1986
More Blank Than Frank : Eno
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This selection of tracks is based - towards my taste. Instead of trying to compile a representative sample, an historical archive or a best of. I just put together a record I'd like to listen.
「 Songs From The Period 1873-1977 」 と記載されたアナログ盤のイーノ楽曲集で、『 Here Come
The Warm Jets 』、『 Taking Tiger Mountain ( By Strategy ) 』、『 Another Green
World 』、『 Before And After Science 』 から選曲されている。
ジャケット裏に単に自分が聴きたい曲を集めたと記載しながらも、妥当かつ隔たりの無い選曲となっている。
この辺りは照れ隠しというより、敢えて真逆のことを言っていると捉える方が正解だと思う。
アンビエントに傾注する前のヴォーカル/インスト曲がコンパクトにまとまっているだけに、初期の楽曲を短時間で集中して聴きたいという機会(がどれだけあるか判らないが)に、結構重宝する作品である。
(追加:2020年7月10日)
Desert Island Selection : Brian Eno
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A compilation for Compact Disc from the period 1973-1978 a comparison to the album More Blank Than Frank.
『 More Blank Than Frank 』 と同時期に発表された CD盤の選曲集。
「 Songs From The
Period 1973-1978 」 と1年長くクレジットされているのは、『 Music For Airports 』 から ” 1/1 ”
の短縮版が収録されているからなのだが、それ以外にも 『 More Blank Than Flank 』 とは選曲が異なっている。
ただやはりアンビエント楽曲である ” 1/1 ” が収録された影響は大きく、『 More Blank Than Frank 』
と比べて、焦点がボケてしまっていることは否めない。 イーノが本当に聴きたい曲を集めたのは、本作なのかもしれないが。
(追加:2020年7月10日)
The Falling : Carmel
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Carmel Vocals
Jim Parris
Double Bass
Gerry Darby Drums
Johnny Folarin
Percussion
Ugo Delmirani Keyboards
Paul Baylis
Alto Sax
Helen Watson & Shirley Laidley Backing
Vocals
イギリスのバンド、カーメルのセカンド・アルバム。
ジャージーかつ爽やかなだけの演奏をバックに、声を張り上げることがソウルフルだと誤解した女性ヴォーカルが絡む。
1980年代後半に発生してしまった「おしゃれジャズ」の一つと捉えることができる作品である。
否定的な記載をしたが、否定的な要素しか見出すことができない内容である。
本作品でイーノが何をやろうとしたのかは不明。
おしゃれジャズなるものの存在は現在ほぼ無くなっているが、イーノはそんなクソみたいなものが存在してしまったことを後世に残すために、自らの名前をクレジットしたのかもしれない。
(追加:2019年4月10日)
Power Spot : Jon Hassell
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Produced And Engineered By Brian Eno / Daniel Lanois
『 Fourth World Vol. 1 Possible Musics 』
以来、主に1980年代においてイーノと共演することが多かったジョン・ハッセルの作品。
中近東風のメロディと反復音の上をハッセルのトランペットが浮遊するという構成、と多少乱暴に纏めてしまっても、実際の内容はそのままだったりする。
私はイーノ絡みのハッセルの作品しか聴いたことがないが、これがハッセル自身がやりたいことだったとしたら、バラエティにもう少し富んだ纏め方をしても良いのではないかと思う。
あらためてハッセルについて調べたところ、生まれは1937年ということで、イーノより10歳以上年上ということになる。
1980年代において、二人の間にどのような共振があったのか判らないが、イーノの移り気な所が見え隠れしている。
(追加:2019年9月10日)
1987
The Joshua Tree : U2
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Produced By Daniel Lanois & Brian Eno
Backing Vocals : The Edge, Eno, Lanois
DX7 Programmes and Keyboards : Eno
大ヒット、などという表現では納まらない程の成功を成し遂げた U2 のアルバム。
シングル・カットされた ” With Or Without You ” や ” I Still Haven't Found What I'm
Looking For ” に留まらず、アルバム自体が驚異的なセールスを挙げている。
本作品がリリースされた1987年において所謂洋楽を聴き始めた人には、人生を変えた1枚になっていてもおかしくない作品なんだと思う。
ロックがロックとして語られた古き良き時代の最後の灯火が、本作品にはある。 そしてそんな作品をプロデュースしたイーノの凄さがここにある。
イーノのプロデューサーとしてのポピュラリティの最高峰が本作品である。
(追加:2015年6月25日)
1988
Rattle And Hum : U2
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『 The Joshua Tree 』 の大成功を得た後、つまり U2 が何をやっても許された時期にリリースされた作品。
本作品においてイーノは、プロデュース作業を行うことなく、”Heartland ” 1曲でキーボードを演奏しているだけであり、かつその演奏も大したものではない。
(追加:2015年6月25日)
Dario Argento Opera
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ダリオ・アルジェント監督の 『 オペラ座/血の喝采 』 のサウンドトラック。
オペラの主役に抜擢された主人公の周辺で次々に起こる殺人事件、そして最後に主人公も狙われる、という捻りの全く無いストーリーなのだが、全編釘付けとなる作品である。
意味が有るのか無いのか良くわからない殺し方、過剰に金をかけたオペラのシーンがある一方で殺人後に流れる血にリアリティが全く無かったり、火事場の死体が犯人ではなく人形だったと警察が気づくのに時間がかかったりと、観てるとクラクラしてくる。
そして映画も凄いが、その凄さをそのままパッケージしたこのサウンドトラックも凄い。
ホラーならではのおどろおどろしい音、殺人場面のバックに唐突に流れるB級ヘヴィ・メタル、劇中オペラの 『 マクベス 』、そしてマリア・カラスによる 『
ノルマ 』 と 『 椿姫 』 と、統一感の無さは常軌を逸している。
イーノの楽曲は、豪華にも本作品のためのオリジナル。
当然ながらおどろおどろしい音を担当している。
(追加:2018年10月10日)
1989
Acadie : Daniel Lanois
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Brian Eno keyboards & vocals
U2 のプロデューサーであり、イーノとの共作も発表しているダニエル・ラノワのソロ名義での初作品。
同時期にプロデュースを行いイーノも参加しているネヴィル・ブラザーズの 『 Yellow Moon 』 と同じくニューオーリンズのスタジオで主にレコーディングされているが、ファンク色は強くない。 むしろラノワによる弾き語りをベースに様々な装飾がされた楽曲が並んでいる。
ラノワ自らの曲解説を読むと、イーノが参加しているのは ” Fisherman's Daughter ”、” White Mustang II ”、” Where The Hawkwind Kills ”、そして ” St. Ann's Gold ” の4曲と思われる。 いかにもイーノといった薄いシンセサイザーの装飾もあるが、イーノの演奏を素材にして楽曲の一部にしているような所もあり、イーノ色は必ずしも強くない。
(追加:2022年5月25日)
Set Me Free : Carmel
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Carmel are
Carmel McCourt ( lead / backing vocals )
Jim Parris ( acoustic / electric bass )
Gerry Darby ( drums / percussion / programming )
おしゃれジャズ・バンド、カーメルの4作品目。 イーノはセカンドに続いての参加となっている。
自らの音楽性を拡げるために様々な試行錯誤を繰り返している、というより、売れるために色々なフォーマットに手を出した結果、とっ散らかしてしまった作品。
デジタル・ビートに張り上げるだけの女性ヴォーカルを絡めたりしている曲など、悪夢のようである。
ただそんな楽曲群の中で、イーノが好きだからという贔屓目を除いても、イーノが参加している2曲は突出している。 ヴォーカルとキーボードだけで構成される
” God Put Your Hand On Me ” での深くエコーがかかったようなシンセサイザーはイーノならではだし、ニュー・ウェイヴ調の ” Take It For Granted ” はイーノが好き勝手にやったバックトラックにヴォーカルだけ後乗せさせた感じでチープな魅力がある。
(追加:2019年4月10日)
Words For The Dying : John Cale
The Falklands Suite
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Produced By Brain Eno
The Soul Of Carmen Miranda performed by John Cale and Brian Eno
オーケストラをバックにした組曲 ” The Falkland Suite ”、ソロ作品である ” Songs Without Words
”、そしてイーノとのデュエット ” The Soul Of Carmen Miranda ” で構成されるジョン・ケイルのアルバム。
プロデュースとしてクレジットされているイーノが本格的に関与しているのは ” The Soul Of Carmen Miranda ” だけだろうし、それ自体も淡々とした楽曲で大きな特徴があるわけでもない。
それでも本作品において久々にイーノとケイルがガッツリ組んだことが、『 Wrong Way Up 』 という共作アルバムに発展していった成果は大きい。
(追加:2017年2月25日)
Yellow Moon : The Neville Brothers
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Guest Musicians
Brian Eno - Additional Keyboards and Sound
Effects
...
ニューオーリンズ出身のバンド、ネヴィル・ブラザーズの作品。
ダニエル・ラノワがニューオーリンズのファンク・バンドをプロデュースして、そこにイーノも参加する。 というクラクラしそうな異種格闘戦なのだが、見事に成功している。
ファンクのリズムの間を、ベターっとしたシンセで埋めてしまえば当然失敗してしまうのだが、ラノワ&イーノが得意な薄く上品なシンセで埋めることで、ダイナミズムを失わないまま奥行きを深めている。
後にこの手法が多くの類型を生んだだろうことは容易に想像できるのだが、楽曲のポピュラリティとバンドの演奏能力の高さが伴わなわず失敗したか、失敗していることにも気づかず表層的な模倣だけが蔓延することになる。
(追加:2019年9月10日)
1990
Wrong Way Up : Eno / Cale
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イーノとジョン・ケイルによる作品。
牧歌的プログレ、とでもいうような内容で、2人のヴォーカルを骨格にした楽曲で構成されている。
音量こそ抑えられているがバックの演奏はノイズだらけ、などということは無く、ヴォーカルを活かすチャーミングな演奏がひたすら続く。
唯一ポップでないのは2人の声質、などと言ったら怒られてしまうかもしれないが、勢いだけでは決して制作することができない、充分に作り込まれた内容となっている。
売れることよりも2人の関係構築で制作目的だったと思うのだが、難解な方向に向かわずここまでポップな路線にするのなら、2人のヴォーカルにこだわらず、例えば女性ヴォーカルでも大フィーチャーしてチャートを席巻する位に徹底して欲しかった。
もったいない...
(追加:2015年2月25日)