- Thela Hun Ginjeet / セラ・ハン・ジンジート
- Red / レッド
- The Howler / ザ・ハウラー
- Frame By Frame / フレイム・バイ・フレイム
- Matte Kudasai / 待ってください
- The Sheltering Sky / ザ・シェリタリング・スカイ
- Discipline / ディシプリン
- Elephant Talk / エレファント・トーク
- Indiscipline / インディシプリン
- Neurotica / ニューロティカ
- Heartbeat / ハートビート
- Satori in Tangier / サートリ・イン・タンジール
- Larks' Tongues in Aspic Part II
Adrian Belew guitar & vocal
Robert Fripp guitar
Tony Levin bass guitar & Stick
Bill Bruford drums & percussion
July 30, 1982
Music by King Crimson Words by Adrian Belew
King Crimson Collectors' Club の26作品目としてリリースされた本作は、16作品目にリリースされたバークレイでのライヴと同じく、『
Beat 』 発売前のライヴを収録したもの。
本作品に収録された演奏は変だ。 全員が暴走気味に演奏しているのだがギリギリの線で均衡を保っており、その結果異常なまでにテンションの高いライヴになっている。
『 Absent Lovers 』
リリース時に、ディシプリン・クリムゾンの評価が高まったが、本作品はその
『 Absent Lovers 』 に非常に近い印象を受ける。 『 Absent Lovers 』
は、解散を前提とした時期のライヴだからこそ成し得たものだと思っていたが、この時期すでにこれだけの演奏をしていたことに驚かされる。
となると、2度目の来日公演のおとなしい演奏は何だったのだろうか。 ディシプリン・クリムゾンの暴走ライヴ、観てみたかった..
日本では、『 The Collectors' King Crimson Volume 9 』
の1作品としてリリースされたている。
- 本ライヴを象徴する曲のひとつ、” Thela Hun Ginjeet ”
だと思う。
意図的に崩して演奏していると思われるところと、単なる演奏ミスが入り交じり、ディシプリン・クリムゾンとは思えないほどの迫力ある演奏となっている。
- ” Red ”
は、ギターの音、リズム隊とも重く、この時期特有の軽めのアレンジではなく、解散直前の
『 Absent Lovers 』 収録のテイクに近い。
- ” The Howler ”
は、ほぼスタジオ・テイク通りの演奏。 しっかりとした演奏で不慣れな面はあまりうかがえない。
- ” Frame By Frame ” は、” Thela Hun Ginjeet ”
同等の壊れかたをしている。
曲の流れをとめてしまうほど強引なおかずの入れ方など、他では考えられない程である。
- さすがに ” Matte Kudasai ”
は、このライヴにおいても他と変わりない演奏をしている。 本曲の壊れたテイクを聴いてみたいとも思わないでもないが、この普通具合が他の曲を際だたせているのかもしれない。
- ” The Sheltering Sky ”
も地味目の演奏。 ギター・シンセの制御に忙しい二人に、リズム隊も暴走を見合わせたのかもしれない。 この時期、ギター・シンセがもっと融通が利いていたら、はじけた演奏になっていたかもしれない。
- ” Discipline ”
は、フリップとブリューは前曲と同じくスコア通りの演奏を行っているが、ブルーフォードとレヴィンは曲後半から急におかずを入れ始め、不思議な躍動感を生んでいる。
- ” Elephant Talk ”
は、レヴィンがイントロのスティックのパートを執拗に繰り返し、期待感を煽りに煽った上バンド全体での演奏に突入する。 突出した演奏ではないと思うが、レヴィンに煽りが効いているため一気に聴かされてしまう。
- ” Indiscipline ”
は、イントロのドラム・ソロのパートが3分半にも及ぶ。 曲中のドラムのヴァリエーションといったレベルは完全に超越し、ブルーフォードが好き勝手に叩きまくっている。
- ” Neurotica ”
も、性急な演奏が原曲の良さを更に引き立てていると思う。 本曲がディシプリン・クリムゾンのライヴのセット・リストから短期間で外されてしまったことが残念である。
- ” Heartbeat ” は、” Matte Kudasai ”
と同じく、極普通の演奏。 やはりブリューの歌ものは変化に乏しい。
- ” Satori in Tangier ”
は、本ライヴの中でも白眉の出来。 もともとフリップのソロを中心として自由度が高かった楽曲だけに、全員がやりたい放題の演奏を繰り広げている。
- ” Larks' Tongues in Aspic Part II ” も、” Red ”
と同じく解散直前の演奏に似ている。 来日時での演奏パターンしか目撃できなかったことがつくづく残念に思えてくる程、素晴らしい演奏。
(追加:2005年3月25日)
(更新:2005年11月25日)