1982
Bamboo Houses / Bamboo Music : David Sylvian And Riuichi Sakamoto
David Sylvian keyboards, keyboard
programming, vocals
Riuichi Sakamoto keyboards, keyboard programming, mc4,
marimba, vocals
Steve Jansen percussion, electronic percussion,
keyboards
坂本龍一とデヴィッド・シルヴィアンによるコラボレーション・シングル。
JAPANの解散はショックだった。 それだけに本作品がリリースされた時、JAPAN
の楽曲に肌触りが似ていることを、非常に好意的に受け止めたことを今でも覚えている。
今冷静に聴き直してみると、ミック・カーンのベースが無いことで JAPAN
の楽曲と決定的な差があるのだが、Prophet5の歪みきった音とデヴィッド・シルヴィアンのヴォーカルの絡みは、ひたすらスリリングである。
(追加:2016年11月25日)
Le Pollen : Pierre Baroch
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REMERCIEMENT SPECIAL A
David Sylvian, Maria DAVID et tous ceux qui
disent "demain"en langues étrangéres dan la chanson de "DEMAI
フランス人のピエール・バルーの日本制作アルバム。
ボサノバ風のメロディやヴォーカルは個人的には好みではないのだが、凄く複雑だけどそんな風には聴かせず、聴き流すことさえ許容してしまうバックの演奏とのマッチングが醸し出す不思議な雰囲気は魅力的である。
本企画が成立した背景はよく判らないが、徒に迎合することなく渡り合ったところが良かったのではないかと思う。
デヴィッド・シルヴィアンは、参加ミュージシャンの喋りがサンプリングされている ” Le Pollen (à Jean Cormier)
” にノン・クレジットながらその声が確認できる他、” Demain ” にも参加しているのだが、何れも目立つものではない。
(追加:2019年1月25日)
Immigrants : Sandii and the Sunsetz
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久保田麻琴が結成した Sandii and the Sunsetz 名義のファースト・アルバム。
本アルバムがリリースされた1982年に、Sandii and the Sunsetz は JAPAN
のツアーのオープニングで演奏しており、本作品へのデヴィッド・シルヴィアンの参加に繋がったものと思われる。
海外ミュージシャンが東洋をテーマにした場合、東洋全体がごっちゃになったような作品になってしまうことはままある。
勿論それは東洋で生活する者だからこそ分かる話であって、私がヨーロッパの文化を地域毎に把握するなどということが全くできていないのと同じである。
Sandii and the Sunsetz
のあざとい所は、非東洋人がごっちゃに捉えてしまった東洋のイメージを東洋人自らが再現しているところである。
それに魅力を感じる人もいれば、魅力を感じない人もいるわけで、私は後者である。
シルヴィアンが女性ヴォーカルと絡む、というパターンは必ずしも多くなく、本作品の魅力はそこにある。
(追加:2018年1月25日)
愛がなくちゃね。 : 矢野顕子
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簡素なジャケットで1800円でリリースされたLPと、別売された1000円のブックレット。
と言われても、音楽がタダで聴けないとフラストレーションが溜まってしまう世代には何を言っているのか判らないかもしれないが、本作品のオリジナルは、そんな形態でリリースされた。
1980年代初期の矢野顕子は神がかっていた。
勿論それ以前もそれ以降も唯一無二の音楽を展開してるのだが、この時期の矢野顕子は、私のような彼女のファン以外にも「聴かなければいけない」という強制力も持たせるほどのインパクトがあった。
JAPAN のメンバーが大々的にフィーチャーされた本作品も聴きどころが多いのだが、坂本龍一のピアノをバックにシルヴィアンとデュエットする ”
Good Night ” は、チャーミングとしか言いようがない楽曲である。
(追加:2016年11月25日)
1983
Music From The Original Motion Picture Soundtrack ・ Merry Christmas, Mr Lawrence
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Vocal On ' Forbidden Colours ' By David Sylvian
大島渚監督による映画 『 戦場のメリークリスマス 』 のサウンドトラックで、出演していた坂本龍一が音楽を担当している。
などということは、今更説明するまでも無いことなのだろうが、デヴィッド・ボウイやビートたけしも出演した豪華な布陣による映画は、今になっても画期的である。
表題曲と正しくサントラ然とした楽曲の他、ラストに表題曲にシルヴィアンによるヴォーカルを被せた ” Forbidden Colours ”
が収録されている。 企画としては後乗せ感が強いのだが、楽曲としての完成度は異常に高い。
発表当時、映画に関係のないシルヴィアンが何故、と思ったことを記憶しているが、実際にその楽曲を聴いた時の腰を抜かすほどの圧倒感は、今聴き直しても思い出すことができる。
(追加:2016年11月25日)
1984
Brilliant Trees : David Sylvian
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David Sylvain Vocals Guitar Treated Piano Synthesiser
Percussion Tape
Holger Czukay Dictaphone Guitar French Horn Voice
Steve Jansen Drums Percussion Synthesiser
Richard Barbieri Synthesiser A1 B1
Ryuichi Sakamoto Piano Synthesiser A4 B1 B3
Steve Nye Piano Synthesiser A3 A4
Jon Hassell Trumpet B1 B3
Kenny Wheeler Flugelhorn A2 A3
Mark Isham Trumpet A4
Phil Palmer Guitar A2 A4
Ronny Drayton Guitar A1 A4
Wayne Braithwaite Bass A1 A4
Danny Thompson Double Bass A2
JAPAN 解散後のファースト・ソロ・アルバム。 セールス面でも絶頂期に解散した後だけに、本作品に対する期待はかなり高かったと記憶している。 そして実際その期待に応えるだけの素晴らしい内容となっている。
後の作品に見られるような極度のインスト指向はなく、力強いヴォーカルと楽器群が見事に調和しており、バランスの良い傑作となっている。
個人的にはこの路線で突き進んで欲しかったのだが、前述した通りこの後シルヴィアンはインスト指向を強めていく。 本作品におけるホルガー・チューカイやジョン・ハッセルとの共演での充実感が、その切っ掛けの一つになっていると思うのだが、そういう意味ではなかなか罪深い作品だと思う。
(追加:2006年3月25日)
1985
Alchemy - An Index Of Possibilities : David Sylvian
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映像作品のサントラという位置づけから制作されたシルヴィアンのインスト・ソロ・アルバム。
インストではあるが、アンビエント風ではない。
シルヴィアンが一人で制作した ” Preparations For A Journey ” 以外の2曲も長尺ではあるが起伏はそれなり以上にある。 後に発表されるシルヴィアンのインスト作品とは位置づけが異なり、前作
『 Brilliant Trees 』 の延長上線のヴォーカル・レス作品と位置づけた方が良いのではないかと思う。
個人的にはフリップとシルヴィアンの初共演ということだけでお腹一杯なところもあるのだが、シルヴィアンによるインスト習作として捉えてしまうには、ちょっと勿体無い気がする。
(追加:2017年5月10日)
A Secret Wish : Propaganda
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Propaganda acknowledge the participation, with some voice and instruments , of : ANDREW RICHARDS, Steve Howe, David Sylvian, Glenn Gregory, Trevor Horn, Ian Mosely, Jonathan Sorrell, A.Thein, Stuart Coppland and Allen L.Kirkendale, S.J.Lipson.
ZTT からリリースされた、プロパガンダのファースト・アルバム。
サンプリング・キーボードの下世話さを全面に出したアート・オブ・ノイズも、ロックそのものの下世話さを全面に出したフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドも、ZTT
の過剰なまでの企画が成功していると思うが、同じ ZTT からのリリースながら本作品は正統派シンセサイザー・ミュージックで埋められている。
80年代、特にデジタル化された後のシンセサイザー・ミュージックは、一周回ってアリなものと、古臭くなったまま終了したものの2つに大別されるが、本作品はその魅力を時代を問わず発信し続けており、その理由はメロディの秀逸さとシンセサイザーの音色の上品さにあると思っている。
YMO人脈が関与していない作品への参加は、この時期のデヴィッド・シルヴィアンには珍しいが、残念ながらその存在感は希薄である。
(追加:2019年1月25日)
1986
Gone To Earth : David Sylvian
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デヴィッド・シルヴィアンの2枚組大作ソロ・アルバム。
とにかくリリースされた時は、フリップとシルヴィアンの共演に興奮した。 ” Steel Cathedrals
” での共演がクレジット通り後からレコーディングしました感が強かったのに比べ、本作での共演はガッチリと四つに組んでいるのが明らかでだからである。。
渋谷のビルの2Fの CISCO で先行して販売された ” Taking The Veil ” の 12inch
を購入、持ち帰って聴いた時、シルヴィアンのヴォーカル・パートの後のギター・ソロには心底痺れた。
ただ、これはフリップとシルヴィアンの絡みがあったからでのことは否めない。
アルバム全体としては、ヴォーカル楽曲とインスト楽曲が明確にわかれ過ぎていて統一感がなく、冗長な作品であることは否めない。
勿論これは、傑作
『 Brilliant Trees 』 から、
大傑作 『 Secrets of the Beehive 』
に至るまでに必要な過程であったことはを今にしてみれば明らかなのだが、残念ながら当時はフリップ参加曲を中心に聴いていた(ゴメン)。
(追加:2017年5月10日)
Dreams Of Reason Produce Monsters : Mick Karn
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Davis Sylvian : Vocals (3,6), Additional Keyboards (4)
JAPAN 解散後、ピーター・マーフィーとのダリズ・カーを経てミック・カーンが発表したセカンド・ソロ・アルバム。
デヴィッド・シルヴィアンは、キーボードで1曲、ヴォーカルで2曲参加している。
シルヴィアンのキーボーディストとしての記名性は高くないが、ヴォーカリストとしてのそれは高く、特にミック・カーンのブヨヨ~ンとしたベースと絡むとやはり興奮してしまう。
特にシルヴィアンの参加が参加していないラストの曲などは重厚過ぎる所があるのだが、シルヴィアンの参加曲があることで作品全体が聴きやすくなっている。
この辺り、ミック・カーンにしてみれば面白くないところなんだろうけど。
(追加:2008年5月10日)
ララララ ラブ : Sandii and the Sunsetz
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Davis Sylvian … Keyboards, Vocals ( on A-5 )
前作から4年近くのインターバルを経て発表された、Sandii and the Sunsetz の作品。
とは言え基本路線は前作と同じで、西洋人が抱く東洋に対する印象を東洋人が再現した作品となっている。
このミスマッチ感に面白さを感じることができるかできないかが、本作品にのめり込むことができるかどうかの違いなると思う。
デヴィッド・シルヴィアンは前作と同じくキーボードとヴォーカルでの参加となっている。
キーボードの演奏に記名性はないが、ヴォーカルの存在感はやはり圧倒的である。
(追加:2018年1月25日)
Hope in a Darkened Heart : Virginia Astley
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Vocals on " Some Small Hope " by David Sylvian
坂本龍一がプロデュースした、バージニア・アストレイの作品。
シャレオツ系の作品として、日本でも相当ヒットしたと記憶しているが、今聴き直してみると、シンプルな演奏をバックにしたヴォーカル・アルバムであることがわかる。
デヴィッド・シルヴィアンは1曲目の ” Some Small Hope
” に参加しているのだが、単なるコーラスではなくソロ・ヴォーカル・パートもしっかりと与えられている。
前述したようなシンプルな演奏にシルヴィアンのヴォーカルは見事にマッチしており、作曲から関与している坂本龍一がシルヴィアンの参加を前提に制作した楽曲ではないかと妄想したくなる。
(追加:2019年1月25日)
1987
Secrets of the Beehive : David Sylvian
1987年に発表された、デヴィッド・シルヴィアンの傑作アルバム。
JAPAN解散後のファースト・アルバムや、フリップを含めた豪華ゲストが参加した
『 Gone To Earth 』
に比べると話題性に乏しい作品ではあったが、ヴォーカル・パートとインスト・パートの配分も適切で、散漫さや冗長性が全くない素晴らしい作品である。
” Orpheus ” や ”
Let the Happiness In ”
といった名曲や、お約束とはいえやはり聴き惚れてしまう ” Forbidden Colours ”
等、派手さこそないものの1曲1曲のクオリティーも高く、就寝前に聴く作品として、今でも愛用している。
(追加:2003年6月25日)
Life In Mirrors : 土屋昌巳
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土屋昌巳の 『 Rice Music 』 に続くセカンド・アルバム。
一風堂のBOX、『 Magic Vox : Ippu-Do
Era 1979-1984 』 に付属していた土屋昌巳のインタビューを読むと、ジャパンのメンバーやスティーヴ・ナイとやりたくて 『 Rice
Music 』 を制作した、との趣旨の発言があるのだが、同作にデヴィッド・シルヴィアンは参加していない。 その後の一風堂の 『 Night
Mirage 』 と、ライヴ、そしてそのライヴを収録した 『 live and zen 』 にも、ジャパンの他のメンバーは参加しているがシルヴィアンは参加していない。
つまるところジャパンのファイナル・ツアーに参加して以来の、シルヴィアンと土屋昌巳の共演が本作でなされていることになる。
”
Perfect Days
” でのエレクトリック・ギターのミニマル・フレーズと単音ピアノがシルヴィアンによる演奏だと思うのだが、どうせならヴォーカルも披露してほしかった。
そして更なる我儘を言えば、ミック・カーンがベースをヴィヴィと言わせ、土屋昌巳のギター・ソロとアンディ・マッケィのサックス・ソロが爆発する ”
一日千夜 ( One Day A Thousand Night )
” に参加してくれていたら、もっと嬉しかった。
(追加:2019年5月10日)
1988
Live In London '88 : David Sylvian
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リリースは2021年
David Sylvian Keyboards, guitar and vocals
Steve Jansen Drumsn and percussion
Richard Barbieri Keyboards
David Torn Lead guitar
Lan Maidman Bass and percussion
Robby Aceto Guitars and keyboards
Mark Isham Flügelhorn, trumpet, soprano sax and keyboard
BBC で放送されたデヴィッド・シルヴィアンのライヴ音源の長尺版で、権利関係の怪しい作品である。
『 Brilliant Trees 』 から 『 Secrets of the Beehive 』 まで、ソロ・ミュージシャンとしてもシルヴィアンの楽曲が満遍なく押さえてあるのだが、その演奏に開放感は全く感じられない。 ソロ・キャリアを俯瞰するようなツアーは後に先にもこの時期だけのはずだが、シルヴィアンとしては完璧にやりこなすことを最優先したのだと思う。 一流ミュージシャンによるシルヴィアンの意図通りの演奏は彼が望む所に他ならないのだが、演奏の完璧性が高まれば高まる程、閉塞感が感じられるようになっている。
この後シルヴィアンは、ホルガー・シューカイとの音響追求、そしてインプロ・ベースでのレイン・トゥリー・クロウのレコーディングを行うのだが、この時期のライヴ活動が原因で活動が極端に振れたのかもしれない。
(追加:2022年4月25日)
Plight & Premonition : David Sylvian - Holger Czukay
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Holger Czukay : Radio, Sampled Piano, Orchestral and Environmental
treatments
David Sylvian : Piano, Prepared Piano, Harmonium, Vibes, Synthesizers,
Guitar
Karl Lippergaus : Radio tuning
Jaki Liebezeit : Infra-sound
傑作 『 Secrets of the Beehive 』
に次いでリリースされた、ホルガー・シューカイとのデュオ作品。 この後シルヴィアンが積極的にアンビエントな作品をリリースしていくきっかけとなった。
ソロ第一弾 『 Brilliant Trees 』
で共演していたとはいえ、インターネットで情報が溢れていたわけでもない当時、雑誌でシューカイとの作品がリリースされると知った時、唐突感を感じた。 そしてその唐突感は、アンビエントな本作品を聴いた時に混乱に陥ったのをよく覚えている。 シューカイの作品に、シルヴィアンの音源がサンプリングされただけではないかと誤解したりもした。
聴きやすいアンビエント、などと言うと安易な表現になってしまうが、曲の長さも適度で、アンビエントの入門作品としても適している。
(追加:2013年2月10日)
1989
Flux And Mutability : David Sylvian & Holger Czukay
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composed and produced by Sylvian / Czukay
ホルガー・シューカイとのデュオ作品の2枚目。
数々の楽器、シューカイ得意のラジオ音源の積み重ねによってなりたっているものの、いかにもサウンド・コラージュです的な突拍子もない使われ方をしていないところにセンスの良さを感じる。 しかしながら、やはりドローンを中心とした楽曲は単調で、面白いか面白くないかと問われれば、後者としか答えようのない作品である。
シルヴィアンが歌ものではなくインスト曲に走ると、彼の音楽コンプレックスがマイナスの形で表現されたものとして非難する意見が多いが、シルヴィアン自身はそこまで考えていないように思える。 フリップがサウンドスケイプを好きなように、シルヴィアンも単調なインストが好きなだけなのだと思う。
本作品でシューカイとのコラボレーションに一応の見切りをつけ、”
Pop Song” の発表、Japan再結成 ( Rain Tree Crow )
とインスト指向こそ残るが歌もののリリースが続いたことは、個人的にはやはり嬉しかった。
(追加:2003年2月25日)
Pop Song : David Sylvian
シルヴィアンのシングル。
『 Secrets of the Beehive 』
リリース後のシルヴィアンの活動は地味だった。 ホールガー・チューカイとのコラボが2作品あったものの、ポジティヴな話題で盛り上がることなく、黙殺に近い扱いを受けていた。
それだけに、メロディありのヴォーカル・ナンバーであるタイトル曲は嬉しかった。
勿論、「 Pop Song 」
などという表現から喚起されるイメージとは大きく異なり、売れ線の欠片も狙っていない楽曲ではあるが、実験要素の強いインストものより、ヴォーカル・ナンバーの方が遙かに好きだ。
タイトル曲以外は相変わらずのインスト路線で、この後一体どっちの方向にシルヴィアンが向かうか図りかねるところがあった。 しかしそんな不安をよそに、元JAPANのメンバーとともに、ヴォーカル路線とインスト路線を見事に融合させた傑作
『 Rain Tree Crow 』 をリリースしてこれたことが更に嬉しかった。
(追加:2005年6月25日)
1991
Heartbeat : Ryuichi Sakamoto
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ハウスのリズムを取り入れた楽曲が多く収録されている、坂本龍一のソロ・アルバム。
サントラでもなく、テクノでも(今更)ない唄モノ作品なのだが、個人的にはあまり面白みが感じられない作品である。
その一方で、輸入盤にのみ収録されているデヴィッド・シルヴィアンがヴォーカルをとる2曲は、アルバム全体のコンセプトからは大きく外れているのだが、特に
” Heartbeat (
Tainai Kaiki II ) - Returning To The Womb
” が突出した素晴らしい内容となっている。
多分アルバム1枚分を丸々共同作業してしまうと発生しないケミストリーが、2,3曲以内という限定された曲数(時間)の中では発生するギリギリの関係が、シルヴィアンと坂本龍一の中にあるのだと思う。
(追加:2016年11月25日)
1992
Sahara Blues : Hector Zazou
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Presented By :
Scott McCaughey, Peter Buck, Bill Rieflin, John Ramberg,
Jeff Tweedy, John Stirratt, Glenn Kotche, Mike Jorgensen, Tucker Jackson,
John Moen, Jim Talstra, Eric Lovre, Colin Meloy, John Wesley Harding,
Kelly Hogan, Sean Nelson, Ken Stringfellow
エクトル・ザズーのソロ作品。
全体にとても上品で丁寧な音作りがされている作品である。
この時代、デジタル・シンセサイザーのギラついた音触りの作品が幅を利かせていただけに、こうした作品を制作することは珍しかったと思う。
フィジカル・ディスクのリリース機会が少なくなった今だったら、まず間違いなくリリースされることなく黙殺されていたはずである。
デヴィッド・シルヴィアンは、ほよよ~んとしたギターを中心に参加。 本人名義と Mr.X という変名で演奏していることが Discogs
で確認できるのだが、詳細は不明。
(追加:2020年9月25日)
1995
Marco Polo : Alesini & Andreoni
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David Sylvian, vocals
シルヴィアンが参加しているプロジェクトの作品。 この後続編も発表されたが、そちらにはシルヴィアンは参加していない。
レコーディングされたのはシルヴィアン&フリップの活動が一区切りついた頃で、シルヴィアンの活動自体も地味だった時期である。
時間的余裕もあったためか曲作りにも参加した上で唄っており、シルヴィアンとしても思い入れが深かったのか、後に発表されたシルヴィアン名義のベスト・アルバム
『 Everything And Nothing 』 にも2曲が収録されている。
シルヴィアンの他にも、ロジャー・イーノ、ハロルド・バッド、デヴィッド・トーンといったミュージシャンがクレジットされており、特に前2人の名前からアンビエント色が濃い作品のようにも思えるが、そのようなこともない。
地味な作品ではあるが、アルバム全体としての味わいは深く、そこにシルヴィアンの貢献度の高さも挙げることができる。
(追加:2014年8月25日)
1999
Dead Bees On A Cake : David Sylvian
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デヴィッド・シルヴィアンが 『 Secrets of the Beehive 』
から12振りにリリースしたソロ・アルバム。
その間にホルガー・シューカイとのデュオ、レイン・トゥリー・クロウ、各種セッション、そしてシルヴィアン&フリップとしての活動があったため、12年振りと言われても当時あまりピントこなかった。
良くも悪くもそれらの活動から自己咀嚼したものをアウトプットした要素は殆ど感じられず、『 Secrets
of the Beehive 』 の翌年にリリースされた作品と言われても違和感は無い。
勿論これは褒め言葉で、完成度の高い作品となっている。
ただ当時のインタビュー等を読むと、レコーディングには相当の時間がかかっており、この路線でのソロ作品を続けていくことが既に困難になっていることが窺える。
次のソロ・アルバム、『 Blemish 』
での変化はシルヴィアンにとって必然であったのかもしれないが、やはりこの路線からの変化はもったいない。
(追加:2017年5月10日)
Approaching Silence : David Sylvian
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デヴィッド・シルヴィアンによる2つのインスタレーションで使われた音楽を収録した作品。
” The Beekeeper's
Apprentice ” と ” Epiphany ” は、1990年に寺田倉庫内で行われたラッセル・ミルズとのインスタレーションで使われたもの。
特に前者にはキース・ティペットの作品で共演していたフランク・ペリーがパーカッション奏者が参加している。
インスタレーションで使われる音楽という前提のためか、その演奏が控えめなのは残念。
” Approaching Silence ”
は、1994年に 東長寺地下の P3 art and environment で行われたロバート・フリップとのインスタレーションで使われたもの。
当時会場で販売されていたカセット・テープはノン・クレジットで、パンフレットにも詳細が記載されていなかったが、本アルバムで明確にクレジットがされている。
(追加:2017年10月10日)
Everything And Nothing : David Sylvian
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とても丁寧に創り込まれたデヴィッド・シルヴィアンの編集アルバム。 後の編集盤 『 A Victim Of Stars 1982
- 2012 』 と異なり年代順には編集されていないが、同作以上に統一感があるのは、選曲、曲順の妙に依るものである。
個人的には
『 Brilliant Trees 』 と 『 Secrets of the Beehive 』
からもう少し収録して欲しかったが、この辺りは 『 A Victim Of Stars 1982 - 2012 』
でしっかりとフォローされている。
初出音源、新編集音源もバランスよく含まれており、『 Dead Bees On A Cake 』
のセッション時の音源や、JAPAN の 『 Gentlemen Take Polaroids 』 のセッション時の ” Some Kind Of
Fool ”、キース・ティペットが作曲と演奏で参加している1991年の未発表曲 ” Thoroughly Lost To Logic
”、そしてライヴで演奏されながらスタジオ・アルバムから外されていたシルヴィアン&フリップの名曲 ” The Blinding Light of
Heaven ” の収録は、それだけのためでも購入意欲をそそるものである。
(追加:2017年10月10日)
2001
Zero Landmine : N.M.L. No More Landmine
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坂本龍一が地雷問題を取り上げた作品。 シルヴィアンは作詞とヴォーカルで参加している。
ライナーに記載している通り、シルヴィアンによる歌詞は坂本龍一のリクエストに応えてシンプル且つ優しい内容になっている。
作品としての趣旨からは外れてしまうのかもしれないが、オリジナル曲以上に ” Zero Landmine - Piano + Vocal version -
” での坂本龍一のピアノとのデュオが素晴らしい。
(追加:2015年4月10日)
The Attraction To All Things Uncertain : Tweaker
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元ナイン・インチ・ネイルズのドラマー、クリス・ヴレンナによる作品。
ドラマーとは言っても、人力のドラムの他プログラミング、リミックス等も行っていた人らしいのだが、機材オリエンテッドな楽曲は密室での作業のような閉塞感がある。
本人もその辺りは意識していたのか、複数のゲスト・ヴォーカリストを採用することで閉塞感を打破しようと試みており、その一人としてデヴィッド・シルヴィアンが1曲目に参加している。
その完成度は、シルヴィアンが唄っているからという贔屓目を差し引いても高く、本作品の中でも突出している。 本楽曲は、シルヴィアンのソロでいうと 『
Blemish 』 のリリース前であり、個人的には本楽曲のような路線を続けて欲しかった。
(追加:2019年5月10日)
2002
Camphor : David Sylvian
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『 Everything And Nothing 』
に続いてリリースされた、インスト曲を中心とした編集アルバム。
個人的には、アンビエントではないインスト曲の方が好みであるということを再確認することができた作品でもある。
『 Everything And Nothing 』
と同じく、これまた非常に丁寧に創り込まれた作品である。 殆どの曲が編集、再リミックスがされており、『 Secrets of the
Beehive 』 に収録されていた ” Mother And Child ”
のように、オリジナルのヴォーカル曲がインストになっていたりと、曲順の妙とともに新作を聴いているような印象を受ける。
個人的には、ホルガー・チューカイとのコラボレーション楽曲を中途半端に短くして40分弱しか収録していないCD2に、『 Alchemy - An
Index Of Possibilities 』 からの楽曲も収録してくれたら更に良かったと思う。
(追加:2017年10月10日)
2003
Blemish : David Sylvian
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produced, composed, performed, engineered by david sylvian except tracks 2/5/7 guitars derek bailey, composed by derek bailey and david sylvian. track 8 electronics and arrangement by christian fennesz.
シルヴィアンの4年振りの新作。
本作には、坂本龍一もスティーヴ・シャンセンもホルガー・チューカイもいない。 今回彼が選んだパートナーは、デレク・ベイリーである。
シルヴィアン単独の曲は、B級ホラー映画のサントラのようなシンセとヴォーカルによる地味めの曲。 そしてベイリーとの3曲においては、聴き手に歩み寄るところが全くない音楽を展開している。 特に
” The Good Son ”
は、二人の絡みはゼロで、たまたま同時に発音しているような曲展開である。 ベイリーはギターで音を出し、シルヴィアンはヴォーカルをつぶやいている。 シルヴィアンの作品の中で、最もアヴァンギャルドなものだと思う。
本アルバムは、極々地味なリリースで雑誌等で特集されることもほとんどなかった。 アルバムの質を考えると仕方なかったのかもしれないが、4年の間にリリースされた3枚の編集盤の方が話題になっていたのは、やはりちょっと悲しい。
(追加:2003年8月25日)
To Play The Blemish Sessions : Derek Bailey
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リリースは2006年
performed by Derek Bailey produced by David Sylvian
『 Blemish 』 を初めて聴いた時に、デヴィッド・シルヴィアンとデレク・ベイリーの間に一緒に作曲するつもりも、インプロヴァイズするつもりも全く無いように思った。 ベイリーはシルヴィアンがどのようにヴォーカルを被せるかなど全く意識することなくただただ演奏し、その音源にシルヴィアンはヴォーカルを被せただけだと。 ただ 『 Blemish 』 はそんな企画もアウトプットも見事に機能しており、これは正にシルヴィアンのミュージシャンとしての力量によるものだとも思った。
本作品はその 『 Blemish 』 のために提供されたベイリーのギター演奏に、シルヴィアンが若干の音響効果を加え、プロデュースしたものである。 無限に存在するであろうベイリーの即興演奏音源の中で、この演奏がどのような位置づけであるか判る程には私はベイリーの音源を聴き込んでいないのだが、そんな私には単独で聴き続けるのはやはり辛い。
(追加:2022年4月25日)
World Citizen - i won't be disappointed - : ryuichi sakamoto + david sylvian
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David Sylvian : Vocals
坂本龍一とシルヴィアン名義の作品。
本作品を始め、2人名義の作品、あるいは坂本龍一名義の作品にシルヴィアンが参加しているという楽曲は多く、かつそのクオリティはとても高い。
それだけに2人がガチでアルバムを制作したら、完成度の高い作品になったのではないかと常々思っている。 例えば、JAPAN
解散後、あるいは、80年代のソロ活動時にそんな作品が完成していたら、凄いことになっていただろう。
適度な距離をおきながら、たまにコラボレーション作品を制作することでこのクオリティが成し遂げられているのかもしれないが、やはりもったいなく思える。
(追加:2015年4月10日)
2005
The Good Son VS The Only Daughter The Blemish Remixes : David Sylvian
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『 Blemish 』 のリミックス・アルバム。
個人的に 『 Blemish 』
は難解ではあったが、その殺伐とした音作りは嫌いではなかった。
更にデレク・ベイリーが参加している曲では、参加しているベイリーのギターにコラボ感が全く無いという、画期的なものであった。
本作品は、そんな 『
Blemish 』 の楽曲のメロディやリズムを強調したリミックスが施されている。
リミックス作品については押しなべて失敗作が多いが、唯一オリジナルに雰囲気が近い最終曲が一番面白くないことから、逆説的に本作品の企画が成功していることがわかる。
シルヴィアンのヴォーカルやベイリーのギターのこねくり回され方も悪くはない。 ただ繰り返し聴いた回数がどちらが多いかというと、やはりオリジナルの 『
Blemish 』 になってしまう。
(追加:2017年7月25日)
Snow Borne Sorrow : Nine Horses
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シルヴィアンとジャンセン兄弟を中心としたユニットの作品。
シルヴィアンのヴォーカルと自らによるギター、この力強さが本作の最大の特徴だと思う。
ヴォーカルは、メロディをしっかりと奏でているし、ギターは力強いコード・カッティングをしている。 その組み合わせが顕著に表れているのが
” Darkest Birds ”
で、サビでのヴォーカルとギターのカッティングの絡みは、シルヴィアンの過去の作品では見られなかったものである。
シルヴィアンの元来のインスト指向、そして前作 『 Blemish 』
での売れ線の対極に位置するような音楽を踏まえると、これだけ力強さを感じる作品をリリースされるのは、奇蹟のように思える。 品の良いジャケットと同様に派手さこそないが、近年のシルヴィアンの作品としてはベストとして挙げることができると思う。
今現在、こんな素晴らしい作品が日本盤として発売されていない。 契約の問題もあるのだろうが、あまりにももったいないと思う。
(追加:2005年11月25日)
2006
Money For All : Nine Horses
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傑作 『 Snow Borne Sorrow 』 からのミニ・アルバム。
アウトテイクとリミックスが中心と言ってしまえばそれまでなのだが、完成度が高い作品がベースになっているだけに、想像以上に楽しむことができる。 願わくば、このままリミックスを出し続けるのではなく、勢いに乗じた新作に取り組んでもらいたい。
『 Snow Borne Sorrow 』 の 「 Thanks to
」にフリップがクレジットされていたので、もしかしたら参加楽曲が収録されているかもと期待していた。 それが叶わなかったのが唯一残念なところである。
(追加:2007年3月15日)
2007
Naoshima When Loud Weather Buffeted : David Sylvian
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香川県直島で行われた 「 NAOSHIMA STANDARD 2
」
で公開された作品。 島全体に作品が展示される催しらしいが、観光地としての誘致が目的なのかもしれない。
そんなイベントで公開された本作は、シルヴィアンの今までの作品の中で、最も痛いものになってしまった。
ドローンを中心とした環境音楽系の作品を多くリリースしているシルヴィアンだが、ここではその路線からも外れ、島内で採取したと思われる生活音を中心にした1曲70分もの作品となっている。 もちろんイベントのための作品であり商業路線を考えていないことはわかるのだが、CDフォーマットの単独作品として聴き切るには、気合いを入れる必要がある。
横長の変形パッケージは充分物欲をそそられるが、「 NAOSHIMA STANDARD
2 」
の内容がわかる豪華写真集とかをバンドルしていた方が良かったのではないだろうか。
(追加:2008年1月26日)
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スティーヴ・ジャンセンのソロ名義での初作品で、デヴィッド・シルヴィアンの Samadhisound からリリースされた。
好き嫌いで大別すれば、好きな作品である。 音色の創り込みに相当な時間をかけたことがわかるし、古き良き New Wave の香りがするところも良い。
ただ本作品は、エレクトロニクス奏者のスティーヴ・ジャンセンの作品であって、ドラマーのスティーヴ・ジャンセンの作品ではない。
元々ドラマーとしての評価が高いにもかかわらず、ドラムに対するこだわりが感じられない人ではあったが、もう少し彼のドラム演奏を聴きたくなってしまう。
シルヴィアンは、ヴォーカル、演奏、作詞で参加している。 ”
Ballad Of A Deadman
” はプロダクションから参加している可能性も感じられるが、” Playground Martyrs
” などは完成した楽曲にメロディを後乗せしたように思える。
自分のレーベル、弟のファースト・ソロ、といったアイコンが全く感じられないのが、シルヴィアンとジャンセンの自然体なのかもしれない。
(追加:2008年5月10日)
2009
Manafon : David Sylvian
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Original sessions recorded between 2004-2007
Produced, engineered edited and mixed by David Sylvian at Samadhisound 2008.
ソロ名義では、『
Blemish 』 以来6年ぶりとなるシルヴィアンの作品。
『 Blemish 』 リリース直後から4年間に渡ってレコーディングされているが、その間にリリースされた
Nine Horses 名義の作品で顕れたロック的展開は全く無く、『 Blemish 』
の続編と言って構わない作品となっている。
「デレク・ベイリーが参加している」ということで
『 Blemish 』
が購入されたケースがあったかもしれないが、本作品においては、「シルヴィアンの音楽が好き」というシンプルな理由以外に購入意欲を喚起するものはない。 それ故にファンにとって試金石となる作品だと思う。
自身の音楽的趣向の変化に伴い、シルヴィアンはファン層を大きく変えながら作品をリリースし続けているが、本作品の路線が最終到着地となるのだろうか。
(追加:2009年12月10日)
2010
Sleepwalkers : David Sylvian
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新曲、ツアーCD収録曲、Nine Horses、ゲスト参加曲等をコンパイルした作品。
先ず、企画として大成功している。
ある程度以上のキャリアがあるミュージシャンの場合、オリジナルや準オリジナル以外の作品に相当数参加していることが多く、それを全てフォローしようと思うとそれなり以上の時間と金額を費やすことになってしまう。
そうしたミュージシャンの楽曲を集めて1つの作品にするという発想は素晴らしい。
勿論本作品にしても、色々な大人の事情を踏まえるとコンプリートには程遠いものだと思うが、多くのミュージシャンに是非フォローしてもらいたい。
そして、それにも増して本作品が素晴らしいのは、デヴィッド・シルヴィアンによるヴォーカル・アルバムになっていることである。 『
Blemish 』 のアウトテイクの ” Trauma ”
のようなインストもあるが、シルヴィアンのヴォーカルをこれでもかと堪能することができる。
編集盤だからこそできた作品であるが、個人的にはこの数年のシルヴィアンの作品の中でも愛聴している。
(追加:2017年10月10日)
2011
Died In The Wool Manafon variations : David Sylvian
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『 Manafon 』 の変奏曲と題された作品。
『 The Good
Son VS The Only Daughter 』 が、オリジナルの 『 The Blemish 』
のリミックス集として聴きやすさが施されていたのに対し、本作品は 『 Manafon 』
の路線そのままに編集された楽曲と、同時期にレコーディングされた楽曲が収録されている。
従って、『 Manafon
』
が好みであった人には堪らない作品となっているが、私のように好みから外れてしまっている者にはちょっと厳しい内容になっている。
Disk Two に収録されている ” When We Return You Won't Recognise Us ”
は、「 Biennial of Canaries 2008-2009 」というイベントで使われた長尺曲。
(追加:2017年7月25日)
2012
A Victim Of Stars 1982 - 2012 : David Sylvian
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シルヴィアンのベスト・アルバム。
ベスト・アルバムとしては、2000年に発表した『 Everything And Nothing 』
があるが、それ以降を含めて改めて丁寧に編集しなおした作品という位置づけだと思う。 ” Ghosts
” が収録されているが、クレジットは『 Everything And Nothing 』 からの収録とされており、JAPAN
以降の作品をまとめたものとの意思を明確に感じることができる。
『 Everything And Nothing 』
と異なりほぼ年代順に編集しているため、シルヴィアンの作品傾向の変化が解りやすい。 一方その変化の度合いが大きいだけに、自分にとってどの時期の作品が好みかが明らかになる。
個人的には 『 Manafon 』 以降の作品と距離をとってしまっていることがわかり、ちょっと寂しかったりする。
(追加:2012年5月10日)
Wandermüde : Stephan Mathieu David Sylvian
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Stephan Mathieu : Ebowed Virginals, Farfisa Organ, Radio, Fender Twin
David Sylvian : Guitars, Synthesizers, Samples, Ampeg
tk.7 guitar
laptop by christian fennesz
tk.5 piano performed by John Tilbury
『 Blemish 』 の新解釈として、ステファン・マシューとともに再構築した作品。
デレク・ベイリーのギターは無い。
シルヴィアンの声は微かにある。 ただそういったレベルではなく、本作品はリミックスや変奏曲を超えた 「 a new
interpretation 」 であるためか、『 Blemish 』 の残り香を感じることはできない。
勿論それは私自身の聴き込みが足りない所にも起因しているのだが、ここで展開しているのは電子ノイズの嵐である。
中心になっているのはぶ厚めのホワイト・ノイズというか、重量級のエアコンの室外機とのような音である。
個人的にはこれらの電子ノイズの音自体は嫌いではないのだが、シルヴィアンのヴォーカルがもっとフィーチャーされた作品を聴きたい。
(追加:2017年7月25日)
Uncommon Deities : Jan Bang Erik Honore
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Davis Sylvian : Voice
Concept based on the audio-visual installation " Uncommon Deities " by David Sylvian, commissioned by The Punkt Festival
2011年に行われた The Punkt Festival でのインスタレーションを元に制作された作品。
別スタジオで録音されたデヴィッド・シルヴィアンの語りに、スタジオやインスタレーション会場でライヴ録音された演奏が被さってくるというパターンが、殆ど全ての曲で採用されている。
演奏自体はインスタレーションの会場では主張が強すぎるところもあるが、CDとしてまとまった作品として聴くと地味な内容である。
ただ、どの曲も最初にシルヴィアンのあの声から始まるという構成のため、彼のあの声に魅力を感じている人にはアプローチする所が大きいと思う。
何の前情報もなく本作品をCDプレイヤーにセットし、いきなりシルヴィアンの声が聴こえてきた時には、結構な衝撃があった。
(追加:2019年5月10日)
2014
There's A Light That Enters Houses With No Other House In Sight : David Sylvian featuring Franz Wright & Christian Fennesz
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Franz Wright Spoken
Word
Christian Fennesz Guitar,
Laptop
David Sylvian Piano,
Sampling, Laptop, Electronics
John Tibury
Additional Piano
シルヴィアン名義の最新アルバム。
フランツ・ライトという詩人自らの詩の朗読を挟みながら、1曲60分強が展開される。
1枚1曲の作品としては、過去に 『 Naoshima 』
があるが、フィールドで採取した生活音を中心に組み合わせた同作とは異なり、丁寧に作り込まれた作品となっている。
また、インスト+ヴォーカルだけどそのヴォーカル(というか朗読)がシルヴィアンではないというパターンは、シルヴィアン&フリップによる
” Redemption ” 以来であるが、同作と異なり起伏もそれなり以上にある作品となっている。
インストの起伏と詩の朗読はリンクしておらず、盛り上がったインストに朗読が被さったり、朗読がないのに静寂に近いインスト・パートがあったりで、展開が読めない面白さがある。
共演者と過剰に調和しないという手法は、デレク・ベイリーとの 『 Blemish 』
を彷彿させるが、そこでの経験が本作品に良い形で活かされているのかもしれない。
(追加:2017年5月10日)