1993
The Bridge Between : The Robert Fripp String Quintet
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The Player
Robert Fripp Guitar, Frippertronics
Trey Gunn Grand Stick
The California Guitar Trio
Bert Lams Acoustic Guitar
Paul Richards
Acoustic Guitar and Fuzz E-bow Guitar
Hideyo Moriya
Acoustic Guitar
Produced by David Singleton and The RFSQ for Discipline Records.
1993年にリリースされた The Robert Fripp String Quintet (以下 RFSQ
)の、唯一のフィジカル・ディスク作品。
前年 RFSQ
は来日公演も行っており、存在自体に唐突感は無かったものの、なんだかよく判らないというのが当時の率直な感想であった。
インターネット普及前のこの頃、雑誌の記事やインタビューからカリフォルニア・ギター・トリオ(以下 CGT
)やトレイ・ガンの存在を知るしかなく、RFSQ じゃなくてキング・クリムゾンを復活してもらいたい、と思ってはいた。
とはいえ、ライヴ・テイクとスタジオ録音テイクを混在させたことで RFSQ
の全体像を捉えることができるようにした試みは成功しているし、CD1枚というコンパクトなサイズにまとめられたことで、聴きやすい作品となっている。
(追加:2020年6月25日)
DGM Live Library
1992/ 5/12 Red Door Cafe, Allentown, United States
ロバート・フリップ・ストリング・クィンテットの最初のライヴを収録した作品。
RFSQ
としての活動期間は、フリップがクリムゾンと自信の楽曲の所有権をめぐる法廷闘争を始め、『 The Great Deceiver : Live
1973-1974 』 を編集・リリースし、そしてシルヴィアン&フリップが始動するまでの期間である。
つまり非常に忙しかった期間ではあるがライヴ活動を行いたい、というフリップの意向が強く反映されたプロジェクトとみなすのが妥当なところだと思う。
フリップ+ガン+CGT という当時の活動の流れから意外性が全く感じられない編成と、リーグ・オブ・クラフティ・ギターリスツと CGT
の楽曲を中心に演奏するという急造感からも、この辺りのことを伺うことができる。
初めてのライヴ、そして全て人力で演奏を行っているだけにミスが散見されるが、完成度としては翌年のライヴとあまり変わらない。
というかほとんど進化することが無かったと捉えるのが正しいのかもしれない。
(追加:2020年6月25日)
1992/11/11 FM Tokyo Hall, Tokyo, Japan
RFSQ 来日時のライヴ音源。 その模様は WOWOW でも放送されている。
ぶっちゃけてしまえば、TRFSQ は判りにくい。
ロバート・フリップは機材を使ってアコースティック・ギターのような音を出すし、トレイ・ガンはギター・ソロのような音やサウントスケイプスのような音を出すし、ポール・リチャーズはアコースティック・を使って歪んだギター・ソロを取る。
その上、ガンと CGT
はギター・クラフト出身ということもあり、音色に留まらないフリップの影響もあるわけで、誰が何を弾いているのか判らなくなってくる。
そうしたこともあり、収録曲数こそ少ないものの、YouTube の King Crimson
のチャンネルに登録されている映像作品でこの日の演奏を楽しむのが、最も適切である。
(追加:2020年6月25日)
1992/11/16 Club Quattro, Nagoya, Japan
今では実現不可能なフリップのインタビューが多くの雑誌に掲載されたことからも判るように、RFSQ の来日公演に合わせてフリップは 『 The
Great Deceiver 』 のプロモーション活動も行っている。 DGM Live
には来日時の旅程がアップされているのだが、フリップは14日間の来日期間中3回しかライヴを行っておらず、その間に多くのプロモーションをこなしたものと思われる。
ちなみにフリップ以外のメンバーの滞在期間は12日間で、しかもその内5泊は CGT の森谷英世の家と、中々の低予算ぶりを伺うことができる。
大阪でライヴを行った翌日に移動してこの名古屋でのライヴは行われている。
しかもその翌日にはフリップ以外のメンバーは日本から離れるというスケジュールなのだが、淡々と演奏されている。
(追加:2018年9月25日)
1993/ 3/12 Cosenza, Sicily, Italy
1992年の RFSQ のライヴ活動がアメリカ東海岸と日本であったのに対し、1993年はヨーロッパとアメリカ西海岸が中心であった。
本音源はヨーロッパでのライヴの初期、イタリアでの演奏を収録したものである。 容易に想像できったように、前年からの大きな変化は無い。 ”
Yamanashi Blues ”
の出だし(と多分フリップによるサウンドスケイプス)が欠けてしまったこの日の音源が、何故唯一のヨーロッパ音源としてリリースされているのかは疑問が残るが、万遍のない選曲と演奏ではある。
(追加:2020年6月25日)
1993/ 5/27 The Belly Up, San Diego, CA, USA
5月に行われたアメリカ西海岸での10回のライヴの8回目を収録した作品。
改めて編集盤としての 『 The Bridge
Between 』 は、RFSQ を俯瞰できる良くできた内容だと思う。 一方ライヴの全体像を掴むという観点からでは、本作品が最適であると思う。
ただそれだけにこの2作品を通して聴くと、RFSQ の限界、というか面白みの無さが明らかになってしまう。
シルヴィアン&フリップをドラムレスで始めたりとか、キング・クリムゾンのダブル・トリオには、演奏したいこととその編成にこだわりが感じられたが、RFSQ
は最後までトレイ・ガンと CGT の借用感が強く編成に必然性が感じられなかった。
その後のクリムゾンの活動の合間に RFSQ
は容易に復活させることはできたはずだが、流石にそこに至らなかったのは、判らないでもない。
(追加:2020年6月25日)