2011
Absalom : Stick Men
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Tony Levin : Chapman Stick & Vocals
Pat Mastelotto : Traps & Buttons
Markus Reuter : Touch Guitar & Vocals
パーマネント・バンドとなったスティック・メンの2作品目。 マイケル・ベルニエから、パット・マステロットとの Tuner で作品をリリースしているマーカス・ロイターにメンバーが変更している。
スティック・メンは、トニー・レヴィンのソロ・アルバム 『 Stick Man 』 から発展していったバンドと考えて良いと思うが、重くて暗い音楽傾向は前述の Tuner 寄りで、マステロットの意向も大きく反映されていると思われる。 またスティック( ウォー・ギター)によるギター・ライクのソロも、トレイ・ガンがキング・クリムゾンや ProjeKct で行った流暢かつ過度にメランコリックなものではなく、ハード・ロック寄りのノリが格好良さを引き出している。
収録時間からするとミニ・アルバムと定義付けた方がよい作品なのかもしれないが、作品を創り上げたいんだ意思が迸った内容である。
(追加:2023年1月10日)
Levin Torn White : Levin Torn White
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Tony Levin - Bass and Chapman Stick
David Torn - Guitars and Textural Events
Alan White - Drums and Percussion
Piano and Keyboards by Scott
Schorr
トニー・レヴィン、デヴィッド・トーン、アラン・ホワイトの3人の名義による作品。
本作品とボジオ・レヴィン・スティーヴンスやリキッド・テンション・エクスペリメントとの違いは、テクニカルの方向性を速弾き以外に求めたギターリストと、テクニカルではないドラマーと組んだことであり、その違いがそのまま作品に現れている。
また本作品とブルッフォード・レヴィン・アッパー・エクストリミティーズとの違いは、ドラムの複雑さ(面倒くささ)が無くなった分、レヴィンとトーンが好き勝手にやれる領分が広くなっていることである。
ただやはり購入ターゲットが明確であった上記3バンドとは異なり余技感が強く、大した話題にもならず終わってしまったこともやむを得ないかもしれない。
個人的には好きなんだけどね。
(追加:2019年2月25日)
2012
Open : Stick Men
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Tony Levin : Chapman Stick
Pat Mastelotto : Traps & Buttons
Markus Reuter : Touch Guitar U8 & Electronics
スティック・メンの3作品目。
Open という言葉の響きとは寧ろ逆な、ヘヴィネスに満ち溢れてた作品である。 メロディアスなスティック(ウォー・ギター)によるソロもあるのだが、徹底的に重い作品となっている。
ただどんなにヘヴィになっても暗さはなく、聴きやすく作品として楽しむことができる。 何でもできちゃう手練手管のミュージシャンが、自己満足に陥ることなない自制心も持ち合わせていると、ここまでの作品ができるのだということがよく判る。
このアルバムを完成させたことで、スティック・メンはパーマネントの活動を行う感触を得たのではないかと、勝手に想像している。
(追加:2023年1月10日)
雅子 : Masako
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アメリカ在住のピアニスト Masako のファースト・アルバム
本作を始め Masako の全てのアルバムのプロデューサーはウィンダム・ヒル・レコードの創始者ウィリアム・アッカーマン。 他の作品は未聴のため本作品に限って言えば、クラッシク、ジャズ、ジャズ・ロック、イージー・リスニングと様々な要素を見出すことができる典型的ニューエイジ・ミュージックである。
トニー・レヴィンの参加曲のほとんどのパートはデュオで、Masako のピアノに寄り添うようで寄り添わない、良い意味での地味な演奏をしている。
同時期のスティック・メンでのインダストリアル寄りの演奏とは対局の演奏であり、レヴィンの間口の広さを改めて思い知ることになる作品である。
(追加:2024年6月10日)
2013
Deep : Stick Men
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Tony Levin : Chapman Stick, Voice
Pat Mastelotto : Acoustic And Electronic Drums & Percussion
Markus Reuter : 8 - And 10 - Strings Touch Guitars, Live Electronics
DVD :
Full Album 5.1 DTS, Hi-Res 24bit 96kHz Stereo Mixes,
" A Little Deeper " Concert Film, And Bonus Materials
ハズレが絶対ない、Stick Men の作品。 今回の作品も素晴らしい。
スティックを極めたらスティックを意識させなくなった、と 『 Soup 』 の時にも書いだのだが、今回もまさに同じ。
さらに、クリムゾンの 『 The Power To Believe
』 でミキサーを担当したマシーンを起用したことで、ヘヴィネスが増しており、特にその成果が ” Nude Ascending Staircase
” に顕著に現れている。
どうせ購入するなら、ハイレゾ音源、コンサートとその幕内を収録した映像まで収めた DVD 盤がおすすめだと思う。
(追加:2013年8月10日)
Power Play : Stick Men
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リリースは2014年
Recorded On The Deep Tour USA 2013
Tony Levin : Chapman Stick & Voice
Pat Mastelotto : Acoustic and Electronic Drums & Percussion
Markus Reuter : Touch Guitars U8 & Soundscapes
『 Deep 』 のリリースと合わせて行われたアメリカ・ツアーからのライヴ・アルバム。 『 Soup 』、『 Absalom 』、『 Open 』 から各1曲ずつ選曲されている他は、全て 『 Deep 』 からの選曲となっている。
キング・クリムゾン再始動前のスティック・メンはトニー・レヴィンとパット・マステロットの活動の主軸となっており、パーマネントのバンドのように思える程である。 キング・クリムゾン再始動後のスティック・メンが、特にメル・コリンズやデヴィッド・クロスをライヴのゲストに迎えたことでクリムゾンのサイド・プロジェクトのような印象があるのと対象的である。
本作品はそんな充実した時期に発表された傑作 『 Deep 』 を中心に構成されたライヴ・アルバムだけに、完成度の非常に高い内容となっている。 フリップのソロからの ” Breathless ” は収録しているものの、ライヴ定番のクリムゾンのカヴァーを収録していないことにも肯定的なこだわりを感じることができる。
(追加:2014年2月10日)
Unleashed Live Improvs 2013 : Stick Men
リリースは2015年
Live Improvs from the Deep Tour USA 2013
Tony Levin : Stick and Vocals
Markus Reuter : Touch Guitars U8 & Soundscapes
Pat Mastelotto : Acoustic and Electronic Drums and Percussion
『 Power Play 』 と同じくスティック・メンの2013年のアメリカ・ツアーからのライヴ・アルバム。
スタジオ・アルバムからの楽曲を収録した 『 Power Play 』 を表盤とするならば、ライヴでのインプロを収録し流通枚数も圧倒的に少ないだろう本作品は裏盤ということになる。 ただバンドとしての活動が最も活発だった時期のライヴ・インプロだけに内容は充実しており、その器の大きさを感じることができる作品である。
バンドとしても活動に手応えを感じていたはずで、表盤と裏盤というリリース方式をとることで楽曲の完成度とインプロの凄さを示したかったのだと思う。 『 Power Play 』 に本作品から2,3曲追加してまとめるという手法もあったはずだが、そうしなかったことは好判断である。 そのおかげでこの時期のスティック・メンの凄さを今でも堪能できるのだから。
(追加:2024年2月10日)
The Next Day : David Bowie
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Tony Levin : Bass
デヴィッド・ボウイが2013年に発表した、力強いロックなアルバム。
ジャケット写真、トニー・ヴィスコンティの起用、PV、そしてツアーをやらなかったことを含め、全てが用意周到に企画された作品だが、その本質は正に力強いロック。
何故ボウイが今この路線に走ったのはわからない、というか、わかろうとする必要もなく、ただただ圧倒されれば良いのだと思う。
ボウイのアルバムにレヴィンの参加するのは 『 Heathen 』 以来である。どんな作品傾向にも対応できるレヴィンだけにボウイの作品への参加が少ないのは意外な印象ではあるが、こうした完成度が高い作品での起用というのは、はやり嬉しい。
レヴィンでなければ、という記名性も充分に感じられる。
(追加:2015年7月10日)
(変更:2016年10月10日)
2014
Levin Brothers : Levin Brothers
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Pete Levin : Piano And Organ
Tony Levin : Cello And Bass
Jeff Siegel : Drums
David Spinozza : Guitar
Erik Lawrence : Sax
Steve Gadd : Drums On Bassics And Fishy Takes A Walk
レヴィン兄弟による正統派ジャズ・アルバム。
サックス、ギターによるソロもフィーチャーされてはいるものの、2人による演奏が骨格を占めている。
もろジャズな内容であるため、クリムゾン耳である私は全くの門外漢で、「レヴィンによる演奏だから」以外の聴き方ができないのが残念である。
ジャズの世界で本作品がどのように評価されるのか、確認をしてみたい。
クリムゾンのカヴァー、” Matte Kudasai ”
は、原曲の良さもあり、これはこれで中々のカヴァーだと思うのだが、ブリュー要素が全く排除されているが、ちょっともったいない。
(追加:2014年10月10日)
2015
Live In Tokyo 2015 : Stick Men + New!
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Tokyo 10th April
David Cross : Violin and Keyboards
Markus Reuter : Touch Guitars AU8, Soundscaping and Keyboards
Tony Levin : Stick and Voice
Pat Mastelotto : Acoustic and Electronic Drums and Percussion
スティック・メンにデヴィッド・クロスが参加して行われたスティック・メン+の東京でのライヴを収録した作品。
クロスの参加というのは本作品の2つの特徴を生み出している。
1つはクリムゾンの楽曲がふんだんに演奏されていることである。 クロスが参加していない時期の楽曲も採用されているものの、クリムゾンのメンバー2人がいるバンドにクロスが参加するならクリムゾンの楽曲やるよね、という期待にベタに応えており、スティック・メンとしてのオリジナリティは後退しているもののエンターテインメント性は増している。
2つ目は重低音の強化である。 高音パートをクロスのヴァイオリンとキーボードで担うことで、スティックとタッチ・ギターの両方が低音パートに回ることができるようになっている。 ヴァイオリンとスティックorタッチ・ギターの高音部の絡み美しいが、低音部を2つの楽器で担う迫力もまた素晴らしい。
(追加:2024年12月10日)