1981
1234 : Ronnie Wood
|
Drums - Ian Wallace
ロニー・ウッドのソロ・アルバム。 アメリカでのスタジオ・ミュージシャン時代修業時代のイアン・ウォーレスが参加している。
ストーンズ関連の作品への参加となると、コリンズの ” Miss You ”
に続くものだが、コリンズに比べると遥かに分が悪い。 既に多くの(無数の)セッションをこなしていたコリンズのサックス・ソロが同曲の目玉となっている一方、当時のウォーレスはボブ・ディランのバンドへの参加からのアメリカでのキャリアを積み始めたところ、没個性のスタジオ・ミュージシャンのお仕事を要求されたとしても無理はない。
ストーンズ関連の作品への参加は魅力的だったかもしれないが、もう少しネームバリューが劣ったミュージシャンの作品でらしさを感じさせる演奏を残してもよかったのではないか。
(追加:2006年4月25日)
El Rayo-X : David Lindley
|
Ian Wallace / Drums
4月に初めてのソロ来日公演を行うデヴィッド・リンドレーのソロ・アルバム。
当時日本ではジャクソン・ブラウンの参加と、日本語で「化けもの」と思いっきり印刷されたジャケットの印象が強かったはず。 ロック初心者(笑)であった私も、日本語そのまんまじゃねぇか、と突っ込みたくなるようなリンドレーの写真から、おどろおどろしい音を勝手に想像していた。 当然、実際の音はそんなことはなく、ジャクソン・ブラウンやライ・クーダーとの活動を通して培われたと思われるフォーク系、テックス・メックス系のサウンドや、レゲエが程良く入れ混じった作品である。
本作品には、ボブ・ディランのバックでの演奏等、アメリカでの活動が定着していたイアン・ウォーレスが全曲に参加している。 その演奏は、クリムゾンでの轟音や、クリムゾン離脱後のブルース系のセッションのどちらからもほど遠く、完璧に作品にとけ込んでいる。 ここまで違和感がないと、見事としか言いようがない。
この後ウォーレスは、本アルバムのタイトルをバンド名としたバンドの一員として、しばらくリンドレーと活動を共にする。
(追加:2005年3月10日)
1982
Win This Record ! : David Lindley And El Rayo-X
|
Musicians:
David Lindley Vocals, Electric Guitars, Saz, Guitorgan
Jorge Calderon Harmony Vocals, Bass, Percussion
Bernie Larsen Harmony Vocals, Electric Guitars, (Lead Guitar on "Talk
To The Lawer"), Percussion
Ian Wallace Harmony Vocals, Drums, Percussion, Baritone Guitar
William "Smitty" Smith Organ on "Talk To The Lawer"
Booker T.Jones Organ on "Turning Point"
ソロ来日公演を果たしたデヴィッド・リンドレーの1982年の作品。 前年発表したソロ・アルバムのタイトルをそのままバンド名にしている。
前作の路線を突き詰めたところ、つまり中南米路線がより明確になった結果、日本人にとっての売れ線からはより離れてしまっている。 産業ロック全盛の時代にこのような作品が発表できるアメリカの音楽業界の懐の深さを窺うことができるが、そのアメリカにおいてもどれだけ売れたのかは疑問が残る。
ウォーレスの演奏は前作と同様、作風に見事に溶け込んでいる。 それどころか、ジャケットに写っている写真を見る限り、ルックスまで完璧に溶け込んでしまっている。
この器用さ、柔軟性は一体何なんだろう。
コリンズやボズとともにクリムゾンを離れた時の一般的なレッテル、ブルース大好きな人、とも異なる、ウォーレスの多面性を持つ活動はとても不思議である。
(追加:2005年10月10日)
Animation : Jon Anderson
|
Musicians
Jon Anderson - Vocals, Acoustic Guitar
Stefano Cerri - Bass
Clem Clempson - Guitars
Simon Phillips - Drums and Percussion
David Sancious - Keyboards
Additional Musicians
Jack Bruce, Dave Lawson, Ronnie Leahy, Brother James, Billy Kristian,
Bret Morgan, Blue Weaver, Ian Wallace, Delmay String Quartet, John
Giblin, Maurice Pert, Brazil Idiots, my kids Deborah and Damion Anderson
『 90125 』 でYESに復活する前にリリースされたジョン・アンダーソンのソロ・アルバム。
体裁としては軽めのポップスといったところなんだが、アンダーソンのヴォーカルが入るだけで独自の世界となるところはさすがだと思う。
ウォーレスからみた本作品の特徴は以下の2点。
1.2000年代に入るまで唯一のプログレ関係の参加作品。
2.ウオリアーズ以来のアンダーソンとの共演。
となると惜しまれるのはどの曲に参加しているかクレジットが明確にされていないことである。 「 Additional
Musician 」と位置づけられているためせいぜい1,2曲だとは思うが。
(追加:2007年4月15日)
I Can't Stand Still : Don Henley
|
Ian Wallace - drums
イーグルス解散表明後に発表された、ドン・ヘンリーのソロ・アルバム。
本作品は、ウォーレスのスタジオ・ミュージシャン活動の作品の中でも、かなり辛い作品である。
ドン・ヘンリー本人とジェフ・ポーカロがほとんどの曲で演奏している中、ウォーレスが演奏しているのは僅か1曲。 実績から考えれば妥当なところだと思うが、そもそも何故ドラマー(シンガーでもあるけど)の作品に参加したのかがわからない。
” The Unclouded Day ”
ゴスペルのスタンダードをレゲエ風にアレンジした楽曲。 無国籍風演奏は、デヴィッド・リンドレーとの活動と結びつかないこともないが、ウォーレスである必然性は全くない。
(追加:2007年4月15日)
1983
The Wild Heart : Stevie Nicks
|
Ian Wallace - Percussion
スティーヴィー・ニックスのセカンド・ソロ・アルバム。
有名どころの作品への参加となると、ロニー・ウッドの作品への参加と同じレベルだと思うが、同作品と比べてもウォーレスの扱いは低い。
” Stand Back ”
一曲のみの参加ということもあるが、同曲にはなんと4人ものドラム、パーカッション奏者がクレジットされており、没個性云々以前にウォーレスの演奏を確認することすらできない。
結局ウォーレスはスタジオ・ミュージシャンとしての著名なキャリアを残すことはできなかったが、それが2000年代に入っての充実した音楽活動に繋がっているわけで、運命の不思議さを感じてしまう。
(追加:2006年4月25日)
El Rayo Live : David Lindley And El Rayo-X
|
David Lindley : Vocals, Electric Guitars, Slide
Guitar, Mellobar, Hawaiian Lap Seel
Jorge Calderon : Harmony Vocals, Bass
Bernie Larsen : Harmony Vocals, Guitar, Organ
Ian Wallace : Drums, Percussion
Ras Baboo : Percussion on "Mercury Blues"
デヴィッド・リンドレー&エル・ラーヨ・エキスのライヴ・アルバム。 前述のスタジオ2作品以上にリンドレーの趣味性が高く、その分敷居が高くなってしまっている。
スタジオ・ミュージシャンとしてセッション活動を行っていたこの時期、ウォーレスが活動を共にした唯一の「売れていない」ミュージシャンがリンドレーということになる。 となると、ここで聴くことができる音楽が、当時のウォーレスにとっての理想だったのかもしれない。 つくづく不思議な人である。
2005年にリンドレーが来日した際にもCDで再発されることがなかった本作品が、当時国内盤で発売されていたことに驚く。 当然驚くくらい売れなかっただろうことも容易に想像できる。
(追加:2007年4月15日)
1984
Building The Perfect Beast : Don Henley
|
Ian Wallace - drums
ドン・ヘンリーのセカンド・ソロ・アルバム。
80年代特有の野暮ったいシンセが前作以上に煩く、イーグル時代からのファンにとってはどのように位置づけられるのか興味深い。
打ち込み以外はドン・ヘンリーがドラムを演奏する中、ウォーレスは本作品においても1曲のみ参加。 前作とは異なり、オーソドックスな楽曲で演奏させてもらっているとはいえ、扱いはやっぱり低い。
(追加:2007年4月15日)
1985
Lives In The Balance : Jackson Brown
|
スタジオ・ミュージシャンとして引っ張りだこ、といった存在にはなれなかったウォーレスが、ジャクソン・ブラウンの本作品へ参加したのは、デヴィッド・リンドレー繋がりだと思われる。
高揚感120%のアレンジで当時のアメリカの状況を批判する ” For America ”
は、本作品の中でもハイライトの一つだと思うが、そんな楽曲でウォーレスが演奏しているのが嬉しい。 スタジオ・ミュージシャンとしての期待に応えようとしたのか大人しく無個性な演奏が多かった中、本曲での迫力ある演奏はウォーレスの存在感をある程度以上感じることができる。 これでアルバム・タイトル曲を含めた半分位の曲で演奏できていれば、もう少しスタジオ・ミュージシャンとしてのステイタスを上げることができたのではないかと思う。
(追加:2007年4月15日)
1986
Nine Lives : Bonnie Raitt
|
ボニー・レイットのソロ・アルバム。
1986年に録音した3曲と1983年に録音した4曲が寄せ集められており、統一感が感じられない。 強いて挙げれば、特異のスライド・ギターをほとんど弾いていないことか。
ウォーレスの参加は1983年の4曲。 最終曲以外は、イアン・マクレガンや小原礼といった参加メンバーからは想像できないニュー・ウェイヴ感が強い楽曲ばかり。 この辺りの中途半端さが理由で、レコーディングが中断したと考えるのが妥当だろう。
演奏の幅を拡げたという点では、ウォーレスにとっても意義のある作品かもしれない。
(追加:2007年4月15日)
Innocent Eyes : Graham Nash
|
ソロ・アーティストとしては寡作になってしまっているグラハム・ナッシュの作品。
グラハム・ナッシュやCAY&N のファンにとって、本作はどのような評価なのだろうか。
デジタル・ビートにシンセサイザーによる装飾と、凡そオリジナルなファンにとって喜ばしい音とは思えない。 80年代という時代が作らせた作品なのだろう。
ウォーレスが参加しているのは、比較的オーソドックスな ” Chippin' Away
” と、ちょっとだけオーソドックスな ” Newday
” の2曲。 どちらも Linn Drum にオーヴァーダブしただけと、残念な参加となっている。
(追加:2016年4月25日)
Off The Shelf : Keith Emerson
|
リリースは2006年
キース・エマーソンの蔵出し音源集。
こうした作品は新たなファンの獲得を目的としたものではないので、ファンの自分が楽しめるかどうかだけが聴く上での尺度となる。
私は、本作品を大いに楽しむことができた。
ボレロだよ、展覧会だよ、モーグがビヨビヨビヨ~ンだよ、と列挙するだけでも嬉しくなってくるのだが、正にそんな作品である。
そして本作品の ”
America ”
にイアン・ウォーレスが参加している。
大技も小技も散りばめた演奏はウォーレスの持ち味が思いっきり出ているのだが、唯一最大の問題点はフロント2人が目立ちすぎているということである。パット・トラヴァースのギター、そしてそのギターに対抗すべく弾きまくるエマーソンのキーボードの存在感が凄すぎて、ウォーレスとモ・フォスターという豪華なリズム隊の演奏は、注意深く耳を傾ける必要がある。
本楽曲がレコーディングされた1986年頃、ウォーレスの活動はアメリカでの成功したとは言えないセッションが中心だっただけに、せめてもう少し目立つ編集をして欲しかった。
(追加:2020年7月10日)
1988
Travelling Wilburys Volume 1 : Travelling Wilburys
|
Ian Wallace : tom toms on " Handle With Care "
長らく廃盤状態だったトラヴェリング・ウィルベリーズの作品が、2007年に 2CD+DVD
という形態で再発された。 多分これから多くの雑誌で特集され、年末の人気投票では再発部門の上位に食い込むものと思われる。
さて、そんなトラヴェリング・ウィルベリーズのファースト・アルバムの1曲目に、ウォーレスはパーカッションで参加している。 といっても全然目立つことが無い演奏で、もうちょっと活躍の機会を与えてもらいたかった。
再発盤のDVDには、” Handle With Care
” のプロモーション・ビデオが収録されており、もしやという期待とともにウォーレスの姿を探してみたが、やはり登場していなかった。
(追加:2007年6月30日)
Mr. Dave : David Lindley
|
デヴィッド・リンドレーのソロ名義での作品。
ライヴを含めた過去3作品の中で中南米路線は最も希薄、極彩色のジャケットとともに、売ってやろういう意志をポジティブに感じる。 もちろん、過度にデジタル・シンセに走るなどという暴挙はなく、2000年代においても充分楽しむことができる作品だと思う。
” Truly Do ”
1曲ではあるが、盟友ウォーレスは律儀に参加。 レゲエ調の楽曲に爆音ドラムを期待することはできず、見事なまでに没個性な演奏。 そうなることがわかっていても参加するとこが、ウォーレスの偉いとこだと思う。
(追加:2009年1月25日)
1989
Hey You : Quireboys
|
クワイアボーイズのシングル。 クワイアボーイズは、先行シングルを含めファースト・アルバム 『 A Bit Of What You Fancy
』 から4枚のシングルをリリースしているが、本作品は英国チャートでは本作が最も成功している。
デビュー前後にメンバーの入替えが多かったバンドで、それが売るための条件としてレコード会社側が提示したことなのかは判らないが、その流れで不在になったドラムをイアン・ウォーレスが叩いている。
私の所有している12インチ・シングルには、大判ポスターまで封入されており、レコード会社側もかなりプロモーションに力を入れていたことがわかる。
そこそこに売れ続けたバンドではあるが、このデビュー時のレコード会社の期待に応えたかというと、ちょっと厳しい。
(追加:2017年年12月25日)
Mystery Girl : Roy Orbison
|
Ian Wallace - drums & percussion
ロイ・オービソンの遺作。
ウォーレスの参加は、トラヴェリング・ウィルベリーズからの流れと想定される。
ウォーレスが参加している ” California Blue
” は、ジェフ・リンの才能が爆発した名曲だと思う。 しかしそれが故にウォーレスがジェフ・リンの駒の一つになってしまっているのが残念。
(追加:2007年4月15日)
1990
A Bit Of What You Fancy : Quireboys
|
Spike : Vocals
Guy Bailey : Guitar
Guy Griffin : Guitar
Chris Johnstone : Keyboards
Nigel Mogg : Bass
Ian Wallace : Drums
クワイアボーイズのファースト・アルバム。
デンジャー&ビューティフルで、ワイルドなロックン・ロール。 類型が一体どれくらいあるのかわからないほどオーソドックスなイメージを売り物にしたバンド。 多分本人達はパロディではなく本気でやっている模様。
芸達者なウォーレスが年甲斐もなくバンドの一員として活動、などということは当然なく、セッション・ミュージシャンとして演奏しているだけ。 ロン毛&細身に矯正して正式メンバーとして活動するウォーレスを、見たかったような見たくなかったような..
(追加:2007年5月31日)
Are You With Me Baby : Billy Burnette
|
BAND
Guitars, Lead Vocals : Billy Burnette
Lead Guitar : Kenny Vaughan
Acoustic Bass : Dave Roe
Drums : Ian Wallace
ADDITIONAL MUSICIANS
Backing Vocals : Bekka Bramlett, James Griffin, Geroge Hawkins
Keyboards : Tania Smith
Guitars : Rafe Van Hoy
フリートウッド・マックに一時在籍したこともある、ビリー・バーネットのソロ・アルバム。 ウォーレスは全曲に参加している。
フリートウッド・マックという肩書きも、実際にはリンジー・バッキンガムが脱退しバンドが最も低迷していた時期に参加していただけに、ビリー・バーネットのキャリアにプラスになっているかは怪しい。 本作も、フリートウッド・マックの
『 Behind The Mask 』 とほぼ同時期に発売されたものの、チャートインすることなく終わっている。
ロカビリー色の強いカントリー・ナンバーで、ウォーレスは自己主張することなく淡々と演奏している。
(追加:2007年5月31日)
Just Livin My Rock & Roll Life : Bleu Lane
|
Lead Vocals : Jimmy Davis on all songs except Just Livin' My
Rock'n' Roll Life, which was sung by Stephen Frederick
Backing Vocals : Debbie Davis-Estes, Stephen Frederick, Jimmy Davis,
Matt Stauffer, & Lee Coate
Lead & Rhythm Guitars : Bill Lane, all tracks except Black Moon Groove -
3rd lead solo and fills
2nd Guitar : Matt Stauffer, all tracks except Black Moon Groove - 2nd
lead solo and dual lead on Everything I Want
3rd Guitar : Mike Estes on Everything I Want, 1st lead solo on Black
Moon Groove and 2nd lead guitar at the end of Just Livin' My Rock'n'
Roll Life
Bass : Lee Coate
Keyboards : Jim Brown
Percussion : Ian Wallace
ギターリスト、ビリー・レィンを中心とした Bleu Lane
の作品。 ウォーレスの参加は、録音場所がナッシュヴィルだったというとても分かり易い理由によるもの。
激しいギター・ソロの応酬が続く作品。 「 For their inspiration
」とクレジットされた中に、デュアン・オールマンの名前があることからも彼らが指向したものを伺うことができる。 ウォーレスの演奏も、ギターに応えるかのようにワイルドになっており、存在感も充分にある。
ジャケットにはレコーディング中の写真が掲載されており、ウォーレスは何故かデヴィッド・リンドレーの 『 Win This Record 』
を手にしている。 不思議な人だ。
(追加:2007年5月31日)