21st Century Sailor's Tale
Michael Giles, drums ( 1969 ), Boz Burrell, bess ( 1971 ), Robert Fripp, guitar ( 1971, 1981, 2015 )
発掘音源という観点からみると、Mr. Stormy's Monday Selection はネタ切れ気味である。そうした中マッシュアップ音源が増えているのだが、その殆どは面白くない。
ただ時々とんでもない成功例がでてくるのが悩ましいのだが、本テイクは正にそれ。 一番の成功要因は ” 21st Century ~ ” のマイケル・ジャイルズのドラムと ” Sailor's Tale ” のボズのベースが見事にマッチしていることである。
Bill and John ( Asbury Park)
King Crimson
The Casino, Asbury Park, NJ
June 28, 1974. From 'USA' Recordings
アズベリー・パークでの ” Asbury Park ” のリズム隊の音を中心に抽出した楽曲。
ジョン・ウェットンの歪見切ったベースを完璧に鳴らし切るオーディオ・システムを、いつの日か所有したいとつくづく思う。
Man With An Open Heart ( alt. take )
King Crimson
C.V.Lloyde Music, Champaign, IL
January, 1983, 'Three Of A Perfect Pair' Recordings
失敗に終わった1983年1月のスタジオ・セッションでの ” Man With An Open Heart ”。 同セッションを収録した『 Champaign - Urbana Sessions 1983 』の音源の殆どはプロトタイプのようなものにもかかわらず、本曲だけが完成形に近いのには若干の違和感が残る。
Easy Money ( John and Jakko duo )
King Crimson
Command Studios, London, 1973
and Paris, Salle pleyel, Dec 3, 2016
Mr. Stormy's Monday Selection でのマッシュアップの失敗例。
マッシュアップのテクニカルの問題ではなく、ウェットンのヴォーカルにジャッコのヴォーカルを被せるという発想が失敗である。
VROOOM ( Double Trios )
King Crimson
Real World Studios, 1994
Thrak Recording Sessions.
ダブル・トリオの楽曲として判りやすい ” VROOOM ” を、ブリュー/マステロット/レヴィン組と、フリップ/ブルーフォード/ガン組に分けて収録した楽曲。
こうして聴いてみると、ブルーフォードの暴れっぷりと、ベース・パートに2人はいらなかったこごたよく判る。
Cat Food ( with Jeremy & Mel )
King Crimson
Wessex, Studios, 1970
and Hard Rock Rocksino, Cleveland, 2019
1970年の ” Cat Food ” の演奏に、2019年のメル・コリンズとジェレミー・ステイシーの演奏を重ねたもの。
ステイシーがステージ上で演奏するキーボードを最初に聴いた時、その上手さに驚いたことを記憶している。 ただこうしてキース・ティペットのピアノと重ねてしまうとその違いは歴然としてしまう。
これはステイシーがどうこうといった話しではなく、ティペットが余りにも凄すぎるということである。
Starless Solo ( Trio Version )
King Crimson
Olympic Studios, 1974
Real Recording Sessions
” Starless ” の大円弾前の、オリジナルではメル・コリンズによるサックスを演奏しているパートからを収録した楽曲。
コリンズのサックス・ソロの代わりにフリップがギター・ソロを演奏しており、オリジナルで感じられる叙情性は無く全く別の曲のような印象が残る。 これはこれでとても貴重なテイクである。
The Great Deceiver Dub
King Crimson
Air Studios, 1974
Starless And Bible Black Recording Sessions
” The Great Deceiver ” レコーディング時の別テイク。 ダブ、という言葉に惑わされる必要は無い。
『 Starless And Bible Black 』 の中でも数少ないスタジオだけでレコーディングされた楽曲だけに、色々な演奏が試みられたのではないかと推察される。
前述の ” Starless Solo ( Trio Version ) ” のようにこういった楽曲の発掘を続けてもらいたい。
Robert and Trey I - IV
Robert Fripp - guitar, Trey Gunn - Stick
Unknown Venue, April, 1992
ロバート・フリップとトレイ・ガンのセッション音源。
DGM Live の解説にも記載してあるが、この時期2人は Robert Fripp String Quintet と Sylvian & Fripp で活動を共にしていて、そのリハーサル、セッション時の音源とのこと。
2人で色々なことを試みていることが判る一方、どれも完成形には至っていない。
Into The Frying Pan ( vox and guitars )
Adrian Belew & Robert Fripp
Studio Belew, Nashville,
The ConstruKction Of Light Recording Sessions, 1999
『 The COnstruKction Of Light 』 のレコーディング・セッションからの ” Into The Flying Pan ” のブリューとフリップの音源を抽出したもの。
面白い音源ではない。
Pictures Of A City
King Crimson at Summit Studios, Denver, 1972
Jakko and Mel, Zitadelle, Berlin, 2019
1972年のデンバーでのサミット・スタジオでの音源と、2019年のベルリンでの音源をマッシュアップしたもの
コリンズのサックスは双方の音源から採用しているためツィンでの演奏となり迫力が増している。 一方ボズの演奏はそのままだがヴォーカルのみジャッコに差し替えられている。
サックス追加のみの編集でも良かったと思う。
Cadence Kudasai
King Crimson at Basing Street, London, 1981
Gordon and Mel, Wessex Studios, 1970
これもマッシュアップ音源だが、特定の楽器やヴォーカルだけを差し替えたり追加したりする以外の面白みがある。
メル・コリンズのサックスが加わるだけではなく、エイドリアン・ブリューによる ” Matte Kudasai ” のヴォーカル・ラインの一部を、ボズによる ” Cadence And Cascade ” のヴォーカル・ラインに入れ替えている。
クリムゾン・マッシュアップの大成功例である。
(追加:2024年8月25日)