- Cirkus ( Fripp, Sinfield ) / サーカス
- Pictures Of A City ( Fripp, Lake, McDonald, Giles, Sinfield ) / 冷たい街の情景
- Sailor's Tale ( Fripp ) / セイラーズ・テイル
- The Letters ( Fripp, Sinfield ) / ザ・レターズ
- Lady Of The Dancing Water ( Fripp, Sinfield ) / レディ・オブ・ザ・ダンシング・ウォーター
- Cadence And Cascade ( Fripp, Sinfield ) / ケイデンスとカスケイド
- Get Thy Bearings ( Donovan improv Fripp, Collins, Burrell, Wallace ) / ゲット・ザイ・ベアリングス
- In The Court Of The Crimson King ( McDonald, Sinfield ) / クリムゾン・キングの宮殿
- Ladies Of The Road ( Fripp, Sinfield ) / レディー・オブ・ザ・ロード
- 21st Century Schizoid Man ( Fripp, Lake, McDonald, Giles, Sinfield ) / 21世紀のスキッツォイド・マン
- Mars ( Holst arr. Fripp, Collins, Burrell, Wallace )
Boz Burrell - bass, lead vocal
Mel Collins - flute, sax, mellotron
Robert Fripp -guitar, mellotron
Ian Wallace - drums, vocals
Pete Sinfield - words, sounds & visions
Live at Plymouth Guildhall May 11,1971
The Plymouth Guildhall recording is sourced from an original soundboard
tape. An audience bootleg recording of the show has been used to add ambience and to
repair a missing intro session from Get Thy Bearings.
King Crimson Collectors' Club
の第14弾としてリリースされた本作品は、プリマスのギルドホールでのライヴを収録したもの。 1971年4月にフランクフルトのズームクラブで4回のお披露目公演をした後、クリムゾンは5月から約1ヶ月集中して英国でツアーをしている。 本ライヴはその初日を収録している。
クレジットにもある通り、サウンドボードからの録音に海賊盤から歓声等を重ねている。 この時代とはいえサウンドボード音源の音質は良く、それだけにわざわざ海賊盤から歓声等を重ねたことには疑問が残る。 ライヴでの流れを意識させるために歓声を入れたのかもしれないが、曲間で極端に音質が変わるために逆に流れがぶつ切りになっている。
新曲の完成度が高くないのは当然のこととしても、旧ナンバーの演奏は総じて不自然さを感じる。 ソロ・パートを除くと意図的にスタジオ・テイクの再現をねらっているように思え、ライヴならではの豪快さが欠けてしまっている。
日本では、『 The Collectors' King Crimson Volume 4 』
の1作品としてリリースされた時は、” Get Thy Bearings ”
が編集され短縮バージョンにされ、” Mars ”
がオミットされ、CD1枚にまとめられていた。
- ” Cirkus ”
は、曲の半ばまで各楽器のバランスがコロコロ変わり聴きづらい。 これはウォーレスのライナーにも書いてある通り、素人ミキサーであるピート・シンフィールドのなせる技である。 リハーサル時にチェックはしなかったのであろうか。
スタジオ作でのアコースティック・ギターのパートは当然のことながら割愛され、フリップのプレイはメロトロンが中心。 残念。
- ” Pictures Of A City ”
は前曲よりこなれた演奏である。 曲の展開が早めのため勢いでおせたこともあるが、メンバーが違うとはいえ昔から演奏していた曲であることがその理由だと思う。 ただ、途中のサックスのソロ・パートは、冗長的で好きではない。
- 新曲である ” Sailor's Tale ”
は、後のライヴやスタジオ盤からはほど遠い完成度で残念。 途中にコリンズによるソロ・パートが数回にわたり差し込まれるのはともかくとして、曲後半のギター・ソロがフルートに代替されているのは、ほんとうにがっかり。
- ” The Letters ”
のライヴ・テイクは、今のところこの作品だけで聴くことができる。 完成度は
” Sailor's Tale ”
より高いが面白みはない。 ライヴでの発展性がなかったということかもしれない。
- ” Lady Of The Dancing Water ”
はやはりこのメンバーで演奏するには無理がある。
- で、その無理があるままメドレーで ” Cadence And Cascade
” に突入する。
この2曲については、オリジナルのゴードン・ハスケルのヴォーカルがやはりマッチしていると思う。
- ” Get Thy Bearings ”
は、メイン・リフとヴォーカル・パート以外はフリーな演奏が続く。
ブートからつなぎ合わせたというイントロ部分の音質は酷すぎなだけに、日本盤においてその部分がカットされていることはたいした問題ではないと思う。 ただ後半のウォーレスのドラムが大きくカットされコンパクトにまとめられているため、オリジナルとは別な曲のような印象がしてしまう。
- ” In The Court Of The Crimson King ”
は、おっかなびっくりスコアをなめながら演奏したような印象が強く、あまり格好良くない。 後にリリースされた
『 Live In Detroit, MI 1971 』
での本曲のアレンジほどまでは望まないが、これはちょっといただけないと思う。
- ” Ladies Of The Road ”
は、繊細さのかけらもないフリップのギターが格好良い。 投げやりな演奏とは違うがぶっきらぼうなまでのリフの演奏は他ではあまり聴くことができない。
- ” 21st Century Schizoid Man ”
は、フリップのソロもコリンズのソロも可もなく不可もなくといった演奏で面白みがない。
『 Earthbound 』
でのテイクが、クリムゾン史上ベストであるかどうかは個人に寄るところが大きいが、少なくとも本メンバーでの演奏においては
『 Earthbound 』
のものがベストであるとあらためて認識することができる。
- ” Mars ”
もまた中途半端な印象を受ける。 メロトロンの加えVCS3による装飾音が多く被さられているのだが、見え見えの音で格好悪い。
(追加:2002年9月25日)