1977
The Idiot : Iggy Pop
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Recorded by David Bowie
デヴィッド・ボウイが、制作に大々的に関与した作品。
『 Low 』
と同時期、同プロダクションでありながら、音の肌触りは大きく異なっている。
それはシンセサイザーによる綺羅びやか且つ憂鬱な音色が存在しないこともあるが、『 Low 』
でのドタバタとしたファンク・ビートとは異なる粘っこいリズムによる所が大きい。
この辺り、プロデューサーとしてこそクレジットされることがなかったイーノの存在の有無が影響しているように思える。 もしボウイがイーノ抜きで 『
Low 』 を制作していたら、同じとは言わないまでも本作品と音の傾向は似ていたはずである。
参加することで新たなアイディアを加えるだけではなく、音そのものを変えてしまう程のケミストリーが生じてしまう何かがこの時期のボウイとイーノの間に存在していたことを、図らずも本作品が証明している。
(追加:2018年11月25日)
TV Eye 1977 Live : Iggy Pop
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リリースは1978年
live-treated piano David Bowie
1977年から1978年のデヴィッド・ボウイの活動が量的にも質的にも充実していることを証明する作品。
自身の 『 Low 』 と 『 "Heroes" 』、そしてイギー・ポップとの 『 The Idiot 』 と 『 Lust For Life
』 と、歴史的名作を次々とリリースした上に、イギー・ポップとはライヴまで行っている。
デヴィッド・ボウイが宇宙人であることを差し引いたとしても、この時期ボウイは地球上に複数名存在していたと私は睨んでいる。
ボウイが参加している4曲は、『 The Idiot 』
リリース直後のライヴから収録したもので、同作のプロモーション活動にまで関与していることを示している。
当時のライヴの写真をみると、ボウイはキーボード奏者に徹し前面に出ていないようにしている。
ただそれは、その思わせぶりがまた話題になることを充分に承知した上でのボウイの策略であり、見事に成功している。
(追加:2018年11月25日)
"Heroes" : David Bowie New!
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David Bowie vocals, keyboards, guitar, saxophone, koto
Carlos Alomar rhythm guitar
Dennis Davis percussion
George Murray electric bass
Eno synthesizers, keyboards, guitar treatments
Robert Fripp lead guitar
David Bowie, Tony Visconti and Antonia Maass background vocals
Produced by David Bowie and Tony Visconti
この世の中に ” 21st Century Schizoid Man ” に匹敵する楽曲があるとすれば、それは ” "Heroes" ” である。
『 In The Court Of The Crimson King 』 に匹敵するアルバムがあるとすれば、それは 『 "Heroes" 』 である。
(追加2022年5月10日)
"Heroes" / V-2 Schneider : David Bowie New!
” "Heroes" ” はポピュラリティも高い名曲だけにシングルもリリースされている。
6分超の楽曲を4分弱に短縮されており、デヴィッド・ボウイのコンピレーションには殆どこのシングル・ヴァージョンが収録されている。
(追加:2022年5月10日)
Heroes / Helden Heroes / Héros : David Bowie New!
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リリースは1982年
” "Heroes" ” はその楽曲としての途方も無い重要性から、ドイツ語とフランス語ヴァージョンがリリースされた。 様々なシングル、編集盤に断片的に収録されているのだが、1982年にリリースされた本12inchには、英語→ドイツ語ヴァージョンと、英語→フランス語ヴァージョンが収録されている。
この2曲にドイツ語単独ヴァージョンとフランス語単独ヴァーションを加えた 『 "Heroes" E.P. 』 が2017年に発売されたボックス
『 A New Career In A New Town 』 に収録されているのだが、単独販売は今のところされていない。
(追加:2022年5月10日)
"Heroes" : David Bowie New!
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リリースは2017年
40th Anniversary Edition としてリリースされたデヴィッド・ボウイのピクチャー・シングル
A Side の ” "Heroes" ” はシングル・ヴァージョンなのだが、アルバム・ヴァージョンの収録といった工夫をしてほしかった。
AA Side はマーク・ボランがホストを務める番組での ” "Heroes" ”。 同収録でボランとボウイが共演した ” Sleeping Next To You ” ではボランがステージから足を踏み外してコケる有名なシーンがあるのだが、ここではコンセプト外のため収録されていない。
(追加:2022年5月10日)
Lust For Life : Iggy Pop
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Drums - Hunt Sales
Bass - Tony Sales
Guitars -
Carlos Alomar, Ricky Gardner
Piano - David Bowie
Vocals - The Band
Produced by Bewlay Bros. for RCA Records / Recorded by David Bowie
『 Trainspotting 』 の冒頭の映像が脳内再生されてしまう ” Lust for Life ”
から始まるイギー・ポップの作品。
前作 『 The Idiot 』
と同じく、ボウイのベルリン時期にレコーディングされているが、音の傾向はまた異なっている。
ジャスト感が無いというか、意図的にずらしているとしか思えないリズムをバックにしたギター・オリエンテッドな作品となっている。
結局の所、一緒に曲を創ろうが、演奏しようが、レコーディングしようが、デヴィッド・ボウイっぽさが全く作品に反映しないのがイギー・ポップとの関係の面白いところである。
しかもそこに、イギー・ポップがボウイを拒否したところもなく、ボウイのプロデュース能力の欠如を感じさせることもなく、あぁこうなるよなぁ、としか思えないところが凄い。
後にボウイが、大ヒットすることが前提だった自己の作品にこの時期のイギー・ポップの楽曲を多く取り上げているが、そこにイギー・ポップさが全く感じられないところも、また面白い。
(追加:2018年11月25日)
1978
"Beauty And The Beast" / Sense Of Doubt : David Bowie New!
『 "Heroes" 』 からのタイトル曲に続くシングル。
” "Heroes" ” に準拠したのか、クレジット上は” "Beauty And The Beast" ” となっている。
(追加:2022年5月10日)
Beauty And The Beast : David Bowie New!
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リリースは2018年
40th Anniversary Edition としてリリースされたデヴィッド・ボウイのピクチャー・シングル。
AA Side のライヴ・テイクの ” Blackout ” は、『 Stage 』 と 『 Welcome To The Blackout 』 の間の時期の演奏となる。
(追加:2022年5月10日)
Stage : David Bowie New!
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Carlos Alomar Rhythm Guitar
Adrian Belew Lead Guitar
Dennis
Davis Drums, Percussion
Simon
House Electric Violin
Sean
Mayes Piano, String Ensemble
George Murray Bass Guitar
Roger
Powell Keyboards and Synthesizer
David
Bowie Chamberlain
Background Vocals Carlos Alomar, Adrian Belew, Sean
Mayes, George Murray, Roger Powell
複数回あるデヴィッド・ボウイの絶頂期の一つをパッケージングしたライヴ・アルバム。
よく知られている通り、本作品は当時の実際の曲順の概ね前半と後半を入れ替え、ジギー時期→ステーション&ステーションとアメリカ時期を経て、ベルリン時期に至る曲順となっている。 本作品にライヴ感が希薄な理由の一つはこの編集した曲順があるのだが、このライヴ感の希薄な点がマイナスには振れておらず、むしろ孤高のオリジナル・アルバムのような印象を与えている。
エイドリアン・ブリューやロジャー・パウエルを筆頭にミュージシャンの演奏の完成度はメチャクチャ高いのだが、ボウイが凄すぎて全てが霞んでしまっている。 『 Low 』 や 『 "Heroes" 』 といった作品をスタジオで生み出した勢いが、ライヴという体をとった本作を生み出したに違いない。
(追加:2022年5月10日)
Stage (2017 Edition) : David Bowie New!
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リリースは2017年
David Bowie - Vocals, chamberlain
Carlos Alomar - Rhythm
guitar
Adrian Belew - Lead guitar
Dennis Davis - Drums,
percussion
Simon House - Electric violin
Sean Mayes - Piano,
string ensemble
George Murray - Bass guitar
Roger Powell -
Keyboards, synthesizer
Carlos Alomar, Adrian Belew, Sean Mayes,
George Murray, Roger Powell - Backing vocals
Recorded live by Tony Visconti with the RCA mobile Unit at the Spectrum Arena, Philadelphia,28th and 29th APril, 1978, Civic Center, Providence, 5th May, 1978 and New Boston Garden Arena, Boston, 6th May, 1978.
オリジナルの 『 Stage 』 の曲順を、実際のライヴの曲順にほぼ戻した作品。
オリジナルの 『 Stage 』 が 『 Low 』 や 『 "Heroes" 』 の流れで生み出された編集盤だったとしても、本作品が当時のデヴィッド・ボウイのライヴの全容だとしたら、ライヴ自体がとんでもない完成度であったことが判る。
こうなるともう1977年から1978年のボウイの活動は、質・量とも常軌を逸したレベルであったとしか言いようが無い。 イギー・ポップの 『 TV Eye 1977 Live 』 のところでも記載したが、自身の 『 Low 』 と 『 "Heroes" 』 のリリースとワールド・ツアー、イギー・ポップの2作品のプロデュースとライヴへの参加といった活動とその内容を踏まえると、いくらボウイが宇宙人だったとしてもこの時期は複数名地球に存在したとしか考えられない。
(追加:2022年5月10日)
Breaking Glass : David Bowie New!
Taken from the Album STAGE
『 Stage 』 からの3曲入EP。
『 Stage 』 の曲順とも、『 Stage (2017 Edition) 』 の曲順とも異なっているが、何れにせよ最後は ” Ziggy Stardust ” で帳尻を合わせようとしているところが判りやすい。
(追加:2022年5月10日)
Welcome To The Blackout ( Live London '78 ) : David Bowie New!
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リリースは2018年
Carlos Alomar Rhythm Guitar
Adrian Belew Lead Guitar
Dennis
Davis Drums, Percussion
Simon
House Violin
Sean Mayes
Piano
George Murray Bass
Roger
Powell Synthesizers
Program
Design Bowie
Recorded Live At Earls Court, London, 30th June And 1st Jlly, 1978.
2018年のレコード・ストア・ディで LP フォーマットで発表された後、一般発売された作品。
デヴィッド・ボウイ自身が絶頂期な上に、『 Stage 』 の2ヶ月後のライヴということもあり各メンバーの自由度が増えながらもバンドとしてのまとまりが高まっている。 クレジットによれば1979年段階でデヴィッド・ボウイ自身がミックスを行っており、パッケージ化する予定が当初からあったと思われる。 それだけに作品としての完成度はとても高い。
リリースから時間を経たことで 『 Stage 』 が古典化している一方、本作の位置付けはそこには及んでいない。 それでも 『 Stage 』 だけで満足してしまうのはもったいなく、本作品も是非聴いてもらいたい。
(追加:2022年5月10日)
1980
Soldier : Iggy Pop
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Personnel :
Glen Matlock
Ivan Kral
Klaus
Kruger
Steve New
Barry Andrews
イギー・ポップが、パンク~初期 New Wave 系ミュージシャンと制作した作品。
本作品の最大の良さは、バリー・アンドリューズが参加していることである。 本作品がレコーディングされたのは、アンドリューズが XTC
を脱退してリーグ・オブ・ジェントルメンでロバート・フリップと活動を始める迄の期間と推測されるが、セッションとは思えない程の記名性の高い演奏を行っている。
メインの楽器はここでもシンセサイザーではなくオルガンで、ピコピコではなくヘコヘコと鳴る細かいパッセージと、歪みが無いロング・トーンは最高である。
本作品でのデヴィッド・ボウイは ” Play It Safe
” の共作に留まっている。
演奏や制作に直接関わっている作品においてもイギー・ポップをたてること重きを置いているボウイだけに、共作曲からボウイらしさを確認することは困難である。
(追加:2018年11月25日)