1986
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当時フリップの活動はギタークラフトに殆ど限定されいただけに、先行リリースされた
” Taking The Veil ”
でのディストーション・ギターの強烈な音がフリップ健在を示す唯一のものであった。
後のシルヴィアン&フリップ結成時以上に、フリップの共作共演は唐突なものであったが、J.G.ベネットの講話テープまでフィーチャーされており、本作リリースまでの2人の間に何があったのかを知りたい。
” Taking The Veil ”
でのギター・ソロは、ミニマル・フレーズの最後がロング・トーンできまり、とってもかっこよい。
” Gone To Earth ”
は後のシルヴィアン&フリップの初期 ( ドラム・レスの頃 )
の音、そのままである。 フリップのギターのフレーズ、フリッパートロニクスにシルヴィアンのヴォーカルがねっとりと絡む。
” Wave ”
はヴォーカル部でのバックでのギターはそれほどではないが、Discipline
Crimson でのギター・シンセサイザーのような音 ( 管楽器に近い音
) でのソロ → 歪んだギター・ソロ → フリッパートロニクス
という展開が素晴らしく、共作者としてクレジットされていないのが不思議なほどである。
” River Man ”
ではゆったりとしたリズムの上に、フリップのギターが鳴り続け、最後はフリッパートロニクス。 シルヴィアン名義のアルバムとはいえ、ギターの音をもう少し上げてもらいたかった。
重苦しいB面の中で、” Silver Moon
”
は比較的明るめの曲だが、フリップだけは歪んだギターとフリッパートロニクスで、いつも通りの音である。 フリップが他人のアルバムで客演する場合、「
明るめの曲に歪んだギター 」
というパターンは成功している場合が多いと思う。
” Camp Fire : Coyote Country ”
は、静かなギターのバックでディストーション・ギターが唸る。
” Sunlight Seen Through Towering Trees ”
では、共作者としてクレジットされているが、ギターとしてクレジットされているのはビル・ネルソン。
” Upon This Earth ” は ” Camp Fire :
Coyote Country ”
と同じ様な曲構成だが、ディストーション・ギターの代わりに、管楽器系のギター・シンセサイザーが絡む。
(追加:1998年11月25日)
The Lady Or The Tiger? : Toyah And Fripp featuring The League Of Crafty Guitarists
この共演がきっかけで結婚にいたったとされる、曰く付き(?)作品。
両サイドとも、フランク・R・ストックトン作による物語を、トーヤが淡々と朗読している。
” Lady Or The Tiger?
”
は、ループ間隔が短いフリッパートロニクスといったような音が29分48秒ひたすら続く。 フリップの全作品の中で、演奏時間が一番長い作品となる。
” The Discourager Of Hesitancy ” には、LCGが参加している。 フリップがLCGとともに演奏しているかは不明。 前半はトーヤの朗読に合いの手のようにギターが絡むだけだが、後半はある程度
「 曲 」 らしい演奏に近づく。
(追加:1999年5月25日)
1987
The Light At The End Of The Tunnel : The Damned
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ダムドの2枚組編集盤の裏ジャケットに、ポップ・アート風に描かれたフリップが、ご丁寧にも
「 FRIPP 」 とコメント付きで掲載されている。
今は無き渋谷CSVでリリース直後の本アルバムを発見したときには、その因果関係が全く不明であるためかなり悩んだ記憶がある。 詳細なライナーがあるにも拘わらず、フリップについてのコメントは何もなされていない。 また、フリップ風のギターの音が確認できる曲もない。
フリップが参加した ” Fun Factory ”
が、当時リリースに至っていないことに対してのダムド・サイドからのお詫びみたいなものと思うのだが、邪推であろうか?
(追加:1999年6月10日)
Journey To Inaccessible Places And Other Music Composed in Collaboration by G.I.Gurdjieff and Thomas De Hartmann : Elan Sicroff, Piano
Produced By Robert Fripp And Tony Arnold in audio verte
グルジーエフである。
トーマス・デ・ハートマンは、グルジーエフと行動をともにしていたロシア人作曲家。 このアルバムは、グルジーエフとハートマンが作曲した曲を、ハートマン夫人から教育を受けたエラン・シコルフが演奏したもの。 シコルフはベネットが設立したI.A.C.E.生徒でもあり、音楽指導員でもあった。
てなことが裏ジャケットに ( 当然もう少し詳しく )
記載してあるわけだが、音としてはピアノの独演。 環境音楽風でもなく、ミニマルな演奏が繰り広げられるわけでもなく、非常に穏やかな音楽である。
(追加:1999年6月10日)
トーヤが EGからリリースした3作品の、最初の1枚。
エロいジャケット、参加ミュージシャンのクレジット無し、ドナ・サマーのカヴァー ” Love's Unkind ”
の収録、そしてEG以外からリリースされプロモーションをちゃんとしてたら大ヒットしたに違いないハイパーな名曲 ” Echo Beach ”
の収録、と話題にしたい点は多くあるのだが、フリップが積極的に参加しているのが最大の特徴である。
” Moonlight Dancing ”
には、管楽器系音のギター・シンセ・ソロ。
” Revive The World ”
には、The League Of Crafty Guitarists (以下LOCG)が参加。
” The View ” には、管楽器系音のギター・シンセ・ソロ。
” Dear Diary ” には、ギター・ソロ。
” Desire ” には共作でクレジット。
尚、本作品からは、” Echo Beach ” と ” Moonlight Dancing ”
の2作品が12インチでもシングル・カットされている。 ” Moonlight Dancing ” のB面に収録されている ” Sun Up ”
には、LOCG が、” Re-entry Into Dance ” には LOCG とフリップのギター・ソロを確認できる。
(追加:2012年11月10日)
1988
Couple In Sprit : Keith & Julie Tippet
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Mixed by Robert Fripp
Produced by Keith and Julie Tippett
ジュリー・ティペットとのデュオ・アルバム。 各々のソロを1曲ずつ収録しているものの、それ以外の楽曲は二人だけでインプロをベースに構築したものと思われる。
歌詞に基づくヴォーカルではなく、発声をベースにしたヴォイスと定義すればよいのだろうか。 本作品を聴いていると、生身の体によるインプロの難しさがよくわかる。 ただただ素っ頓狂に歌うことは容易いのかもしれないが、そうならないようにすることの難しさ、そしてそうならないように留意することが楽器としての発声のヴァラエティに制限を与えていることがよくわかる。 キース・ティペットのピアノが他の作品よりもアヴァンギャルドになってしまっているのは、ヴォーカル・インプロとの呼応の難しさによるものなのかもしれない。
ほぼ沈黙期であったフリップの名前が唐突にクレジットされていたことは嬉しかったが、その貢献度についてはやはり不明。
(追加:1999年1月24日)
(更新:2004年2月25日)
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Toyah : vocals, keyboards,
guitar, akai.
Steve Sidelnyc : drums, percussion, keyboards, akai.
クレジットはないもののフリップの参加が確認できるアルバム。
” Hello ”
は、フリップとトーヤのお医者さんごっこ。 当然フリップは医者役。 やはりスケベだ。
” Ghosts In The Universe ”
では、フリップのギターがサンプルされている。
(追加:1999年5月25日)
1990
Fun Factory / A Riot On Eastbourne Pier (remix) : The Damned
ダムド・サイドの情報によれば、『 Strawberries 』
レコーディング後、TV番組でフリップとダムドは知り合い本曲をレコーディングしているとのことなので、1980年頃の音源と思われる。 当時ダムドが所属していたブロンズ・レーベルからリリースされる予定であったが、最終的にリリースされたのは1990年となった。
フリップの音はストラングラーズの時とは異なり、1980年当時のギターの音でフレーズを弾き、ダムドの音楽にとけ込むことを意識しているように思える。
現在ではイギリスのDOJOからリリースされている編集盤 『 Totally
Damned 』 他に収録されている。
(追加:1998年10月10日)
(更新:2004年3月25日)
Planet Oz : Inga Humpe
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Guitar by Robert Fripp
Robert Fripp's Guitar recorded by Tony Arnold at the Courthou
ドイツのミュージシャン、インガ・フンペ(読み方は、多分)のアルバム。
トレヴァー・ホーン人脈のプロダクションによる楽曲と、The ORB
のトーマス・フェルマンのプロダクションによる楽曲で構成されているが、結果として両方とも打ち込み中心のもので大きな差を見出すことはできない。
フリップが参加しているのは、トレヴァー・ホーン人脈のアンディー・リチャーズのプログラミング&プロデュースに、後からトーマス・フェルマンが再加工している
” Heaven ” 1曲のみ。
いかにもフリップというギター・ソロを、イントロ、中間部、ラストで演奏しており、特にラストのギター・ソロは結構格好良いのだが、レコーディングには別参加ということは明らかで、お仕事参加にすぎない。
数年後フリップは、FFWD>> というユニットを組んだり、The ORB
やトーマス・フェルマンの作品に参加したりするのだが、本作品がその契機になったとは残念ながら思えない。
(追加:2015年10月10日)
66 Shades Of Lipstick : Keith Tippett / Andy Sheppard
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Keith Tippett
Piano ( 2,3,4,5,8,12,13,15 ), Piano Plus Woodblocks ( 1,6,7,9,10,11,14,16 ), Piano
Interior ( 7,11 ), Music Box ( 4 ), Bells ( 7,11 ), Maraca ( 7 )
Andy Sheppard
Soprano Saxophone ( 1,2,8,12,13,14,15 ), Tenor Saxophone ( 3,4,5,6,7,9,10,16 ), African
Flutes ( 11 )
Produced By Robert Fripp
ジャズの領域で活動するサックス奏者アンディ・シェパードとキース・ティペットのデュオ作品。
ライナーにティペットのコメントとして記載されている通り、一切の準備、作曲を行っていない完全なインプロ作品集。 二人の演奏が対峙するような激しさはないものの、お互いの演奏に触発されるように次々に魅力あるフレーズが飛び出してくる。
この時期フリップはクリムゾンの再結成を目論むとともに、『 Frame
By Frame 』
の編集準備、サンディ・オール・オーヴァー・ザ・ワールドやギター・クラフトのアルバム準備等、EGでの最後の活動を積極的に行っていた。 本作品のもEGからのリリースであり、プロデュースを行ったのも本人やティペットの意志ではなく、契約関係上不可避なものであったのではないかと邪推をしてしまう。
(追加:1999年1月24日)
(更新:2004年2月25日)