1993
The First Day : David Sylvian & Robert Fripp
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Guitar, Frippertronics
1992年3月にドラムレスのトリオで突如来日、観衆を睡魔との戦いに追い込んだシルヴィアン&フリップが、翌1993年にリリースしたファースト&ラスト・アルバム。(今のところ)
” God's Monkey ” は、1993年の2度目の来日時においてもオープニングをかざった曲。 歌メロに絡むギターには惹かれる所もあるが、リズム・ギターの音はあまりおもしろくない。 なによりも曲の最後でフリップがソロを弾き始めると同時にフェード・アウトさせたのは誰だ。 責任は追及されるべきである。
” Jean The Birdman ”
は、トリオでの初来日時にも演奏された曲で、シングルカット(後述)もされている。 曲の中間部にテーマとは異なるフレーズを挿入するパターンは、ダブル・トリオ・クリムゾンにおいてそのまま使われることになる。
タイトルから惹かれる ” Firepower
”
は、イントロのフリップのギターからして完全にフリップ(のため)の曲。 ヴォーカル部分以外はギター・ソロをひたすら堪能する事ができる。 この曲もトリオでの初来日時に演奏されている。
” Brightness Falls ”
は、多分本アルバムで印象の薄い曲。 全曲に共通することだが、もう少し早いリフを刻んでくれれば、全体の印象は大きく変わったはずである。
” 20th Century Dreaming ( A Shaman's Song )
”は、曲の進行に伴い、暗く地味になっていく。 ギター・ソロもなくなり、シルヴィアンの囁きもなくなり、いつのまにかフリッパートロニクス地獄に陥り、そのまま曲は終了する。
” Darshan ( The Road To Graceland )
”
においても、フリップはギターを弾きまくっており、堪能することはできる。 しかしながら、バックが一定のパターンを繰り返すだけの17分は長過ぎる。 The
Grid と FSOL
によってリミックスされる(後述)ことになるのだが、両リミックス・バージョンとも原曲より短くまとめられている。
” Bringing Down The Light ”
はフリッパートロニクスによる曲。 シルヴィアンがテープ操作で関与している可能性もあるが、フリップ単独の曲と理解して良いと思う。
(追加:1998年11月25日)
Jean The Birdman : David Sylvian & Robert Fripp
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Guitar, Frippertronics
アルバムからのシングル・カット。
タイトルが反則である ” Earthbound ( Starblind )
”
は、シルヴィアンのギターによる弾き語りで始まり、後半がフリッパートロニクス。 一応共作にはなっているものの、シルヴィアンによる没曲の最後にフリッパートロニクスをつなぎ合わせただけなのは明白。
” Endgame ”
も、シルヴィアンのギターによる弾き語り。 フリップによる演奏とはとても思えないスティール・ギターと、トレイ・ガンらしからぬベースの音が謎。 『
The First Day 』 レコーディング時の没テイクとは考えにくい作品。
(追加:1998年11月25日)
Jean The Birdman : David Sylvian & Robert Fripp
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” Gone To Earth ”
は、シルヴィアンのソロ『 Gone To Earth 』のタイトル・トラック。
残りの2曲は、クレジットにある通り、各々のソロ作品。
” Dark Water ”
は、フリッパートロニクスによる作品。
(追加:1998年11月25日)
God's Monkey ・ Retrospective : David Sylvian & Robert Fripp
David Sylvian & Robert Fripp の名義で発表された編集盤で、Virgin アメリカからリリースされたプロモーション用作品。
クレジットで一目瞭然な通り、デヴィッド・シルヴィアン単独の曲も多く収録されている。 シルヴィアンとフリップの初共演曲である ” Steel Cathedrals
” を収録したり、シルヴィアンのソロ作 『 Gone To Earth 』 でのフリップとの収録曲をもっと増やしたり、更に言えばシルヴィア&フリップの未発表曲であった
” The Blinding Light Of Heaven ” を収録してくれた方が、アルバム・タイトルとコンセプトが一致したと思う。
『 The First Day 』 からの楽曲が3曲しか収録しないのなら、それなりの工夫があっても良かったはずである。
(追加:2021年12月10日)
Darshan. : David Sylvian & Robert Fripp
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グリッドと FSOL
の2グループによるリミックスをおさめたアルバム。 現時点からみると納得がいく人選ではあるが、リリース当時には Grid の 『4-5-6』 と同じく、理解に苦しんだアルバム。
グリッドによって ”Translucent (わかりやすく、明確に)”
にリミックスされた曲は、フリッパートロニクスによるイントロの後、原曲に比べてかなりリズムが強調された曲が展開していく。 フリッパートロニクスの使用率(サンプリング率)は高くなっているが、ギターはかなりオミットされている。
FSOL
によって”再構築された”曲は、原型を殆どとどめていない。 作曲クレジットからは
David Bottrill の名前が落ち、FSOLの Cobain ,Dougans
の名前が加わっている。 ディスコトロニクスのようなシーケンシャル・フレーズがサンプリングされたりして、フリップの意志はあまり感じられない。
(追加:1998年10月25日)
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リリースは1994年
Guitar, Frippertronics
Produced by Robert Fripp and David Bottrill
オープニングをかざるのタイトル曲 ” Damage ”
は、ほぼシルヴィアンによる曲。
” God's Monkey ”
では、スタジオ・テイクではフェード・アウトされていたフリップのギター・ソロが見事にフィーチャーされている。
” Brightness Falls ”
では、原曲のつまらなさがそのままライブに現れてしまっている。 曲の最後はフリッパートロニクス。
” Firepower ”
はスタジオ・テイクに比較的忠実、かつフリップのギターがおとなしめ。
「ライブならではの激しいプレイ」という表現がぴったりなのが
” 20th Century Dreaming ( A Shaman's Song )
”。ギターの音も激しく、全体にアフレッシヴである。 スタジオテイクより曲も短くなりまとまっている。
” Darshan ( The Road To Graceland )
”
は、オリジナル・スタジオ・テイクと比べても装飾音が減っているため、フリップのギターがより強調されている。 2度目の来日時において、未だクリムゾンのメンバーではなかったマステロットの評判はやたら悪かったが、こういった曲では確かに重すぎる。
” Blinding Light Of Heaven ”
は、トリオでの初来日時から演奏されていたにも拘わらず、最終的にスタジオ・テイクが発表されなかったことが惜しまれる。(
追加付記 : 2000年にリリースされた 『 Everything And Nothing 』
のボーナスCDに収録
) コンパクトにまとめられた曲、かっこよい歌メロ、適度なギター・ソロ等、どれをとっても完璧である。 個人的には最高だと思うのだが、シルヴィアン&フリップとして目指す音楽ではなかったのかもしれない。
最後の” The First Day ”
はシルヴィアン色がもろに出ており、『 Secrets Of The Beehive 』
あたりに収録されていてもおかしくない曲である。
(追加:1998年11月25日)
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リリースは2001年
Guitar, Frippertronics
Produced by David Sylvian
1994年に限定リリースされた 『 Damage 』
はフリップによるプロデュース作品であったが、2001年にリリースされた本作品はシルヴィアンによるプロデュース作品。
フリップのギターが想像通り抑えられている他に、観客の声も抑えられており、よりライヴ感が無くなっている等ミキシングの違いは明らかで、同一音源を使用した同名別作品として捉えたほうが正しいかもしれない。
曲順の違いはたいしたことではないが、” Darshan ( The Road To
Graceland ) ” を外してまで収録した ” Jean The
Birdman ”
は、マステロットのドラムが走りすぎで情けない演奏。 初音源として収録するからには、もう少しまともな演奏から選択してほしかった。
(追加:2001年9月25日)
Live In Japan : David Sylvian and Robert Fripp
Live LD リリースは1994年
Guitar, Frippertronics
ただでさえ商品価値の高い本映像だが、特筆すべきは”
Exposure
”。 この1曲だけの作品が同価格で販売されていたとしても、販売量はそれほど変わらないと思うがどうだろうか?
やっぱり変わるか。
使用した楽器は以下の通り。
(追加:1998年11月25日)
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Robert Fripp | David Sylvian | Trey Gunn | Michael Brook | Pat Mastelotto |
God's Monkey | Guitar | Guitar | Stick | Guitar | Drums |
Brightness Falls | Guitar | Guitar | Stick | Guitar | Drums |
Every Colour Your Are | Guitar | Guitar | Stick | Guitar | Drums |
Jean The Birdman | Guitar | Guitar | Stick | Guitar | Drums |
Firepower | Guitar | Keyboards | Stick | Guitar | Drums |
Damage | Guitar | Keyboards | Stick | - | - |
Exposure | Guitar | Keyboards | Stick | Guitar | Drums |
Gone To Earth | Guitar | Guitar | Stick | Guitar | Drums |
20th Century Dreaming | Guitar | Keyboards | Stick | Guitar | Drums |
Wave | Guitar | Keyboards | Stick | Guitar | Drums |
Riverman | Guitar | Keyboards | Stick | Guitar | Drums |
Darshan | Guitar | Guitar | Stick | Guitar | Drums |
The First Day | Guitar | Keyboards | Stick | - | - |
Blinding Light Of Heaven | Guitar | Guitar | Stick | Guitar | Drums |
1994
Redemption : David Sylvian and Robert Fripp
Cassette Tape
Text, Voice
シルビアン&フリップの2度目の来日公演パンフレットで、突如予告された
P3 art and environment
でのサウンド・インスタレーションは、当初の予定より短くなり、1994年8月30日から9月18日迄の間開催された。
本カセット・テープは、同会場で流されていたものを、同会場にて販売したものである。
かすかに聞こえるシンセサイザーはシルヴィアンによるもので、フリップは作詞(?)し、朗読している。
(追加:1998年11月25日)