1986
Park Hotel : Alice
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Alice Voci
Jerry Marotta Batteria E Programmazione Linn
Tony Levin Basso E Stick Bass
Phil Manzanera Chitarre
Michele Fedrigotti Tastiere
イタリアの女性シンガー、アリーチェの作品。
イタリア語が全くわからないので、アリーチェの低音を強調したヴォーカルを意識することなく、バックの演奏を中心に聴き込むことになる。 仮にこのメンバーでヴォーカルレスのインスト作品を出したならば、テクニカル志向の演奏になったのだろうが、本作品がヴォーカルを支える歌心のある演奏となっていることがよくわかる。
仮にイタリア語で何か喋れと言われても「スパゲッティー・イタリアーノ」位しか言えないし、そもそもそれがホントにイタリア語なのかもわからないことが功を奏しているのかもしれない。(一昔前の)小学生が英語がしゃべれる、と自慢して「ディス・イズ・ア・ペン!」と叫ぶのと同じレベルの言い訳なのかもしれないが。
(追加:2012年5月25日)
So : Peter Gabriel
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Peter Gabriel : Lead Vocals, CMI, Piano, Prophet, Linn, Linn Drum,
Synthesizer, Percussion, Backing Vocals, CS80, Synclavier
Tony Levin : Bass (1,2,3,4,5) Drumstick Bass (7)
David Rhodes : Guitar, Backing Vocals
Jerry Marotta : Drums, Drumstick Bass, Additional Drums
Chris Hughes : Linn Programming
Stewart Copeland : Hi-hat, Drums
Daniel Lanois : Guitar, Tambourine, Surf Guitar, 12 String Guitar
Manu Katche : Drums, Percussion, Talking Drums
Mark Rivera : Saxophones, Processed Saxophone
Wayne Jackson : Cornet, Trumpet
Don Mikkelsen : Trombone
PP Arnold, Coral Gordon, Dee Lewis, Michael Been, Jim Kerr : Backing Vocals
Kate Bush, Youssou N'Dour, Laurie Anderson : Guest Vocal
Ronnie Bright : Bass Vocal
Richard Tee : Piano
Simon Clark : CS80, CMI, Hammond, Bass
I. Shankar : Violin
Larry Klein, Bill Laswell : Bass
Djalma Correa : Surdu, Congas and Triangles
Jimmy Bralower : Linn Kick
Nile Rodgers : Guitar
世界的大ヒットを記録した、ピーター・ガブリエルの5作目。
” Sledgehammer ”
の映像が毎日流れていた、とまで言うとさすがに誇張表現だが、TVではミュージック・ビデオ番組が複数放送され、喫茶店にはレーザー・ジュークボックスなるものが設置されてた時代、見ようと思わなくても目には入った。 そんなシングル・ヒット以外にも、分かり易いアルバム・ジャケットの導入等、「売る」ことを明確に意図した作品ではあるが、旧来のファン層を逃がさなかったのが、本作品の凄いところ。
アルバムだけではなくライヴでも重用され、名声も(多分)ギャラもクリムゾンより遙かにもらえるわけで、レヴィンにとってはこれ以上ない環境のはず。 ただそこを安住の地としないところが、レヴィンの偉い(笑)ところだと思う。
(追加:2009年6月25日)
This Side Of Paradise : Ric Ocasek
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Stick Bass : Tony Levin
カーズのリック・オケイセックの2枚目のソロ・アルバム。
本作品がリリースされたのは、カーズの最大ヒット作の 『 Heartbeat
City 』 と ラスト・アルバムとなってしまった 『 Door To Door 』 の間である。
過度なまでに売れることを狙った作品と、解散にも繋がったメンバー間の不仲が原因なのか前作の80%程度の焼き直し作品ではあるが、ロックの疾走感とどこかクールな佇まいの共存というカーズ最大の魅力が、その両作品とも充分に発揮されている。
一方本作品は陰鬱な印象こそないが、重くて暗い。 ロックの疾走感も無いし、クールな佇まいもない。
カーズの求めるものを求めさえしなければ良いのだろうが、驚かされる程の違いである。
レヴィンは、そんな楽曲群の中でも最も重さと暗さを感じる楽曲で、ヘヴィなベースを演奏している。
レヴィンのセッション活動としては珍しいパターンではあるが、オケイセックの意向に見事に応えているところが凄い。
(追加:2017年8月25日)
1987
Coming Around Again : Carly Simon
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MTV 全盛時代にカーリー・サイモンがリリースした作品。
常に時代に迎合してきたというか、迎合しようとして失敗してきたカーリー・サイモンが、この時代にデジタル・シンセをバックに大味なヴォーカル・アルバムをリリースするのは容易遂行なのだが、そもそもヒットしなかったのは恋愛感情を伴わないブレーンが周りにいなかったことが原因に違いない。
本作品におけるレヴィンのベースについては、特にコメントするようなものではない。
スタジオに到着して譜面を見て30分で演奏終了して次のスタジオに、そんな程度なのだと思う。
(追加:2015年9月25日)
Cher : Cher
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シェールが、ゲフィン・レコードに移籍して発表したソロ・アルバム。
ネーム・バリューのある人間を担ぎ出して、下品なデジタル・シンセと歪んでいるだけで深みのない速弾きギターを組み合わせれば大ヒット、とゲフィン・レコードの会議室での検討結果がそのまま具現化した作品である。
大々的に行われたプロモーションとTOP40に何とか入っただけのセールス結果は見合っていないだろう、という突っ込みが本作品に相応の評価であろう。
トニー・レヴィンは2曲に参加しているが、スケジュールの合間にスタジオに来て、譜面渡されて5分後にワン・テイクだけ演奏して終了、といった程度の目立たない内容である。
(追加:2016年10月10日)
A Momentary Lapse Of Reason : Pink Floyd
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Tony Levin Bass Guitar & Stick
ロジャー・ウォーターズ脱退後のピンク・フロイドの作品。
そのロジャー・ウォーターズの代わりにベースを演奏することは、誰にとっても相当のプレッシャーになるはずなのだが、そんなことを全く感じさせずにレヴィンは演奏している。
もしかしたらレヴィンは、ピンク・フロイドを聴いたこともなく、ロジャー・ウォーターズが脱退したことの衝撃も知らず、ただのセッションとして参加演奏していたのかもしれない。
本気でそう感じさせてしまうところが、レヴィンの凄さである。
ボブ・エズリンのプロデュース作品にレヴィンが参加するのは10数年ぶりとなるのだが、その間にレヴィンの評価とギャラは大きく上がっている。
そうなるきっかけを作ってくれたボブ・エズリンへの恩返しもあったのかもしれない。
(追加:2016年7月10日)
Robbie Robertson : Robbie Robertson
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ザ・バンドのロビー・ロバートソンのファースト・ソロ・アルバム。
プロデューサーがダニエル・ラノワでミックスがボブ・クリアマウンテン、ピーター・ガブリエルとU2が参加と、80年代のアイコンがそのまま音触りに現れている作品。
私はザ・バンドを聴いたことがないので、音そのものの変化については判らないが、音触りについては好き嫌いが分かれる作品である。
そんな作品の半数の曲にレヴィンは参加しているのだが、” American Roulette
” での爆発したくてもしきれないテリー・ボジオのドラムと、レヴィンのスティックとの絡みが面白かったりする。
(追加:2016年10月10日)
1989
Strange Angles : Laurie Anderson
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流行の最先端についていけない人は、決して聴いてはいけないローリー・アンダーソンの作品。
私は生まれながらオシャレだし、私の三歩程後に流行の最先端がついてくるような経験を何度もしているので、1981年にローリー・アンダーソンの ” O
Superman ”
がヒットした時は、雑誌の紹介記事だけを頼りにして「3年位前から来るのはわかっていたよ」と赤羽の中華料理屋でレバニラ炒め(餃子3個サービス)を食べながらヒップな仲間たちと語り合ったものである。
物事の本質を見抜き、一時ブームに左右されることのない私達のようなトレンドセッターの判断力は常に正しく、それはローリー・アンダーソンが新譜を出すと今でも音楽関係のみならず、ファッション系を含めた殆どの全ての雑誌の表紙を彼女が飾ることでも立証されている。
何度も聴き返す気にはとてもならない程素晴らしい楽曲群の中で、レヴィンは1曲のみ目立たず演奏している。
(追加:2017年8月25日)
Maria McKee : Maria McKee
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Bass : Tony Levin, Jerry Scheff
元ローン・ジャスティスのヴォーカリスト、マリア・マッキーのソロ・アルバム。
ローン・ジャスティスのファースト・アルバムのジャケットにおけるマリア・マッキーは最高であった。
ブロンドに染めたタヌキ顔の彼女の写真は、タワーレコードの棚から手にとって見たいと思わせるだけの説得力があった。
だけど...すみません。
ジャケットは強烈に覚えているのだけど購入には至らず、ローン・ジャスティスを聴いたことないまま、本作品でマリア・マッキーに初めて接しました。
カントリー色を味付け程度に残してポピュラー色をもっと強めれば、後のテイラー・スウィフトのような成功も可能であったかもしれないが、いかんせん中途半端な内容に留まっている。
この辺り、ゲフィン・レコードの会議室での議論の失敗なのであろう。 ベーシストは2人クレジットされており、レヴィンの参加曲は不明。
(追加:2017年8月25日)
The Other Side Of The Mirror : Stevie Nicks
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スティーヴィー・ニックスの4枚目のソロ・アルバム。
爆発的なヒット・アルバムではないが、それは彼女の作品の売れ方を基準にした尺度であって、全米TOP10にしっかりとランキングされている。
恋多き女性とか、妖精とか、彼女にまつわるその種の呼称についてよく判らなかったし、そもそも彼女のファン層というのが私にはよく判らなかったのだが、それを一気に解決してくれたのが映画 『スクール・オブ・ロック』
であった。
ちょっと野暮ったくてお硬いキャラの女性校長先生(マリンズ校長)が、スティーヴィー・ニックスの曲がかかるとはしゃいでしまう場面で、彼女のファン層を完全に理解できた気がする。
本作品にもそんなマリンズ校長がはしゃいでしまうような楽曲が多く収録されており、かつそこにトニー・レヴィンがしっかりとクレジットされている。
セッション数が単に多いだけでなく多岐に渡っているが故に、所謂ポピュラー・ミュージックを聴いたことがある人の中で、トニー・レヴィンの演奏聴いたことが無い人はいないのでは無いかと思えてくる。
(追加:2016年10月10日)
1989
Head, Hands And Feet : Akira Inoue David Rhodes
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Bass, Stick Tony Levin
ピーター・ガブリエルとの活動で知られるデヴィッド・ローズと井上鑑による作品。
杏里、佐々木伸誘等、井上鑑による海外制作作品において客演の機会が多かったローズとの共演であるが、コラボレーションというよりも井上鑑のソロ・作品にローズが参加しているという印象の方が強い。 プリプロを国内で制作した後に Real World Studios でレコーディング、ローズそしてトニー・レヴィンの参加もここからと推測される。
御本人の意思なのかプロダクション側の意思なのか判らないが、1980年代後半に行われた Real World というかピーター・ガブリエルへのアプローチは、最終的に井上鑑とローズの1993年の共演作 『 Snowflake 』 にガブリエルがナレーションで参加というアウトプットに繋がっている。
(追加:2024年6月10日)
Flower bed : 渡辺美里
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渡辺美里の5作品目でオリコンのアルバム・チャートで1位を獲得している。
クレジットにはカリフォルニア、そしてニューヨークのアトランタ・スタジオでレコーディングされたと記載されており、トニー・レヴィンのベース・パートは ” 跳べ模型ヒコーキ ” はニューヨークでレコーディングされたのではないかと思われる。
バラード調の楽曲での演奏は本来レヴィンの得意範囲だと思うのだが、ヴォーカルへの裏メロでの絡みが少なく残念である。
ちなみに本曲にドラムでクレジットされているリック・マロッタは、ジェリー・マロッタの兄弟だったりする。
(追加:2024年6月10日)