1977
Police Academy : Strontium 90
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Mike Howlet, Sting, Stewart Copeland, Andy Summers
元ゴングのマイク・ハウレットが結成を画策したバンド、ストロンチウム90のライヴとそのリハーサルを収録した作品で、1997年にリリースされた。
ハウレット自身のライナーによれば、アンディ・サマーズとスティングを別々に声をかけ、スティングがスチュアート・コープランドを誘ったとのことで、ポリス結成のきっかけをつくったのが自分だと自負している。
もちろんそんなことはなくスティングがコープランドを誘ったのは既にバンド結成の準備をしてからであり、ポリスがトリオ編成になるのはサマーズが2人目のギターリストとして参加した後のことであり、ハウレットの貢献度は殆どないものと思われる。
ハウレット最大の成果は、ストロンチウム90のライヴとリハーサル音源をしっかりと保有していたことであり、その結果としてポリスのメンバーによる、ポリスとの共通点を見出すことが難しい楽曲を、我々が確認できることである。
(追加:2017年2月10日)
1978
Outlaodos d'Amour : The Police
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Andy Summers : guitar Stewart Copeland : drums Sting : bass & vocals
ポリスのファースト・アルバム。
ルックスやヒット曲からでも、メロディやアレンジの格好良さからでも、「パンクを装っているけど実は戦略的なもので」等のロック談義からでも、どんな入口からでも構わないが一度入ってしまうとその凄さに圧倒されざるを得ない程の完成度が、既にこのファースト・アルバムからある。
そんなバンドが MTV時代の前のアメリカを自ら地道に回ってヒットに繋げていったのだから、レコード会社にしてみれば濡れ手で粟だったに違いない。
ポリスでのサマーズは「エフェクターを駆使してギターの音色を空間的に配置した」ようなイメージが強いが、本作においては速弾きもフィーチャーしたギター・ソロが活躍する曲も収録されている。
(追加:2017年2月10日)
No Wave Is An Album Of A Lot Of Different Groups
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ロンドンでのパンクからニュー・ウェイヴへの移行期に A&M Records がリリースしたオムニバス・アルバム。
この時期こうしたオムニバス・アルバムは多くのレコード会社がリリースしており、A&M Records も積極的にリリースしていた。
本作品は半透明なブルーのディスクでリリースされており、その意図的と思える安っぽさが内容と相まって、とても魅力的な作品となっている。
ポリスの楽曲としては ” Roxanne ” と ”
Next To You ”
の2曲が、スタジオ・テイクそのままで収録されている。
(追加:2018年8月25日)
1979
Reggatta de Blanc : The Police
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Stewart Copeland, Andy Summers, Sting
ポリスのセカンド・アルバム。
” Message in a Bottle ” と ” Walking
on the Moon ” というキラーチューンを含み、一気に上り詰めた作品である。
ファースト・アルバムが勢い一発の楽曲と勢い一発風に作り込んだ楽曲で占められていたのに対し、本作品は勢い一発風に作り込んだ楽曲で占められている。
ただそのフェイクに借用感は全く無く、ライヴでの実績が見事に昇華されている。
サマーズによる「エフェクターを駆使して音色を空間的に配置した」ギターは、本作品で完成したが感がある。
当時既に見た目に古臭さが感じられたテレキャスターをサマーズはメインに使っていたのだが、その見た目と革新的な音色・音響とのギャップがまた堪らなかった。
(追加:2017年6月10日)
No Wave
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A&M Records がリリースした No Wave シリーズの第2段。
所属アーティスト中心の選曲にしているため、前作との代わり映えは殆ど無い。 ただ本作品を企画した側にしてみれば、2作続けて購入されることなどそもそも考慮しておらず、安価に所属アーティストの知名度を上げることだけを正しく考えていたのだと思う。
リリース後40年もたってから極東に住んでるおっちゃんがとやかく言うことでは無い、と自戒したい。
ポリスの楽曲としては ”
Roxanne ” はそのまま、” Next To You ”
の代わりに ” Can't Stand Losing You
” が収録されている。
(追加:2018年8月25日)
Propaganda
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Recorded 'Live' at The Bottom Line, New York, on April 4, 1979.
A&M Records がリリースしたオムニバス・アルバムで、ポリスのライヴ・テイクが収録されている。
人民服を着た毛沢東がエレキ・ギターを弾く、というジャケットも本作品がリリースされた1979年においても時代感覚がズレているのだが、そのジャケットの大判ポスターも封入されていたりする。
さてポリスのライヴ音源なのだが、本作リリースと同年のライヴが収録されている。 アメリカ・ツアー時に FM局を丹念に周り、プロモーションの見返りに現地でのライヴの放送を許したことで、バンド側が無尽蔵にライヴ音源を所有することができたことがこのような機動性を発揮したものと思われる。
本音源は、1993年に 『 Message In A Box The Complete Recordings 』
という、頑張ってはいるがコンプリートではないボックスで初CD化される。
(追加:2018年8月25日)
1980
Zenyatta Mondatta : The Police
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Sting, Stewart Copeland, Andy Summers
ポリスのサード・アルバム。
もうこれでもか、といった内容である。
勢い一発では絶対創りえない楽曲を緻密なアレンジで組み立てておきながら、そのアウトプットの外ヅラは思いっきりポップな内容となっている。
A面、B面のトップにシングル曲を持ってくるという 『 Reggatta de Blanc 』
同様の構成は、売るためのとどめを刺したようなものである。
本作発表翌年の1981年にポリスは2度目の(そして再結成前の最後となる)来日公演を行っている。
北海道から九州まで行脚しておきながら武道館は1回というパターンは現在の感覚では非効率だが、アルバムのプロモーションのためにコンサートが行われていた古き良き時代ならではのものである。
ちなみに私の初武道館は、この時のライヴである。 2階席の外れとはいえ2,700円。 物価の違いを差し引いたとしても、本当に良い時代であった。
(追加:2017年6月10日)
De Do Do Do, De Da Da Da / Behind My Camel : The Police
ポリスの2回目の来日公演記念盤としてリリースされた、” De Do Do Do, De Da Da Da
” の日本語歌詞盤シングル。
ポリスには 『 Message In A Box 』 というコンピレーション収録曲やシングルのB面をしっかりとカヴァーした名編集盤があるのだが、そこからも本曲は見事なまでに外されている。 売るための音楽的プロモーションは世界中でなんでもやってたポリスだけに、知られていないだけで実は色々な国で同じ様なことをやっていいたのかもしれない。
日本語歌詞は、こういった企画故しかたないものかもしれないが爆笑ものである。 そんな歌詞を一生懸命唄うスティングも凄いが、そこに全く寄与していないサマーズ(とコープランド)の割り切り方もポリスらしくて凄い。
(追加:2017年6月10日)
1981
Ghost In The Machine : The Police
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ポリスの4枚目のアルバム。
来日公演が伴った 『 Zenyatta Mondatta 』 までの作品と、誰でも聴いたことのある 『 Synchronicity
』 との間で、日本では一見地味に思える作品ではあるが、世界的に見ると前作同等以上に売れた作品である。 ヒュー・パジャムによるプロデュース、そしてシンセサイザーの積極的活用により音ざわりが変化しているが、『
Synchronicity 』 に辿り着くために必要な過程だったのかもしれない。
曲によってはシンセサイザーが強調されているため、アンディ・サマーズのギターの貢献度が低いようにも聴こえる。 ただ、シンセサイザーの有無とは関係なくギターが徒に前面に出てこないのは、そもそものポリスの特徴であってサマーズは相変わらずの演奏をしていることがすぐわかる。 最高級のオーディオ・システムを使ってギターに長けている人が聴くと活躍しているのがわかる、のではなく、ちょっと聞きかじった程度の知識で聴いてもその活躍度がわかるのがサマーズの凄さである。
(追加:2018年2月10日)
Urgh! A Music War
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Recorded Live at the Frejus Amphitheater, Paris, France - August 28,, 1980. Produced, Engineered and Mixed by Tim Summerhayes and the Police.
1981年に発売されたニュー・ウェイブのドキュメント・フィルムのサントラ。
『 Zenyatta Mondatta 』 からの ” Driven To Tears
” は、スタジオ・テイクでもサマーズのギター・ソロがフィーチャーされていたが、本ライヴ・テイクでも同様にフィーチャーされている。
この時期のポリスは既に大物感満載で、本オムニバスの1曲目に収録されるているのも順当である。
ただできれば、オムニバスに1曲収録するだけではなく、この時期にフル・ライヴ・アルバムをリリースしておいてほしかった。
また本音源は、1993年に 『 Message In A Box The Complete Recordings 』 にも収録されている。
(追加:2018年8月25日)
1982
Brimstone & Treacle Original Soundtrack Album Featuring The Police, Sting, Go-Go's & Squeeze
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スティングが出演した映画のサウンドトラック。
スティングのソロ等の他、ポリス名義の楽曲が3曲収録されている。
ただ、『 Ghost In The Machine 』 の没テイクなのか、『
Synchronicity 』 のリハーサル音源なのかわからないが、どれも大したことはない。 スティングのヴォーカルをフィーチャーした ” I Burn For You ” よりも、いかにもアナログ・シンセサイザーという音にエコーを効かせたギターのカッティングが絡む ” How Stupid Mr. Bates ” や、『 Synchronicity 』 収録の ” Mother ” にも似た ” A Kind Of Loving ” の方が格好良い。
1983
Synchronicity : The Police
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完成度の高さとポピュラリティの高さが両立した、完全無欠のロック・アルバム。
『 Outlaodos
d'Amour 』 でも記載したが、ポリスは好きになる間口がとても広いバンドであった。
ルックスからでも、楽曲の格好良さからでも、ロック談義からでもよかったし、ヒット曲をラジオで聴いたり映像を観たことから好きになることもできた。
そしてどんな切っ掛けでも構わないが一度好きになってしまうと、その好きになった理由だけで聴き続けることもできるし、他の魅力にも気づいて聴き続けることもできるバンドであった。
本作品がメガ・セールスを記録したのは、内容の素晴らしさに加え、間口の広さによりファン層が拡大し続けたことが理由に違いない。
個人的には、演奏にシンクロさせただけの画面切り替えと徒に解釈を求めるゴドレイ&クレームによる本アルバムからの映像作品だけは好きになれなかった。
ただそんな映像作品は時代とともに礼賛する人がいなくなった一方、本作品自体は evergreen なのがまた凄いと思う。
(追加:2020年12月25日)
1984
Synchronicity Concert : The Police
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ポリスのシンクロニシティー・ツアーでのライヴを収録した映像作品。
ポリスについてはその殆ど全てを肯定的に受け止めているのだが、唯一最後までダメだったのがゴドレイ&クレームによるミュージック・ビデオ作品だった。
そもそも80年代のミュージック・ビデオ全盛時において、観ていて最も楽しかったのが演奏シーンをシンプルに映し出しているもの、2番目に楽しかったのが派手なブロンドの女性が意味もなく出てくる寸劇調ものだった程度のセンスしか私は持ち合わせていなかった。 なので解釈が必要なものは苦手で、”
Every Breath You Take ” のミュージック・ビデオの何が凄いのか全くわからなかった。
本作品も過剰なまでのカットの切り替えや時折差し込まれるスローモーション映像、そして観客のお姉ちゃんが踊ってるのを白い線でくくったりするのを観てるとイライラしてくる。
私が観たかったのは、ゴドレイ&クレームによる過度な自己主張が音楽を邪魔する映像作品ではなく、演奏シーンと盛り上がる客席を捉えた映像ドキュメントだったことを再認識した。
(追加:2018年5月25日)
1986
Every Breath You Take The Singles : The Police
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ポリスのベスト・アルバム。
完璧なバンドの完璧なベスト・アルバムである。
活動期間が短かったためアナログ1枚でも漏れのない選曲、この作品のためだけの新曲 ” Don't Stand So Close To Me '86 ” で購買意欲を高める一方、オリジナルの ” Don't Stand So Close To Me ” が聴きたいという渇望を高める戦略。 見事としか言いようが無い。
そして ” Every Breath You Take ” というタイトル。 ベスト・アルバムのタイトルとしては出来すぎで、『
Synchronicity 』 制作段階で、ベスト・アルバム出す時のタイトルもこれね、と決まっていたに違いない。
本作品後もポリスの様々なベスト・アルバムがリリースされているが、本作品を超えるものはない。
(追加:2020年2月10日)
Don't Stand So Close To Me '86 : The Police
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ポリスの終わり方はあっけなかった。
元々仲が悪いことはわかっていただけに、やっぱりねという感じしかなかった。
思い入れが強かったバンドの解散にあれだけ淡薄に対応できたのは、後にも先にもポリスだけである。
本作品がリリースされた時も、再結成の布石というよりもベスト盤
『 Every Breath You Take 』
のプロモーションが目的なんだろうと思ったし、実際そうだったことに驚かなかったことを覚えている。
無駄にゴージャスになったアレンジが個人的には興味外だったこともあると思うが。
そんなアレンジのなかで、サマーズのギターは効果音のように使われているだけである。
(追加:2017年8月10日)
1993
Message In A Box The Complete Recordings : The Police
Disc 1
Disc 2
Disc 3
Disc 4
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BOXもの黎明期に発表されたポリスの作品。
ほぼリリース順に編集した結果、『 Reggatta De
Blanc 』 が CD1 と CD2
に分かれて収録されており、プログレ的には許されない編集なのだが、ポリスだと無駄がなくて格好良い、と思えたりする。
コンピレーション盤、サントラ、シングルB面に収録されていた曲が聴ける便利な内容なのだが、「 Complete 」
と名乗るには多少無理があり、判りやすいところでは、” De Do Do Do, De Da Da Da ”
の日本語、スペイン語ヴァージョン等が収録されていない。
ただそんな些細なことは置いておいて、CD全盛時代に入る前に活動を終えたポリスが CD全盛時代にリリースしたBOXものとして、1990年代における記念碑の一つである。
(追加:2020年2月10日)
1995
Can't Stand Losing You : The Police
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ライヴ・アルバム 『 Live! 』 に併せてリリースされた CD-Single。
『 Live!
』 からは1979年からの2曲で、1983年のライヴの楽曲は収録されていない。 ” Can't Stand Losing You ” と ”
Roxanne ”
という選曲は、1979年のポリス・バッチ型のピクチャー・ディスクのシングルの選曲と同じであり、かつそのポリス・バッチが本作品のジャケットにも採用されており、こだわりの強さを感じることができる。
一方で ” Voices Inside My Head ” の2種類のミックスは、ポリスの良さを根こそぎ排除している内容であり、聴く価値は無い。
(追加:2018年5月25日)
Live! : The Police
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The Police are : Sting, Stewart Copeland, Andy Summers
The Synchronicity Concert was originally recorded at
The Omni in Atlanta in November 1983.
The Orpheum Concert was recorded and broadcast live by WBCN, Boston in
November 1979.
ポリスはライヴ・アルバム発表のタイミングを逸したバンドである。
1回目のタイミングは全世界行脚を止めてシンセサイザーを多用するようになった 『 Zenyatta Mondatta 』 と 『 Ghost In
The Machine 』 の間で、2回目のタイミングは 『 Synchronicity 』 発売後解散までの間だったと思う。 特に後者は映像作品の
『 Synchronicity Concert 』 がリリースされていなかったら当然リリースされていた筈であり、ロック映像礼賛時代がつくづく忌まわしく思えてくる。
初期のライヴはそれこそ行脚先の放送局が片っ端から録音していた筈で、その中から1979年のボストンでのライヴが選ばれている。
サマーズのギターも冴え渡っており、有名曲ではない ” The Bed's Too Big Without You ”
でのエコーを掛けまくった演奏が格好良い。 1983年にライヴは殆ど 『 Synchronicity Concert 』
の音声版なのだが、映像無しの本作品の方が好みである。
本作品がリリースされた1995年において、ポリスの再結成話しが盛り上がった訳でもなく唐突感はあったが、内容自体はとても素晴らしいものである。
2019
Every Move You Make The Studio Recordings : The Police
Outlandos D'Amour Reggatta De Blanc Zenyatta Mondatta Ghost In The Machine Synchronicity Flexible Strategies
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2019年というリリース・タイミングに唐突感はあるものの、ポリスの全スタジオ・アルバムとシングル収録曲を 『 Flexible
Strategies 』 としてまとめた作品。
ポリスのシングルのB面曲は、ズバリ言ってしまえば捨て曲が殆どである。
完璧なアルバムからオミットされた楽曲だけに質は落ちる。 よって 『 Flexible Strategies 』 自体への魅力は殆ど無い。
よって本作品の最大の魅力は、最新リマスターのオリジナル・アルバムがキツキツではあるが紙ジャケに収録され、簡素ではあるが BOX に収録されているところにある。
ストリーミング全盛の時代に、新たなターゲットを開拓することではなく、10代、20代の頃にポリスを現役で体感した者には、充分過ぎるほど訴求するところがある。
(追加:2020年2月10日)
2022
Around The World Restored & Expanded : The Police
Around The World Bonus Live Performances:
CD Performances:
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これを待っていたいんだ、としか言いようがないポリスの作品。
映像ドキュメンタリー作品としてのオリジナルの 『 Around The World 』 には 『 Zenyatta Mondatta 』 時期までが収録されていた一方、本作は 『 Reggatta De Blanc 』 発表に合わせたワールド・ツアーまでを対象にしている。 アンディー・サマーズの相撲体験とか、丸ノ内線での ” So Lonely ” のミュージック・ヴィデオの撮影、洋楽全盛時が懐かしくなる大勢の女性ファンと、日本の場面が先ず嬉しい。 また、その後のインドやエジプトでのライヴ開催に向けてのドタバタを観ていると、ロード・マネージャーの手腕の高さもよく判る。
ただやはり本作品の最大のウリは、そのワールド・ツアーでのドキュメンタリー部分を除いたライヴ4曲の映像と、CD音源である。 ポリスというバンドが只々格好良いことがよく判る。 アルバム2枚しか発表していないためレパートリーが少なく、それを補うためにインスト・パートを引き伸ばしていたりするのだが、その引き伸ばし方も上手く、次の瞬間に観衆を盛り上げる伏線にしている。
『 Live! 』 のところでも記載したが、ポリスはライヴ・アルバム発表のタイミングを逸したバンドである。 このCD音源から2,3曲削ってLPフォーマットでワールド・ツアー後に発表していたら、その後も含めてバンドの方向性がそのままであったとしても更に多くのファンを獲得したのではないかと思う。
(追加:2022年9月10日)