2016
The Ship : Brian Eno
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Produced by Brian Eno. Assistant producer Peter Chilvers
Additional singers / players :
Peter Chilvers ・ Programming, ED sound analyst, Ableton live operator,
string keyboards on The Ship and additional keyboards and vocoder on
Fickle Sun
Leo Abrahams ・ Guitar on I'm Set Free
Jon Hopkins ・ Keyboards on I'm Set Free
Nell Catchpole ・ Violin and viola on I'm Set Free
Peter Serafinowicz ・ Voice on The Hour Is Thin
Nuria Homs ・ Catalan voice on The Ship
Member of The Elgin Marvels ・ Siren voice on The Ship
All other instruments ・ Brian Eno
イーノの単独名義としては、2012年の 『 Lux 』 以来になる作品。
アンビエントとヴォーカルものの融合、などという陳腐な表現で語るには余りのももったいない味わい深い作品である。
ヴェルベット・アンダーグラウンドのカヴァー曲である ” I'm Set Free ” も唐突感は全く無く、そこに繋がるまでの流れが見事である。
ただきっと、本作品もまた中古市場で多く流通するようになると思われる。
イーノの新譜がリリースされた時、その内容について否定的な意見を目にすることは少ない。 むしろ雑誌等では傑作として語られることの方が多い。
ただ万人受けする傑作ではないことも事実であって、この辺りがイーノのファンにしてみるともどかしかったりする。
(追加:2016年5月25日)
2017
Reflection : Brian Eno
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Written, recorded and produced by Brian Eno
イーノによる、アンビエント新作。
本作品を語るにあたり、上記以上の説明はいらないと思う。
これは放棄しているわけでも、斜に構えて発言しているわけでもなく、我ながらこれ以上必要無い程的確に説明しているという自負がある。
多弁なイーノ自身も、今回の新譜のプロモーションにあたって「アンビエント」や「ジェネレイティヴ」といった、自らの作品群の中で使われてきた単語を惜しげもなく使用している。
まさにそんな作品である。
イーノが新譜を出すとメディアでは傑作と大きく扱われる一方、2,3ヶ月後には中古盤として多く出回る、といったパターンがもう数十年に渡って繰り返されているわけだが、U2やコールドプレイで充分な財を成したイーノにしてみれば、そんなことはもうどうでもよいことなのだろう。
商業的成功を意識することなく、好きな時に好きな作品をリリースすることがきるイーノの立ち位置は素晴らしい。
(追加:2017年1月25日)
Kaleidoscope EP : Coldplay
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ALIENS co-produced by Brian Eno and Marks Dravs.
Additional guitar and backing vocals on ALIENS by Brian Eno.
『 Mylo Xyloto 』 以来6年振りにイーノが関与したコールドプレイの作品。
とは言ってもアルバム全体に参加しているのでは無く、EPの中の1曲に参加しているだけである。
イーノがプロデュースしている楽曲で自ら演奏もしている場合、その楽器がシンセサイザーだろうがギターであろうが、出て来る音の差は殆ど無い。
イーノとしても、シンセサイザーであるべきとか、ギターによる必然性を考えたりした上で使い分けているのではなく、その時たまたま使っていた楽器の音を、楽曲の中で如何に活かすかを考えているだけに違いない。
” ALIENS ”
でのイーノのクレジットは、ギターとバッキング・ヴォーカルなのだが、何となくイーノが参加しているっぽい曲だな、という印象のみが残る。
そしてこれこそが、イーノの参加が成功している典型的パターンである。
(追加:2018年2月25日)
Finding Shore : Tom Rogerson with Brian Eno
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Notes Tom Rogerson
Sounds Brian Eno
スリー・トラップト・タイガーズというバンドを組んでいるキーボード奏者トム・ロジャーソンと、イーノによる作品。
元々同郷の2人が本作品を制作するきっかけとなったのが、トイレで出会ったことらしいが、そんな嘘でもハッタリでもどうでもいいようなことが、イーノ関連作品らしくて良い。
構成としては、ロジャーソンによるピアノ、キーボードに、イーノがアンビエント・トリートメントを施した楽曲が並んでいる。 ハロルド・バッドとの共作 『
Ambient 2 / The Plateaux Of Mirror 』
の音数を多くしたような作品、と言ってしまうと安易ではあるが的を得ていると思う。
当時から器材はデジタルに切り替わっているだろうが、ピアノにかかった深いエコーが続くと思って聴いていると、いつの間にかそれ自体がシンセサイザーの音色に切り替わる手法は心地よい。
(追加:2018年7月10日)
2018
The Weight Of History ・ Only Once Away My Son : Brian Eno with Kevin Shields
A. The Weight Of History AA. Only Once Away My Son |
Produced by Eno
Composed by Eno & Shields
2018年4月21日の Record Store Day 2018 で発売された 33 r.p.m. の12インチ・ディスク。
イーノとマイ・ブラッディ・バレンタインのケヴィン・シールズによるコラボレーションによる2曲が収録されている。
2人のキャリアから想像されるアンビエント+ノイズによる、ダークでドロドロとした音楽がひたすら続く。
(追加:2018年4月25日)
Music For Installations : Brian Eno
Disk 001 Music From Installations
Disk 002 77 Million Paintings
Disk 003 Lightness Music For The Marble Place
Disk 004 I Dormienti / Kite Stories
Disk 005 Making Space
Disk 006 Music For Future Installations
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All music produced by Brian Eno All music performed by Brian Eno
With Leo Abrahams ・ Guitars on disk 001 ・ Kazakfstan, disc 005 ・ Flora and Fauna / Gleise 581d, New Moons, Vanadium, Hopeful Timean Intersect Nell Catchpole ・ Violin and Viola on disc 001 ・ Kazakfstan Kyoko Inatome ・ Treated voices on disc 002 ・ 77 Million Paintings, disc 004 ・ I Dormienti, Kites I,II & III Tim Harries ・ Bass on disc 005 ・ Hopeful Timean Intersect
イーノが取り組んでいる活動の一つにインスタレーションがあるが、そのインスタレーション用の作品を集めたボックス・セット。
『 Music From Installations 』 はいくつかのインスタレーションで使われた4曲を収録している。
会場も時期(1985~2017年)も異なるが、各曲とも20分前後のアンビエント風の大作となっている。
勿論、各曲の構成やメインに使われている音色は全て異なるのだが、イーノによるインスタレーション用音楽、として想像しうる理想的な集合体となっている。
『
77 Million Paintings 』 は、2006年にラフォーレ原宿で行われたインスタレーション 「 77 MILLION AN
AUDIO VISUAL INSTALLATION BY BRIAN ENO 」 で使われた音楽とクレジットされているが、同会場で限定発売されたCD 『
77 Million 』 とは異なる内容である。
会場発売のCDが低音を強調したリズムを含んだ9つの小曲で構成されていたのに対し、中音域のドローンが多いアンビエント風の大曲1曲で構成されている。
『 Lightness Music For The Marble Place 』 は、1997年にロシアのサンクトペテルブルクにあるロシア美術館の
The Marble Place で行われたインスタレーション 「 Lightness 」 で使われた音楽。
30分前後の2曲は、多分10回以上聴いてもその判別は難しいと思う。
『 I Dormienti / Kite
Stories 』 は、1999年に行われた2つのインスタレーションでの楽曲が収録されている。 ” I Dormienti ”
は、ロンドンで行われたもの、他の3曲はヘルシンキでのものである。 強いて挙げれば、変調された人間の声が使われていることが共通点である。
『 Making Space 』 は、日本でも限定販売された 『
Making Space 』
に、日本盤のみボーナス曲として ” Purple Zone ” が追加されている。 その ” Purple Zone ”
は、極太のエアコン・ダクトが響き続けるような音がしている。
『 Music For Future Installations 』 は、タイトル通り将来インスタレーションで使われることを想定した楽曲集。
とは言っても実態は、イーノのハード・ディスクに保管されている無限の未発表音源から取り出した楽曲を、インスタレーション用とカテゴライズした作品である。
(追加:2018年7月10日)
Roxy Music ( Super Deluxe Edition ) : Roxy Music
THE ALBUM 1. Re-Make / Re-Model 2. Ladytron 3. If There Is Something 4. Virginia Plain 5. 2HB 6. The Bob ( Medley ) 7. Chance Meeting 8. Would You Believe? 9.Sea Breezes 10. Bitters End Bryan Ferry - Voice and Piano Graham Simpson - Bass
Andrew Mackay - Oboe and Saxophone Eno - Synthesizer
and Tapes Paul Thompson - Drums Phil
Manzanera - Guitar Rik Kenton - Guitar (Track 4) DEMOS & OUT-TAKES Early Demos May 71 1. Ladytron 2. 2HB 3.Chance Meeting
4. The Bob ( Medley ) Album Out-takes ( March 1972 ) 5. Instrumental 6. Re-Make / Re-Model
7. Ladytron 8. If There Is Something
9. 2HB 10. The Bob ( Medley ) 11.
Chance Meeting 12. Would You Believe?
13. Sea Breezes 14. Bitters End 15.
Virginia Plain THE BBC SESSIONS The Peel Sessions 4/1/72 1. If There Is Something 2. The Bob ( Medley )
3. Would You Believe? 4. Sea Breezes
5. Re-Make / Re-Model The Peel Sessions 23/5/72 6. 2HB 7. Ladytron 8. Chance
Meeting The Peel Sessions 18/7/72 9. 2HB BBC In Concert 3/8/72 10. The Bob ( Medley ) 11. Sea Breezes
12. Virginia Plain 13. Chance Meeting
14. Re-Make / Re-Model DVD
Ferry / Mackay / Eno / Manzanera / Kenton / Thompson 5.1 Mix of the album by Steven Wilson |
難産の末リリースされた、ロキシー・ミュージックのファースト・アルバムのスーパー・デラックス・エディション。 Record Store Day
2015 にリリースされた 10inch の 『 Ladytron / The Numberer 』 に、「 Taken from
the forthcoming Super Deluxe Edition of ROXY MUSIC
」 と記載されてから、本作品のリリースまで3年弱かかったことになる。
ただ、時間がかかっただけの甲斐があり、ファースト・アルバムをレコーディングする前のデモ・テイクから、BBCでのセッション、映像を通して、ごく短い期間の中でロキシー・ミュージックがケミストリーを発生させていったことが明確に判る作品となっている。
はっきり言ってデモ時点でのテイクは、後のテイクと比べてアイティアに乏しく惹かれるところがない。
そんな楽曲がファースト・アルバムでは魅力溢れる楽曲になり、1972年8月段階でのBBCのセッションではそこに攻撃性まで付加されている。
更に本作では、レコーディングのみならずライヴにおけるイーノの活躍度が高いことが、映像作品だけではなくBBCでのセッションからもよく判る。
タンバリン叩きながらコーラスしたり、VCS3でノイズを出してたりするだけの存在と受け取られていたイーノが、(もちろんそんな場面もあるが)テープ操作でのループや、シンセサイザーの手弾きをしていることをはっきりと確認することができる。
特に、1972年8月のBBCのセッションでの ” Re-Make / Re-Model ”
は、イーノのベスト・テイクの一つと言っても過言ではないと思う。
(追加:2019年1月10日)
2019
Apollo Atmospheres & Soundtracks Extended Edition : Brian Eno with Daniel Lanois & Roger Eno
Atmospheres & Soundtracks
For All Mankind
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Produced by Brian Eno & Dan Lanois
アポロ11号の月面着陸記念で発表された、『 Apollo Atmospheres & Soundtracks 』
のエクステンデッド・エディション。
追加された 『 For All Mankind 』 は、映画 『宇宙のフロンティア』
に使われた楽曲を集めたものらしいが、未見のため実際の所は判らない。 何れにせよ、『 Apollo Atmospheres &
Soundtracks 』 と同時期にイーノがダニエル・ラノワと弟イーノとレコーディングした楽曲集となっている。
本作収録曲の内、” An
Ending ( Ascent ) ” は、映画
『 28日後 』 のサウンドトラックに使われているが、やはり極め付きは 『 トレインスポッティング 』 での ” Deep
Blue Day ” の使われ方である。
「スコットランドで最低のトイレ」の大便器の中に落としたクスリを探すために糞尿まみれの便器の中を泳いで探す場面が、宇宙と排泄の深淵なる関係が見事に表現している。
(追加:2019年9月10日)
2020
Mixing Colours : Roger Eno And Brian Eno
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Roger Eno - All keyboards
Brian Eno - Programming and sound
design
All tracks written by Roger Eno and Brian Eno
Produced by
Brian Eno
イーノ兄弟名義による初作品で、ドイツ・グラモフォンからリリースされている。
アンビエントとアンビエント・テクノとニューエイジ・ミュージックとイージー・リスニングは違うよね、と問われれば違うと言い切ることができる。
大雑把に言ってしまえば、アンビエントはイーノ、アンビエント・テクノはアレックス・パターソン、ニューエイジ・ミュージックはウィンダムヒル、そしてイージー・リスニングはポール・モーリアと思っている。
ただ各々の作品がそのカテゴリーを全く逸脱していないかというと、そんなことはなく、境界線は曖昧な所もある。 まぁ流石にポール・モーリアのアンビエント・テクノは無いと思うが。
本作品はアンビエントでありながら、イージー・リスニング風な要素もあり、アンビエントものを聴き込むぞという気合無しで気軽に聴きながせるところが多い。
クレジットされている二人の担当は、納得感のある役割分担で、兄弟という関係を考慮しなければ、兄イーノにとってはいつもながらの素材加工/編集作業なのかもしれない。となると作品の方向性を決めたのは、弟イーノに依る所が大きいのかもしれない。
(追加:2020年4月25日)
Luminous : Roger Eno And Brian Eno
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Roger Eno - All keyboards
Brian Eno - Programming and sound
design
All tracks written by Roger Eno and Brian Eno
Produced by
Brian Eno
『 Mixing Colours 』 に続いてリリースされたイーノ兄弟の作品。 アナログ限定でリリースされている。
本作品は 『
Mixing Colours 』 と同時期に制作された作品であり、作品の傾向に全く差は無い。
なので没テイク集と考えるより、同じ制作過程を経た楽曲から最初にリリースしたのが
『 Mixing Colours 』 で、続いてリリースされたのが 『 Luminous 』 と捉えるのが正しいのだと思う。
実際の所、本作がアナログ限定でリリースされた後、『 Mixing Colours Expanded 』
としてこの2作品を収録した2CDがリリースされている。
(追加:2020年11月25日)
Rams : Original Motion Picture Soundtrack : Brian Eno
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Written, performed and produced by Brian Eno
All music is taken
from the documentary film Rams, produced and directed by Gary
Hustwit
変則開催となった2020年の Record Store Day でリリースされたイーノの作品。
今や転売ヤーによる秒殺イベントと化している Record Store Day において、イーノの作品は比較的売れ残りことが多く、本作品も比較的容易に入手することができた。
この辺り、イーノの一般流通版新譜がリリースされると雑誌の特集等でも話題になるが、しばらくすると中古市場に安価に出回ってしまう、という傾向が残念ながら反映していると思われる。
ただ、本作品は侮れない。 ドキュメンタリー・フィルムのサウンドトラックという体を取りながら、ピアノの残響音の重なり合い、ドローン、テクノ風のリズム、女性コーラスと、見本市のような構成で、イーノによる良質なアンビエント楽曲集となっている。
そして何よりも、歪んだシンセサイザーの音色で構成される
1曲目の ” Bright Cloud of Metal ” が、個人的には本作品のベスト・テイクだと思っている。
(追加:2020年11月25日)
Film Music 1976-2020 : Brian Eno
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All recordings produced by Brian Eno
イーノが映像作品に提供した楽曲を集めた作品。
映像用の楽曲といっても、聴いただけでその場面が蘇るような楽曲というのはイーノにとって本意では無いはずで、「サウンドトラック」をキーワードにしたイーノの環境音楽コンピレーションとなっている。
ただそれでもやはり ” Deep Blue Day ” が流れると、 『 Trainspotting』
の糞まみれにならない糞まみれのシーンが目に浮かんでしまうが。
1曲毎に使われた映像作品がクレジットされているのだが、例えば
”
Late Evening In Jersey
” は
映画 『 Heat 』 のサウンドトラックには収録されておらず、イーノの編集盤 『 Curiosities Volume I 』
に収録されていたりする。
実際の映画では使われているのかもしれないが、とにかくそんなことを確認し始めると途方もない労力がかかってしまう作品でもある。
この辺りのことも詳しくクレジットした上で、CD10枚位の箱モノにして網羅性を高めてくれたら、もっと嬉しかった。
(追加:2020年11月25日)