1975
Forever Blowing Bubbles / Clearlight
|
Francois Jeanneau - Bubbles Synthesiser,Flute in G, Soprano Sax.
Bob Boisadan - Electric Piano, Harpsichord, Synthsiser, Organ,
Glockenspiel, Mellotron, Gongs, Congas.
Jean-Claude d'Agostini - Electric Guitar, 12-strings Guitar, Flute in
C.
Christos Stapinopoulos - Drums, Congas.
Joel Dugrenot - Bass, Lead Vocals.
GUEST FRIENDS
David Cross - Violin, Electric Violin
etc
フランス人であるシリル・ヴェルドーによるプロジェクト、クリアライトの2作目。 デヴィッド・クロスがヴァイオリンでほぼ全編参加している。
80年代後半にRadiusと平行してソロ活動を開始するまでの間、クロスがメジャーな作品をリリースすることはなく、本作品が唯一のものと言って良い。 そんなもの珍しさもあってか、プログレ名盤として取り上げられる機会が多い作品ではあるが、やはり好き嫌いが極端に分かれてしまう作品だと思う。 プログレ2級以上のユーロ・ロック・ファンには外せない作品なのかもしれないが、4級未満の人には辛い作品であると思う。
で、プログレ3級を自認する私としては、やはり「クロスが」というエクスキューズなしでは聴く機会が少ない作品である。 ヴァイオリンが唐突に絡んでくるところにゾクゾクするところはあるが、リズムの歯切れの悪さは特筆モノでがっかりする。
取り上げられる機会は本作品より少ないものの、個人的には80年代後半以降のクロスの作品の方が好きだったりする。
(追加:2003年2月10日)
1980
Hoisting The Black Flag : Various Artists
長らくレコーディング活動に恵まれなかったデヴィッド・クロスの楽曲が収録されているオムニバス・アルバム。
アルバムは全編ノイズの垂れ流しである。
本作品がリリースされたのはインダストリアルというカテゴリーが普及する前で、「圧迫感が無い人力ノイズの連続で埋め尽くす」、というコンセプトで制作されたのではないかと思われる。
クロスの楽曲も、そんな製作者側の意図にそのまま応えた内容である。
他の楽曲と比べて多少メロディアスなところもあるが、こだわりを示したというより、結果がそうなってしまったように思える。
ノイズ・ミュージックが好きで好きでたまらないという人か、北村昌士の 『
キング・クリムゾン 至高の音宇宙を求めて 』
で解説されている全作品を聴きたいという人にしか勧められない内容である。
私は後者であるが、後悔はしていない。
(追加:2020年8月25日)
1987
Low Flying Aircraft : Low Flying Aircraft
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Dan Maurer - drums, EMU II, whirled tube
Jim Juhn - guitar, bass, EMU II, percussion, whirled tube
David Cross - violins
Keith Tippett
- piano
also featurin :
Ron Linton - tenor sax on "Baptism" and "Rad",
bass clarinet on "Poolside"
Eric Drew Feldman - DX7 on "Poolside"
Paul Burwell - percussion squeek drum, bowed metal and whirled tube on
"Moronathon"
Produced by Dan Maurer an Jim Juhn
ダン・モーラーとジム・ジューンによるプロジェクトに、クロスとティペットが加わったセッションを収録した作品。
クロスもティペットも緊張感溢れる多くの傑作 ( と冗長的ないくつかの作品
)
をリリースしているが、本作品はそれらの傑作と比べると、可もなく不可もなく、といったところ。 また、クリムゾンのファンからしてみれば涎の出るような組み合わせであるが、2人の共演によるケミストリーも特には感じられない。
とはいえ、80年代特有のデジタル・シンセの音に対峙する二人の生音はやはり素晴らしく、特にパフォーマーとしてはほぼ引退状態であったクロスの復帰作ととらえると、味わい深いものがある。
どちらかというと管楽器奏者との共演の印象が強いティペットであるが、クロスと二人だけのセッションを是非聴いてみたい。
(追加:2003年12月25日)
1988
Arc Measuring : Radius
David Cross - electric violin
Steve Topping - guitars
Sheila Maloney - keyboards
John McCullough - bass guitar
Geoff Serle - drums, percussion
デヴィッド・クロスが参加するラディウスのファースト・アルバム。
表面ヅラは当時流行していたニューエイジ・ミュージック然とした側面が強く、戸惑う所が多い作品である。
聴く側にしてみれば、クロスだから、という期待が大きいわけで、ヒーリングの為に聴こうとしているわけではない。
もし本気でニューエイジ・ミュージック路線を狙っているのだとすれば、ヴァイオリン・ソロが盛り上がるかなと思うとそのまま終わってしまうことでフラストレーションが溜まってしまい、逆効果となっていることを理解してもらいたい。
従って本作品については、この後発表されるソロ名義の傑作 『 Memos From
Purgatory 』 を制作するために必要なステップだったと捉えれば良い。
(追加:2016年3月25日)
1989
Memos From Purgatory : David Cross
|
David Cross violin
Pete McPhail saxes, WIDI
Sheila Maloney keyboards, piano
Simon Murrell bass
Dan Maurer drums
デヴィッド・クロスのソロ名義の初作品。
80年代後半、ドラムマーのダン・モーラーとの共演、Radius
としてのバンド活動、と順調にミュージシャンとしての活動を復活させた時期の作品で、完成度の高い充実した作品となっている。
この時代特有のデジタル・シンセの下品な音には閉口するが、クロスはキーボードは演奏せずにヴァイオリンに特化しているのが嬉しい。 中近東風の演奏をバックにしたソロも格好良いが、緊張感の高いリフの演奏も素晴らしい。 特に
”Poppies ” のイントロにおけるリフは特筆ものだと思う。
本作品リリース後、クロスは順調にソロ・キャリアを積み重ねていくが、個人的には本作品が一番気に入っている。
(追加:2002年6月25日)
Crawdaddy : The Darling Buds
|
andrea sang harley played the guitar chris played the bass and jimmy
hit the drums.
strings on so close by david cross
女性ヴォーカリストをフィーチャーしたポップ・バンド、ダーリン・バッズの作品。
本人たちはギターを中心とした曲作りで勝負したかったのだろうが、プロデューサーの意向でキーボードのよる過度の装飾を余儀なくされた、と書けばほぼどんあ楽曲が並んでいるのか想像がつくと思うが、実際そんな程度の楽曲が並んでいる。
クロスが参加している ” So Close ”
は、ヴァイオリンが冒頭からいきなりヴォーカルと絡み期待がメチャクチャ高まるのだが、曲が進行するにつれ装飾音が多くなり、その結果ヴァイオリンが埋没、間奏部でもう一度目立つのだがそれで終了する。
過度の装飾でバンドの本質が消えただろうことはどうでもいいが、クロスのヴァイオリンをないがしろにしたアレンジは、ダメ過ぎる。
本来ならクロスのヴァイオリンがもっと目立ったであろうと期待できるだけに、非常に残念。
(追加:2016年3月25日)
Sightseeing : Radius
Geoff Serle - drums, percussion, sampling
David Cross - electric violin, ZETA midi violin
Sheila Maloney - keyboards
Tim Crowther - guitar
Simon Murrell - bass gutiar
デヴィッド・クロスが参加する、ラディウスのセカンド・アルバム。
80年代以降、クロスはソロとラディウスでの活動を並行して進めていくが、この時期作品の違いは余り感じられない。 クロスのソロ
『 Memos From Purgatory 』
が傑作だっただけに、傾向が似ている本作品(とファースト)は、その焼き直しのような印象を与えてしまい分が悪い。
自分の好きなようにヴァイオリンを弾くことができる環境を手に入れたのだから、脇を固める役を担う他のメンバーの演奏に、もう少し気をつかって欲しかった。 プリセット音をそのまま使ったようなデジタル・シンセの音色と、平坦すぎるリズム隊の演奏は、なんとかならなかったのだろうか。
(追加:2005年2月25日)
Music From New Demons : West India Company
Violin : David Cross 6
Engineers : Marcus Petersen, Alain Tasse, George Snow, Jamie Muir, Benoit Gauvin
ステファン・ラスコームという鍵盤奏者を中心にしたユニットで、インド、中近東風の音楽と、テクノ系を音楽をごちゃ混ぜにしたような楽曲が展開される。
La La La Human Steps というダンス・グループによる、『 New Demons 』
というショーのための音楽という位置づけになっている。
クロスが参加しているのは ”
Night Country ”
1曲のみだが、目立つ演奏ではない。
また、ジェミー・ミューアの名前が、オリジナルのレコーディングのエンジニアとしてクレジットされているが、こちらは何をしているのかよくわからない。
(追加:2016年3月25日)
1992
Elevation : Radius
David Cross - Electric violin, ZETA midi violin
Geoff Serle - Drum machine programming, percussion
Sheila Maloney - Keyboards, sampler
Simon Murrell - Bass guitar
Tim Crowther - Guitar
ラディウスとしての3作品。同時期にリリースされたデヴィッド・クロスとしてのソロ 『 The Big Picture 』 が1992年にレコーディングされて同年に発表されているのに対し、本作品は前年の1991年にレコーディングされている。
打ち込み中心のドラムとギスギスとしたデジタル・シンセサイザーの音色は辛く、それならいっそクロスのヴァイオリンだけにしてくれればと思ってしまう。 ソロとラディウスを並行して活動する意義がこの時期あったのだろうが、残念ながら本作品は制作時期、内容から 『 The Big Picture 』 のための習作のように思えてしまう。
(追加:2016年3月25日)
The Big Picture : David Cross
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David Cross Acoustic / Electric Violins, ZETA Midi
Violin
Dan Maurer Acoustic & Electronic Drums, Cymbals
and Percussion
Sheila Maloney Keyboards, Programming, Voice and
Origami
John Dillon Bass Guitar, Lead Voice and Shamefully
Tasteless Jokes
All tracks written by Cross, Maurer, Maloney, and Dillon
Produced by Tony Arnold, with the Band
クロスの2枚目のソロ・アルバム。
” Memos From Purgatory ”
発表後に目立った活動が無かったため、再び「あの人は今」という状態になりかけていた時に発売された作品。 Pony
Canyon
がクリムゾン関連の作品を積極的にリリースし始めた時期と重なったため、日本盤も発売された。
3曲を除きヴォーカルがフィーチャーされたことが功を奏したのか、不用意にアンビエントものに走ってないのが本作品の特徴である。 ただ曲自体に面白さがあるかというと、ちょっと厳しい回答にならざるを得ない。
” Nurse Insane ” とか ” Black Ice ”
といった曲が、全編ちりばめられていらば、もっと評価が高くなっていたと思う。
(追加:2006年7月10日)
1993
Rime Of The Ancient Sampler The Mellotron Album
|
タイトル通り、メロトロンを使用した楽曲を集めたオムニバス・アルバム。
メロトロンを使用したプログレ楽曲集ではないことが本作品の特徴で、エレクトーンのデモ演奏のようなしょうもない楽曲も収録されているし、プログレ風を狙いながらも楽曲そのものに魅力がないためパロディの域にも届いていな楽曲も収録されている。
そんな中、身内贔屓という訳ではないが、デヴィッド・クロスが参加している2曲は格好良い。
本作品がリリースされた時期、クロスは本人名義の作品とラディウス名義での作品をリリースされているが、その両方にクレジットされているキーボード奏者シェイラ・マロニーと2曲ともコラボレートしている。
ともにメロトロンとヴァイオリンの絡みが素晴らしく、特にクロス名義の ”
Not So
” は、クロスのベスト楽曲の1つに挙げたくなる程である。
(追加:2020年8月25日)
Distant Echoes : Jade Warrior
|
David Cross, Andy Aitchison electric violins
Theo Travis soprano and tenor sax
1970年代から活動するジェイド・ウォリアーの作品。
ワールド・ミュージック meets プログレを狙った結果、イージー・リスニング寄りのフュージョンというアウトプットに繋がった作品である。 更にそこに、アラン・ホールズワースになりたかったんだろうギターリストが速弾きを挟み込んで来るので、何がなんだか本当にわからなくなってくる。
デヴィッド・クロスの参加は、当時ソロ作品をリリースしていた Red Hot Records が同じくジェイド・ウォリアーをリリースしていたという関係からなんだと思う。 ただヴァイオリニストはもう一人参加していていることもあり、その活躍、貢献度はよく判らない。
(追加:2023年2月25日)
1994
Testing To Destruction : David Cross
|
David Cross The Odd Murmur, Hum, Earth Loop, Panic
Attack & Restaurant Selection. Oh -and Violins
John Dillon Blistered Poet, Bass Guitar Tonk,
Moodshifts & Lead Warble
Sheila Maloney Keyboards & Vocals, Keyboards
& Production, Keyboards & Hairdressing, Keyboards, Egg &
Chips & Keyboards
Paul Clark Guitar Acrobatics, Questionable Dress
Code & Exceptionally Engrossing Facial Contortions During The
Widdly Bits
Dan Maurer Metronomic Disorder, First To The Bar,
Drums, Click Detection & Transatlantic Phone Calls ( Hi Mom! )
デヴィッド・クロスのソロ名義での3枚目の作品。
前作までと異なりギター奏者が加わっていることが大きな特徴で、好結果を生んでいる。
先ずデジタル・シンセがフィーチャーされる場面が減っていること。 デジタル・シンセの使い方(使わせ方?)があまり上手くないクロスは、もろデジタル・シンセと言わんばかりの下品な音を選択してしまうことが多いだけに、その活躍頻度が減った本作品は聴いていて疲れない。
また、曲調の激しさを表現するのに、今まではクロスがヴァイオリン・ソロをヒステリックに演奏するパターンが多かったが、ギターの加入でその必要が無くなっている。
なかなかの好作品だと思うが、やはり内輪ウケのギャグをそのままクレジットに反映させるのはいかがなものかと思う。
(追加:2008年11月10日)
1995
There Is No Peace : Radius
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Geoff Serle Drum machine, beats, keyboards, tapes,
rap
David Cross Electric violin, Zeta Midi violin
Sheila Maloney Synthesizer, sampler
Graham Timbrell Synthesizer
Tim Crowther Guitar
Steve Topping Guitar
Pete Nettleton Electric Guitar, Pedal steel
guitar
Simon Murrell Bass guitar
John McCullough Bass Guitar
Maxine Voice
クロスがソロと並行して活動していたラディウスの作品。
元々デヴィッド・クロスらしさとは何か、と問われてもよくわからない。
クリムゾン時代のリズム隊に圧倒されてた印象と、そのクリムゾン人脈をゲストにしたソロ作品や、ニューエイジ風の中途半端な作品に一貫性がないこともその原因になっているのだと思う。
本作では、Geoff Serle
によるタイトル曲2曲での打ち込みが際立ってしまっており、これに耐えられるかどうかが本作品の評価の分かれ目となっている。
個人的にはこの2曲を飛ばして、最後の ” Aerial View II ”
でのクロスのヴァイオリン・ソロを堪能するパターンが多い。
(追加:2015年3月25日)
1997
Send : Psychomuzak
David Cross Violin on Send
Psychomuzak なるプロジェクトの作品。
リズムはあるが浮遊感溢れる楽曲群が並ぶ中、デヴィッド・クロスが1曲のみヴァイオリンで参加している。
20分にも及ぶ大曲に15分頃からヴァイオリン・ソロが登場、最後まで思いっきり弾きまくっている。
参加経緯はよくわからない。
ソロ活動に取り組んでいた時期だが、その資金集めとしては殆ど機能していないだけに、純粋に楽しんで演奏しているのかもしれない。
鬼気迫りくる演奏、というのとは違うが、好き勝手に弾いているだけに、クロスのヴァイオリンを堪能したいという要求を満たすには充分に機能している。
(追加:2014年7月25日)
2000
Civilizations : Radius
|
David Cross
Geoff Serle
Sheila Maloney
Maxine Braham
Carlo Lucius Asciutti
前作から5年振りにリリースされた、ラディウスの5作品目
” There Is No Peace ” の別テイクの収録、そっけないメンバー・クレジット、前作からのリリース間隔等から、私は本作をラディウスの純粋新作ではなく、前作までにオミットされた楽曲や、完成まで至らなかった新作のための楽曲を集めたのではないかと考えている。
本作をリリースした前年、デヴィッド・クロスは Noisy Record を立ち上げ、自身のソロ 『 The Big Picture 』を Noisy001 として再発している。 Noisy002 として本作品をリリースした後ソロ・アルバム 『 Closer Than Skin 』 を Noisy003 としてリリースするまで5年かかっているのだが、その後のクロスが充実した作品をリリースし続けることを踏まえると、Noisy Record の設立がクロスの音楽環境に大きく寄与しているのだと思う。
(追加:2021年8月25日)
2005
Closer Than Skin : David Cross
|
Lloyd : Drums
Mick Paul : Bass
Paul Clark : Guitar
Arch Stanton : Voice
David Cross : Electric Violins (Zeta and others), Keyboards
来日活動も活発なデヴィッド・クロスの久々のソロ・アルバム。
ヘヴィな曲調とクロスのヴァイオリンの絡みは秀逸で、近年のクロスの作品の中で個人的には一番好きだ。 ヴァイオリンをフィーチャーしようとした結果ニューエイジ風になった中途半端な作品や、クリムゾン人脈を多用しながらもゲストに注目が集まってしまった前作
『 Exiles 』
よりも、曲のクオリティも、アルバム全体の統一感も遙かに増している。 今までであったら「過去の栄光にしがみついている」と誤解されかねなかったであろう
” Larks' Tongues In Aspic Part II ”
のギター・フレーズの借用も、余裕を感じさせられるほどである。
今までのクロスの作品は思わせぶりなジャケットが多かったが、本作はクリムゾン人脈からは想像できない今風且つ剽軽なクロスの写真がフィーチャーされており、過去の作品と一線を引こうとするクロスの意向がこんなところからも感じられる。 バンドとしての充実度もあるのだろうが、クロスには是非この路線を突き詰めて欲しい。
(追加:2005年5月10日)
2006
Ends Meeting : David Cross Andrew Booker
|
リリースは2018年
David Cross electric violin
Andrew Booker electronic drums
デヴィッド・クロスが、Andrew Booker
という音響系ドラマーと2006年にレコーディングした作品。
クレジットはされていないがメインのインスツルメントはシンセサイザーで、Andrew
Booker
という人が元々ドラマーであるということが功を奏したのか、アンビエント系のフニャフニャとした音ではなく、しっかりと力強い音が奏でられている。
そしてそこにクロスの鋭角的なヴァイオリンが絡むという構成はスリリングで、作品として非常に魅力的なものになっている。
クロスがデュエットものを制作すると、アンビエント系の焦点が定まらない作品になってしまう場合が多いが、良い意味で本作は例外である。
(2019年7月25日)
Electric Chamber Music Unbounded : David Cross & Naomi Maki
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David Cross - Electric Violin
Naomi Maki - Piano and Voice
Recorded at Sounds Direct and Overtones Studio in London in the summer
of 2004.
All tracks composed by David Cross and Naomi Maki
デヴィッド・クロスとナオミ・マキによるデュオ・アルバム。
2005年に発売された 『 Closer Than Skin 』
は完成度が高く、クロスのソロの中ではベストとして挙げることができる作品であった。 その反動といったらそれまでかもしれないが、同時期に録音されたと思われる本作品は、敷居が高い作品となっている。
多分、クロスにとっては本作品のほうが自然に、かつ楽しんで演奏できているのだろうが、
『 Closer Than Skin 』
路線を期待した者の期待には残念ながら応えてくれていない。
過日、御茶ノ水のディスク・ユニオンで、本作品の未開封品が半額で売られていた。 クリムゾンのファンとして、クロスがこのような扱いを受けるのは悲しい。 是非、再びコマーシャルにも訴える作品をリリースしてもらいたい。
(追加:2007年8月15日)
Alive In The Underworld : David Cross Band
David Cross : Electric Violin
Mick Paul : Bass
Paul Clark : Guitar
Arch Stanton : Voice
Joe Crabtree : Drums
Alex Hall : Keyboards
In March 2006 the band played concerts at the Robin in Bilston, at the Stables in Milton Keynes and the Underworld in North London, where the nine live tracks on this album were recorded.
クリムゾンとクロスのソロを中心に選曲された David Cross Band
のライヴ・アルバム。
David Cross Band としての傑作スタジオ・アルバム 『 Closer Than Skin 』
の勢いそのままのライヴだけに、間を開けずにリリースをしていればもう少し話題になったのではないかと思う。 2006年レコーディングで2008年リリースというのはもったいない。
ただ演奏が充実している一方、ヴォーカルの弱さがライヴでは際立ってしまっている。 ライナーによれば既にメンバー・チェンジをしているとのことだが、実力派ヴォーカリストの加入などということは期待はできない。 それよりもインスト志向を強くして、スタジオ作ではウェットンがゲスト参加、ライヴではメンバーが兼任、というパターンでも充分ではないかと思う。
(追加:2010年10月10日)
2009
Electric Chamber Music Vol.2 English Sun : David Cross And Andrew Keeling
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David Cross Electric Violin
Andrew Keeling Flute
デヴィッド・クロスと、クリムゾンのアルバム解説本をだしているアンドリュー・ニーリングによる作品。 「
Electric Chamber Music Vol.2 」とクレジットされており、Naomi Maki
との作品の続編という位置づけになる。
エコーが深くかかったヴァイオリンとフルートで構成される楽曲は、室内楽からは程遠く、ちょっと五月蝿めのアンビエント・ミュージックといったところ。 悪い意味ではなく、聴き流すには最適な音楽だと思う。
Naomi Maki との前作と異なり、「 Electric Chamber Music 」
シリーズが、David Cross Band と並行して続いていくことを期待したい。
(追加:2011年4月10日)
Prog Family : Osanna & David Jackson
|
オザンナとデヴィッド・ジャクソンの名義で発表された作品で、オザンナの楽曲と、ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーターの
” Theme One ” が再演されている。
もう、見事としか言いようない。
過去楽曲の再演、B級ではないが超A級ではない組み合わせ、とカタログ・スペックだけだと否定的に思えるかもしれないが、聴いてみればそんなことは全く無く、心の奥底のプログレ魂がひたすら揺さぶられる。
綺麗にまとまりすぎている所も多少あるが、新作(といってももう10年以上前になるが)プログレ名盤として、もっと評価されてもよいと思う。
そんな作品に、デヴィッド・クロスは1曲のみヴァイオリンで参加している。
ゲスト・ヴァイオリニストがフィーチャーされた楽曲は他にもあり、1曲と言わず全てに参加して欲しかった。
(追加:2021年1月25日)
2011
The Live CD & DVD : Arti & Mestieri
CD Live in CLUBCITTA' Kawasaki Japan " Italian Progressive Roc k Festival "
DVD Live In Veruno Italy " 2 Days Prog +1 "
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リリースは2013年
アルティ・エ・メスティエリのライヴ盤。
この時期、Jakszyk, Fripp and Collins の作品がリリースされたり、クリムゾン・プロジェクトでクリムゾンの楽曲がカヴァーされたりしていて、旧メンバーの邂逅にザワザワしていたのを良く覚えている。
CDとDVDの2枚組なのだが収録場所が異なり、CDは2011年11月5日のCLUB CITTA'での来日公演が、DVDには同年9月2日にイタリアのヴェローナで行われたプログレ・フェスの映像が収録されている。 そしてこのイタリアでのフェスにはデヴィッド・クロスとメル・コリンズが参加している。
クロスとコリンズはゲスト参加以上の活躍をしていて、ヴァイオリン奏者もサックス奏者もいなかった来日公演の演奏と比べ、オリジナル楽曲の再現度も高まっている。
更に、クリムゾンの ” Exiles ” をカヴァーしているだけではなく、デュエットで ” Veruno ” なる美しいインストを演奏している。 即興曲のタイトルに演奏した土地の名前をつけているところはクリムゾンぽかったりするけど。
(追加:2023年10月25日)
2016
Cold Sky Blue : Cross & Quinn
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David Cross : Electric Violin
Sean Quinn : Keyboards, Drum Programming & Vocals on " On
Spider Hill "
Seamus Quinn : Bass, Electric & Acoustic Guitars, Loops
Beth Hirsch : Vocals on " Cold Sky Blue "
Brendan Staunton : Vocals on " Counting All Stars " &
" Meaningless "
Paula Gilmer : Vocals on " For Someone "
Thomas Truax : Vocals & Hornicator on " The M-Chord "
Eugene Somers : Cymbals on " On Spider Hill "
デヴィッド・クロスとショーン・クイン(だと思う、日本語表記)によるアルバム。
自身のバンドでのロック色の濃い作品や、所謂プログレ系バンドでの客演をする時のクロスの演奏は格好良いものが多く個人的に愛聴している。
一方、特定のミュージシャンと組んだデュオものは、正直なところ当たり外れのブレが大きい。
本作はどちらかと言えば後者で、デジタル色が強すぎるバックとヴァイオリンの絡み、中途半端なヴォーカル曲との共演に、クロスの良さはあまり出てこない。
かと言って、クロスの経済状態に大きく寄与することで自身のバンド活動に回すことができるような作品でもなく、、クロスにとってメリットがどれほどのものなのか、疑問が残ってしまう。
(追加:2016年6月25日)
Sign Of The Crow : David Cross Band
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Jinian Wild : Voice
David Cross : Violin
Paul Clark : Guitar
Alex Hall : Keyboards ( On Tracks 2,3,4 )
Mick Paul : Bass
Craig Blundell : Drums
近年多作化が進むクロスによる、デヴィッド・クロス・バンド名義での作品。
ダークなプログレなのに格好良い、と表現すれば良いのだろうか、ここ数年におけるクリムゾン参加ミュージシャンによる作品の中でも、ベストの一つに挙げることができる素晴らしい内容である。
環境音楽もやった、クリムゾンのカヴァーもやった、フリップとも再演した。 そしてそれらで成果を出したクロスが、そうじゃないもの、を目指した結果が本作品だとするならば、あまりにも素晴らしい。
特に1曲目から3曲目までの力技で押しまくるような展開には、誰でも圧倒されるはずである。
本作品のプロモーションのためにクロスは来日したが、やはりライヴを観たい。
単独公演が難しいなら、例えば Stick Men
との2部構成(ゲスト参加ではなく)のライヴとかでも実現してもらえないだろうか。
そう期待したくなる程の作品である。
(追加:2016年9月25日)
2018
Another Day : David Cross & David Jackson
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David Cross Electric Violin & Keyboards
David
Jackson Flute, Saxophones, Keyboards &
Soundbeams
Mick Paul Bass
Craig Blundell
Drums
元ヴァン・ダー・グラーフ・ジェネレーターのデヴィッド・ジャクソンと、デヴィッド・クロスとの名義による作品。
二人のインプロだけで作品を創り上げるという選択肢もあったと思うのだが、現デヴィッド・クロス・バンドのリズム隊を参加させ、しっかりと作曲した楽曲が収録されている。 その上で、二人がユニゾンでリフを弾く、一人がリフで一人がソロを弾く、二人でソロを弾く、という展開が読めない演奏はスリリングで、ライヴを観てみたいと思わせる程である。
リリースがアナウンスされた段階では、キワモノ作品で終わってしまうのではないかと勝手に危惧していたのだが、予想を遥かに上回る素晴らしい内容となっている。
(追加:2018年8月10日)
Crossing The Tracks : David Cross
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All Tracks Violin By David Cross
デヴィッド・クロス名義で発表された作品。
プロデューサーとしてクレジットされている
Jürgen Engler(ユルゲン・エングラー、多分)が用意した楽曲に、クロスがヴァイオリンを加えた作品らしいが、何分情報が少ない。
打ち込み中心の音ではあるが、ライナーには、クロスとヴォーカリスト以外はクレジットされていない。
女性ヴォーカルとの絡みや、インド風楽曲での演奏は目新しいが、David
Cross Band 名義の 『 Sign Of The Crow 』
や、デヴィッド・ジャクソンとの 『 Another Day 』
といった神がかったような作品と比べると、クロス自ら企画に便乗してリラックスして取り組んだ作品なのかもしれない。
(追加:2018年8月10日)
2019
Crossover : David Cross & Peter Banks
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David Cross - Violin
Peter Banks - Guitar
デヴィッド・クロスとピーター・バンクスによるデュオ・アルバム。
クロス自身によるライナーによると、2人は2006年にデヴィッド・クロス・バンドのツアー中に知り合い、4年後の2010年に2人でレコーディングしている。
この時のマテリアルの上に、本作品リリースにあたりゲスト・ミュージシャンによる演奏を被せて完成させている。
経緯をつらつらと記載してしまったが、クロスによるこの試みは大成功している。
2人だけのインプロを中心とした演奏だけだと内向きな内容になりかねなかったはずだが、ポピュラリティを高めたことによって亡くなったバンクスとの活動を広く伝えたいというクロスの希望が実現している。
David Cross Band 名義の 『 Sign Of The Crow 』
や、デヴィッド・ジャクソンとの 『 Another Day
』 といった傑作を、次々にリリースしている最近のクロスだからこそ仕上げることができた内容なのかもしれない。
(追加:2021年1月25日)
Sulle Ali Di Un Sogno : Le Orme
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イタリアのプログレ・バンド、レ・オルメによるセルフ・カヴァーを中心に構成した作品。
オリジナル楽曲を聴き込んでいるわけではないので、カヴーによる差異がどのあたりなのか良く判らない。 ただそんな立場にしてみると、美メロは満載だし、ハッとするようなアレンジではなくこう来るだろうなと想像した辺りをほぼ攻めてくるtところも安心して聴いていられる。
本作品におけるデヴィッド・クロスの立場は客演ではあるものの、その活躍度は高い。 参加している楽曲においてソロやヴォーカルとの絡みで、ほぼメイン・インストゥルメントとしてフィーチャーされている。 エレクトリック・ヴァイオリンの音色が強調される所が一部あり、その辺りはチョッと聴いていて辛くなる時があるけど。
(追加:2023年10月25日)
2021
Electric Chamber Music Vol.3 October Is Marigold : David Cross & Andrew Keeling
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David Cross : Electris violin ( Zeta Jazz violin, Violectra )
Andrew Keeling : Flute, keyboards and guitar
デヴィッド・クロスとアンドリュー・ニーリングによる2作目で、かつ Electric Chamber Music シリーズの3作品目。
エコーが深くかかったヴァイオリンとフルートという構成は前作と同じである。 ただ各楽器の音色、特にヴァイオリンがふくよかで気持ちの良い音色になっているのが特徴である。 門外漢がヴァイオリンの音色に言及するのもどうかと思うが、この音色の差は録音技術の向上によるものではなく、デヴィッド・クロスの演奏によるものだと思う。
2010年代半ば以降クロスの新作がリリースされる度思うのだが、充実した素晴らしい作品である。
(追加:2021年4月10日)
Parallel Lives : Mick Paul
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Mick Paul Bass : Guitar : Vocals Track 4
Sheila Maloney Piano : Keyboards : Synthesized Sound Design
Steve Roberts Drums : Gongs
Jinian Wilde Vocals
Craig Blundell Drums Track 2 & 4
David Cross Violin Track 4
David Jackson Flute & Whistles Track 9
Paul Clark Guitar ( Loud ) Track 12 & 14
Dennis Mahon Vocals Track 12
Geoff Winkworth Guitar Track 6
デヴィッド・クロス・バンドやクロスのソロ作品に参加していベーシスト、ミック・ポールのソロ・アルバム。 ミックにポール、凄い名前だと思う。
ベーシストのソロ・アルバムということでテクニカルな作品なのかと思い構えて聴いたのだが、実際はヴォーカルをフィーチャーした歌モノで、テクニカルな所を表面上に出さないようしているミック・ポールのミュージシャンとしての度量の深さを感じることができる。
キーボードのシーラ・マロニーがヴァイオリンを意識したであろうソロを弾くため、クロスが多くの楽曲に参加しているように思えてしまうが、クロスはアルバム・タイトル曲の ” Paralle Lives ” のみに参加している。 アタック音が思いっきり強いギターのようなソロがもしかしたらクロスなのかもしれないが、良い人クロスだけに主役より目立たないようにバックの音に溶け込んでいるだけかもしれない。
(追加:2023年2月25日)