1976
Goes To Hell : Alice Cooper
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Tony Levin / Bass
アリス・クーパーのソロ名義2作目。
『 Welcome To My Nightmare 』
と路線は同じなのだが、サービス精神が過剰に出たのかそれとも時代に迎合しすぎたのか、ディスコ、バラードとバラエティに富みすぎている。
聴いていて楽しいのが本作であることは間違いないのだが、大味であることも否めない。
レヴィンは、The Hollywood Vampires(現在の余興バンドとは別物)の一員としてクレジットされている。
バックバンドというよりは、参加ミュージシャンの総称にすぎないのだが、バラエティに富んだ楽曲全てに対応しているレヴィンの底力が見事に発揮されている。
(追加:2016年7月10日)
Gagaku & Beyond : Herbie Mann
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Ono Gagaku Society performs on Etenraku only.
On
Mauve Over Blues Herbie Mann & The Family of Mann
perform together with Minoru Muraoka & His New Dimension.
On Shomyo
Modern Shomyo Study Group performs with the combined groups of Herbie
Mann and Minoru Muraoka.
On Kurodabushi Herbie Mann
plays flute with Minoru Muraoka & His New Dimension.
Gagaku And
Beyond is performed by Herbie Mann & The Family of Mann.
ハービー・マンが雅楽と共演した作品。
ブラジル、ディスコ、ロックと何でも取り込むというか食いつくハービー・マンが、フルートと同じ木管楽器である尺八に興味を持ち、そしてその流れで雅楽と共演するという流れは想像に難くない。
ただ、ブラジル、ディスコ、ロック等の時はそのフォーマット上でマンが演奏するフルートのミスマッチ感が妙な魅力だったが、本作では収まりが良すぎて面白みが無い。
それよりも、本作の中で唯一雅楽の奏者と共演していない ” Gagaku And Beyond
” のヘンテコなノリの方が楽しめる。 他の参加曲では目立っていなかったトニー・レヴィンの演奏も躍動感に溢れ、楽曲の魅力が増すのに貢献している。
(追加:2021年2月25日)
Surprises : Herbie Mann featuring Cissy Houston
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Tony Levin, bass
ハービー・マンが1976年にリリースした作品。 レコーディングされたのは、前作 『 Waterbed 』
の楽曲より前で、平たく言ってしまうとボツ・テイクを含めた編集盤ということになる。
ホイットニー・ヒューストンの母、シシー・ヒューストンの名前をジャケットにクレジットしていることで統一感をだしているようで、実際にはシシーが参加していない楽曲も含まれている。
それよりも、ハービー・マンが1974年に来日した際にレコーディングした3曲の方が興味深い。 小坂明子本人のヴォーカルもフィーチャーした ” Anata ” はキワモノ曲としても、和楽器と共演した ” The Sound Of Windwood ” と ” The Butterfly In A Stone Garden ” は、ハービー・マンの思いつきの結果として、レヴィンのベースと和楽器の絡みを堪能することができる。
(追加:2016年12月10日)
Peter Gabriel : Peter Gabriel
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Tony Levin : Bass, Tuba, Leader of Barbershop Quartet
ジェネシスを脱退したピーター・ガブリエルのファースト・アルバム。
ジェネシスの作品の中でもガブリエルの意向が大きく反映された言われている 『 The Lamb Lies
Down On Broadway 』
を更に極めたい、でもジェネシスとの差異は明確にしたい、とガブリエルが考えたのかはわからないが、同作のドラマチックさはそのままで息苦しさを取り除いたような作品となっている。
ボブ・エズリンのプロデュースも本作品の成功にが大きく寄与しているものと思われるが、それ以上にレヴィンとガブリエル、そしてフリップとの出会いを演出した功績を讃えたい。
トニー・レヴィンは 2016年7月3日の Facbook において、40年前(1976年)の7月にピーター・ガブリエルに初めて会ったとコメントとしている程ガブリエルとの出会いを尊重している。
本作のレコーディングのロック史における意義は大きい。
(追加:2016年7月10日)
1977
Libby Titus : Libby Titus
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Bass / Tony Levin
ドナルド・フェイゲンと結婚したリビー・タイタスの作品。
カーリー・サイモンが作曲やプロデュースで関与した楽曲がある一方で、レヴィンが参加しているのはそれ以外の3曲。
本来一番の目玉はリンダ・ロンシュタットの ” Love has No Pride
” (タイタスによる楽曲のセルフ・カヴァー)だと思うのだが、最も地味な演奏をしていたりする。
(追加:2015年9月25日)
Ringo The 4th : Ringo Starr
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Tony Levin : Bass
リンゴ・スターのソロ・アルバム。
元ビートルズのメンバーが客演していない作品であり、チャート上の成果も出なかった作品ではあるが、スティーヴ・ガッド&レヴィンという豪華なリズム隊で構築されている。
レヴィンが参加している元ビートルズ・メンバーによる代表作としてジョン・レノンの 『 Double Fantasy 』
があるが、同作でのメロディアスなベース演奏とは異なり、ここではスティーヴ・ガッドとのコンビネーションを重視したかようなタイトな演奏で、リンゴのヴォーカルを際立たせている。
(追加:2015年9月10日)
ディラックの海 : 深町純
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キーボーディスト、作編曲家の深町純のソロ・アルバム。
ノン・ジャンルの佳作だと思う。 フュージョンとかロックとかジャズとかそういうカテゴライズは不要で、ただ格好良いインスト・アルバムと捉えれば良いのだと思う。 疾走感溢れる変拍子の楽曲などは、見事としか言いようが無い。
ただトニー・レヴィンが参加している楽曲は本作品の中ではどちらかと言うと普通な楽曲だったりする。 アルバムにはスティーヴ・ガッドも参加しているのだが共演はしておらず、ガッドと別のベーシストが共演している楽曲の方が格好良いのがちょっと残念。
(追加:2023年6月10日)
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E.Bass : Tony Levin
「世界的ミュージシャンが参加!」とのキャッチが帯に踊る野口五郎の作品。 勉強不足なもので、クレジットされている世界的ミュージシャンの殆どを知りませんでした。
正直内容は辛い。 コミュニケーションがほとんど無いまま渡された楽譜に基づいて世界的ミュージシャン達が演奏したのだろうけど、曲に魅力が無い上に演奏も面白くない。 ニューヨーク録音、などと肩肘張らず純歌謡曲路線を追求したほうがケミストリーが発生したかもしれない。
写真満載の歌詞カードには、短髪のレヴィンを確認することができる。 短髪といってもサイド部分だけだけど。
ピーター・ガブリエルとの活動で、少しずつ注目され始めたとはいえ、まだまだ下積み時代のレヴィンを確認することができるのが、最大の特徴か。
(追加:2007年12月25日)
1978
Live At Montreux : Ben Sidran
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Bass - Tony Levin
元スティーヴ・ミラー・バンドのキーボード&ヴォーカルのベン・シドランのソロ・ライヴ・アルバム。
ヴォーカルもフィーチャーしたフュージョン、と言えば良いのだろうか、決してファンキーにはなりすぎず粘っこくもなりすぎない頃合いは、達者な演奏者だからできるのだろう。 ピアノよりも管楽器が目立ちすぎるかなと思うところもあるが、モンルー・ジャズ・フェスティヴァルという派手な場においては賢明な選択だったのかもしれない。
管楽器の派手なソロ回しのバックでよりも、ヴォーカルやピアノ・ソロのバックでの方がレヴィンの歌心あるベースを堪能することができる。
(追加:2019年6月25日)
Boys In The Trees : Carly Simon
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カーリー・サイモンの7枚目の作品。 ファースト・アルバム以来のトニー・レヴィンがクレジットされている。
この間にリリースされた 『 No Secrets 』 や 『 Hotcakes 』
といったセールス面でも大成功したヴォーカル・オリエンテッドな作品とは異なり、ロック色が強まっている。 これは本作前年に公開された007の映画 『
007 私を愛したスパイ 』 のテーマ曲の大ヒットを受けたものと思われるが、その結果がトニー・レヴィンの起用に繋がっている。
4曲の参加曲の内、特に ” Tranquillo ( Melt My Heart )
” でのファンキーな演奏は、流石レヴィンと思わせる程のものである。
(追加:2015年9月25日)
Brazil - Once Again : Herbie Mann
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Tony Levin : bass
1960年代にブラジルをテーマにした作品をリリースしていたハービー・マンが、再びブラジルをテーマに取り組んだ作品。
まぁあ、アルバム・タイトルそのままの話ですが。
ブラジルの香りをそこはかとなく借用する、などという発想はハービー・マンには全く無く、サンバやボサノバのリズムが判りやすく提示されれそこにマンのフルート・ソロが被さるという、身も蓋もない内容なのだが聴いていて楽しくなる内容ではある。
こういう作品での演奏に、レヴィンの真骨頂はよく現れてくる。 間違ってもプログレではないし、ロックでも、ジャズでも、フュージョンでもない。
そんな作品での演奏をそつなくこなしてしまうレヴィンの底力を充分に堪能することができる。
ちなみにレヴィンは、本作品の前年となる1977年に野口五郎のニューヨーク録音アルバムに参加、そして本作と同じ1978年にはフリップがプロデュースしたピーター・ガブリエルのセカンド・ソロに参加している。
(追加:2016年12月10日)
Pronto Monto : Kate & Anna McGarrigle
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ケイト&アンナ・マッガリグルのサード・アルバム。
流石に70年代後半ともなると、世の中が女性フォーク・デュオを求める時代ではない。
ただ2人にしてみればそんな時代であることは関係なく、只々好きなことをやっているだけなのであろう。
そしてその内容は女性フォークものに対して門外漢である私のような者にも、良質であることがわかる。
勿論セールス的な成功には結びつかなかったものの、今も語られるべき作品である。
トニー・レヴィンは、ファースト・アルバムと同じく、スティーヴ・ガッドとのコンビネーションで、トニー・レヴィンは3曲で演奏している。
唄を引き立てる演奏は流石としか言いようがない。
(追加:2019年6月25日)
Peter Gabriel : Peter Gabriel
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Tony Levin Bass on: 1,5,7,8,10,11
Chapman Stick on: 2,4,9
String Bass on: 6
Recorder arrangement on 6.9
Jerry Marotta, Tony Levin & Peter Gabriel Backing
Vocals on: 1,4,10,11
ロバート・フリップがプロデュースを担当した、ピーター・ガブリエルのセカンド・アルバム。
ジェネシスとの差異化を狙いながらも未消化な部分も残ってしまったファースト・アルバムの問題点解決を、プロデュース業に長けているわけでもないフリップに託したのは流石に無理があったと思う。
非ジェネシス的な要素をものを求めていただろうガブリエルの意向に反しているのではなく、単にその意向を汲むことができなかった中途半端さが本作品には残っている。
そんな作品ではあるが、レヴィンの貢献度は前作を上廻っている。
レヴィンは前作レコーディング後のツアーに参加する意向を自らガブリエルに伝えたと言われているが、その真偽はともかく、ツアーでの経験・実績が本作での成果におおきく現れている。
(追加:2017年6月25日)
Reunion : Peter, Paul & Mary
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Will Lee, Tony Levin : Bass
ピーター、ポール&マリーが1978年に再結成して発表した作品。
『 夢見る再会 』
という邦題には、60年代のフォーク・ソング全盛時の売上再来を期待したレコード会社側の願望が濃く現れているものと思われるが、アメリカでも日本でもセールス的には惨敗している。
スティーヴ・ガッド&トニー・レヴィンという豪華なリズム隊によるセッションは主に1970年代の作品にクレジットされており、本作品はその末期ということになる。
ただ本作品の購入層にしてみれば、アコースティックなアレンジをバックにした3人のハーモニーを楽しみたかったわけで、シンプルに徹したリズム隊の演奏でさえ邪魔であったと思われる。
需要の無い所に才能が投下されたことはつくづくもったいない。
(追加:2019年6月25日)
1979
Watermark : Art Garfunkel
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アート・ガーファンクルのソロ・アルバム。
ライナーによると、一旦完成した作品から1曲差し替えた上でリリースされたとのこと。
そしてその差し替えられた曲、” ( What A ) Wonderful World
” にレヴィンは参加している。
サム・クックのオリジナルがもったりとしたアレンジで展開されており、かつベースの音も引っ込んでいるためレヴィンの活躍が目立たないのが残念なのだが、シングル・カットされてそこそこにヒットしている。
(追加:2016年3月10日)
Spy : Carly Simon
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カーリー・サイモンの8枚目のアルバム。
中途半端なAOR、としか言い様が無い作品で、結果としてセールス的にも落ち込んだ作品である。
フォーク・ロックの世界から脱して新たな作風にチャレンジした結果、この後続くカーリー・サイモンの迷走期間を象徴している。
ヴォーカルそのものを際立たせることよりも、バックの演奏がお洒落であることにこだわった結果、ミュージシャンの個性はより際立っている。
レヴィンのベースも裏メロ演奏しまくりで、味わい深いものとなっている。
(追加:2015年9月25日)
Power : John Hall
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Tony Levin : bass
カーリー・サイモン、ジェームス・テイラーのバックでギターを演奏していたジョン・ホールのソロ・アルバム。
フュージョン風なジャケットからバリバリにギターを弾きまくっている作品にも思えるが、ゲストを含めたヴォーカルを全面にフィーチャーしているためどっちつかずの中途半端な作品になってしまっている。
レヴィンはタイトル曲 ” Power ” と ”
So
” でベースを演奏している。 タイトル曲での演奏のほうがより地味ではあるが、いずれにせよたいした演奏ではない。
(追加:2015年9月25日)
Far East Express : 清水靖晃