1991
Desire Of The Rhino King : Adrian Belew
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twenty-one digitally remastered selection from " Lone Rhino ", "Twang Bar King " & " Desire Caught By The Tail "
アイランド・レーベルからリリースされたブリューの初期3作からのベスト・アルバム。
リリース順に満遍なく楽曲が収録されてた結果、後半1/3、つまり 『 Desire Caught By The Tail 』
の聴き辛さが際立ってしまっている。
唯一のアルバム未収録曲である ” Joan Miro's Procession Through The Insides Of A Purple Antelope
Across A Sea Of Tuna Fish ” も 『 Desire Caught By The Tail 』
期の楽曲であり、あまり楽しめるものではない。
ブリューのソロ・キャリアも30年をも超えている今、ヴォーカルもの、実験作もの、とテーマをわけたベスト・アルバムがリリースされたら嬉しい。
(追加:2017年3月10日)
1992
Inner Revolution : Adrian Belew
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Instruments and Vocals
by Adrian Belew
String quartet for "BIg Blue Sun"
Alison Lee Jewer violin, Jean Dickson violin, Lizbeth Getman viola, Martha Pickart cello
String arrangement Al Jewer
Mike Barnett string bass for "Believe In"
Chris Arduser drums for "Believe In" "Shadow" "Heaven's Bed"
and "Tribe"
Produced by Adrian Belew
ブリューの一人多重録音をベースにしたヴォーカル・アルバム。
クリムゾン再始動前のこの時期、ブリューは親しみやすいソロを連続してリリースしている。 もちろん間違ってもメガ・セールスが期待できる作品ではないが、しっかりと作り込まれた充実した作品ばかりである。
その中でも本作品は、トリッキーさだけが際立つことがない凝った演奏と、親しみやすいメロディーが多いヴォーカルが両立している傑作だと思う。
クリムゾンの再始動がなければ、ブリューのミュージシャンとしてのキャリアも今と異なっていたかもしれない。
(追加:2009年11月25日)
1993
Here : Adrian Belew
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Instruments and Vocals by Adrian Belew Produced by Adrian Belew
ブリューの一人多重録音作品。
一人多重録音の場合アヴァンギャルドな方向に走ることが多いブリューだが、本作品ではポップなヴォーカル・アルバムに仕上がっている。 なんでもできちゃうが故に、普通なことを普通にこなすことに抵抗感があるのかもしれないが、やはりこうした才能は素直に提示した方が良いと思う。
録音時期が明確にクレジットされていないが、リリースのタイミングから順当に考えれば、クリムゾンの再始動がフリップによってアナウンスされたものの、棚上げになっていた頃の作品となる。 クリムゾンではやれないことを、今のうちにやっておけ! と、思ったことが、好結果に繋がったのかもしれない。
(追加:2008年10月25日)
1994
The Downward Spiral : Nine Inch Nails
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ナイン・インチ・ネイルズの作品で、ブリューの名前が初めてクレジットされた作品。
ノイズまみれのインダストリアル感たっぷりの作品で、売ることに迎合した要素は全く無いにもかかわらず、前作 『 Broken 』
を上回るマーケットでの成功を収めている。
そんな作品の中でブリューは、自身のポップな側面を見せるなどということは一切なく、更にノイズ感満載のギターを被せている。
当然ナイン・インチ・ネイルズ側が求めたことだと思うのだが、楽曲の破壊力を増すことに見事に寄与している。
(追加:2015年2月10日)
1995
The Acoustic : Adrian Belew
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Performed and Produced by Adrian Belew
ブリューのアコースティック・ソロ・アルバム。
ブリューのミュージシャンとしての無邪気さが最も表れた作品。 猫も杓子ものアンプラグド・ブームには便乗しない、などというこだわりはブリューには無いのだろう。 あっさりとやってのけるところが、凄いところだと思う。 ソロやクリムゾンの楽曲はもちろん、ビートルズのカヴァーまで、選曲にも意外性が全くない。
弾き語りということで、当人としては多少ダンディさ(笑)を意識しているのかもしれないが、ヴォーカルはどうしてもいつものブリュー節。 やたら上手いアコースティック・ギターとのアンバランスさが魅力だったりする。
名盤、ではないが、愛すべき作品だと思う。
(追加:2008年2月10日)
The Experimental Guitar Series Volume 1: The Guitar As Orchestra : Adrian Belew
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Composed and performed entirely on electric guitar by Adrian Belew Produced by Adrian Belew
やっちゃった...感が強い作品。
ブリューの作品は、トリッキーな要素もあるポップなものと、トリッキーな(orなだけの)ものに大別することができるが、本作品は完全に後者。
ギター・シンセを使って全ての音を一人で演奏している結果、ダブル・トリオ・クリムゾンにおける
” THRAK ”
のインプロ・パートからブリューの演奏のみを抽出したような印象を受ける。 ある意味
『 THRaKaTTaK 』 以上に気合いを入れて聴く必要がある。
ブリュー自身によるライナーによれば、読書、ドライブ、食事等の日常生活のバック・ミュージックに最適とのことだが、そんなことができる人は少ないと思う。
(追加:2005年1月10日)
1996
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Instruments and vocals by Adrian Belew
Double Trio Crimson 始動後にリリースされたブリューのソロ・アルバム。
ブリューのソロとしては、「一人多重録音のヴォーカル・アルバム」と位置づけられるのだが、本作品の最大の特徴は、Double Trio
Crimson でも採用が検討された ” I Remember How To Forget ” が収録されていることである。
シド・スミスによる、 『 クリムゾン・キングの宮殿~風に語りて 』 と 『 THRAK 』
の40周年BOXのライナーによると、ブリューは本楽曲をリハーサルに持ち込み、その結果は 『
The VROOOM Session 1994 』
に ” Krim 3 ” として収録されているのだが、ブリュー自身も満足できなかったとのことである。
聴き比べてみると、インストの ” Krim 3 ” よりも、ブリューのヴォーカル&ギター・ソロが大々的にフィーチャーされた ” I
Remember How To Forget ” の方が格好良かったりするのだが、この辺りが Double Trio
編成の難しさなのかもしれない。
(追加:2016年11月10日)
1997
Belewprints The Acoustic Adrian Belew Volume Two : Adrian Belew
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Instruments and vocals by Adrian Belew
For Men In Helicopters :
First violin : David Davidson
Secong violin : David Angell
Viola : Kristin Wilkinson
Cello : John Catchings
ブリューの 『 The Acoustic 』 続編。
アコースティック、と言いながらもギターの弾き語り曲は殆どなく、弦楽団と共演した
” Men In Helicopters ”
を含め、ブリューによる一人多重録音によるセルフ・カヴァー色が強い。
お決まりのクリムゾン・ナンバーの他、ビートルズの(当時)新曲を取り上げるなど、やりたいことをそのままやってしまっただけの作品である。 しかしながら単なる粗製作品ではなく、「ブリューってこんなに良い曲書いてたんだ」と、ソロの楽曲の完成度の高さを確認することができる。
(追加:2011年9月10日)
1999
Salad Days : Adrian Belew
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All instrument and vocals by Adrian Belew
except on "Men In
Helicopters" :
First Violin : David Davidson
Second Violin : David Angell
Viola : Kristin Wilkinson
Cello : John Catchings
Produced by Adrian Belew
『 The Acoustic 』 と 『 Belewprints The Acoustic Adrian
Belew Volume Two 』 の2枚からの選曲に、2曲のライヴ・テイクを追加したエイドリアン・ブリューの編集盤。
特に後者のアルバムは、ブリューによる多重雨録音曲も含まれているためアコースティックで統一された印象はあまりなく、ブリューによる歌モノのセルフ・カヴァー楽曲集と捉えると、すっと腹に落ちる作品である。
ブリューによる歌モノ楽曲は、そもそものメロディの良さがシンプルなアレンジによって再確認することができる。
そして特筆すべきはやはりライヴでの演奏で、特に唄いながらどうしてそこまでギターを弾きまくることができるの、と驚嘆の声をあげざるを得ない ”
Three Of A Perfect Pair ” が凄まじい。
どうせだったら、ブリューのソロ・ライヴのフル・アルバムをリリースしてもらいたいと思う。
(追加:2017年11月25日)
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『 The Downward Spiral 』 に続くナイン・インチ・ネイルズのCD2枚組の大作。
前作以上に重く、沈み込むような楽曲で占められ、音の過激度とポピュラリティーの両立など全く目指していない内容となっている。
それにも関わらずマーケットでも成功した背景には当時の音楽事情、アメリカの事情等複数の要因があるのかもしれないが、作品自体に向き合うとそんなことはどうでも良くなり、、その音の凄さと特異性にただただ圧倒される。
ブリューの役割は前作同様ノイズ・メーカーで、調和をより一層乱すことに寄与している。
(追加:2015年2月10日)
Neon Fixation : Rick Altizer
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*Co-produced by Adrian Belew
クリスチャン・ロッカー、リック・アルタイザーの作品。
クリスチャン・ロックという分野については全くの素人だが、その素人が想像するような教会音楽の要素は全く無く、 ポピュラリティの高い楽曲集である。
エイドリアン・ブリューの活躍度は高いく、ポップ度30%、ロック度70%の楽曲にブリューの疾走感溢れるギター・ソロが被るのが格好良い。
ブリューの宗教観は判らないが、ミュージシャンとしてのリック・アルタイザーとの相性は相当良かったものと思われる。
ただブリューのファンとしては、プロデュースも務めた客演でここまでの活躍するのなら、いっそ自身のソロ・アルバムで表現してほしかった。
(追加:2020年12月25日)
2000
Coming Attractions : Adrian Belew
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All instrument and vocals by Adrian Belew
Produced by Adrian Belew
” Desire Of The Rhino King ”、” Salad Days ”
に続くエイドリアン・ブリューのコンピレーション・アルバム。
ブリュー一人による宅録であることを除いたとしても各楽曲の完成度は必ずしも高くない。
しっかりと作り込めば完成度の高い楽曲になるだろうマテリアルもあれば、アイディア出しに終止している楽曲もある。
ブリュー自身によるライナーには、「今後リリース予定の作品からのサンプラー」と記載されてあるが、これはフリップ譲りのハッタリではないかと私は睨んでいる。
実際に頓挫していまったプロジェクトもあるかもしれないが、在庫一掃を最初から意図していたのではないかと思う。
(追加:2020年12月25日)