2001
Drawn From Life : Produced By Brian Eno & J.Peter Schwalm
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Composed And Performed By Brian Eno & J.Peter Schwalm
Leo Abrahams Guitar On ", "Rising Dust" And "Like
Pictures Part #2"
Nell Catchpole Live Strings On "Persis","Like Pictures
Part #2", "Intenser", "Bloom" And "Rising Dust" Voice On
"Intenser"
Holger Czukay IBM Dictaphone On "Like Pictures Part #1"
Heiko Himmighoffen Percussion On "Night Traffic", "Rising Dust"
And Intenser"
Lynn Gerlach Voice On "Rising Dust"
Irial And Darla Voices On "Bloom"
Michy Nakao Voice On "Like Pictures Part #1"
イーノとピーター・シュワルムによる作品。 シュワルムとは、『 Music for 陰陽師 』
に続く共同制作作業となるのだが、リリース時期が近いことから、同時期にレコーディングされた楽曲が2つに分かれてリリースされたと考えるのが適切だと思う。
ゲスト・ミュージシャンが多いことに起因しているのか、前半はメリハリがあるインスト曲が続くのだが、終盤になると無音に近いアンビエントが楽曲によって占められる。
イーノのアンビエント作品を聴く時、「今からアンビエント作品を聴くぞ」と構えてしまう所が私にはあるのだが、本作品はいつの間にかアンビエントな楽曲を聴くことになる。
なんとなくアンビエントな音楽を聴いている、というのがイーノの望む所だとするのなら、本作品の構成は見事である。
(追加:2016年5月25日)
Pleased To Meet You : James
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Produced by Brian Eno With Saul Davies.
Except
Track 2 Produced by Brian Eno & K.K.
Track 11 Produced by James, Brian
Eno & K.K.
四度、イーノがプロデュースしたジェイムスの作品。
イーノとの関係が究まったのか極まったのか、よく判らい領域にまで達した作品である。
ジェイムスというバンドの資質は判らないし、イギリスにおけるポジショニングもチャート上で成功しているということ以外わからないが、イーノによる一連のプロデュース作品がジェイムスの本質とはとても思えない。
イーノのプロデュース手法として、「何もしない」と「メンバーのように一緒に創り込む」がある。
前者はバンドそのものを際立出せるために何もしないという選択を敢えてしたものであり、後者はバンドとケミカルを発生させて新たなものを創造している。
ジェイムスとの関係はこのどちらでもなく、素材としては面白くないジェイムスにイーノが色々と持ち込んだものの、新たな何かは生まれず持ち込んだものがそのままアウトプットされてしまっている。
ロック・バンドのプロデューサーとしてのイーノの関心は、この後コールドプレイに移っていくことになる。
(追加:2017年7月10日)
2002
Frantic : Bryan Ferry
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オリジナルとカヴァーが混在している、ブライアン・フェリーのソロ・アルバム。
混在などと言ってしまうと聞こえが悪いが、フェリーのソロ作品としてみるとオーソドックスな構成である。
音の隙間を全て埋めきることにこだわった楽曲も相変わらずあるが、『 Boys And Girls 』
以降のぬめっとしたアレンジは少し後退しており、楽曲数が多いにもかかわらず聴きやすい作品となっている。
アンビエントな装飾音、ビヨヨヨヨーンというシンセサイザー、そして不安定なヴォーカルと、イーノの活躍は判りやすく、1994年の 『 Mamouna
』 以来の参加についても、かつての人間関係のしがらみが原因ではなく、たまたま間が空いてしまった、と思えるような良い意味での普通な印象がある。
(追加:2015年11月25日)
The Best Of Muskladen : Roxy Music & T-Rex
Roxy Music
T-Rex
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1973年5月に Musik Laden で放送されたロキシー・ミュージックの演奏を収録された作品。 (
1曲のみ、ジョン・ウェットン入りの1974年の映像) セカンド・アルバム 『 For Your Pleasure 』
リリース後のタイミングのため、同作からのプロモーションを兼ねていたと思われる。
口パクであれ生演奏であれ、1972年までのステージにおけるブライアン・フェリーは、その巨体を持て余した微妙な動きをしていたのだが、本作ではその狂気と異常性が余すとこなく発揮している。
特に ”
Do The Strand
”
での曲調の変化に合わせて繰り出されるジャケットの襟の部分を手繰り寄せるポーズ、イヤミのシェーのポーズ、助けを求めるようなポーズ等、ダンディズムの欠片もない動きはイーノのブラック・スワン衣装も霞む程である。
一方そのイーノは、VCS3
にキーボードを接続して演奏していたり、フィル・マンザネラのギターをテープでループさせたりと、生演奏かどうかは別としてステージ上で音楽的にも活躍していることを確認することができる。
(追加:2019年1月10日)
28 Days Later The Soundtrack Album
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ホラー映画 『 28日後... 』 のサウンドトラック。
イーノの楽曲 ” An Ending (
Ascent ) ” は、『
Apollo Atmospheres & Soundtracks 』 からの楽曲。
主人公の知り合う仲間が次々に感染したり、助けを求めた元軍隊に襲われたりと、SFX以上にシチュエーションがデッド・エンドな映画のサウンドトラックに、未来の象徴のようなアポロ計画のドキュメンタリー用のサウンドトラックから曲が転用されている。
ホラー系のサウンドトラックだと、ホラーならではのおどろおどろしい楽曲と、絶望的な状態の中で仮初めの平和を求めている時の楽曲がが収録されることが多いが、今回のイーノは後者での採用となっている。
(追加:2018年10月10日)
2003
Beat The Border : Geoffrey Oryema
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Brian Eno keyboards (on Payira Wind )
ジェフリー・オリエマの、Real World からリリースされた2作品目。
前作と比べて、ジェフリー・オリエマのヴォーカルの特徴が抑えられている。
ポピュラリティを高めようとした結果なのかもしれないが、面白さが無くなったというか、ワールド・ミュージックとロックが普通に迎合した音楽となっている。
イーノは前作と異なりプロデュースは行わず、” Payira Wind ” 1曲だけにクレジットされている。
全体を包み込むようなキーボードはイーノならではのものだけに、アルバム全体の完成度が落ちてしまったのはイーノがプロデュースを行わなかったためだ、と言いたくもなってくる。
(追加:2016年9月10日)
Cuckooland : Robert Wyatt
Part One ' neither here...'
Silence Part Two '.....nor there'
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ポール・ウェラーの参加、という意外性が話題となったロバート・ワイアットのソロ・アルバム。
ここにおいて、イーノとワイアットの間に音楽性の共通点というものは殆ど無い。
また、ワイアットのソロ・アルバムにおいて「イーノの参加」ということがセールスへの影響ももはや無い。 このような状況下においてイーノの参加理由を想像してみると、もうこれは2人の人間関係以外ありえないはずである。
こうなってくると、もう是々非々を考えることなど無意味で、2人が参加している楽曲を只々聴いて堪能すれば良いのだと思う。
(追加:2016年1月10日)
2004
6PM : Phil Manzanera
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フィル・マンザネラが、ロキシー・ミュージックの再結成後に発表したソロ・アルバム。
実験色、ラテン色が、残ってはいいるものの、それ以上にロック色が強くでた作品である。
本作品リリース前年の再結成ロキシーが懐メロ・バンドと化していたことは否めないが、そこにフラストレーションのようなものをマンザネラが感じていたのだとすれば、それが本作品の好結果に繋がったのかもしれない。
ロキシーやクワイエット・サンのメンバーが参加していることだけがウリ文句にならない程の良さがある。
イーノは Enotonic とクレジットされている。
いつもながらイーノの名前を付した造語でクレジットされてしまうと、上品に拡がるシンセサイザーや残響音の全てがイーノによるものと思われてくるし、そうクレジットされるに値する価値が充分にある。
(追加:2016年8月10日)
How To Dismantle An Atomic Bomb : U2
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イーノが関与している U2 の作品の中で、イーノの関与度が最も少ない作品。
iPod のプロモーション用の楽曲として CM でもよく流れたあざといまでのロックな楽曲 ” Vertigo ” がある一方で、イーノ& U2
の楽曲だとわかりやすく ” Love And Peace Or Else
” は提示されている。 そして本曲は、そのクレジットから前作 『 All That You Can't Leave Behind 』
制作時の楽曲である可能性が高い。
U2 にとって、イーノの存在価値が、イーノという記号の活用に過ぎなくなってしまっているようで、イーノ好きとしては残念な結果である。
(追加:2015年6月25日)
Music from the Motion Picture Soundtrack Clean
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イーノの既発表楽曲が収録されている映画のサウンドトラック。
サントラ用にイーノの曲を選曲す ”
Taking Tiger Mountain ” や、”
Spider And I ”
といった地味なヴォーカル曲が収録されている。 こうした曲を選曲したところには、それなり以上の意図があるのではないかと考えてしまうが、主演女優の普通な歌唱曲を聴くと、やはりタマタマなのかと思えてくる。
(追加:2012年12月25日)
The Official ATHENS 2004 Olympic Games Album
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東京オリンピック・イヤーに便乗して紹介する2004年のアテネ・オリンピックの公式アルバム。
世界各国のアーティストの夢の共演、という体をとっているが、当然売ることを目的にした作品だけにそこかしこに有名所がクレジットされている。
そんな中イーノがクレジットされている ”
Still Standing
” はスティーヴ・ヒレッジと共作し、ともにプロデュースもしている豪華な内容である。
無駄なヴォーカルとメリハリのありすぎるリズムは大人の都合上仕方ないとして、それを除けばスリリングで格好良い楽曲である。
今年の東京オリンピックの公式アルバムはどんな楽曲が収録されることになるのか。 あまり期待はできないが…
(追加:2020年1月10日)
2005
More Music For Films : Brian Eno
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イーノの再発シリーズの一環でリリースされた作品。
事前アナウンスされたタイトルと情報から、オリジナル 『 Music For
Films 』 の完全収録と、11枚組とアナログBOXに入っていた 『 Music
For Films II 』
の完全収録が期待されたわけだが、残念ながらその思いは届かず。 両作品から少しずつオミットされた曲があり、完全盤は今後にまた期待するしかない。
短めの曲(というより曲の断片)が次々と提示され、、穏やかな曲調が多いにも拘わらず、飽きることなく作品全体を楽しむことができる。
フリップのようなギター・プレイも散見されるが、クレジットが全くないので確証はもてない。 それよりも「ギターの音してないじゃん!」っていうような曲に、参加している可能性があるかもしれない。 フリップの参加を推測しながら聴くのも、本作品の楽しみ方の一つかもしれない。
(追加:2005年5月25日)
Another Day On Earth : Brian Eno
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Roger Eno - All keyboards
Brian Eno - Programming and sound
design
All tracks written by Roger Eno and Brian Eno
Produced by
Brian Eno
『 Before And After Science 』
以来のヴォーカル・アルバム、というキャッチが一人歩きしているが、もっと冷静にとらえるべき作品だと思う。
『 Wrong Way Up 』 や 『 Nerve Net 』
でも唄っていたではないか、という突っ込みも可能だが、所謂ロック・フォーマットの曲がないことが、1970年代、90年代のボーカル・アルバムと大きく異なる点である。 リズムがしっかりとあり、ドローンが少ないアンビエント風の音に、ヴォーカルや声が被さっている作品、というのが正しい表現だと思う。
従って、イーノを環境音楽家と捉え難解であることだけを崇めようとする人にも、『
Here Comes The Warm Jets 』 から 『 Before And After Science 』
までの攻撃的なポップ・ミュージック路線を期待する人にも、中途半端な作品だろう。 一方、その時その時にイーノが提示する多用な音楽感を、提示されたまま受け止めれば良いと思っている人には、アルバム一枚で多くを味わうことができる魅力的な作品だと思う。
ヴォーカル・アルバムという煽りに誤解されることなく、イーノの入門作品として多くの人に利用してもらいたい作品である。
(追加:2005年7月25日)
14 Video Paintings : Brian Eno
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1980年代にイーノがリリースした、環境音楽ビデオ版2作品をDVD化したもの。
” Thursday Afternoon ”
は、ヌードの女性がぼんやりと動く姿を7場面とらえた作品。 フィルターを通したような映像のため、80分強ヌードを見せられても全く欲情しない。 1984年4月にサンフランシスコで撮影されており、翌1985年には音源のみの短縮版(それでも60分)として、同タイトルのCDも発表されている。
” Mistaken Memories Of Mediaeval Manhattan
” は、マンハッタンの情景を、カメラを固定した状態で7場面とらえた作品。 1980年から81年にかけてイーノ自らが撮影したものを1987年に編集している。
2作品通して2時間もの時間を集中して見続けるのは、正直言って辛い。 イーノにしてみても、ディスプレイの前に鎮座して見続けることは想定していないと思うが、何かをしながら本作品を観る、という場面も想像しにくい。
観る(聴く)場面が想像しにくい、という点では、イーノのアンビエント作品群の中でも、最も過激な作品かもしれない。
(追加:2005年12月25日)
X&Y : Coldplay
X1. Square One Y1. Speed Of Sound |
Additional synthesizers on Y3 by Brian Eno.
コールドプレイの3作品目に、イーノは ”
Low
” 1曲のみシンセサイザーで参加している。
本作品がリリースされた2005年がイーノにとってどういった時期かと言うと、プロデューサーとして蜜月を過ごした U2
との間のにケミストリーが希薄になり、1曲しか参加しなかった 『 How To Dismantle An Atomic Bomb 』
(2004年)や、頓挫しかけた 『 No Line On The Horizon
』(2009年)に代打参加したりと、作品時代への関与度も低くなっていた。
その代わり、というわけでは決してないだろうが、楽曲も活動も超正統派のコールドプレイにイーノが参加したことは、とても興味深い。
薄く鳴り響くシンセサイザーが如何にもイーノなのだが、その楽曲名が ” Low
” であることには、絶対にこだわりがあったと推測している。
(追加:2015年8月25日)
50 Minutes Later : Phil Manzanera
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前作 『 6PM 』 から間をあけず発表されたフィル・マンザネラのソロ・アルバム。
完成度は非常に高く、同コンセプトで制作されたことが功を奏したものと思われる。 参加メンバーも 『 6PM 』
と殆ど替わっていないというか、そもそも30年以上前からの友人関係をベースに制作しているのが、『 6PM 』 『 50 Minutes
Later 』 の成功要因なのだと思う。
クリムゾンの ” Starless ” の歌詞の一部を意識した ”
Bible Black
” を、更にイーノがいじくり回した ”
Enotonik Bible Black
” が、本作のハイライトである。 ロキシー・ミュージックの ” For Your Pleasure ”
を彷彿させるテープの継ぎ接ぎ感が格好良い。
もちろんアナログな編集を実際にしているはずはないが、アナログ感はあってもアナクロ感がない編集はイーノならではのものである。
(追加:2016年8月10日)