2020年7月12日、ジュディ・ダイブルが亡くなりました。 お悔やみ申し上げます。
1968
Fairport Convention : Fairport Convention
|
Ian McDonald lead vocals, jews harp
Judy Dyble lead vocals, electric & acoustic autoharps, recorder,
piano
Richard Thompson vocals, lead electric & acoustic guitars, mandolin
Simon Nicol vocals, electric 12- & 6- string & acoustic guitars,
banjo, violin
Tyger Hutchings bass guitar, jug
Martin Lamble percussion, violin
フェアポート・コンベンションのファースト・アルバム。 本作品には、ジャイルズ・ジャイルズ&フリップに加入前のジュディ・ダイブルが参加している。
ダイブル版の ” I Talk To The Wind ”
を初めて聴いた時、オリジナル・アルバム収録バージョンのレイクによる甘く優しいヴォーカルに比べ、突き抜けるような(悪く言えば突き放すように歌いきる)ダイブルのヴォーカルに違和感を感じたことを覚えている。 この辺りは聴いた順番、個人の趣向によるもので、ダイブルのヴォーカリストとしての表現力の問題ではないことが、本アルバムを聴くことにより認識することができる。
後にフォーク・ロックの代名詞のように言われることになるフェアポート・コンヴェンションだが、本作品はそうした傾向は少なく、「60年代末期の前衛的なロック・フォーマット」を一生懸命コピーしているといった感じ。
(追加:2003年11月25日)
1970
Morning Way : Trader Horne
|
Judy Dyble : Vocals, Electric Auto-Harp, Piano.
Jackie McAulley : Vocals, Guitar, Harpsichord, Organ, Piano, Flute, Congas, Celeste.
Ray Elliot Played Alto Flute And Bass Clarinet
Andy White Played Drums
John Godfrey Played Bass Guitar And Arranged The Album
ジャイルズ・ジャイルズ&フリップ脱退後、ジュディ・ダイブルが参加したフォーク・ロック・デュオの唯一の作品。
ダイブルについては、フェアポート・コンベンション、ジャイルズ・ジャイルズ&フリップ、トレイダー・ホーンといったバンド遍歴が、そのままイアン・マシューズ、イアン・マクドナルド、ジャッキー・マーコレイという男性遍歴なのではないかと想像している。 各バンドともB級の薫りが十二分にするのだが、それでも後世に語り継がれるバンドに各1枚3連続参加した女性ヴォーカリストは他にはいないと思う。 もちろんダイブル自身のヴォーカリストとしての能力もあるのだろうが、サウンド・プロデューサーを的確に見抜く才能と、活動をともにしようとする思い切りがダイブルにはあったのだと思う。
なくてはならない作品、には決してならないが、時折どうしても聴きたくなるような作品。 5桁6桁といった値段が当たり前のようにつけられ、中古盤屋の壁に神々しく飾られるブリティッシュ・フォークの世界に迷い込んではいけないと常々思っているが、本作を聴いているとそうした世界に迷い込んだ人の気持ちもわからないではない。
(追加:2005年8月25日)
2004
Enchanted Garden : Judy Dyble
|
Judy Dyble Vocals
Simon House Violin
Peter Pracownik Slide, Acoustic and Electric Guitars
Stevie B Saxophones
Marc Swordfish Percussion, Keyboards and Programming
Paul Chousmer Keyboards on Nimbus Thithrwood
David Gates Guitar on For You
Malcolm Stammers Piano on Starcrazy
Buaka Bass Guitar on Long Way Home
ジュディ・ダイブルのファースト・ソロ・アルバム。
トレイダー・ホーン解散後は、フェアポート・コンヴェンションのライヴで時折客演する程度の音楽キャリアしかないため、苦節何年の上でのファースト・ソロ、といったノリは全くなく、むしろ唐突にリリースされた印象がある。
彼女自身のキャリア、そしてジャケットが与える印象から所謂フォーク・ロックが期待されるが、打ち込み中心の叙情性が全くない音。
今後ダイブルが音楽活動を本格化させるつもりなのかはわからないが、元フェアポート・コンヴェンションの、とか、あのキング・クリムゾンがデビューする前に、といった売り文句を売り文句として機能させ続けるためにも、中途半端に今風の音に迎合することなく地味でもいいからしっかりとした作品を制作してほしい。
(追加:2004年12月10日)
2006
|
Judy Dyble - vocals / autoharp
Simon House - violins keyboards string arrangement for see emily play
Steve 'b' - saxophones
Dave ( Doc Mahone ) Russell - banjo & bouzouki
James Sher - dulcimer
Peter Pracownik - acoustic electric and slide guitar
Robert Fripp - soundscape
and lead guitar on shining
Marc Swordfish - drums percussion keyboards and anything else
Paul Chousmer - organ solos
Phoebe Thomasson - flute
Martin Walker - Bells, Chimes and Pangs on Shining
シーンに復活後2作目のソロ。
作品の傾向は前作 『 Enchanted Garden 』
と大きく変わるところはない。 フリップとの30年弱ぶりの競演。
(追加:2006年4月10日)
|
Judy Dyble - vocals / autoharp
Simon House - violins keyboards string arrangement for I Talk to the Wind
Steve 'b' - saxophones
Dave ( Doc Mahone ) Russell - banjo & bouzouki
James Sher - dulcimer
Peter Pracownik - acoustic electric and slide guitar
Robert Fripp -
soundscape and lead guitar
Marc Swordfish - drums percussion keyboards and anything else
Paul Chousmer - organ solos
Phoebe Thomasson - Flute and backing vocals on Road to Somewhere
Martin Walker - Bells, Chimes and Pangs
Giles Bolton - Backing Vocals on Road to Somewhere
短いスパンで発表されたジュディ・ダイブルのソロ・アルバム。 コンセプトとクレジットされているとミュージシャンが同じことから、同時期に録音されたマテリアルを2回にわけてリリースしたものと思われる。
(追加:2006年8月26日)
2009
Talking With Strangers : Judy Dyble
|
Ian McDonald - Flute,
Saxophone, Uklele
Robert Fripp
- Guitar and Soundscapes
Pat Mastelotto
- Drums, Percussion
ジュディ・ダイブルのソロ4作品目。
フリップの参加以上に、元恋人のイアン・マクドナルドが参加していることが、本作品一番の特徴。
(追加:2009年8月25日)
2020
Between A Breath And A Breath : Dyble Longdon
|
2020年に亡くなったジュディ・ダイブルが、その亡くなった年にリリースした作品で、マルチ奏者のデヴィッド・ロングドンとの共作となっている。
とても丁寧に作り込まれた作品である。 打ち込みにでお茶をにごした音作りでもなく、アコーステック・オンリーで安易に逃げたところもない。
この辺りは共作者のロングドンに寄るところが大きいと思う。
2000年以降ダイブル名義の作品がリリースされるようになり、豪華ゲストを含めそれはそれで嬉しかっけど、完成度は必ずしも高くなかった。
ロングトンという
パートナーを得たことで、Fairport Convention のファーストや、Trader Horne の 『
Morning Way 』 と同じように素晴らしい作品をリリースできたことが、本当に良かったと思う。
お悔やみ申し上げます。
(追加:2021年4月10日)