1981
Mujician : Keith Tippett
リリースは1982年
Piano solo
Recorded at FLÖZ / Berlin
December 3rd and
4th, 1981
紛らわしいのであらためて整理。 1980年代にティペットがソロでリリースした作品名に「 Mujician
」があり、1990年代以降ティペットがカルテットで演奏する際のグループ名に「 Mujician
」がある。本作品はティペットがソロでリリースした「 Mujician 」シリーズの第1作であり、1982年にリリースされている。
肉声を重ねた ” I've got the map, I'm coming home ” や、プリペアード・ピアノの ” I hear your voice again
” も良いが、やはり ” All time, all time ” の凄まじさが際立っている。
低音部の連打はピアノではなくパーカッションの演奏を聴かされているようで、ピアノが構造上打楽器であることを嫌と言うほど思い知らされる。
本作品の成功が、ピアノ・ソロの「 Mujician 」のシリーズ化に繋がったことは間違い無い。
(追加:2019年8月25日)
First Encounter : Howard Riley / Keith Tippett
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リリースは2001年
Recorded / 22nd May 1981
In a live concert at / Goldsmith's College, London
Howard Riley / Piano
Keith Tippett / Piano
ハワード・ライリーとキース・ティペットの初めてのデュオ演奏を収録した作品。
ライリーによるライナーによると、アンコールを含めライヴ全編を収録しており、そのライヴ前にはリハーサルもディスカッションとも行わなかったとのこと。
勿論このパターンはその後のデュオ作品にも引継がれていくだが、やはり本作品には熟れていないところがある。
特にアンコールで演奏したと思われる ” Twenty First Century Blues
” は、緊張感が切れたのか演奏がだらけてしまっている。
キース・ティペットに対してはハズレの作品が無いと言っても過言でないだけに、本作品は珍しいかもしれない。
(追加:2018年10月25日)
Elton Dean's Ninesense Suite Beckett / Miller / Moholo
Elton Dean's Ninesense
Beckett / Miller / Moholo
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リリースは2011年
Elton Dean's Ninsense
Elton Dean
Saxello, Alto Saxophone
Alan Skidmore Tenor Saxophone
Marc Charig
Trumpet
Harry Beckett Trumpet
Nick Evans
Trombone
Radu Malfatti Trombone
Keith Tippett
Piano
Harry Miller Bass
Louis Moholo
Drums
Jazzwerkstatt Peitz No.41
June 20, 1981
メディア化された中では、エルトン・ディーンズ・ナインセンスの最後期の演奏を収録している作品。
他のエルトン・ディーンズ・ナインセンスの作品と大きく異なっているのは、同バンドとバケット・ミラー・モホロのトリオによる楽曲がカップリングされているというフォーマットだけではなく、その収録されている楽曲の内容である。
エルトン・ディーンズ・ナインセンスの楽曲は、綿密に作曲されたパートと自由度が高いソロ・パートを組み合わせたものが多いのだが、本作品収録曲は40分超各自がインプロを繰り広げている。
9人もの奏者がインプロを繰り広げればを崩壊してしまってもおかしくないのだが、個々の技量の高さとバンドとしての経験故か崩壊することなくとどまっているように思えるが、やはり冗長的な印象が強い。
キース・ティペットの演奏もそれ程際立ったものではない。
(追加:2018年6月25日)
1982
Epiphany : Company
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Epiphanies I-VI : Company
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Epiphanies VII - XIII : Company
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Ursula Oppens Piano
Fred Frith
Electric Guitar, Live Electronics, Percussion
George Lewis
Trombone
Anne Le Baron Harp
Akio Suzuki
Glass Harmonica, Analapos, Spring Gong, Kikkokikiriki
Julie Tippetts
Acoustic Guitar, Voice, Flute
Moto Yoshizawa Bass
Keith Tippett Piano
Phil Wachsmann
Violin, Electronics
Derek Bailey Acoustic & Electric
Guitars
These recordings were made between June 29 and July 3, 1982 in London during Company Week.
カンパニーの1982年のライヴを収録した作品。 元々は今回紹介する 『
Epiphany (以下 『 黄 』)
』 と 『
Epiphanies I-VI(以下 『 青 』)
』 に相当する内容が
『 Epiphany 』 というタイトルで2枚組LPとして1982年にリリースされており、2019年に 『 黄 』 と 『 青 』
に加え当時の残りの音源を収めた 『
Epiphanies VII-XIII (以下 『 赤 』 )』 がリリースされた。 『 黄 』 が45回転2枚組、『 青 』
が33回転2枚組、そして 『 赤 』 が33回転3枚組というの、ヴォリュームが多いのか少ないのか判りにくいフォーマットとなっている。
カンパニーの作品は、1981年、1983年、1986年のミューア入りライヴが既に再発されており、今回の1982年のライヴにはミューアは参加していない一方、キース・ティペットが参加している。
全員で演奏している 『 黄 』 の他、” Forth ”、” Fifth ”、”
Thirteenth ” でティペットは演奏しているのだが、総じて相性が悪いように思える。
多くを語らない単音の積み重ねがカンパニーの特徴とするならば、ティペットの演奏は余りに雄弁、かつ積み重ねることより対峙することが多いためである。
本来ならば、フレッド・フリスとのデュオ作品である ” Thirteenth ”
などは話題性充分のはずだが、ティペットの演奏には窮屈さのようなものを感じてしまう。
(追加:2020年5月25日)
Tern : Louis Moholo ・ Larry Stabbins ・Keith Tippett
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リリースは1983年
Keith Tippett - Piano
Larry Stabbins - Soprano &
Tenor Sax
Louis Moholo - Drums
Recorded during The " Total Music Meeting " Performances On November 3rd & 5th, 1982 At The "Quarter Latin" in Berlin.
サックス奏者のラリー・スタビンスとルイ・モホロとのトリオでの作品。
ピアノ奏者/非ピアノ奏者とのデュオでもなく、バンド編成でもなく、サックス、ドラム、ピアノというキース・ティペットにしてみると珍しいパターンでの演奏である。
単音楽器であるサックスとの共演ということもありティペットはそのソロのバックアップを担当する、などという場面も無いわけではないが、3人がガチに音をぶつけ合う演奏がほとんどで、2枚組LPにたっぷりと収録されているヴォリュームとともに、ひたすら圧倒されてしまう。
本作品の初聴時、私は深夜であったため音量を絞っていたのだが、” Tern ( Second Part ) ”
の後半にサックスとドラムのみのパートにエアコンの室外機の低音のような音が聴こえたため、レコーディング時のノイズだと思った。
だがそれがあまりにも長く続くので恐る恐る音量を上げたところ、それがティペットによる低音連続演奏だと判り驚愕したのを覚えている。 最初から音量を上げて、いやそれ以前にしっかりとした再生装置で聴いていたらこんな勘違いはしなかったはずだが、逆にこの勘違いによってティペットの凄さを改めて認識することができた。
(追加:2020年10月25日)
1983
Live at Ronnie Scotts : Weekend with Keith Tippett
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Recorded live at Ronnie Scotts on Sunday 20th March 1983 by Grant Showbiz from Street Level Studios
所謂ニュー・ウェイヴの終末期に、元ヤング・マーブル・ジャイアンツのヴォーカルだったアリソン・スタットンを中心に結成されたウィークエンドのライヴ・アルバム。 3曲目まで(A面)がヴォーカル・ナンバーで、残り(B面)がインスト。 キース・ティペットはスペシャル・ゲストとしてフィーチャーされている。
アリソン・スタットンの表層的で深みのない気取っただけのヴォーカルはウンコ以下だと思うが、ヴォーカル・パートと絡むピアノは、”
Cat Food ”
を彷彿させるところがあり、格好良い。 またインストにおいても、ピアノ・ソロのパートが多く、ティペットのピアノを堪能することができる。
アルバム発表当時、ティペットの活動がクローズ・アップされる機会は少なく、本アルバムでティペットの名前が出てきたときにはかなり唐突な印象だったと記憶している。 ティペットが客演というかたちで自分のフィールド外のミュージシャンの作品に参加することは極端に少ないだけに、内容の良さも相まって、それなりにめずらしい作品だと思う。
ブルーフォードのように、(良い意味で)お金のために仕事をする、という割り切りができない性格なのかもしれない。
(追加:2002年2月25日)
1984
A Loose Kite In A Gentle Wind Floating With Only My Will For An Anchor : Keith Tippett Septet
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リリースは1986年
Larry Stabbins - tenor / soprano saxes
Elton Dean
- saxello / alto sax on Dedicated To Mingus
Marc Charig - cornet /
tenor horn
Nick Evans - trombone
Paul Rodgers - double bass
Tony
Levin - drums / percussion
Keith Tippett - leader / piano
This music was recorded live by the BBC during the septet's national tour, at the Barnfield Theatre, Exeter, on the 25th October 1984.
キース・ティペット・セプテット名義での作品。 編成がセプテットということ以上にそのメンバー構成が特異で、Mujician
のリズム隊をバックに、エルトン・ディーンズ・ナインセンスのフロントが演奏していることになる。
エルトン・ディーンにしてもキース・ティペットにしても、自分の名前がタイトルにクレジットされていようがいまいが弾きまくることには変わりなく、2人の対峙が中心となっている。
4面に渡るタイトル曲は、モチーフが判りやすい始まりからフリーな演奏に突入し、泣きのメロディも出てくるメランコリックな演奏に展開していく。
そしてアンコールとして演奏したと思われる ” Dedicated To Mingus ” さえも10分強の演奏でたたみかける。
本編成と近い編成の作品として、1996年に Dean / Dunmall / Levin / Rogers / Roswell /
Tippett 名義での 『 Baldik 』 があるが、レヴィンとロジャースの自己主張が未だ少ない分、『 Baldik 』
に以上にディーン&ティペットの破壊力は強い。
(追加:2020年8月10日)
In Focus : Howard Riley / Keith Tippett
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リリースは1985年
Recorded live at a concert given on 13th June 1984 at the Tramshed, Woolwich, London as part of the Grennwich Festival
ハワード・ライリーとのデュオ作品。
ライナーを書いている Kenneth
Ansell
という人によると、ライリーがテーマを発展させ多層化することに厳格だが、ティペットは楽器のテクスチャとハーモニックを拡張していくことに関心があるとのこと。
わかったようなわからないような解説である。
私はハワード・ライリーの単独演奏は、後述する 『 Pianoforte
』 でしか聴いたことが無いのだが、ティペットと比べて端正な演奏をしているとの印象が強かった。
本作品を聴いていると、ティペットの演奏に煽られてか、ライリーがその端正な演奏から逸脱してよりフリーな演奏に取り組んでいるように思える。
ここまで来ると好き嫌いは完全な個人の好みになるのだが、演奏能力を含めた音楽的素養が無くても、ティペットはやっぱり凄いんだということがわかる作品である。
(追加:2010年10月25日)
1985
Mercy Dash : Hopper / Dean / Tippett / Gallivan
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drums, percussion moog synthesiser : Joe Gallivan
bass :Hugh Hopper
piano : Keith Tippett
alto, saxello : Elton Dean
ヒュー・ホッパー、エルトン・ディーン、キース・ティペット、ジョー・ギャリヴァンの1977年のライヴを収録した作品。
どこまでが作曲によるものなのか、どこからがインプロなのか、その境界線が良い意味でわからなくなっているのは、ライヴが充実しているからこそなのだと思う。
イントロ、と言いながら、全体の三分の一をも占める ” Intro ”
からしてティペットのピアノの活躍度は前作以上で、破綻直前まで追い込む各楽器との絡み、そして圧倒的なソロの凄さを堪能することができる。
(追加:2016年12月25日)
1986
Mujician II : Keith Tippett
Piano solo
Recorded Live On June 13th, 1986 During The "Just Music" Concert Series At The FMP-Studio, Berlin
キース・ティペットの 「 Mujician 」
シリーズの2作品目で、前作から5年後のレコーディングとなる。
長尺1曲をLPフォーマットのため2曲に分けたのではなく、1曲めが終了したところで観客の拍手も収録されている。
プリペイドピアノを多用した1曲めも、低音の不気味なフレーズから始まる弾きまくりの2曲めも、どちらもいかにもティペット!、と言わんばかり内容である。
ただ、マイクの設置位置の問題だと思うが、ピアノの低音部がこもりながら割れていてしまっており、聴いていると気になってしまう。
ジャケットには長めのコートを着て演奏するティペットの姿が捉えれているのだが、実際の演奏時にも着用しているとは考えられず、宣材用写真と思われる。
(追加:2019年8月25日)
Cathanger '86 : Dreamtime
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リリースは2004年
Roberto Bellatalla double bass
Gary Curson saxes
Jim Dvorak
trumpet
Nick Evans
trombone
Jim Lebaique drums
Keith Tippett
piano
Recorded and produced by Wally Brill at Cathanger Studios, Somerset, June 1986
ドリームタイムのセカンド・アルバムとして1986年に録音されながら、後述する 『 Zen Fish 』
レコーディング後の2004年にリリースされた作品。
1986年にリリースできなかったものが2004年にリリースされているからといって、2004年においてジャズ・ロック市場への状況が好転したわけではない。 埋もれることなく本作品が発掘されたことを感謝するしかない。
90年代になってバンドとしての Mujician
として活動するまでの間、特に80年代後半におけるキース・ティペットの録音作品はピアノ単独によるものが多く、こうした所謂ジャズ・ロック作品は殆ど無い。
管楽器3本と対峙するとなると期待は滅茶苦茶高まるのだが、正直な所活躍度は高くない。
スタジオ録音作品でありながら参加していない曲もあり、当人としても客演というスタンスが強かったのかもしれない。
(追加:2021年2月10日)
1987
Mujician III ( august air ) : Keith Tippett
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リリースは1989年
Recorded live during the 'JUST MUSIC' concert series on June 25th + 26th 1987 at the FMP-Stusio, Berlin) In Berlin.
ティペットがソロでリリースした「
Mujician 」三部作のラスト。
妻への愛をそのままタイトルにした23分にも及ぶ1曲目も良いが、47分にも及ぶタイトル曲の演奏が凄まじい。
後半の高音部の早弾きとプリペアード・ピアノの組み合わせに至るまで、なんと30分超も低音部の連打を中心とした演奏が続くのである。 低音部を中心とした演奏、ではなく、低音部の連打である。
ジャズ・ミュージシャンとしての演奏能力と精神力の成せる技だと思うが、聴く側にも相当な覚悟が必要とされる。 「8月の空気」などというタイトルとはほど遠い緊張感がそのままパッケージされた作品だと思う。
(追加:2006年5月25日)
Mr. Invisible and the Drunken Sheilas supported by Mr. & Mrs. Disgraceful presented by Honest Spiv Faber and Eric Wetherall with the kind permission of The Sheila Duncan Trio : Tippett ・ Nicols ・ Tippett
リリースは1989年
Julie Tippett - voice
Maggie Nicols - voice
Keith Tippett
- piano
Recorded live on June 27th + 28th, 1987 during the 'Just Music' concert series by Jost Gebers at the FMP-studio.
キース・ティペットのピアノとジュリー・ティペットのヴォーカルといういつものデュオに、女性ヴォーカリスト、マギー・ニコラスが加わった作品。
ティペット夫妻だけのデュオ作品、夫妻の他に多くのメンバーが参加した作品というのは多くあるが、夫妻に女性ヴォーカリスト一人だけが参加したという作品は珍しい。 特にデュオ作品はパートナー同士だからこそ成り立った世界があったと思われるだけに、そこにジュリー・ティペットと同じヴォーカリストが参加することは、劇薬の注入に等しかったのではないかと思う。
ただその劇薬は見事に機能している。 ジュリー・ティペットとマギー・ニコラスはほぼ全編徹底的に張り合っている。 そしてキース・ティペットもそこから生まれる緊張感に触発されたかのような激しい演奏もすれば、時には二人の緊張感を解すような優しいメロディを奏でたりしている。
予想を遥かに上回る完成度の高さとともに、インプロの真骨頂を堪能することができる作品である。
(追加:2022年1月10日)
Low Flying Aircraft : Low Flying Aircraft
Dan Maurer - drums, EMU II, whirled tube
Jim Juhn - guitar, bass, EMU II, percussion, whirled tube
David Cross
- violins
Keith Tippett - piano
also featurin :
Ron Linton - tenor sax on "Baptism" and "Rad", bass clarinet on
"Poolside"
Eric Drew Feldman - DX7 on "Poolside"
Paul Burwell - percussion squeek drum, bowed metal and whirled tube on
"Moronathon"
Produced by Dan Maurer an JimJuhn
ダン・モーラーとジム・ジューンによるプロジェクトに、クロスとティペットが加わったセッションを収録した作品。
(追加:2003年12月25日)
1988
Couple In Sprit : Keith & Julie Tippett
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Mixed by Robert Fripp
Produced by Keith and Julie Tippett
ロバート・フリップがミックスを担当した、キース&ジュリー夫妻の作品。
夫婦ならでは、と安易に言い切れるようなケミストリーは、本作品においては発生していない。
キースのピアノのジュリーによるヴォーカル(発声)の絡みの妙はゼロとまでは言わないものの、あまり感じられない。 デュオによる楽曲と各々のソロを1曲ずつという整合性のある構成で、小さくまとまっていることにも原因があるように思える。
2人でやってみたら期せずして歪な構成のこんな作品になりました、なんて感じで提示された作品であったら、もっと凄いことになっていたに違いない。
フリップがクレジットされていることだけでありがたく拝聴するまでには至らない作品である。
(追加:2017年3月10日)
1989
Fire In The Mountain : Working Week
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Keith Tippett Piano on Waiting in Vain and Fire from the mountain
おしゃれジャズを標榜する、泣きたくなる程ウンコ以下のバンドの作品。
ウィークエンドからの流れで、サックス奏者のラリー・スタビンスが一時の気の迷いで結成しただろうワーキング・ウィークの作品に、律儀にキース・ティペットが参加する必然性な無かったと思う。
「シャレオツ、シャレオツ、シャレオツ...」と念じながら吹いていたであろうスタビンスのサックスのバックでティペットはピアノを演奏しているのだが、サックスを前面に押し出したミックスがなされているためピアノの演奏が目立っていない。
おしゃれに付き合うことなく自分の演奏を繰り広げるティペットの潔さは素晴らしいが、その弾きまくっている演奏が目立っていないのが残念である。
(追加:2017年12月25日)
1990
The Dartington Concert : Keith Tippett
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リリースは1992年
Performed by Keith Tippett in The Great Hall, Dartington on 2nd August 1990 during the Dartington International Summer School
キース・ティペットのピアノ・ソロ作品。
今年2013年の来日公演は凄まじかった。
少人数しか入らない会場で1時間弱の演奏に集中するティペットを観ることができたのは幸せだった。
これをラッキーと思う一方で、残念ながら今のティペットに大人数を集める集客力が無いのも事実だろう。
本作品がレコーディングされた The Great Hall なる場所も、千人収容できる施設とはとても思えない。
中々難しい関係である。 人気が殺到すれば大ホールでの演奏が必要となるがソロ・ピアノ・コンサートとしては成り立たない。
一方これだけの演奏に接する機会が少ないのはもったいない。
その穴埋めをしてくれるのが、本作品のようなライヴ・レコーディングである。
ティペットが一体何枚のピアノ・ソロ作品をリリースしているかわからないが、どれをとっても本作品と同じように高品質なのだろう。
ただティペットのピアノ・ソロを聴くには、体調が良い時に限る。
テンションの高さに圧倒され、ある程度以上の疲労感を感じてしまうからだ。 まぁ、それがまた快感なのだが。
(追加:2013年3月25日)
The Vortex Tapes : Elton Dean
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リリースは2002年
Elton Dean, Keith Tippett, Louis Moholo, Marcio Mattos
エルトン・ディーンが、1990年9月に The Vortex Club (多分現在の
Vortex Jazz
Club )で行ったライヴを収録した作品。
5日のライヴから1曲ずつ収録されているため、日によって参加メンバーが異なるのか、曲毎に参加メンバーが異なっているのか判らないが、キース・ティペットが参加している楽曲は2日目の1曲のみ収録されている。
ただ、この1曲は凄い。
ソリスト2人の対決と言えば良いのだろうか、お互いの演奏に煽り煽られ、というより、相手を煽ることだけに徹したような演奏が繰り広げられている。
ティペットとエルトン・ディーンの組み合わせが最良な形で現れた楽曲の1つである。
(追加:2017年9月25日)
Ophelia's Shadow : Toyah
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Thank you to Keith Tippett for Keyboards on " Lords Of The Never Known ”
トーヤは EG からソロ・アルバムを3作出しているが、これはその3作品目。
その3作の中でフリップの関与は一番少ないのだが、キース・ティペットが凄まじいピアノ・ソロを演奏している。 最終曲の ”
Lords Of The Never Known
” で3分のヴォーカル・パートが終了した後、1分30秒にも及ぶ演奏を繰り広げている。
トーヤのヴォーカルどころか、他の楽器との絡みも一切なく、只々独りピアノを演奏している。
トーヤに対しては大変申し訳無いのだが、本作品はラスト1分30秒を繰り返し聴くことが多い。 それだけ凄い演奏である。
(追加:2017年12月25日)
The Journey : Mujician
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リリースは1992年
Paul Dunmall - Eb clarinet, soprano, tenor, baritone
saxophones
Tony Levin - Drums, percussion
Paul Rogers - Double bass
Keith Tippett - Piano
Recorded June 2nd, 1990 at St. Georges Hall, Bristol,
England - Bath Festival
Broadcast on Radio 3
First Broadcast Data : June 9th, 1990
キース・ティペットが、ソロとして発表した作品に「
Mujician
」とタイトルされた作品があるが、本作品は彼がカルテットで演奏するグループ「
Mujician 」の作品。
紛らわしいついでに記載すると、本作品にクレジットされているドラマー「Tony
Levin」はクリムゾンの人とは別人だし、ベーシスト「ポール・ロジャース」もフリー(最近ではクイーンか)の人とも異なる。
1曲55分の作品は、どの程度の決まり事がなされた上でのインプロなのかわからないが、だれることなく一気に演奏されている。 ティペットのソロ作品と比べて楽器がバラエティに富んでいるだけ敷居が低くなっており、ティペット入門作品として適しているかもしれない。 ただティペットのピアノに圧倒される場面は、当然ソロ作品より少なくなってしまっているのが残念。
(追加:2006年10月25日)