1969
1968 -1971 : The Music Improvisation Company
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リリースは1976年
Jamie Muir, percussion
Hugh Davies, live electronics & organ
Evan Parker, soprano saxophone & amplified auto-harp
Derek Bailey, guitar
ジェミー・ミューアがクリムゾン参加前に在籍していたことで知られる、ミュージック・インプロヴィゼイション・カンパニー(MIC)の作品。
本作品を、「ミューアが」という説明なしに楽しむためには、フリー・ミュージックやアヴァンギャルド・ミュージックに対してそれなり以上の造詣が必要だと思う。 作品の質を云々の問題ではなく、MICクリムゾンとの関連性が希薄であること、ミューアのプレイがクリムゾンにおける飛び道具的なものとは全く異なっていることがその理由である。 残念ながら、私には「ミューアが」という説明抜きでは、本作品を楽しむことができない。
4曲目までが1969年7月4日の演奏、残り2曲が1970年6月18日の演奏で、ともにロンドンでのライヴを収録したもの。 全ての楽器が、キコキコッとしたサスティンの無い音を出しており、バンドとしての演奏は、音の組み合わせと言うよりは、音の積み重ねといったところ。
(追加:2002年1月25日)
1970
The Music Improvisation Company : The Music Improvisation Company
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Derek Bailey Electric Guitar
Evan Parker Soprano Saxophone
Hugh Davies Live Electronics
Jamie Muir Percussion
Christine Jeffrey Voice
ミュージック・インプロヴィゼイション・カンパニーのファースト・アルバム。 2003年に見事にCD化された。
本アルバムに対しての情報が北村昌士著の 『 キング・クリムゾン 至高の音宇宙を求めて 』 におけるレビュー位しかなかった80年代には、バンド名に「インプロヴィゼイション」なる言葉が入っていることや、ミューアが参加していること等から、激しいインタープレイを想像していたが、実際には後のベイリーの作品群と同じく各々の楽器が発信音を積み重ねているだけの演奏。
10年くらい前、渋谷の階段の途中にあるビルの中のMで1万円で発見、値段の高さにその場では躊躇したが諦めきれず再訪した翌日には既に無くなっていたいう泣くに泣けない経験があるだけに、CDとはいえこうして入手できたことは喜ばしい。 個人的にはベイリーの演奏については(ほとんど)全て否定的であるが、思い入れがある分素直に楽しむ事ができた。
(追加:2003年9月10日)
1972
Gracility : Laurie Scott Baker
CD1 CD2
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Muir dms, vcl. Baker bgtr, syn. Tilbury
org.
Goldsmiths, College London 1972
ローリー・スコット・ベーカー名義の作品集で、4パートに分かれる中3パート目にミューアがクレジットされており、ベース、VCSIII、オルガンに、ミューアのドラムと雄叫びが絡む楽曲集となっている。 ライナーによると、本演奏はクリムゾンに加入する前、アラン・ホールズワースやアラン・ゴウェンとサンシップというバンド名で活動していた時期に録音されている。
VCSIII とオルガンのミニマルな演奏から、ミューアの存在感が増していくに従って、激しくフリーキーな演奏に突入していく。
その中でも、タイトル通りミューアのドラムと雄叫びがメイン・インスツルメントとなっている ” The Scream
” が白眉の出来となっている。
ミューアについては、「ミューアだから凄い!」と私は短絡的な発想だけで接してしまうことが多いのだが、実際にこうした作品に接すると「ミューアは凄い」と改めて認識することができる。
(追加:2013年9月10日)
1981
Dart Drug : Jamie Muir Derek Bailey
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Jamie Muir percussion
Derek Bailey guitar
Recorded at Crane Grove, London, England in August 1981.
ジェミー・ミューアと、ミュージック・インプロヴィゼイション・カンパニー時代から共演を重ねているデレク・ベイリーとのデュオ・アルバム。
Beat Club でのライヴ映像におけるミューアの演奏が大好きである。 ” Larks' Tongues In
Aspic Part I ” 1曲だが、クリムゾンにおけるミューアの役割を端的に現していると思う。
特異なルックスが際だち、リズムのジャスト感にもほど遠いのだが、明らかに他のメンバーを扇動している。
ドラマーとしての力量よりも良い意味での色物としての力量を、フリップが望んでいたことがよくわかる。
残念ながら、本作品においてミューアの色物としての力量は全く出ていない。
デレク・ベイリーと二人で真剣に音を積み重ねていることはわかるのだが、それだけにすぎない。
ギターもパーカッションも同じような発信音を出しているだけで、裸の王様的に評価する必要は特に無いと思う。
現在は画家としてのキャリアを歩み続けているミューアにとっても、ミュージシャンとしての過去は無かった事にしてもらいたいものなのかもしれない。
本作品は、1981年にアナログでリリースされた後、1994年にCD化、そして2018年に再びアナログ・フォーマットでリリースされている。
(追加:2003年7月25日)
(更新:2020年5月10日)
1981 : Company
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リリースは2019年
Recorded at the BBC in London.
The music on
sides 1 & 3 was broadcast on 29 June 1981 ;
performed by Derek Bailey (
guitar ), Tristan Honsinger ( cello), Christine Jeffrey ( voice ),
Toshinori Kondo ( trumpet ), Charlie Morrow ( trumpet, voice, horn )
and David Toop ( flute, bells, small instruments ).
The music on sides
2 & 4 was broadcast on 7 July ;
performed by Maarten Altena ( bass ),
Derek Bailey ( guitar ), Georgie Born ( cello ), Lindsay Cooper ( bassoon
), Steve Lacy ( soprano saxophone ), Radu Malfatti ( trombone ) and Jamie
Muir ( percussion ).
カンパニーの1981年のライヴを収録した作品で、BBCでも全編放送されたらしい。
カンパニーについては、主にデレク・ベイリーが中心に集団でインプロヴィゼーションを行う時に冠されるプロジェクト名というのが妥当なところかもしれない。 しかも招集された全員で演奏するのではなく、複数名が組み合わせを変えながら演奏することが殆どある。
確かに、モチーフ無しに大人数で長時間インプロを続けるのには無理があると思う。
キコキコ、とか、カーッ、といった発信音が調和せず重なるのはカンパニーならではなのだが、ミューアのパーカッションもインパクトを与えるというより発信音の一つに、言葉悪く言えば埋没している。
本ライヴが行われた1981年はクリムゾンが活動を再開してとしであるが、この時点でミューアとフリップは全く異なった地表に立っているとしか思えない。
もしかしたらフリップは、ミューアがこのような活動をしていたことも知らなかったのかもしれない。
(追加:2020年5月10日)
1983
1983 : Company
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リリースは2020年
Recorded at the BBC in London ; broadcast on 8 and
11 July 1983.
performed by Jöelle Léandre ( bass, voice ),
J.D.Parran ( basset horn, piccolo ), Emst Reijseger ( cello, electric
cello ), Derek Bailey (
guitar, electric guitar ), Jamie Muir ( percussion ), Vinko Globokar (
trombone, voice, flute ), Peter Brötzmann ( reeds ), John Corbett (
trumpet, flugelhorn ), Hugh Davies ( live electronics ), Evan Parker (
clarinet ).
カンパニーの1983年のライヴで、こちらもBBCで放送されている。
先ず何よりもジャケットである。
数々のパーカッション、というか叩いたり擦ったりすれば音が鳴るものを前にしたジェミー・ミューアを見ただけで購入意欲がそそられると思う。
クレジットされているイニシャルで判断すると、ミューアが参加しているのは ”
Landslide
” と ”
First Choice
” の2曲となる。 そして全編ミューアの打音がフィーチャーされる
” Landslide ” は、ジャケ買いに充分応えてくれる内容である。
(追加:2020年5月10日)
The Ayes Have It (1983/1991) : Evan Parker
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リリースは2001年
2001年に突如発売された、エヴァン・パーカー名義の作品。 1983年のライヴ・テイクにジェミー・ミューアが参加している。
全ての楽器がキコキコッとしたサスティンの無い音を積み重ねたような演奏は、ミュージック・インプロヴィゼイション・カンパニーと殆ど同じ。 楽器編成は勿論のこと、1曲毎のフォーマットは全く異なるのだが、作品としての印象は同じである。
あとはこの辺りのところを芸として楽しむか、貴重演奏ととらえるか、個人の判断によるところが大きいと思う。 私は残念ながら「ジェミー・ミューア入りの貴重な演奏」としてとらえることしか出来ない。
CDショップで見かけることも最近では殆ど無いため、見かけたら即ゲットすべきだとは思うが、CDプレイヤーに何回乗せられるかは全く保証出来ない。
(追加:2002年4月25日)
Ghost Dance : Michael Giles Jamie Muir David Cunningham
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リリースは1995年
Michael Giles : kit drums, assorted percussion, mouth horns, mouth reeds, bow, voice,
keyboard
Jamie Muir : assorted percussion, hand drums, bow, thumb piano, mouthpiece,
conch
David Cunningham : loops, treatments, guitar, occasional percussion
all compositions giles/muir/cunningham
compiled for CD by michael giles and david cunningham july 1995
1983年に映画のサントラとしてレコーディング、ミックスされた後、1995年にリリースされた作品。
「 exploring the collision between ethnic culture and western cities
」というライナーにクレジットされている映画の解説から想像される通りの音は、デヴィッド・カニンガムによるものだと思うが、そこにジャイルズとミューアのパーカッションが重なりあうところは、充分格好良かったりする。
(追加:2016年9月25日)
1986
Trios : Company
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Jamie Muir Percussion
延べ10人のミュージシャンがトリオ・フォーマットで演奏する楽曲を収録した作品。
企画というか、思いつきが先行した作品であることは否めないが、その思いつきの凄さがこの作品の全てを表していると思う。
ミューアが参加しているのは、トリオ・フォーマットの曲と、トリオがトリオで9人で演奏している楽曲の2曲。 トリオ・フォーマットの ” TRIO - four
” では目立つところがないが、トリオがトリオの ” TRIO - trio
” の後半でパーカッションが爆発するところで、ミューアの存在感を堪能することができる。
本作品は、1986年にアナログでリリースされ、2019年にアナログ2枚組で再リリースされている。
(追加:2016年9月25日)
(更新:2020年5月10日)
1987
Going-Gone : Richard Strange & The Engine Room
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2016年9月にドクターズ・オブ・マッドネスとして来日公演を行ったスティーヴ・ストレンジが、スティーヴ・ストレンジ&ジ・エンシン・ルームとして発売した作品。
本作品に、ジェミー・ミューアの参加から想像されるフリー・ミュージック臭は全く無く、デジタル・シンセと女性ヴォーカルをフィーチャーした80年代丸出しの楽曲が並んでいる。
プロモーションをどこまでやっていたのか判らないが、売れてやろうという意思が正しく働いているように思える。
ミューアが参加している2曲に、デジタル音と絡むフリーキーなパーカッションがフィーチャーされていたら貴重な一品になっていたのだろうが、残念ながら「これこそミューアだ!」という演奏は記録されていない。
(追加:2016年9月25日)
Damascus ( Burn In The Shadows ) : Richard Strange & The Engine Room
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The Engine Room is :
Richard Strange, Vocals
James T. Ford, keyboards
Rene Eyre, vocals
Pedro Ortiz, drums and percussion
Also appearing :
Julie Hepburn, vocals
Tony de Winton Pullar, guitars
Jamie Muir, percussion
Tom Prentice, violas
ミューアが参加している楽曲 ” Damascus ” の12インチ・シングル。
ダブ・ヴァージョンの方がパーカッションが目立つかな、という編集だが、その演奏がミューアである可能性は低い気がする。
(追加:2015年9月25日)
1989
Music From New Demons : West India Company
Violin : David Cross 6
Engineers : Marcus Petersen, Alain Tasse, George Snow, Jamie Muir, Benoit Gauvin
ジェミー・ミューアは、1990年代以降音楽活動から画家としての活動に主軸を移しており、本作品は彼の音楽活動の最後期を捉えた作品である。
とはいえ本作品においてミューアは演奏はしておらず、単にエンジニアとしてクレジットされている。
エンジニアとしてミューアがどれだけの作業をしたのかはわかないし、寧ろ何もしていないと考えた方が適切なのかもしれない。
画家として活動していく上での資金集め活動にしてはセールス的に期待できる作品ではないし、本作品がEGレコードからリリースされていることから契約に基づくものかとの邪推もしたくなる。
何れにせよ、ミューアの名前がクレジットされているにもかかわらず、残念な作品である。
(追加:2016年9月25日)