1993
Open Book : The Lemon Trees
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ジェレミー・スティシーの初期のバンド活動となる、レモン・トゥリーズの作品。
後にプロデューサーとして成功するマルチ・プレイヤーのガイ・チェンバーがフロント・マンのバンドで、本作もそこそこにヒットしたらしい。
潮風系とは異なる爽やかな楽曲と演奏は、同時期に活動し、パット・マステロットがセッション参加していたレンブランツを彷彿させるところがある。
当時30歳だったジェレミー・スティシーは、双子の兄弟ポール・スティシーとともに参加、現在の人懐っこい笑顔ではなく、正統派イケメンがアップで確認することができる。
ドラムだけではなくキーボードも達者なジェレミー・スティシーが、同じくマルチ・プレイヤーであるガイ・チェンバーとバンドを組むのは難しい所があったのかもしれない。
初期の演奏、ということを差し引いたとしても、個性が感じられる程のものではない。
(追加:2020年9月10日)
1995
Frestonia : Aztec Camera
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drums Jeremy Stacey
ロディ・フレイムが、アズテック・カメラ名義で発表した最後の作品。
アズテック・カメラが日本で損したのは、ネオ・アコースティックというジャンルの代表格に祭り上げられたことなんだと思う。
ニュー・ウェーヴという括り方自体に限界が見えてきた80年代半ばにおいて、そこから細分化させたネオ・アコースティックというジャンルは売る側にとっては楽だったのかもしれないが、、少なくとも「アコースティック」だけに留まっていなかったアズテック・カメラに当てはめるには強引であった。
本作品自体をネオ・アコースティックというジャンルで語る人はいないと思うが、それは作風自体が変わってきた事以上に、ネオ・アコースティックというジャンル分けが死に体になっている事に他ならない。
そんな作品において、ジェレミー・スティシーは、セッション・ドラマーとして淡々とプレーしている。
(追加:2016年8月25日)
1998
The North Star : Roddy Frame
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Drums Jeremy Stacey
ロディ・フレイムがアズテック・カメラ名義を止め、ソロ名義で発表した作品。
ネオアコというジャンル分けの呪縛から解放されるために、アズテック・カメラという名前を捨てる必要がやはりあったのだと思う。
その結果、アズテック・カメラ名義の前作 『 Frestonia 』 と傾向はそのままで溌剌さを増した作品となっている。
ちなみに本作品のジャケットにもある「シュッっとした美青年」キャラはそのまま残して置いて欲しかったと思うが、この後ロディ・フレイムはそのキャラをも捨てていくことになる...
溌剌さが増した結果ジェレミー・スティシーの活躍度は増しているが、やはりセッション・ドラマーの域は出ていない。
(追加:2016年8月25日)
1999
What Are You Going To Do With Your Life? : Echo & The Bunnymen
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Drums Jeremy Stacey
再結成後、正式メンバーがイアン・マッカロクとウィル・サージェントの2人になったエコー&ザ・バニーメンのアルバム。
本作品の最大の失敗は、このジャケットではないか。 どう考えても、エコバニのジャケットに青空は似合わない。
cisco、と言ってもルーターではなく、渋谷の裏路地の2Fにあった輸入盤屋のことで、そこで80年代前半に見たエコバニのジャケットはどれも格好良かったし、それに負けない位尖った音も格好良かった。
その青空に引きずられたのかわからないが、本作品には80年代前半の凄さはない。
イギリスのチャートではそこそこの成績を残したらしいが、普通のライヴ・バンドの普通の作品といったところである。
「エコーというのは結成当初導入していたリズムボックスのことで」、などということを久し振りに思い出したのだが、そのエコーの変わるドラマーもメンバーから去り、ジェレミー・スティシーがセッション・ドラマーとしてクレジットされている。
(追加:2016年8月25日)
2000
A Rock In The Weary Land : The Waterboys
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Jeremy Stacey - Drums
エジンバラ出身だけどアイリッシュ・ミュージックに傾倒したマイク・スコットが、再びロック路線戻ってウォーターボーイズとして発表した作品。
ウォーターボーイズとしてセールス的に最も成功したのはアイリッシュ路線の時代であったが、本作品の格好良さは突出している。
骨太なリズムをバックに、サイケでニュー・ウェイヴなアレンジに美メロ、とこれ以上は無いだろうという完成度を誇っている。
作品毎の音楽性の変化がターゲットを曖昧にしてしまっているバンドではあるが、本作品自体は60年代末から70年代末のロックが好みの方には、ど真ん中のストレートである。
ジェレミー・スティシーの手堅い演奏は、本名作の屋台骨を見事に支えている。 ” My Love Is My Rock In
The Weary Land ” や ” We Are Jonah
” といった名作の中でも突出した楽曲に参加していることがまた嬉しい。
ただ本作での演奏がそのままスティシーの活動機会の拡大に繋がらなかったのは残念である。
(2019年8月10日)
2002
C'mon, C'mon : Sheryl Crow
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シェリル・クロウの4枚目のソロ・アルバム。 アメリカ、イギリスだけでなく、日本でもヒットしている。
ジェレミー・スティシーは、シングル・カットしてヒットした冒頭の2曲には参加していないのだが、活躍度は高い。
ドラムの演奏は勿論なのだが、ドラムの打ち込み、シンセサイザー、ストリングスのアレンジと、単なるセッション・マン以上の貢献をしている。
ビル・リーフリンの代りにクリムゾンに参加するということは、ドラムの演奏をするだけではなく、メロトロンをサンプリングしたキーボードの演奏を担うことになるのだが、本作品での活躍から充分期待することができる。
(追加:2016年8月25日)
2005
Syndestructible : The Syn
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Stephen Nardelli Vocals
Chris
Squire Bass, Vocals
Paul Stacey
Guitars, Vocals
Gerard Johnson Keyboards, Vocals
Jeremy Stacey Drums
YES 以前に活動していたシン名義でクリス・スクワイアがレコーディングした作品。
綿密に計画され、丁寧作り込まれた作品である。
本作品がリリースされたのは、YES
として新作を中心にした活動が行われなった時期で、その結果として制作に相当の力をいれたことが、素晴らしいアウトプットに繋がたものと思われる。
YES の日替わり人間関係には流石についていけなくなっているので、この時期のスクワイアと他のメンバーの関係はわからないが、YES
メンバーの中途半端なゲスト参加が無いことも、本作品の成功大きく寄与している。
作品としての傾向は上質上品なプログレで、スリリングでありながらも安心して聴いていることができる。
双子のスティシーは、スティーヴ・ハウではないギターと、スクワイアの相方であるアラン・ホワイトではないドラム、という一番難しい役割を見事に果たしながら、オリジナリティ高い演奏を繰り広げている。
プログレ風の味付けだけをした粗悪品の量産を続けるマグナカルタとかビリー・シャーウッドとかが、この2人に触手をのばさなかったのは、本当に良かったと思う。
(追加:2019年8月10日)
2008
Detours : Sheryl Crow
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シェリル・クロウの6枚目のスタジオ・アルバム。
ジェレミー・スティシーは、2002年の 『
C'mon C'mon 』 と同じくセッション・ミュージシャンとしての参加なのだが、貢献度は高い。
本作品からは6曲がシングル・カットされたらしいが、その中で ” Now That You're Gone
”、” Out Of Our Heads ”、” Detours
” にステイシーはドラムで参加している。 そして ” Lullaby For Wyatt
” ではピアノ演奏も披露している。
それだけに専属ミュージシャンになる可能性もあったはずで、その場合クリムゾンへの参加には繋がらなかったはずである。
クリムゾンでの活躍を踏まえると、この時のステイシーの選択は正しかったと思う。
(追加:2021年3月25日)
2010
Clapton : Eric Clapton
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2010年に発表されたエリック・クラプトンのソロ・アルバム。
” Autumn Leaves ”
のカヴァーが話題になったらしいが、クラプトンの作品の中ではあまり重要視されていない作品と思われる。
そんなクラプトンの作品に、ジェレミー・スティシーがセッション参加した経緯は良くわからない。
大御所の作品への参加はスティシーにとってチャンスであったと思うが、クレジットされている2曲において特に目立つ演奏はしていない。
しかも1曲にはステイシー以外のドラマーもクレジットされており、ツイン・トラムを活かした楽曲ではないことから、一部サンプリングされた程度の使われ方だったのかもしれない。
(追加:2018年9月25日)
2011
Noel Gallagher's High Flying Birds : Noel Gallagher's High Birds
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Jeremy Stacey... the drums.
オアシスを脱退したノエル・ギャラガーのソロ・アルバム。
サラッと紹介しておきながら、本当にすみません。 オアシスを始めブリッド・ポップを聴いたことがありません。
好みの話をしているのではなく、聴く機会が全く無かったのです。
フジロックロックフェスティバルに行ったことも、オアシスを聴いたことも無い程、現役度がゼロなのです。
などと隠せば隠せたことを記載したのは、冒頭1曲目のメロディとアレンジが素直に格好良いと思ったからです。
ジェレミー・スティシーの所謂ロック・フィールドで活動の中で、最もポピュラリティが高いのは、ノエル・ギャラガーとの活動である。
本作及び次作、そしてライヴでも演奏をしている。 ただやはりバンドの1員ではなく、バック・バンドの1人であることは否めないのが残念である。
(追加:2016年8月25日)
Ashes & Fire : Ryan Adams
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Drums - Jeremy Stacey
ブライアン・アダムスと一文字違いのアメリカのミュージシャン、ライアン・アダムスの作品。
シンプルなギターを中心としたSSWモノで、この分野が好きな人にはたまらない作品なんだと思う。
昨年のフジロックフェスティバルでも演奏したとのことだが、どんな風に盛り上がったのかイメージが湧かない。
まぁ、どの曲も同じように聴こえてしまう門外漢の私がとやかく言う話ではないが。
ジェレミー・スティシーは、ライアン・アダムスの作品に他にも参加しているが、ドラムの活躍度が全く無い楽曲群で演奏していて、フラストレーションがたまらないのだろうか。
(追加:2016年8月25日)
2012
A Life Within A Day : Squackett
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Chris Squire : Bass, vocals
Steve Hackett :
Guitars, vocals, harmonica
Roger King : Keyboards, programming
Jeremy Stacey : Drums
Amanda Lehmann : Backing vocals
String
players on " A Life Within A Day "
Christine Townsend : Violin and
Viola
Richard Stewart : Cello
Dick Driver : Double Bass
クリス・スクワイアとスティーヴ・ハケットによるスクアケットの作品。
良質な作品である。
この感覚は2005年にリリースされたシンの 『 Syndestructible 』 に似ている。
ネオプログレ等の今風のプログレではないが、かと言って70年代の焼き直しでもない。
「枯れた」という表現はネガティブに捉えられてしまうリスクがあることは承知しているし、そもそもプログレに「枯れた」という表現が適切なのか迷うところだが、敢えて本作にについては上質上品な枯れたプログレと呼びたい。
スクワイアとハケットの2人が辿り着いた枯れたプログレに他のミュージシャンが応えるのは難しいと思うが、ジェレミー・スティシーは見事に応えている。
多分2人だけで本作品を完成させたとしてもここまでの完成度はなかったはずで、ステイシーの果たした役割は大きい。
(追加:2021年3月25日)
2014
Chasing Yesterday : Noel Gallagher's High Flying Birds
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Noel Gallagher's Flying Birds were:
Noel Gallagher
: Vocals, backing vocals, acoustic guitars, electric guitars, the bass
guitar, the Mellotron, the piano, various other keyboards, percussion an
d the electric washboard.
Paul 'Strangeboy' Stacey : Electric
guitars, the bass guitar, the Mellotron and various keyboards.
Jeremy Stacey : The drums.
Mikey Rowe : Various Keyboards.
...
ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ名義での2作品目。
オアシスさえまともに聴いていない私が言及するのも憚れるが、格好良い。
多分、狭く深くクリムゾンにはまらずロックを聴き続けていれば、オアシスからノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズの作品群は、フェイバリットの一つになっていたんだと思う。
さて本作の紙ジャケ盤を購入してそのジャケットを開くと、髭面のジェレミー・スティシーの顔が大きく2つ並んでいる。
よくよく見直すと向かって左側の顔の方が若干細い。 そしてメンバーにクレジットされている「Paul 'Strangeboy'
Stacey」という存在が気になって調べてみたところ、ジェレミー&ポール・スティシーは双子の兄弟だった。
ギター奏者のポール・スティシーがオアシスにセッション参加したことから、ジェレミー・スティシーのノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズへの参加に繋がたことがわかった。
兄弟の仲が悪かったことがオアシスの解体に繋がったことは知っていたが、そんなノエル・ギャラガーがソロ・プロジェクトに双子の兄弟を採用していたのか...
(追加:2018年9月25日)
Ryan Adams : Ryan Adams
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Jeremy Stacey : Drums
ライアン・アダムスの 『 Ashes & Fire 』 に続く作品。 前作同様、ジェレミー・スティシーが参加している。
SSW
ものに詳しく無い私には、スローな曲を激しく演奏しながら唄うスタイルは、前作と同じように思える。
多分この路線がファンを掻き立てるのだと思うし、曲ごとアルバムごとの違いもファンの方を正しくざわつかせるのだと思う。
この辺り、語るに立場に値せず、本当に申し訳ない。
本作品にはスティシーの他にもう一人ドラマーが参加しているのだが、個性が求められていない演奏から、どの今日でスティシーが叩いているのかを判断するのは困難である。
(追加:2020年4月10日)
2017
Who Built The Moon ? : Noel Gallagher's High Flying Birds
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Jeremy Stacey : The drums ( tracks 2,3,6,7,8,9,10 and 11 )
ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズの3作品目。
ファースト、及びセカンド・アルバムと音触りが大きく異なっている。
全編通してバックの演奏に深めのエコーがかかっており、一聴しただけでは全体像が掴み難くなっている。
この変化はオアシズ時代から聴き続けてきたファンには納得というか必然の流れなのかもしれないので、門外漢の私の感想などどうでもよいと思うが、個人的にはスピーカーから発音された途端に格好良いと思えた前2作品の方が好みである。
本作品がレコーディングされた段階で、既にジェレミー・スティシーはキング・クリムゾンのメンバーとして活動しており、今後ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズの作品にどう絡んでいくのかはよく判らない。
本作では前述のような編集をされているため、ドラムの音がちょっと埋もれ気味で、そこが残念。
(追加:2020年9月10日)