2006
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Music And Cover ・ Brian Eno
2006年3月24日から4月3日の間、ラフォーレ原宿で、『 77 MILLION AN AUDIO VISUAL INSTALLATION BY BRIAN ENO 』 と題したインスタレーション展が開催された。 本作品はその会場で発売された CD。 低音を強調したリズムと単音メロディが絡む楽曲が多く収録されている。 (追加:2016年5月25日)
77 Million Paintings By Bria Eno
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All images and music by Brian Eno
『 77 MILLION AN AUDIO VISUAL INSTALLATION BY BRIAN
ENO 』 で先行発売された後、一般流通販売もされた、DVD-ROM 作品。
インストールして再生すると、ゆっくりと変化していく映像と音楽がひたすら流れ続けていく。 77百万のパターンがあると想像させるタイトルは、判りやすく記号化したイーノ得意のハッタリであって、変化過程を含めればカウントすることすら無意味である。
ただ、この作品を観続ける、聴き続けることができるかというと、疑問が残る。
本作品購入から既に10年経ているが、私が本作品を鑑賞した時間は、多分1時間に満たない。 飽きてしまうからである。
2010年代以降、イーノは iOS用のアプリとしてで 『 Bloom 』 や 『 Trope 』
といった、能動的に映像や音を変化させることができる作品をリリースしていくが、これらの作品の方が個人的には好みである。
(追加:2016年5月25日)
Surprise : Paul Simon
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Electronics : Brian Eno
Produced By Paul Simon
Sonic Landscape By Brian Eno
イーノが全面参加しているポール・サイモンの作品。
ポール・サイモンの熱心なファンにしてみれば、作品毎の振れ幅こそが最大の魅力なのだろうし、その魅力を最大限活かすことが、共演者には求められていたはずである。
他の客演と異なり「イーノだから」で許されることのないだけに、イーノにとっても非常に難しい作品であったと想像できる。
ただやはりイーノが凄かったのは、そんな状況下で本作品を上品かつアグレッシヴに仕上げた所である。 特に、”
Everything About It Is
A Love Song ”
のメロディアスかつプログレッシヴな曲展開は特筆に値する。
一過性の話題だけで終わってしまったのが悔やまれる程の作品である。
(追加:2015年4月25日)
2007
Voila : Belilnda Carlisle
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Brian Eno - keyboards
元 The Go-Go's のヴォーカリスト、ベリンダ・カーライルの作品。
バンド解散後、ヨーロッパに移住した後にリリースされた本作品で、カーライルはシャンソン等のスタンダードをフランス語で唄っている。
これが The Go-Go's 以来のファンにどれだけ受け入れられたのかよく判らないが、取り敢えずセールス的には惨敗している。
もちろん既にバンド、ソロでセールス的成果を出している本人にしてみれば、住みたいとこに住んで、やりたいことやってるだけで、本作の評価はどうでも良いのかもしれない。
イーノの参加は、プロデューサーのジョン・レイノルズ繋がりと思われるが、その存在感は希薄である。
(追加:2019年4月10日)
Dylanesque : Bryan Ferry
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Electronics ( Track 8 ) ・・・ Brian Eno Isaac Ferry
ブライアン・フェリーによる、ボブ・ディランのカヴァー・アルバム。
初期のソロ・アルバムからディランのカヴァーをしていただけに違和感はないが、ディランのファンはどのように思っているのかは興味深い。
イーノが参加している ” If Not For You
” は、ディランの 『 New Morning 』 に収録され、ジョージ・ハリソンやオリヴィア・ニュートン・ジョンにもカヴァーされた楽曲。
終始展開される薄く拡がるようなシンセサイザーがイーノによるものなのだと思うが、上品なことこの上ない。
(追加:2015年11月25日)
Comicopera : Robert Wyatt
act one last in noise
act two the here and the now
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前作 『 Cuckooland 』 から4年後に発表されたロバート・ワイアットのソロ・アルバム。
イーノがイーノである必然性が全く無いのは前作同様用で、演奏で参加している楽曲でも目立たたないが、もう1曲ではサンプリングされたイーノの声が使われているだけ。
だからと言ってワイアットのイーノに対する扱いが低いということは無く、文字通りの「友情参加」ということになる。
(追加:2016年1月10日)
The Thrill Of It All : Roxy Music
1. Dance Away 2. Manifesto 3. Song For Europe 4. Still Falls The Rain 5. AIn't That So 6. Angel Eyes 7. Trash 8. Over You 9. Oh Yeah! ( On The Radio ) 10. Same Old Scene 11. Rain, Rain, Rain 12. Flesh And Blood 13. Jealous Guy 14. The Main Thing 15. While My Heart Is Still Beating 16. Avalon 17. My Only Love 18. More Than This 19. The Main Thing 20. Avalon |
ロキシー・ミュージックの、TV映像、ライヴ映像、プロモーション・ヴィデオを年代順に集めた作品。
本作品のリリースがアナウンスされた際、1990年に日本でもレーザー・ディスクでリリースされ、各曲を短くカットしながらロキシー・ミュージックの歴史を俯瞰する編集をしていたた
『 Total Recall 』 の再発を期待して購入したのだが、同作とは異なるベタな内容に最初はガッカリしたことを覚えている。
ただ、よくよく確認してみると編集自体は丁寧に施されており、映像が綺麗になっている他、口パクの ”
Re-Make / Re-Model
” では放送音源ではなくアルバムの音源を映像に被せる等工夫をしており、アーティストに対する愛を充分に感じる作品であることがわかった。
イーノ在籍時のシングルであった ” Pyjamarama ” は、イーノ脱退後に収録したためかエディ・ジョブソンが参加している。
ただ同日収録した他の楽曲と異なり、ジョブソンの姿を意図的に映像に収めておらず、代わりにイーノを彷彿させるテープ・デッキをとらえている。
(追加:2019年1月10日)
2008
Viva La Vida Or Death And All His Friends : Coldplay
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Produced by Markus Dravs, Brian Eno and Rik Simpson.
Soniclandscapes by Brian Eno.
ついに、という言い方が適切なのだと思う。 前作 『 X&Y 』
で1曲のみ参加していたイーノがプロデュースを含め全面参加したコールドプレイの4作品目。
コールドプレイを、コールドプレイを聴きたいという欲求から聴いたことがないアラフィフでプログレな私が言うのも僭越だが、正統派過ぎるコールドプレイには異分子が必要だったのだと思う。
そこに見事なまでに食い込んでいったイーノの嗅覚は相変わらず素晴らしいし、しっかりとしたアウトプットに繋げたことも流石だと思う。 一歩間違えれば U2
と揶揄されかねないところを堪えたのは、コールドプレイとイーノ双方の思惑が見事に反映された結果に違いない。
(追加:2015年8月25日)
Prospekt's March EP : Coldplay
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Produced by Markus Dravs, Brian Eno and Rik Simpson.
『 Viva La Vida
Or Death And His Friends 』 のアウトテイクと別ヴァージョンを収録したEP。
プロデュースのクレジットは同じでイーノの名前もあるが、「
Soniclandscapes by Brian Eno 」 のクレジットは無くなっている。
(追加:2015年8月25日)
Everything That Happens Will Happen Today : David Byrne & Brian Eno
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Produced by Markus Dravs, Brian Eno and Rik Simpson.
デヴィッド・バーンとのコラボレーション第2弾。
とは言うものの、前作 『 My Life In The Bush Of Ghosts 』 から四半世紀も経っており、その連続性は無い。
前作が所謂前衛性を全面に出した2人の共作色が強かった一方で、本作はバーンとイーノによるライナーによると、イーノの録りためたマテリアルにバーンがヴォーカルとギターを加えるという手法で完成させたものらしい。
リズムが強調されていることもあり、インストゥルメンタルについてはよりロック色が強いのだが、印象は同時期(と言っても2005年)にリリースしたヴォーカル・アルバムの体を装ったアンビエント・アルバム
『 Another Day On Earth 』 に近い。 そしてその 『 Another Day On Earth 』
以降、イーノは充実したソロ・アルバムを続けて発表していくのだが、本作はその流れの中の一つとして位置づけて良い作品だと思う。
過激さも話題性も 『 My Life In The Bush Of Ghosts 』 に及ばないしっかりとした作品である。
(追加:2016年2月25日)
Hurricane : Grace Jones
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Production Consultation - Brian Eno
Brian Eno … Keyboards / Treatments / Backing Vocals
グレイス・ジョーンズの約20年ぶりの音楽作品。
1980年代において、シンガー、モデル、女優としてかなりの頻度でメディアに取り上げられたジョーンズだったが、その根幹をなしていたのは泣く子も黙るルックスであった。
メディアと通して接するとその格好良さにはホレボレしてしまうが、通勤途中に正面から向かって来たら私は避ける。
久々となる本作品でもその怖格好良さは健在で、初期の彼女の作品と比べて良い意味で変化がない。
80年代の寵児が、2000年代の最先端を借用することなく、80年代そのままプラスアルファで勝負に出て成功している。
そしてこのプラスアルファの所を担っているのがイーノである。
バッキバキのリズムの間を微妙に埋める薄いシンセサイザーの音色が本作品の成功に見事に寄与している。
(追加:2019年4月10日)
2009
Tracks & Traces Remixed : Harmonia 76
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All Music written and performed & produced by Brian Eno, Hans-Joachim Roedelius, Michael Rother, Dieter Moebius
『 Tracks & Traces 』 のリイシュー盤と同じ2009年にリリースされたリミックス盤。
オリジナルに比べてリズムが強調され、残響音のエコーは深くなり、細かい音数も増えている。
その結果は当然ながらオリジナルの良さをことごとくダメにしてしまっている。
間の多さがオリジナルの魅力であったにもかかわらず、それをリミックスの余地が多いと誤解したことがそもそもの間違いであり、素材として選択した時点で失敗が約束されていたようなものである。
作品としてはハルモニア76名義となっているために取り上げたが、特にイーノの意向は全く感じられない。
(追加:2017年4月10日)
No Line On The Horizon : U2
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iTunes 強制配信でも話題になった U2 の最新作、『 Songs Of Innocence 』 にイーノは参加していない。 そしてこの
『 No Line On The Horizon 』 も、元々はリック・ルービンとのセッションが頓挫した後に制作された作品である。
イーノとの共同作業を U2 側が求めなくなっているのかは、『 Songs Of Innocence 』
以降の作品のプロダクションによって明らかになるが、本作品から(あるいは更に遡って 『 How To Dismantle An Atomic
Bomb 』 か ら)今に至るまで、U2 にとってイーノの必要性は無くなっている。
曲作りにまで参加している本作でも、その制作経緯は前述した通りであり、イーノ(とダニエル・ラノワ)の路線に目新しさはない。
(追加:2015年6月25日)
2010
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All instruments by Brian Eno
Except Leo Abrahams
guitar on 03,04,07 and Tim Harries bass on 07
イーノがゲスト・ディレクターを務めた2010年の
Brighton Festival や、自身の 77 Million Paintings
のインスタレーション会場等で販売されていた作品で、日本ではタワーレコードから限定販売された。
アンビエントな1曲を9つにトラッキングしたのではなく、各々の曲は完全に独立しており、リズムあり、ギターあり、ベースあり、ノイズありと、バラエティに富んだ内容となっている。
別な言い方をすると一定のコンセプトに収まりきらなかった習作や没テイクをまとめたものということになる。
ただ、枠に収める必要が無かったことで個々の曲の自由度が高くなっており魅力度が高い楽曲集となっている。
(追加:2018年7月10日)
Small Craft On A Milk Sea : Brian Eno with Jon Hopkins & Leo Abrahams
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Brian Eno - computers
Jon Hopkins - piano, keyboards and electronics
Leo Abrahams - guitar, laptop and guitaret
with
Jez Wiles - Percussion on track 4,5,6 & 8
Pete Chilvers - Recording supervisor and sonic archivistA
イーノとジョン・ホプキンスとレオ・アブラハムによる作品。
ヴォーカル・アルバムでもないし、ドローンをベースにした音数の少ないアンビエントものでもない。 そのためカテゴライズが難しいのか、Warpというレーベルからリリースされた意味付けが強調される機会が多い。 多分イーノにとってそんなことは全てどうでも良いことで、今やりたいこと、リリースしたいものをそのまま提示しているだけなのだと思う。
イーノとしてはヴァラエティに富んだ小曲が並んでおり、聴きやすい作品である。
(追加:2010年10月25日)
Olympia : Bryan Ferry
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Brian Eno … synthesizer
ブライアン・フェリーのソロ・アルバム。
久々の傑作、と言ったら失礼かもしれないが、事実素晴らしい内容である。
『 Avalon 』 から 『 Boys And Girls 』
時期のゴージャスな音や、初期ロキシーのシングル曲を彷彿させるキャッチー&グラマラスな音が、(100%とまでは言えないものの)見事に融合されている。
本作品が成功している理由の一つは、豪華なゲスト陣をフェリーのコンセプト下で使いこなしている事である。 初期ロキシーのメンバー集結、という謳い文句でイーノが参加しているが、そのイーノに
treatment とか atmosphere とか好き勝手にクレジットさせずに、synthesizer
とクレジットさせる程、フェリーの意向が徹底している。
ケイト・モスの色っぽいジャケット見ながら聴いていると、とても幸せな気持ちになれる素晴らしいパッケージ商品である。
(追加:2010年11月25日)