- Sunday All Over The World
- Blood Bruise Tattoo
- Kneeling At The Shrine
- Don't Take It Away
- Transient Joy
- Open Air
- Strange Girls
- If I Were A Man
- Answered With A Smile
- Storm Angel
- Freedom
Vocals Toyah Willcox
Guitar Robert Fripp
Stick Vocals Trey Gunn
Drums Percussion Paul Beavis
All Titles Written And Arranged By Sunday All Over The World
Except 11 Written By Fripp / Willcox
サンデイ・オール・オーヴァー・ザ・ワールド(以下SAOTW)唯一の作品。
当時フリップは、SAOTW と平行して The League Of Crafty Guitarists
としての活動、2組みのBOXセットの編集、そしてクリムゾンの再編準備と、メジャーな音楽活動を一気に開始している。 一方後のインタビューやライナーで少しずつわかってきたのだが、この時期フリップは音楽活動とは別にEGとの争いの真っ最中であり、相当の労力を費やしていたはずである。 訴訟という外的要因が、反骨心(というか、ひねくれた性格)に火をつけ、音楽活動に向かわせていたのかもしれない。
アルバム自体は、トーヤのヴォーカルを全面に出したもの。 その結果フリップのギターのレヴェルは落とされていて、それなり以上に弾きまくっているソロもあまり目立っていない。 ヴォーカルのリフレインに絡むギター、などというパターンは他ではあまり聴けないだけに残念である。
Sid Smith 著の 『 In The Court Of King Crimson 』 によれば、SAOTW
はツアーも行ったとのことである。 King Crimson Collectors' Club
では、是非こういった音源をリリースしてもらいたい。
- バンド名を冠した ” Sunday All Over The World ”
は、曲の完成度からも本アルバムの代表作と言って良いものだと思う。 シーケンシャル・フレーズとヴォーカルの絡みはディシプリン・クリムゾンの二番煎じにも思えるが、曲後半でのギター・ソロ、そしてそのソロとヴォーカルとの絡みは格好良い。 通俗的な展開であることは否めないが、そこが又魅力だと思う。
- ” Blood Bruise Tattoo ”
でもフリップは珍しい演奏をしている。 ヴォーカルと絡むギターのカッティング、そして泣きメロのギター・ソロ。 これで曲自体のレベルがもう少し高ければお宝演奏になった可能性もあり残念。
- ” Kneeling At The Shrine ”
は、タイトル曲なだけにもう少しなんとかならなかったのか。 フリップのギターは、アタックを加工したロング・トーンでヒョロヒョロとした高音を出しているだけ。
- ” Don't Take It Away ”
は、(ちょっとだけ)ドラマッチックなイントロに惹かれるが、それ以降ヤマがないまま終わってしまう。
- ”Transient Joy ”
は、フリップによる管楽器系の音を使ったギター・シンセの短めのソロと、歪ませたギターのソロの2つを堪能することができる。
- ” Open Air ”
を最初に聴いたとき、イントロのスティックのパートが、ディシプリン・クリムゾン(というかレヴィン)そのままで、「このままガンで大丈夫なのか?」と不安がよぎったのを覚えている。 スティック奏者の第一人者として、あらためてレヴィンの凄さを見直すことができる。
- ” Strange Girls ”
では、ヴォーカルと絡むパートでフリップが ” Fracture ”
と似たフレーズを演奏している。 偶然によるものではなく、フリップに多少のパロディ意識があったものと思われる。
- ” If I Were A Man ”
は、極普通のヴォーカル・ナンバーながら、最後に唐突なまでにディシプリン・クリムゾンそのままのギターとスティックの絡みが再現される。
- ” Answered With A Smile ”
は、本作品の中でも特に印象の薄い曲。
- ” Storm Angel ”
では、フリップが中間部で好き勝手にギターを弾きまくっているパートがある。 ただそのヴォリュームは何もそこまで、というほど絞られておりとても残念である。
- ” Freedom ”
は、本作品の中で唯一バンド名義ではなく、フリップとトーヤの共作。 フリッパートロニクスとヴォーカルだけの曲、などという恐ろしいことはなく、おとなしめのヴォーカル・ナンバー。
(追加:2004年4月25日)