1981
Dream Theory In Malaya Fourth World Volume Two : Jon Hassell
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Brian Eno : Drums on Courage and Dream Theory / Bowl gongs/bells on Malay, These Times... / Mix Chor Moire, Dream Theory, Malay, These Times...
第四世界シリーズ の第2作で、名義はジョン・ハッセル単独となっている。
名義を外しただけではなく、イーノはプロデュースも行っていないし、参加している曲数も限られている。
イーノの関心度が低くなっていることが明確に提示されているのだが、そうなってしまったのも判らなくもない。
第四世界、と言いながらも、やはり西洋人が考えるここではない場所はアジア、アフリカにいきついてしまうわけで、数多あるそれっぽい音との差異化は難しくなっている。
この辺りについてイーノが本格的に取り組んでくれれば、別な世界も見いだせたのかもしれないが、イーノはあっさりとそれを放棄しているように思える。
イーノだから、というエクスキューズが全く機能していないところが、本作品の特徴である。
(追加:2017年1月25日)
The Pace Setters : Edikanfo
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Recording and mixing Engineers : Brian Eno and Jacob Serdro
Produced by Brian Eno
ガーナ出身のバンド、エディカンフォの作品。 イーノはプロデュースとエンジニアを担当している。
イーノがブラック・ミュージックに露骨なまでに接触した期間は短い。 トーキング・ヘッズの印象が強いため長期に取り組んでいたように思えるが、そのトーキング・ヘッズの 『 Fear Of Music 』 が1979年で、本作品は1981年。 僅か3年程度の期間である。
身も蓋もない言い方であるが、多分イーノは飽きちゃったんだと思う。 ブラック・ミュージック特有のノリを、リズムがスカスカなニュー・ウェイヴに導入することで生じる特異なグルーヴ感はイーノの発明であった。 ただ有象無象がそれをパクっても簡単にそのグルーヴが再現できてしまうため、自分で行う必然性を感じなくなってしまったのであろう。
ただ転んでもイーノ。 この経験を咀嚼してその後 U2 等とのプロデュースに活かしたところは流石である。
(追加:2023年7月10日)
1982
Ambient 4 / On Land : Brian Eno
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Musicians
' Lizard Point ' : Michael Beinhorn, synthesizer / Alex Gros, guitar /
Bill Laswell, bass
' Shadow ' : Jon Hassell, trumpet
' Dunwich Beach ' : Michael Brook, guitar / Dan Lanois, live
equalization
The frogs on ' Leeks Hills ' were recorded in Choloma, Honduras by
Felipe Orrego
Produced by Brian Eno
アンビエント・シリーズの最終作で、再びイーノ名義の作品となっている。
1978年9月から1982年1月の間にレコーディングされた素材が集まっていたり、ゲスト・ミュージシャンが参加していたりと、3分から10分弱と曲の長さが異なっていたりと、寄せ集め感が強い纏まりの無い作品になったとしてもおかしくないのだが、統一感がある。
これはイーノのアンビエントものの中でも低音を際立って多く使っているマテリアルが多いこともあるのだが、イーノのプロデュース能力が見事に発揮されていることによるものと思われる。
(追加:2016年4月10日)
Music And Rhythm ( Benefit L.P. for WOMAD Festival )
Musicians
' Lizard Point ' : Michael Beinhorn, synthesizer / Alex Gros, guitar /
Bill Laswell, bass
' Shadow ' : Jon Hassell, trumpet
' Dunwich Beach ' : Michael Brook, guitar / Dan Lanois, live
equalization
The frogs on ' Leeks Hills ' were recorded in Choloma, Honduras by
Felipe Orrego
Produced by Brian Eno
WOMAD ( World Of Music And Dance ) Festival のためのベネフィット・アルバム。 民族音楽、及び民族音楽を取り込んだ音楽、民族音楽っぽくした音楽、と玉石混交の作品だが、ロックと民族音楽の融合が叫ばれていた1982年当時、相応の話題になった作品と記憶している。 本作にはジョン・ハッセルとイーノの共同名義の作品、『 Fourth World Vol. 1 Possible Music 』 に収録されていた ” B-Benzele ” のライヴ・テイクが収録されているのだが、ライヴ臭はゼロ、スタジオで大きく加工された楽曲と思われる。 オリジナルにも参加していたイーノの名前が本テイクにもクレジットされているのだが、このライヴ臭ゼロの立役者が正にイーノの仕事なのだろう。
(追加:2020年1月10日)
1983
Apollo Atmospheres & Soundtracks : Brian Eno with Daniel Lanois & Roger Eno
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Produced by Brian Eno & Dan Lanois
アポロ計画のドキュメンタリー・フィルムの為に作られた作品。 イーノ関連作品において、ダニエル・ラノアの名前が初めてクレジットされたのは、1980年の
『 Ambient 2 The Plateaux Of Mirror 』 においてだが、そこでは単に「 Special thanks 」 程度のものであった。
その後ラノアはイーノのアンビエントものに名を連ね続け、本作においてはアルバムの共同名義者となっている。 イーノとラノアの間でケミストリーがどのように熟成されたのかわからないが、本作がリリースされた翌1984年の
『 The Unforgettable Fire 』 以降2人がプロデュースした U2 の作品が世界的大ヒットを後押ししたことを踏まえると、この間の2人の活動が音楽産業全体に与えた恩恵はあまりにも大きい。
勿論、本作品がリリースされた当時はそんな事は全く意識することなく、イーノと宇宙という繋がりがベタだと思いつつ私は聴いていた。
(追加:2016年4月10日)
From Brussels With Love ( 1983 Edition )
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リリース当時からおシャレで最先端な人たちに聴き続けられている作品。
流行や雰囲気に左右されない方々は、本作品の普遍的な素晴らしさを判っているだけに、今でも骨董通りやマリ・クレール通りを歩く時には忘れずに本作品を小脇に抱えている。 そしてオリジナルはカセット・テープだったのよ、と誰でも知っているけど特権階級の一部の方しか知らないと思い込んだ情報を話すことに至福を感じていたりする。
その時その時に好きなものしか聴いていなかった私のような者がこんな素晴らしい作品について語るのは本当に申し訳ないのだが、イーノはインタビューのみの収録でおシャレに巻き込まれなかったのが良かったと思う。
「代官山のマンションから見る明け方の東京って、イーノのアンビエント・ミュージックみたい」とか語られるようにならず、本当に良かった。
(追加:2023年7月10日)
1984
The Pearl : Harold Budd / Brian Eno with Daniel Lanois
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Produced by Brian Eno & Dan Lanois
イーノとハロルド・バッドによる4年振りのアルバム。 バッドによるピアノにイーノによる装飾が絡んでくるパターンは 『 Ambient 2 / The
Plateaux Of Mirror 』 と同じなのだが、本作ではシンセサイザーの音がそのまま提示され、どこまでが残響音でどこからがシンセサイザーなのかが判らないハイブリッド感が後退している。
これが、DX7リリース前後による違いなのかは定かでないが、個人的には 『 Ambient 2 / The Plateaux Of Mirror
』 の、もやぁとした肌触りの方が好みである。
(追加:2016年4月10日)
Caribbean Sunset : John Cale
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Dave Young - guitar, vocals
Andy Heermanns - Bass, Vocals
Dave Lich - Drums & Boobams
Brian Eno - A.M.S. Pitch Changer
1980年代に発表されたジョン・ケイルの作品。
ヘヴィなギターにキーボードが色々なパターンで絡むのだが、アルバム全体としては平坦で特徴が余り感じられない作品である。
アイランド・レコード時代の奇跡のような作品群と比べるのは酷かもしれないが、面白みはない。
本作品がリリースされた1984年において、イーノはダニエル・ラノアとアンビエント作品をリリースしたり、U2のプロデュースを始めたりしているのだが、それらの作品で特徴的だった残響感の素晴らしさはここにはない。
単なるシンセサイザー奏者として参加しているだけで、イーノである必然性は全く感じられない。
(追加:2017年2月25日)
The Unforgettable Fire : U2
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Produced and Engineered by Eno / Lanois.
Bono - vocals
The Edge - guitar, keyboards, vocals
Adam Clayton - bass
Larry Mullen Junior - drums
Additional vocals, instruments and treatments - Eno / Lanois.
イーノの関与が始まったU2の作品。
『 War 』 と 『 The Joshua Tree 』 の間の過渡期の作品。 実際セールスも 『 The
Joshua Tree 』 より下なのは当然として、『 War 』 よりも下回っていたりする。
もちろん、これは数百万、数千万の単位の話であるが。
イーノにとってそんなセールス・レベルでの作品参加はなかったわけで、自分の趣味を前面に出した、つまりセールスを全く意識することない作品をリリースできる経済的基盤を構築するきっかけとなっている。
プロデュース作業も、アンビエント作品の制作も、イーノにとっては理想の活動であり、そのどちらかを犠牲にすることなく両方を高めたことは、画期的だと思う。
(追加:2013年5月10日)
Dune / Original Motion Picture Soundtrack
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Written, Composed And Performed By TOTO
Prophecy Thme By Brian Eno, Daniel Lanois And Roger Eno
All Selections Produced By TOTO except Prophecy Theme By Brian Eno
「全世界SFファン待望の作品遂に映画化 そして音楽はロック界のスーパー・グループ「トト」!」
日本盤帯の煽り文句は見事なまでにTOTO。 しかもカタカナでトト。 この時期、さすがにTOTOの人気も全盛期程では無くなってきたが、それでも一般社会においては、イーノより遙かに売上に寄与する力を持っていた。 とは言え、帯どころか日本語ライナーにも、イーノに対する記述は一切無し。 さすがにこれは可哀想な気がする。
ただ問題なのは、肝心のイーノの楽曲。 はっきり言ってTOTOによる楽曲と全く違いが無い。 デジタル・シンセの黎明期、誰が弾いても同じようになるのは致し方ないとは言え、これは問題だろ、っていうレベルの作品。
(追加:2008年10月10日)
1985
Thursday Afternoon : Brian Eno
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1984年に発表されたヴィデオ作品 『
Thursday Afternoon 』 の音声部分を60分にコンパイルした作品。
シンセサイザーによる持続音をバックに、エコーを深くかけたピアノ音が被さる。
持続音のヴォリュームやピアノ音の頻度が変化するものの、基本的にそれだけで構築されたアンビエント作品である。
こうした作品は通常、映像がないと辛い、ということになるのだが、ヴィデオ作品自体がアンビエント映像なだけに、「聴く」ことと「見て聴く」ことによる印象差が殆ど無い。
MTV全盛の80年代半ばに、映像による付加価値を良い意味で全否定したイーノの発想は、アンビエントな音楽から受ける印象とは真逆の過激なものである。
(追加:2015年1月25日)
Voices : Roger Eno
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Treatments By Brian Eno
ブライアン・イーノの 『 Apollo Atmospheres & Soundtracks 』
がリリースされた時、ロジャー・イーノという存在、ブライアン・イーノに弟がいることを初めて知った。
当時、弟イーノの宣材を見る限り、兄イーノとは違ってクラッシックの正式教育を受けていたとのことだし、何よりも兄イーノと違って禿げていないことが大きな違いだと誰もが思った。
そしてそんな弟イーノの初ソロ・アルバムは一体どんな内容なのかと、誰もが思ったし、期待した。
そんな期待の中リリースされたた本作は、見事なまでに「ブライアン・イーノのアンビエントもの」であった。
強いて差異を見つけようとしても、エコーを少しだけ浅くした 『 Ambient 2 / The Plateaux Of Mirror 』
としか思えなかったし、もうこれは兄イーノの作品で良いのではないか。
実際弟イーノにしても、プロデュースをダニエル・ラノワ、トリートメントを兄イーノブライアン・イーノという選択をしているだけに、音楽業界で生きていくために正しい選択をしたのだと思う。
(追加:2019年9月10日)