追加:2015年4月10日)
Graceland : Paul Simon
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ポール・サイモンの傑作&大ヒット・アルバム。 ブリューは4曲にクレジットされている。
作品としての完成度の高さと、南アフリカのミュージシャン参加による話題(と議論)が大きく語られるため、ブリューはその貢献度がそれなりに高いにもかかわらず地味な存在に落ち着いてしまっているのが残念である。
元々はメイン・ミュージシャンであったのが、レコーディングが進むにつれブリューが飛び道具として目立つ必要が無くなってしまったのではないかと勝手に推測している。
(追加:2015年1月10日)
1987
The Bears : The Bears
The Bears are :
Adrian Belew / Guitar and Vocals
Rob Fetters / Guitar and Vocals
Bob Nyswonger / Bass
Chris Arduser / Drums
Arranged by The Bears
Special Guest / Bill Janssen Saxaphones on " Honey Bee " & " Figure It
Out "
Produced by Adrian Belew
ブリューが地元ナッシュビルのミュージシャンと不定期に活動する、The
Bears のファースト・アルバム。 後にリリースされる 『 Live 』 に本アルバムから4曲収録されていることからもわかるように、ブリューがライヴを楽しむために活動しているのが
The Bears 何だと思う。
ポップでメロディアス、それでいてサイケデリックの香りもする楽曲は、ブリューのビートルズに対する愛情に満ち溢れている。 熊、というバンド名には当初トホホな印象しかなかったが、レコード店の棚でアルファベット順にビートルズに並ぶことに気づいたとき、ブリューの本バンドへの本気度を感じることができた。
(追加:2010年8月25日)
1988
Rise And Shine : The Bears
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guitars & vocals : Adrian Belew, Rob Fetters bass : Bob Nyswonger drums : Chris Arduser
Arranged by The Bears Produced by Adrian Belew
The
Bears のセカンド・アルバム。ファースト・アルバム。 後にリリースされる 『 Live 』 には本アルバムから3曲収録されている。
ファーストと同様、ビートルズの香りが上品に漂う楽曲を中心に、非常に完成度の高い作品となっている。 ズバリ言ってしまえば、The Bears の
『 The Bears 』 と この 『 Rise And Shine 』 は、同時期のブリューのソロ 『 Desire Caught By
The Tail 』 や 『 Mr. Music Head 』 より内容が充実している。 売れなかったのは致し方なかったとは言え、The
Bears の認知度が余りにも低いのは、仲間同時の楽しみの延長線上にその活動があったからだと思う。
この辺りのバランスがもっと上手くとれていたら、ブリューのその後の活動は大きく変わっていた可能性がある。
(追加:2015年4月10日)
1989
Mr. Music Head : Adrian Belew
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Instruments and vocals by Adrian Belew With Audie Belew female vocals "Oh Daddy" Mike Barnett string bass "House Of Cards" & "1967"
Produced By Adrian Belew
アトランティックに移籍した後のソロ・アルバム。
ブリューのソロの中でも比較的オーソドックスな作品。 基本は一人多重録音の作品だが、ポップなヴォーカル作品で、後の
『 Here 』 とも似ている。
本人もレコード会社も、本作品をどのように位置付けていたのだろうか。 移籍直後で内容もポップなだけに、心機一転ソロ・アーティストとしても売り出すことが可能であったはず。 にも拘わらずこのジャケット。 ユーモラスと言えば聞こえが良いが、正直ちょっとグロテスク。 「ジャケ買い」ではなく、「ジャケ買わず」という選択をされても文句は言えないと思う。
(追加:2009年6月10日)
Earth Moving : Mike Oldfield
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マイク・オールドフィールドの小曲&ヴォーカル中心のアルバム。 ブリューはヴォーカルで1曲、ギター・ソロで1曲参加している。
アルバム冒頭からブリューのヴォーカルが展開するのにまず驚くが、違和感は無い。
オールドフィールドのレギュラー・ゲスト・ヴォーカリストに定着しなくて良かったと思う。
” Far Country
”
は、後半からブリューとオールドフィールドが左右でギター・ソロを披露するという中々の展開を見せるが、楽曲自体の魅力に乏しいのが残念である。
(追加:2015年4月10日)
1990
Young Lions : Adrian Belew
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Instruments and vocals by Adrian Belew
With David Bowie vocals on "Gunman" and duet on "Pretty Pink Rose"
The voice of The Prophet Omega on "I Am What I Am"
Van Kampen percussion ensemble on "Young Lions"
Van Kampen is : Willem Van Kruysdijk, Mies Wilbrink, Dree Van Beeck and Ellen Gieles
Mike Barnett string bass on "Phone Call From The Moon"
デヴィッド・ボウイの参加が話題となったブリューのソロ・アルバム。
ブリューは、1990年にキャリアの総括として行われたボウイのワールド・ツアーに参加しており、本アルバムでの客演もその繋がりと想像できる。
気負いの無いポップな楽曲が並んでおり、ブリューの歌ものソロ・アルバムの中でも完成度が高い。 前述したボウイのワールド・ツアーへのギターリストとしての参加が、「歌いたい!」という欲求に素直に火をつけたのではないかと思われる。
クリムゾンの ” Heartbeat ”
も、良い意味で全体から浮かず、セルフ・カヴァーとして成功している。 クリムゾンの再結成に巻き込まれなければ、このままソロ・アーティストとしても確固たる地位を確立できたのではないかと思える程である。
(追加:2006年10月10日)
Pretty Pink Rose : Adrian Belew
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Instruments and vocals by Adrian Belew duet on "Pretty Pink Rose" Audie Belew female vocals on " Oh Daddy "
『 Young Lions 』 からのシングル。
シングルまでリリースされたのは当然デヴィッド・ボウイが参加したことによるものだが、そのおかげで2曲の新曲が発掘されている。
” Neptune Pool ”
はギターだけのインストで多分ブリューによる一人多重録音で、” Shoe Salesman
” は弾き語りの佳曲。
(追加:2015年8月25日)
Walk On Water : Jerry Harrison Casual Gods
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Guitar : Adrian Belew : 6,10,11
ジェリー・ハリソンのバンド、カジュアル・ゴッズとしてのセカンド・アルバム。 トーキング・ヘッズっぽい事はやらない、と選択肢を採用した結果、トーキング・ヘッズっぽくなければ何でもありになっており、まとまりが無い作品になってしまっている。 ブリューが全てのギターを担当したレゲエ調の ” If The Rains Return ” も良いが、やはり ” I Cry For Iran ” でのギター・ソロが良い。 オーソドックスな曲展開に、いきなり差し込まれるアーミングを多用した歪んだギター・ソロは、ブリュー以外の何者でもない。 (追加:2016年2月25日)
The Rhythm Of The Saints : Paul Simon
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『 Graceland 』 に続くポール・サイモンのソロ・アルバム。 アフリカからブラジルに移行したものの、ワールド・ミュージック路線は前作同様で同じく大ヒットした作品であるが、残念ながらブリューの活躍度は著しく減っている。 参加曲数が4曲から1曲に減っているだけでなく、その参加している ” Spirit Voices ” においても存在感が全くない。 個人的には、この時期ブリューはデヴィッド・ボウイのワールド・ツアーに参加していたことで時間的余裕が無かった、ことにしているのだが、ポール・サイモンにはもう少しブリューの活用方法について検討した上でレコーディングに参加させてもらいたかった。 (追加:2015年1月10日)