フリップが自身の名義で発表したアルバムの中で、フリッパートロニクス、サウンドスケイプのウニョウニョ以外の曲が半数以下のものは『 Exposure 』 のみである。 『 Exposure 』 は、フリップ初のソロ・アルバムであると同時に、リリースまでの経緯が複雑であること、マイナーではあるが意図的な違いがある3つのバージョンが存在すること等の理由により語られることが多く、Elephant Talk : The Exposure Pages という独立したページまで開設されている。
3つのバージョンについて
3つのバージョンの違いは単にマスターからの落とし方によって生じたものではなく、明確に意図されたものである。
その違いについては、Elephant Talk : The Exposure Pages
において詳しく分析されている。 但しそこに指摘されるものの中には、「
そう言われれば、そう聞こえるかもしれない 」
程度のものも含まれているので、各位が注意して聞き比べ、独自に判断するべきだと思う。
ここでは、データに基づく顕著な違い、すなわち演奏時間の違いのみをまとめることにする。 いずれも、ジャケット、ライナーに記載されている演奏時間である。
Original Version
1979年にLPにてリリースされたもので、現在までCD化されていない。 中古盤で1,000円程度で売られていることが多い。
Remix Version
1985年にリミックス・バージョンとしてリリースされたもの。 裏ジャケットに「 The Definitive Edition Re-Mastered by Robert Fripp and Tony Arnold, 1989」 と記載されていないCDがこれ。 ヴァージン・ジャパンからリリースされたCDもこのバージョンで、盤帯付きで4,000~5,000円で売られているのをたまに見かける。
The Definitive Edition
フリップとトニー・アーノルドによる一連のリミックス作業により、1989年にリリースされたもの。 裏ジャケットに「 The Definitive Edition Re-Mastered by Robert Fripp and Tony Arnold, 1989」 と記載されている。 現在まで日本盤はリリースされていないが、輸入中古CDは1,000円から2,000円程度で売られている。
Title | O.V | R.V. | D.E. |
Preface | 1:15 | 1:15 | 1:15 |
You Burn Me Up I'M A Cigarette | 2:22 | 2:23 | 2:23 |
Breathless | 4:45 | 4:39 | 4:39 |
Disengage | 2:45 | 2:51 | 2:52 |
North Star | 3:05 | 3:12 | 3:12 |
Chicago | 2:10 | 2:10 | 2:11 |
NY3 | 2:18 | 2:16 | 2:17 |
Mary | 2:05 | 2:10 | 2:10 |
Exposure | 4:22 | 4:26 | 4:26 |
Haaden Two | 2:51 | 1:56 | 1:56 |
Urban Landscape | 2:34 | 2:35 | 2:35 |
I May Not Have Had Enough Of Me But I've Had Enough Of You | 3:43 | 3:37 | 3:38 |
First Inaugural Address To I.A.C.E. Sherborne House | 0:05 | 0:04 | 0:04 |
Water Music I | 1:27 | 1:18 | 1:19 |
Here Comes The Flood | 3:58 | 3:53 | 3:52 |
Water Music II | 4:13 | 6:23 | 3:52 |
Postscript | 0:37 | 0:41 | 0:38 |
O.V. : Original Version (
ポリドール・レコード MPF1239 記載 )
R.V. : Remix Version ( ヴァージン・ジャパン VJD-5001 記載 )
D.E. : The Definitive Edition ( Caroline Records, Inc. EGCD41 記載 )
参加ミュージシャンについて
『 Exposure 』
に参加しているミュージシャン(及び声の主)は 「 Contributors 」
とクレジットされているものの、どの曲に誰が参加しているかまではクレジットはされていない。
他のレコードにおけるクレジット、ヒアリングによる確認、推測をまとめると、以下の通りとなる。
Guitar | Frippertronics | Bass | Drums | Synthesizer | Piano | Vocal | Taped Voice | etc | |
Preface | *- | *- | *- | *- | *- | *- | *- |
+? |
*- |
You Burn Me Up I'm Cigarette | Robert Fripp | Robert Fripp | Tony Levin | Jerry Marotta | - | - |
Daryl Hall |
*Shivapuri Baba |
- |
Breathless | Robert Fripp | Robert Fripp | Tony Levin | Narada Michael Walden | - | - | - | - | - |
Disengage | *Robert Fripp | *Robert Fripp | +Tony Levin | +? | *- | *- | *Peter Hammill | *Mrs.Eddie Fripp | *- |
North Star |
Robert Fripp |
- |
Tony Levin | Phil Collins | Brian Eno |
- |
Daryl Hall | - | Sid McGinniss : Pedal Steel |
Chicago | *- | *Robert Fripp | +Tony Levin | +? | +Barry Andrews | +Barry Andrews | *Peter Hammill | *- | *- |
NY3 | *Robert Fripp | *- | +Tony Levin | +? | *- | *- | *Peter Hammill Terre Roche |
*- | *- |
Mary | +Robert Fripp | *Robert Fripp | *- | *- | *- | *- | *Terre Roche | *- | +Sid McGinniss : Rhythm Guitar |
Exposure | Robert Fripp | Robert Fripp |
- |
Jerry Marotta |
- | - | Terre Roche | *J.G.Bennett | Sid McGinniss : Rhythm Guitar |
Haaden Two | *Robert Fripp | *- | +Tony Levin | +? | *- | *- | *- | *J.G.Bennett | *- |
Urban Landscape | *- | *Robert Fripp | *- | *- | *- | *- | *- | *- | *- |
I May Not Have Had Enough Of Me But I've Had Enough Of You | *Robert Fripp | *- | +Tony Levin | +? | *- | *- | *Peter Hammill Terre Roche |
*- | *- |
First Inaugural Address To I.A.C.E. Sherborne House | *- | *- | *- | *- | *- | *- | *- | *- | +? |
Water Music I | - | *Robert Fripp | - | - | - | - | - | J.G.Bennett | - |
Here Comes The Flood |
- |
Robert Fripp | - | - | Brian Eno | Peter Gabriel | Peter Gabriel | - | - |
Water Music II | *- | *Robert Fripp | *- | *- | *- | *- | *- | *- | *- |
Postscript | *- | *- | *- | *- | *- | *- | *- | *Brian Eno Robert Fripp |
*- |
マークが何もないのは、12inchシングル・編集盤にクレジットされているものである。
You Burn Me Up I'm Cigarette : 『 Four From Exposure 』
Breathless : 『 Four From Exposure 』
North Star : 『 Network 』
Exposure : 『 Four From Exposure 』
Water Music I: 『 Network 』
Here Comes The Flood : 『 Four From Exposure 』、 『 Network 』
『 Four From Exposure 』 は、「 Promotional copy not for sale
」のクレジットのもと、1979年に Polydor よりリリースされている。
『 Network 』 は、1985年にフリップのソロのリミックスにあわせてリリースされている。(
日本未発売 )
*がついているものは、ヒアリングによって確認することができるフリップのギター・フリッパートロニクス、ヴォーカル、声である。
『 Four From Exposure 』 と 『 Network 』 のクレジットからはオミットされているが、明らかに確認できるものも追加している。具体的には、
” You Burn Me Up I'm Cigarette ” でのシバプリ・ババの声
” Exposure ” での J.G.ベネットの声
” Water Music I ” でのフリッパートロニクス。
+がついているものは、推測、もしくは推測することもできなかったものである。
他に専門プレイヤーがいないことから、ベースは全てトニー・レヴィンとしたが、そうでない可能性もある。
一番分からなかったのは、ドラム。 殆どのドラムはジェリー・マロッタと思われるが、” I May Not Have Had Enough Of Me But I've Had Enough Of You ” のハイハットの使い方が、ジェフ・ベックの 『 Wired 』 におけるナラダ・マイケル・ウォルデンのプレイに似ているようにも思える。(ナラダ・マイケル・ウォルデンは 『 Wired 』 において、5曲でプレイ(内1曲はピアノ)、4曲を作曲している)
コラージュされた声についても不明点が多い。 聴き取れた以外にも判断できない声が多くあったが、割愛している。
” Chicago ” でのシンセとピアノは、イーノとピーター・ガブリエルにはできないであろうという消去法からバリー・アンドリュースとしたが、マルチ・プレイヤーであるナラダ・マイケル・ウォルデンの可能性もある。
” Mary ” のリズム・ギターはフリップであるのか、シド・マッギネスであるのか判断できず。
” First Inaugural Address To I.A.C.E. Sherborne House ” でのノイズは不明。
なお、「完全版」の 『 Exposure 』 についての記事はこちらを参照下さい。