1969-1971
White Elephant : Mike Mainieri & Friends
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リリースは1996年
Tony Levin Bass
レヴィンの最初期のスタジオ・レコーディングを収録した作品。
と、いうことだけで購入した作品なのだが、内容自体も素晴らしかったりする。 スティーヴ・ガッドを始めメンバーだけを見ればフュージョン色がプンプンとするのだが、演奏メインのロック・アルバムとして見事に機能している。
全編にわたってフィーチャーされているレヴィンのベースだが、スティックを演奏していないという点を差し引いたとしても、「トニー・レヴィンです」と言い切れるほどの自己主張はない。 手堅い演奏と言ってしまえばそれまでなのかもしれないが、後のプログレ人脈での活躍を予測することはできない。 そんな良い意味での中途半端さが、後の活動範囲の広さにつながったのかもしれない。
そして、特筆しなければならないことがひとつ。
スキン・ヘッドにする前の、かつ顎髭を蓄えたレヴィンの写真が本作品には収録されている。
モノクロ写真で肌の艶までわからないためか、60歳になった今よりも老けて見えたりする。
(追加:2006年8月10日)
1971
Carly Simon : Carly Simon
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Thanks to the following assisting musicians :
Tony Levin
カーリー・サイモンのファースト・アルバム。 後の 『 No Secrets 』
と比べることはできないまでも、そこそこにヒットした作品である。
フォーク、フォーク・ロック調のアレンジはカーリー・サイモンの唄と曲を強調することに成功しているが、その結果としてレヴィンを含めたミュージシャンの個性は埋没してしまっている。
新人とはいえ出事から鳴り物入りのデビュー・アルバムだっただけに、求められていたことはわかっていたはずである。
それだけに、未だスタジオ・ミュージシャンとしてのキャリアが浅かったレヴィンが的確に仕事をこなした作品と捉えることができる。
(追加:2015年9月25日)
Live In Tokyo : The Gary Burton Quartet
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Gary Burton (vib), Bill Goodwin (ds), Tony Levin (b), Sam Brown (g)
Recorded At Sankei Hall June 12 1971
ヴィブラフォーン奏者ゲイリー・バートンの来日公演を収録したライヴ・アルバム。
1971年である。
グレッグ・レイクがELPで来日した前年に、場所こそ後楽園に比べサンケイホールと地味ではあるが、トニー・レヴィンは既に来日して演奏をしていたことになる。
裏ジャケのレヴィンは、てっぺんハゲの両枠長めという、ハゲ仲間の間でもタブー視される姿をしているのだが演奏はタイト。
演奏者の動きが激しい割に音色のヴァリエーションが少ない(失礼)ヴィブラフォーンのバックでの演奏となると、自己主張が激しくなってもしかたないと思うのだが、無駄に目立つことはなくしっかりとした演奏をしている。
(追加:2017年4月25日)
1973
Berlin : Lou Reed
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Tony Levin Bass On " The Kids "
名作との誉れ高いルー・リードのソロ3作品目。
ドラマチックに展開するコンセプト・アルバムである一方、トリッキーな点は少なくオーソドックスな楽曲で構成されている所が、時の流れに風化しない作品となっている。
レヴィンが参加しているのは” The Kids ”
1曲のみだが、シンプルな楽曲であるが故にベースの活躍度がわかり易い。
ジャズやフージョン系の作品で活動が主だったトニー・レヴィンをロックの世界に誘い込み、フリップとの出会いも演出したプロデューサーのボブ・エズリンの貢献度は、ロック史に刻まれることである。
(追加:2016年7月10日)
Simba : O'Donel Levy
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Guitar / O'Donel Levy
Trumpet / Jon Faddis, Ernie Royal, Lew Soloff, Burt Collins
Trombone : Bill Watrous
Flute, Piccolo, Baritone Sax / Eddie Daniels
Electric Piano / Warren Bernharot
Bass / Tony Levin
Drums / Steve Gadd
Percussion / Jim Madison
..
ジャズ・ファンクの名作として語り継がれているオドネル・リーヴィーの作品。
ジャズにもファンクにも精通していない私のような者も、一聴しただけでその凄さに、格好良さに圧倒されてしまう作品である。
ソロだろうが管楽器のバッキングだろうがひたすらテクニカルでメロディアスなリーヴィーのギターも素晴らしいが、それを支えるスティーヴ・ガッドとトニー・レヴィンのリズム隊が完璧である。 手数音数が多い時も少ない時も、ファンキーなんだけど口ずさめるようなフレーズを二人で叩き出している。
傑作という判断基準は多種多様だが、世の中で傑作と呼ばれている作品への参加数が一番多いミュージシャンってもしかしたらレヴィンなのかもしれない。
(追加:2021年6月25日)
1974
Whirlwinds : Deodato
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Bass Tony Levin ( center section and solo on " Moonlight Serenade " )
エウミール・デオダートによる、良質なインスト作品集。
正に良質な、という表現が適切な作品である。
テクニックだけを前面に出すこともなく、甘く媚び過ぎることもなく、絶妙なバランスで成り立っている。
個人的にはカヴァーで固めたA面の際物ギリギリの内容がより好みである。
トニー・レヴィンは、アルバムの冒頭、かつ本作品の良質な部分が凝縮されたような ”
Moonlight Serenade
” に参加している。 1曲のみであるがベース・ソロも担い、存在感たっぷりである。
(追加:2017年11月25日)
First Light : The Family Of Mann
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Sam Brown : guitar
Steve Gadd : drums, kalimba (african thumb piano) on Lullaby For Mary Elizabeth
and "knees" on The Turtle Ant The Flag
Armen Halburian : percussion
Tony Levin : bass
Herbie Mann : flute & alto flute
David Newman : tenor sax, flute on Muh Hoss Knows The Way
Pat Rebillot : keyboards
Carlos "Potato" Valdez : conga on Toot Stick only
トニー・レヴィンが、ハービー・マンと活動していた頃の作品。
全般にムーディーなジャズ路線で、これといって特徴のある作品ではない。 スティーヴ・ガッドとレヴィンのリズム隊というのも豪華なようで、本作品では際立ったコンビネーションには至っていない。
バンド名義の作品のためか、各メンバーの作品が収録されており、レヴィンの名前もしっかりとクレジットされている。 ただ、この時期のレヴィンがどれだけ作曲に興味を持っていたかは、限りなく疑問が残る。 そんな程度の楽曲である。
(追加:2009年3月25日)
Pop Impression / Herbie Mann Plays Anata and Others : Herbie Mann
雑食系フルート奏者ハービー・マンによる、日本の楽曲カヴァーを含めた日本企画アルバム。 1976年にワールド・ワイドで発売される 『 Surprise 』 に、本作品から3曲が収録されている。
小坂明子の ” あなた ”、フィンガー5の ” 個人授業 ”、そしてかぐや姫の ” 神田川 ”といった選曲に加え、” あなた ” のサビには小坂明子のヴァーカルも被さるというアヴァンギャルドすれすれの妙も味わうことができる。 振れ幅というより揺れ幅の広さが持ち味のハービー・マンが、その持ち味を最大限に発揮した作品と言えなくもない。
本作品ではトニー・レヴィンが全曲においてスティーヴ・ガッドとリズム隊を組んでいる。 マンによるオリジナルよりも前述した日本の楽曲でのバックで、やたらとメロディアスなベースを演奏しているところに惹かれる。
侘び寂びを感じるジャケットは内容とかけ離れているのだが、DJの世界で注目されて一気にブレーク、なんて可能性もあるかもしれない。
(追加:2021年2月25日)
1975
Welcome To My Nightmare : Alice Cooper
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Tony Levin : bass
ソロ名義としてのアリス・クーパーの最初の作品。
作品全体がドラマチックな一方で個々の楽曲をシンプルにまとめているのは、プロデューサーのボブ・エズリンがルー・リードの 『 Berlin 』
で展開させた手法である。 そしてそこから更にサウンド・プロダクションを判りやすくした結果、ポピュラリティの高い作品となっている。
レヴィンはベーシストとしてプラカッシュ・ジョンとともにクレジットされている。 次作 『 Goes To Hell 』
でクレジットされている活躍度から、本作品でも多くの楽曲に参加していると想定できる。
(追加:2016年7月10日)
Funk Factory : Funk Factory
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後にマイルス・ディヴィスとも共演する、ポーランド出身のヴァイオリンとサックスの奏者マイケル・ウルバニアクによるプロジェクト。
総じてジャズ・フィールドで活躍する人らしいのだが、本作品はタイトル通りファンク。
ファンクのリズムにヴァイオリンがソロ楽器として絡むという一風変わった作品。
バリバリにファンク大好きな人にとってどういう位置づけなのかよくわからないが、この分野に初心者の私には充分楽しめた。
この時期のレヴィンは、ハービー・マン等との作品でスティーヴ・ガッドとのコンビでのセッションに参加しており、本作品への参加もその流れと思われる。
もちろんこのコンビは素晴らしいのだが、レヴィンがこの路線に留まらず、ロック、プログレの世界に来てくれたのは良かったと思う。
(追加:2017年4月25日)
Discotheque : Herbie Mann
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The Personnel is :
Hervie Mann, flutes
Pat Rebillot, keyboards
Steve Gadd, drums
Tony Levin, bass
Jeffy Friedman, Hugh McCracken & Bob Mann, guitars
Ralph MacDonald, Armen Halburian, Ray Barretto & Fay Mantilla, percussion
Barry Rogers & Sam Burtis, trombones
雑食系フルート奏者ハービー・マンがディスコの挑戦した作品。
時代が時代なもので、当然ながらハイパーなディスコではなく、アフロでステップを踏むようなディスコ・ミュージック。 もっとわかりやすく言えば、ドリフのヒゲダンスのような楽曲が並ぶ。 あ、増々わからなくなったヤングな人には申し訳ない。
スティーヴ・ガッドとレヴィンという組み合わせは、レヴィンがスタジオ・ミュージシャンとして成功する&プログレ人脈での活動開始によって消滅したのだが、やはりもったいない。 ブルーフォードとのリズム隊以上になんでもできちゃったかもしれないし、もしかしたらTOP40の作品の多くを占めることもできたかもしれない。 レヴィンとガッドにしてもそれなりの感触があったはずで、にも拘わらず違う選択をしたのは、二人の目指すところが違ってたことによるのかもしれない。 つくづく深いな、この世界は。
(追加:2011年10月10日)
Waterbed : Herbie Mann
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Tony Levin, bass
前作 『 Discotheque 』 に収録された ” Hi-Jack ”
がチャート上で成功した勢いそのままでリリースされたディスコ・ミュージック。
変わり身が早い一方で売れたとなると同傾向の作品をリリースするところが、ハービー・マンのしたたかなところなんだと思う。
前作同様ディスコといってもハイパーなディスコではなく、大人の汗がプンプンと香ってくるような肉体的なディスコである。
そんなディスコのリズムを、スティーヴ・ガッドとともにレヴィンが見事に構築をしている。
レヴィンのベースをバックに、ディスコという箱の中で男女が下心を隠しながらステップしていた場面を想像すると、それだけで嬉しくなってくる。
(追加:2016年12月10日)
Kate & Anna McGarrigle : Kate & Anna McGarrigle
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カナダ出身のケイトとアンナのマッガリクル姉妹による作品。
フォーク、及びフォーク・ロックの女性デュオ作品となると、このジャンルが好きな人にとっては、堪らない作品なのだろう。
オリジナルであれカヴァーであれ、姉妹が元々2人だけで演奏していたアレンジはフォーク調のはずで、そこに下手なリズム隊が加わればその良さを消えてしまう可能性があったはずである。
だが流石そこはスティーヴ・ガッドとトニー・レヴィンのコンビネーションである。
テクニカルに長けている2人が、その技巧的な面だけを強調するのではなく、唄を引き立てることに重きを置いたことによって、作品全体の完成度をあげることに成功している。
(追加:2017年11月25日)
Still Crazy After All These Years : Paul Simon
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ポール・サイモンが1975年に発表した大ヒット・ソロ・アルバム。
今更ポール・サイモンのチャート上での成功を語るのも憚れるが、ビルボードでNo.1を獲得した本作品は突出している。 しかも、”
恋人と別れる50の方法 ” という邦題もポピュラーな ”
そして何よりも凄いのは、そんな大ヒット作品にトニー・レヴィンが参加していることである。
繰り返すけど、全米No.1の作品に、70年代半ばに既にクリムゾンのメンバーが参加しているのである。
スティーヴ・ガッドとのコンビネーションは、レヴィンがプログレ系作品に参加するようになってからは解消されてしまったのだが、テクニカルでありながらもヴォーカルを際立たせるリズム隊は、70年代において異彩を放っていたと言っても過言ではない。
(追加:2017年11月25日)