1981
Scissors Cut : Art Garfunkel
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セールス的に惨敗したアート・ガーファンクルのソロ・アルバム。
同じくセールスが振るわなかったシングル ” A Heart In New York
” にレヴィンがクレジットされている。
中途半端なフォーク調の曲のバックでの演奏にはフラストレーションが溜まるのだが、ラスト近くでロック的(笑)な盛り上がりをする時に、ちょこっとだけメロディアスなベース演奏があり、そこだけは格好良かったりする。
(追加:2016年3月10日)
Season Of Glass : Yoko Ono
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Bass Guitar Tony Levin
ジョン・レノンの死後発表されたオノ・ヨーコのソロ・アルバム。
バックの演奏がしっかりと支えている唄モノ作品である。
これ以上は無い程過激なジャケットに包まれながらも音楽面での前衛性は抑えられ、オノ・ヨーコのヴォーカルが全面フィーチャーされている。
こうした作品でのレヴィンのベースはやはり凄い。 タイトかつメロディアスなベースが、目立つのではなくヴォーカルを引き立てている。
どうしてこんなことができるのか、異次元な世界に思えてくる。
唄モノでのレヴィンの演奏としては、『 Double Fantasy 』 と双璧をなす作品である。
(追加:2016年3月10日)
1982
Peter Gabriel : Peter Gabriel
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Jerry Marotta : Drums, Surdo Drums, Percussion
Ekome Dance Company : Ghanaian Drums
Peter Gabriel : Vocals, Surdo Drums, Linn Programming, CMI, Prophet, Additional Drums, Piano, Backing Vocals
Tony Levin : Bass (1,6,7,8) Stick (2,3,4,5) Fretless Bass (6)
Larry Fast : Moog, Prophet, Moog Brass, Moog Bass, Electronic Percussion
David Rhodes : Guitar, Backing Vocals
John Ellis : Guitar, Additional Guitar, Backing Vocals
Jill Gabriel : Backing Vocals
Roberto Laneri : Treated Saxophone
Stephen Paine : CMI
Peter Hammill : Backing Vocals
David Lord : Polymoog, Prophet, CMI, Piano
Morris Pert : Timbales, Percussion, Traditional Ethiopian Pipes
ピーター・ガブリエルのソロ4作品目。
過渡期の作品、と表現すれば良いのだろうか。 前作から顕著になりはじめたワールド・ミュージック色が色濃く現れた結果、プログレ色は殆ど無くなっている。 その一方で次作以降にみられる大衆性が無く、取っ付きにくい作品になってしまっている。
” Shock The Monkey ”
のようなわかりやすい曲がもっと収録されていれば、印象も大きく違っていたと思う。
レヴィンのプレイは的確で、ガブリエルの音楽性の変化に柔軟に対応をしている。
(追加:2008年7月11日)
Seventh Avenue South : 南佳孝
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” モンロー・ウォーク ”、” 憧れのラジオ・ガール ”、” スローなブギにしてくれ ” といったヒット曲後にリリースされた南佳孝の作品。 トニー・レヴィンが全面参加してる他海外ミュージシャンが多数クレジットされており、ヒット曲を積み重ねたことでしっかりとコストをかけてレコーディングした作品だとよく判る。
ニューミュージックとして聴いていたものが今の時代になってシティ・ポップとカテゴライズされた楽曲は聴いたことがあるが、私はシティ・ポップをシティ・ポップとして聴いたことが無い。 そんな私がとやかく言う話ではないが、本作品はシティ・ポップど真ん中であり、作品中に出てくるようなシチュエーションは波がありながらも押し並べて今より好景気だった1980年代前半にフィットしていると思う。
シティ・ポップで描かれる華やかな世界は今の時代には眩しすぎる。
(追加:2024年6月10日)
1983
Hello Big Man : Carly Simon
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カーリー・サイモンが、ジェームス・テイラーと別れた後に発表した作品。
新機軸としてトロピカルなテイストやレゲエのフォーマットを導入しました、といったつもりなのだろうが、借用感がメチャクチャ強くてなんだかよくわからない作品になってしまっている。
ただそこはトニー・レヴィン。
作品自体が明らかに迷走していても正しくスタジオ・ミュージシャンとしての実力を発揮し、見事なまでに役割を果たしている。
ちなみに本作品がリリースされたのは、クリムゾンの 『 Beat 』 と 『 Three Of A Perfect Pair 』
の間だったりする。
(追加:2015年9月25日)
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ジョーン・アーマトレーディングのセールス的に成功した作品。
トニー・レヴィンの活躍度は高い。
(追加:2024年9月25日)
Plays Live : Peter Gabriel
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Drums, Percussion And B. Vox By Jerry Marotta.
Stick, Bass And B. Vox By Tony Levin.
Guitar And B. Vox By David Rhodes.
Synthesiser And Piano By Larry Fast ( Synergy )
Synthesiser And Piano By Peter Gabriel.
『 Peter Gabriel 』
というタイトルで4枚のアルバムをリリースした上での、集大成的なライヴ・アルバム。
非常に濃厚な作品であるにも拘らず、もたれることがない。
美メロが頻出するわけでもなくテクニックが押し付けられることも無いのだが、これ以上は無いと思わせる程の圧倒的な内容である。 超個人的にはこの路線をひたすら追求してもらいたかったのだが、ここで留まらないのが私のような凡人との違いなのだと思う。
レヴィンの演奏は、目立つ所と支える所のバランスが素晴らしい。 演奏の自由度はそれなりに与えられていると思うのだが、その自由度をスタンド・プレイに使うのではなく、楽曲の完成度を高めることに徹っしている。 そしてそのスタンスがまたレヴィンの素晴らしさを際立たせている。
(追加:2013年3月10日)
Sophia : 山下久美子
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Bass : Tony Levin
山下久美子が布袋寅泰と結婚前、ニューヨークのパワー・ステーションでレコーディングした作品。
コーラスでカーリー・サイモンが参加しており、これはどういうことかというと、当時カーリー・サイモンが 『 Hello Big Man 』
という作品を同じパワー・ステーションでレコーディングしたことによる。
そしてバックのミュージシャンも殆ど被っており、彼らがスタジオを行き来しながらスコア通りに演奏したことも窺える。 バブル期までの時代に使われた
「海外レコーディング!」 という箔を付けも、玉石混交であったことがよくわかる。
クレジット通りであれば、レヴィンは全曲でベースを演奏していることになる。
80年代においてもセンスレスなタイトルがつけられた楽曲のバックで演奏しているのは感慨深いが、多分レヴィンの記憶には全く残っていないセッションのはず。
(追加:2017年8月25日)
1984
CONFUSION : 大沢誉志幸
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大ヒットしたシングル、” そして僕は、途方に暮れる
” (本アルバムのテイクはタイトル途中に句点が入る)が収録されている大沢誉志幸の大ヒットアルバム。
シンセサイザーを多用したジャパニーズR&B、と一言でまとめてしまうのは簡単だが、ブリューとレヴィンが参加しているという贔屓目を差し引いても丁寧に作り込まれた作品であることがよく分かる。
” そして僕は、途方に暮れる ”
は、カップヌードルのCM曲としてもお茶の間に流れたこともあり、40代以上の人の多くはこの曲のサビのメロディを今でも覚えていると言っても過言ではない。 そんな曲にレヴィンのベースがクレジットされていることは果てしなく嬉しい。
(追加:2015年10月25日)
1985
Boys And Girls : Bryan Ferry
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Musicians Tony Levin
『 Avalon 』 後に発表されたブライン・フェリーのソロ・アルバム。
その 『 Avalon 』 の大ヒット後ということもあり、贅沢の限りをつくした作品となっている。 基本路線は 『 Avalon 』
を世襲しているのだが、ただフェリー特有の、べたーっとした感触が強く出すぎてしまっているところがあり、空間上の全てを埋めてしまうような音の壁に疲れてしまうところがある。
フェリーのコンセプト下で、豪華な参加ミュージシャンも何処で何を弾いているかは意味しなくなっておりレヴィンの演奏も識別不能となっている。
(追加:2015年6月10日)
Spoiled Girl : Carly Simon
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なんだか本当に何をしたいのか理解できなくなってきた時期のカーリー・サイモンの作品。
ジェームス・テイラーとの離婚、そして再婚を経てリリースされた作品なのだが、私生活の激動とは関係なく只々つまらない作品としか言いようがない。
2000年代になってカーリー・サイモンはスタンダードのカヴァーで再浮上するのだが、ひたすら新作のリリースを要求されたこの時期が彼女にとって一番浮かばれない時期だったのであろう。
レヴィンが参加しているのは、アルバムにオリジナルで収録されている曲ではなくシングルのB面曲でボーナス・トラック扱い。 たいした曲ではない。
(追加:2016年10月10日)
Explorers : The Explorers
ゴージャス極まりないフェリーの 『 Boys And Girls 』
とほぼ同時期にリリースされた、フィル・マンザネラとアンディ・マッケイによる作品。
バンド自体が存続したまま、フロント・マンのフィル・コリンズでけではなくマイク&ザ・メカニクスまで売れたジェネシスはレコード会社にとって理想系であったはずだし、そのことがまたバンドの活動にも還元されていたはずだ。
同じことがロキシー・ミュージックにも起こっていれば、ロキシー・ミュージックのその後も大きく変わっていたと思うのだが、残念ながら本作品は驚く程売れなかった。 『
Avalon 』 とフェリーの声を、各々7割り程度の再現性でコピーしたのが災いしたのかもしれない。
当時フェリーとマンザネラ&マッケイの間にどのような感情があったのかわからないが、そんな二組の作品両方にレヴィンは参加している。
この辺りのバランス感覚というか、屈託のなささというか、プロに徹しているところがレヴィンらしい。
(追加:2015年6月10日)
That's Why I'm Here : James Taylor
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ジェームス・ティラーが、その頭部の特徴をジャケットでカミング・アウトした作品。
1982年にカーリー・サイモンと離婚をした後の作品ではあるが、元々内省的な歌詞を特徴にしてきた人だけに本作品に離婚の影響が特別に現れていることもない。
レヴィンはこの時期のジャームス・テイラーとカーリー・サイモンの両方の作品に参加しているのだが、この辺りはレヴィンの屈託の無ささというか、そもそもそれ以前にそんな事情を全く知らないことによるものだと思う。
プロフェッショナルに徹するというのは、こういうことなのかもしれない。
(追加:2016年10月10日)
Birdy : Music from the Film by Peter Gabriel
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All titles written and performed by Peter Gabriel
with special musical contributions from :
John Hassell, The Drummers Of Ekome, Larry Fast, Tony Levin, Jerry
Marotta, David Rhodes
ニコラス・ケイジが主演した映画のサウンド・トラックをピーター・カブリエルが担当している。
ポピュラリティに高さでは、翌年リリースされる 『 So 』 や本作品以前のソロにも劣ってしまうが 内容は良い。
時々挟み込まれるソロ曲のフレーズにも興奮するし、シンセ(デジタル・シンセ)の音色もこの時代特有の下品なものではなく安心して聴いていられる。
プロダクションに多大な時間をかけた作品ではないはずだけに、レヴィンの演奏が新しくレコーディングされたものかレコーディングされていたマテリアルから活用したものかはわからないが、こうした作品にもしっかりとクレジットされているところからもカブリエルとレヴィンの関係の深さが推し量られる。
(追加:2015年7月1日)
Starpeace : Yoko Ono
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Tony Levin : whistle.
2016年2月、「オノ・ヨーコ、インフルエンザ!」とか「オノ・ヨーコ退院」とかそれだけで記事になってしまうことで、オノ・ヨーコの凄さを再認識したのだが、その凄さに近いものを本作品に感じてしまう。
参加しているトニー・レヴィンのクレジットが whistle、口笛である。
当然レヴィンは口笛を吹きにスタジオに来たわけではなく、ベースを演奏したはずである。
それどころか実際にはレヴィンのベース演奏も採用されているのかもしれない。
にもかかわらず口笛である。
そうクレジットされていても、オノ・ヨーコなのだからと思わせてしまうところが凄いと思う。
(追加:2016年3月10日)
彼女はFuture-Rhythm : 大沢誉志幸
エイドリアン・ブリューとトニー・レヴィンが大々的に参加した 『 CONFUSION 』 の次の作品としてリリースされた 『 in・Fin・ity 』 からの楽曲 ” 彼女はFuture-Rhythm ” の12inch シングルのB面に、” そして僕は途方に暮れる ( Special Dance Mix ) ” が収録されている。
ジャケットにクレジットされているのは 『 in・Fin・ity 』 のレコーディングに参加しているミュージシャンなのだが、” そして僕は途方に暮れる ( Special Dance Mix ) ” はイントロとアウトロが追加されエコー処理がなされているだけで、オリジナルの ” そして僕は途方に暮れる ” が元になっているためトニー・レヴィンが参加していることになる。
(追加:2024年6月10日)