King Crimson Data Base
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Live At The Zoom Club 1972  -2001-

  1. Larks' Tongues In Aspic ( Part I ) ( Cross, Fripp, Wetton, Bruford, Muir ) / 太陽と戦慄パートI
  2. Book Of Saturday ( Fripp, Wetton, Palmer-James ) / 土曜日の本
  3. Zoom ( Cross, Fripp, Wetton, Bruford, Muir ) / Zoom
  4. Improv : Zoom Zoom ( Cross, Fripp, Wetton, Bruford, Muir ) / Zoom Zoom (インプロヴィゼイション)
  1. Easy Money ( Fripp, Wetton, Palmer-James ) / イージー・マネー
  2. Improv : Fallen Angel ( Cross, Fripp, Wetton, Bruford, Muir ) / 堕落天使 (インプロヴィゼイション)
  3. Improv : Z'Zoom ( Cross, Fripp, Wetton, Bruford, Muir ) / Z'Zoom (インプロヴィゼイション)
  4. Exiles ( Cross, Fripp, Palmer-James ) / 放浪者
  5. The Talking Drum ( Fripp, Wetton, Bruford, Cross, Muir ) / ザ・トーキング・ドラム
  6. Larks' Tongues In Aspic ( Part II ) ( Fripp ) / 太陽と戦慄パート II

David Cross - violin, flute, mellotron
Robert Fripp - guitar, mellotron
John Wetton - bass guitar & vocals
Bill Bruford - drums
Jamie Muir - percussion & allsorts

October 13, 1972

King Crimson Collectors' Club の第20弾としてリリースされた本作品は、Larks Crimson の初めてのコンサートを収録したもの。
当日自分がこのライヴを観ることができていたら、と思うことがある。 貴重なライヴであるだけに孫の代まで自慢はできるだろうが、演奏を楽しむことができたかどうか考えると100%イエスとは言えない。 全曲収録されている   『 Larks' Tongues In Aspic 』 の楽曲と、それ以外のインプロ(セッション)との落差は非常に大きい。 この時期のクリムゾンが、リハーサルやライヴを重ねることによって楽曲を昇華させていったことはよくわかるが、未完成、あるいは楽曲として発展させることができなかったインプロのレヴェルは、不用意に崇めるほどのものではない。
日本では、『 The Collectors' King Crimson Volume 7 』 の1作品としてリリースされたが、オリジナルとの違いはない。

  1. ” Larks' Tongues In Aspic ( Part I ) ” は、曲のフォーマットこそ完成しているが、演奏自体は粗さ目立つもの。 直後のブレーメンでのTV放送用の演奏がスクエアなものに思えるほど、ここでの演奏は粗い。 新編成での初ライヴということでやはり緊張していたのであろう。
  2. ” Book Of Saturday ” は、クロスのフルートが大々的にフィーチャーされている。 フリップも様々なバッキングを試みているが、音がこもりすぎていてよくわからず残念。
  3. ” Zoom ” は20分を超える未発表曲で、曲のアイディアの断片とインプロが繋ぎあった曲。
    後の楽曲で使われるリフが散見されるパートから、ウェットンの鼻歌パートと続き、その後はフリップのギター・ソロのパート、ヴァイオリンのソロ・パートと続く。
    ウェットンの鼻歌パートが若干ブルースよりの演奏になった反動か、その後のフリップのギター・ソロは鬼気迫るところがあり、激しく格好良い。
  4. ” Improv : Zoom Zoom ” は、45分にも及ぶインプロ。 インプロとタイトルづけられているが、実際には 『 The Beat Club, Bremen 1972 』 に収録されている ” Improv: The Rich Tapestry Of Life ” と同じく単なるセッション。
    「ミューア在籍時の音源=貴重」という公式は、公式音源(映像)が、Beat Club の ” Larks' Tongues In Aspic ( Part I ) ” のみだった時代の話であって、前述した 『 The Beat Club, Bremen 1972 』 がリリースされている以上、「ミューアが参加していてしかも○○」といった付加価値がなければありがたみは少ない。 単なるセッションにすぎない本曲は、そういった付加価値が最も欠如していると思う。
  1. ” Easy Money ” では、クロスのヴァイオリン・ソロとそれに絡むウェットンのベースが格好良い。 自分のソロのバックでこれほどの演奏をされてしまうことによるクロスのストレスは、すでにこの段階からたまり初めていたのかもしれない。
  2. 前曲からシームレスで演奏される ” Improv : Fallen Angel ” は、タイトル通り 『 Red 』 に収録される ” Fallen Angel ” のギターのフレーズにクロスのソロが被ってくる。 インプロとしているのは後付の説明で、” Easy Money ” の後半パートととらえた方がよいと思う。
  3. ” Improv : Z'Zoom ” は、メンバー一人一人が勝手にインプロヴァイズしている曲。 他のメンバーに触発されて演奏が絡み始めるようなこともなく、淡々と進行していく。 次曲のイントロのようなもの。
  4. ” Exiles ” では、曲後半のメロトロン+ウェットンのベースという、後のライヴでのハイライトが既に実現されている。 直後のブレーメンではこの演奏をしていなかっただけに、ライヴにおいて試行錯誤を重ねながら曲を完成させていったことがよく表れている。
  5. ” The Talking Drum ” は、ベースのリフが演奏されるまでにミューアのものと思われる様々な発音がフィーチャーされている。 このあたりはやはり音だけでは辛く、映像を確認したくなる。
  6. ” Larks' Tongues In Aspic ( Part II ) ”   は、この段階で曲の基本フォーマットは既に固まっており後のライヴとほぼ同じアレンジで演奏している。 それだけに演奏がこなれていないことがよくわかってしまうのはマイナス要因かもしれないが、それでもやはり ” The Talking Drum ” から本曲への流れは素晴らしいと思う。

(追加:2004年1月25日)