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Summers & Fripp

2025

The Complete Recordings    1981-1984 : Andy Summers & Robert Fripp    New!

アンディ・サマーズとロバート・フリップによるレコーディング楽曲をまとめた作品。 New Mix と Extra(発掘音源)はデヴィッド・シングルトンによるものだが、Surround Mix については明確にコメントされていない。

3枚のCDと1枚のBlu-ray という構成を整理すると以下の通りとなる。
単純なようで判りにくい構成になっているのは、ワーキングのテープが複数発掘された一方で、完成形のマスター・テープが発掘できなかったことが原因である。

完成形のマスター・テープが発掘できなかったのは残念ではあるが、生きていればきっといつかは発掘されるだろうと将来の楽しみにとっておけばよいだけのことである。 ただ発掘されなかったことで本作品のメイン・コンテンツが、シングルトンによる解釈ヴァージョンになっているのには若干の違和感が残ってしまう。

    

一方、オリジナルの2作品と 『 Mother Hold The Candle Steady 』 を含む発掘音源ををまとめて聴くと、フリップとサマーズの2人が純粋に作品制作に取り組んだことが良く判る。
キング・クリムゾンとポリスという当時評価軸が全く異なっていたバンドに属していた2人が時間を割いてまで取り組んだのは、己の音楽的欲求を満たすためだったに違いない。 2人で楽しみ過ぎたため完成度が低い楽曲が含まれていたりするが、” I Advance Masked ”、” Parade ”、そして ” What Kind Of Man Who Reads Playboy ” といった楽曲を仕上げたことは、本ユニットの成果だと思う。

また当時世界で最も成功していたバンドと言っても過言ではないポリスのギターリストの参加作品、ということで ” I Advance Masked ” と ” Parade ” のミュージック・ヴィデオが制作されたことも画期的だと思う。
2人の寸劇もあるこの2作品は YouTube で気軽に観ることができるが、どうせなら本作品の Blu-ray にも収録してほしかった。

 

CD1

I Advance Masked

1. I Advance Masked / 2. Under Bridges Of Silence / 3. China-Yellow Leader / 4. In The Cloud Forest / 5. New Marimba / 6. Girl On A Swing / 7. Hardy Country / 8. The Truth Of Skies / 9. Painting And Dance / 10. Still Point / 11. Lakeland / Aquarelle / 12. Seven On Seven / 13. Stultified
Extras :
14. Brainstorm II / 15. New Marimba ( Early Mix ) / 16. Balinese / 17. Seven On Seven ( Reprise )

Produced by Andy Summers and Robert Fripp, 1982.
Newly mixed by David Singleton, 2024.
Extra tracks produced by David Singleton.

 

CD2

Bewitched

1. Parade / 2. What Kind Of Man Who Reads Playboy / 3. Begin The Day / 4. Train / 5. Bewitched / 6. Tribe / 7. Maquillage / 8. Guide / 9. Forgotten Steps / 10. Image And Likeness
Extras :
11. Tribe ( Original Version ) / 12. Maquillage ( Alt. original mix )

Produced by Andy Summers, 1984.
Newly mixed by David Singleton, 2024.

 

CD3

Mother Hold The Candle Steady

1. Impudent Prelude / 2. Brainstorm / 3. Tremors / 4. Turkish / 5. Kitchen / 6. Skyline / 7. Foi Um Optimo Dia / 8. San Antonio Blues / 9. Mother Hold The Candle Steady / 10. Ninja Acid Dance / 11. Step N' Fetchit / 12. Maquillage II / 13. Parade II
Extras :
14. Can We Record Tony? ( edit )

Recorded in 1981-1984
Produced by David Singleton, 2024.

 

Blu-ray

I Advance Masked

New Stereo Mixes 24/96     tracklist as CD1
Surround Sound Mixes 24/96     tracklist as CD1 1-13
Original Mixes     tracklist as CD1 1-13

Bewitched

New Stereo Mixes 24/96     tracklist as CD2 1-10, 12
Surround Sound Mixes 24/96     tracklist as CD1 1-10
Original Mixes     tracklist as CD2 1-10

Mother Hold The Candle Steady

New Stereo Mixes 24/96     tracklist as CD3 1-13
Surround Sound Mixes 24/96     tracklist as CD3 1-13

Can We Record Tony?

Complete audio documentary, Arny's Shack, 1981
compiled by David Singleton

(追加:2025年5月10日)

 

1982

I Advance Masked : Andy Summers  Robert Fripp

  1. I Advance Masked
  2. Under Bridges Of Silence
  3. China-Yellow Leader
  4. In The Cloud Forest
  5. New Marimba
  6. Girl On A Swing
  1. Hardy Country
  2. The Truth Of Skies
  3. Painting And Dance
  4. Still Point
  5. Lakeland / Aquarelle
  6. Seven On Seven
  7. Stultified

Produced by Andy Summers and Robert Fripp All selections written by Andy Summers and Robert Fripp

All instruments played by Andy Summers and Robert Fripp including - Electric Guitars, Roland and Moog Synthesizers, Fender Bass, Roland Guitar Synthesizers, Various Percussion

1曲目の ” I Advance Masked ” はひたすら格好良い。 1曲目にこんな曲を持ってこられると、当然アルバム全体に対しての期待が高まるわけだが、そんな思いは追々ぶち壊されていくことになる。 良い方向で浮いてしまっている本曲がなければ、アルバム全体の印象は大きく変わっていたと思う。 本曲があるために、本来実験的である他の曲が、単なる中途半端な曲とまで思えてしまう。
” Under Bridges Of Silence ” では、パーカッション(ギター・シンセ?)のバックに遠くでギターがなる。
” China-Yellow Leader ” の前半部 ( ” China ” ? ) は、ディシプリン・クリムゾン風の2本のギターのミニマル・フレーズに、当時のフリップが得意としていた管楽器系のギター・シンセのソロが重なる。 後半部 ( ” Yellow Leader ” ? ) では、フリッパートロニクスに様々なギターが絡まる。
” In The Cloud Forest ” では、フリップの歪んだ音のギター・ソロが色っぽい。 サマーズは多分バッキングのみ。
” New Marimba ” では、ひたすら続くフリップのミニマル・フレーズの上に、サマーズがソロをとる。
” Girl On A Swing ” は、アルペジオと静かなギター・ソロの小品。 捨て曲といったら怒られるか。
” Hardy Country ” も、ディシプリン・クリムゾン風の曲。 ベースをレヴィン、ドラムをブラフォードにすれば、『 Discipline 』 の没ティクとして通じると思う。
” The Truth Of Skies ” は、ギター・シンセサイザーによるデュエット曲。 楽器見本市におけるギター・シンセサイザーのデモ実演コーナーっといったところか。
派手なところこそないものの、” Painting And Dance ” は佳曲だと思う。 ” Every Breath You Take ” 風のフレーズが出てくることから、サマーズが主体に進めた曲とも想像できる。 「 いかにもギター・シンセサイザー 」 といった音がソロとしても効果音としても使われていないことが、なによりも素晴らしい。
” Still Point ” は、ソロ、バッキングとも特徴が少なく、誰がどのパートを演奏しているのかを想像することすら困難である。
” Lakeland / Aquarelle ” も地味な曲。 ソロは多分フリップだが、惹かれるところはない。
” Seven On Seven ” はアルペジオ(というよりはコードの分解?)を重ねた曲。
” Stultified ” は、不協和音とパーカッションを重ねた曲。
(追加:1999年3月10日)

 

I Advance Masked : Andy Summers  Robert Fripp    New!

  1. I Advance Masked
  1. Hardy Country

『 I Advance Masked 』 からの同名タイトルのシングル。
デザイン自体はアルバムからのトリミング&背景変更にすぎないが、表ジャケも裏ジャケもあり多少金をかけた造りになっている。 このあたりは「ポリスのアンディ・サマーズ」のおかげと思われる。
(追加:2025年5月25日)

 

I Advance Masked : Andy Summers  Robert Fripp    New!

  1. I Advance Masked
  1. I Advance Masked

” I Advance Masked ” のジャケ無しプロモーション用12インチ。
ぶっちゃけシングルに適した楽曲が ” I Advanced Masked ” しか無いとはいえ、両サイド違いのない曲を収録しているのは潔い。
(追加:2025年5月25日)

 

1984

Bewitched : Andy Summers  Robert Fripp

  1. Parade
  2. What Kind Of Man Who Reads Playboy
  3. Begin The Day [ co-writes ]
  1. Train
  2. Bewitched
  3. Tribe
  4. Maquillage
  5. Guide
  6. Forgotten Steps
  7. Image And Likeness

Produced by Andy Summers

Produced by Andy Summers

Chris Childs - bass
Sara Lee - bass
Paul Beavis - drums
Chris Winter - saxophone
Jesse Lota - tabla

Andy Summers and Robert Fripp Played
roland gr 700 and 300, jupiter 6, jx 3p synthesizers, msq 700 sequencer, tr 909 drum machine, acoustic and electric guitars, percussion, tape loop

サマーズ独りの作曲による ” Parade ” は、シングル・カットのみならず、何を考えたかビデオ・クリップまで制作されている。 ひたすら明るく、ポップな曲だが、こういった曲を1曲しか収録しないのであるならば、やらない方が良いのではないかと思うのは、全作の ” I Advance Masked ” と同じである。 曲単独としては格好良いのだが。
” What Kind Of Man Who Reads Playboy ” は白眉の出来。 チープなリズム・トラックにフリップとサマーズのソロが交互(?)にとられていく。 長尺であることを感じさせない素晴らしい曲。
” Begin The Day ” には、このプロジェクトの2枚のアルバムの中における、フリップのベスト・ギター・ソロが収録されている。 ひねり出されたような早いギター・ソロは、音色も管楽器系の音ではなく素晴らしい。
イントロがゲイリー・ニューマンしている ” Train ” は、曲自体はワン・パターンで、後半に飽きてくる。
” Bewitched ” は音数こそ多いがつまらない曲で、何故アルバム・タイトルとなったのが疑問が残る。
” Tribe ” は、本アルバムで唯一ディシプリン・クリムゾン風の曲。
” Maquillage ” では、フリップのアルペジオの上に、サマーズがギター・シンセで装飾を加えている。
” Guide ” と ” Forgotten Steps ” は、スタジオで2人がギター・シンセをいじくり廻している時の音( だけ )を収録したような曲。 この2曲の良さが分かるのは、当時のローランドのギター・シンセの開発スタッフだけであろう。
” Image And Likeness ” は、ギターのハーモニクスを積み重ねた曲。これもギター・シンセか。
(追加:1999年3月10日)

 

Parade : Andy Summers  Robert Fripp    New!

  1. Parade
  1. Train

『 Bewitched 』 からのシングル・カット。
” I Advance Masked ” と同じくアルバムからのトリミング&色彩変更とはいえジャケットはしっかりと作成されている。

(追加:2025年5月25日)

 

Parade : Andy Summers  Robert Fripp    New!

  1. Parade
  1. Train
  2. Hardy Country

” Parade ” のジャケ付き12インチ。
7インチとの違いは、B面が2曲になっていること。 どうせなら ” What Kind Of Man Who Reads Playboy ” 1曲を収録してほしかった。
(追加:1999年3月10日)