King Crimson Data Base
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DGM Live - King Crimson Lineup 7, 2008

2008/ 8/ 2    The Belcourt Theatre, Nashville, United States

  1. Introductory Soundscape
  2. Drum Duet
  3. The ConstruKction Of Light
  4. Level Five
  5. Neurotica
  6. Three Of A Perfect Pair
  7. Indiscipline
  8. Frame By Frame
  9. Dinosaur
  10. One Time
  11. Sex Sleep Eat Drink Dream
  12. BBoom
  13. Elephant Talk
  14. Red
  15. Drum Duet
  16. Thela Hun Ginjeet
  17. The Talking Drum
  18. Larks' Tongues In Aspic Part Two
  19. Sleepless
  20. VROOOM
  21. Coda Marine 475

フリップ、ブリュー、レヴィン&ツイン・ドラムの5名で再編されたキング・クリムゾンの Lineup 7 は、2008年8月に11回のライヴを行う。 そしてその11回のライヴが、この編成でのキング・クリムゾンのアウトプット全てとなってしまう。
2004年にフリップ、ブリュー、レヴィン、マステロットという編成、つまりガンが抜けてレヴィンが参加した Lineup 6' 編成で、” Form No. 1 ”(『 The 21st Century Guide To King Crimson Vol.2 1981-2003 』 に収録)と、Form No.2 ”(『 40th Anniversary Tour Box 』 に収録)や、DGM Live でいくつかの作品がリリースされており、いずれも習作の域は出ていないものの、新曲を試みている。
一方、この時期のライヴではフリップのサウンドスケープスとツイン・ドラム・ソロを除くと、全編既発表曲で構成されている。
(追加:2020年8月25日)

 

2008/ 8/ 3    The Belcourt Theatre, Nashville, United States

  1. Introductory Soundscape
  2. Drum Duet
  3. The ConstruKction Of Light
  4. Frame By Frame
  5. Red
  6. Neurotica
  7. Three Of A Perfect Pair
  8. VROOOM
  9. Coda Marine 475
  10. Walking On Air
  11. BBoom
  12. Dinosaur
  13. Level Five
  14. The Talking Drum
  15. Larks' Tongues In Aspic Part Two
  16. Drum Duet
  17. Thela Hun Ginjeet
  18. Indiscipline
  19. Elephant Talk

同じ場所での2日連続での演奏ということもあり、2日続けて会場に足を運んだ人も多いと想像される。
初日が全編既発表曲で構成されたこともあり、この日は新曲が聴けるかもと思った人も多かっただろうが、その思いはあっさりと裏切られる。 この2日間、というか Lineup 7 のレパートリーは、Discipline Crimson と Double Trio Crimson の楽曲を中心に、” Talking Drum ~ LTIA2 ” と ” Red ”、” The ConstruKction Of Light ” と ” Level Five ” である。
一言で言えば、非常に偏った曲構成である。 そうなった理由がどこにあるのか。
(追加:2020年8月25日)

 

2008/ 8/ 6    Park West, Chicago, USA

  1. Introductory Soundscape
  2. Drum Duet
  3. The ConstruKction Of Light
  4. Frame By Frame
  5. Red
  6. Neurotica
  7. Three Of A Perfect Pair
  8. VROOOM
  9. Coda Marine 475
  10. One Time
  11. BBoom
  12. Dinosaur
  13. Level Five
  14. The Talking Drum
  15. Larks' Tongues In Aspic Part Two
  16. Drum Duet
  17. Thela Hun Ginjeet
  18. Sleepless
  19. Indiscipline
  20. Elephant Talk

シカコのパーク・ウェストでの3連続公演の初日の音源。

この編成でのライヴの選曲が隔たっていた理由は判りやすく、ブリューの意向が強く現れた結果である。
” One Time ” や ” Waling On Air ” といった Double Trio Crimson 期においてもツイン・ドラムというフォーマットを活かせていなかった楽曲を、再びそのフォーマットを活かすことなく再演しているのは、ブリューが唄いたかった、ただそれだけであることを表している。
曲のアレンジが大きく変わったのはリズム隊が再構成されという判りやすい理由があるのだが、ブリューの唄いたいという意向が強く反映された理由がどこにあるのかは、よく判らない。
(追加:2020年8月25日)

 

2008/ 8/ 7    Park West, Chicago, Illinois

  1. Introductory Soundscapes
  2. Drum Duet
  3. The ConstruKction Of Light
  4. Red
  5. Frame By Frame
  6. Neurotica
  7. Three Of A Perfect Pair
  8. The Talking Drum
  9. Larks' Tongues In Aspic Pt II
  10. One Time
  11. B'Boom
  12. Dinosaur
  13. Level Five
  1. Sleepless
  2. VROOOM
  3. Coda Marine 475
  4. Drum Duet
  5. Thela Hun Ginjeet
  6. Elephant Talk
  7. Indiscipline

Adrian Belew    Guitar, Voice
Robert Fripp    Guitar, Soundscapes
Tony Levin    Bass, Stick, Backing Vocals
Pat Mastelotto     Drums and Percussion
Gavin Harrison    Drums and Percussion

シカコ のパーク・ウェストでの2日目の演奏。 2020年に Lineup 7 の全公演がリリースされるまでの間、本ライヴのみが公開されていた。

この時期のライヴはブリュー色が色濃くでた演目だった一方で、編成上の特徴はダブル・ドラムと、レヴィンの復帰に伴う「ベース・プレイヤー」の存在である。
やはり右手の指(もしくはピック)による演奏は、フレット上のタッチによる発音が基本となるガンの演奏と異なり、楽曲の躍動感が増している。 それを意図的に感じさせているのが ” Sleepless ” で、原曲以上にハイパーな演奏がレヴィンの復帰による効果を存分に発揮している。
Double Trio Crimson 時代の ベース+スティック or ダブル・スティックの楽曲や、『 The ConstruKction Of Light 』 以降の純粋なベース奏者ではないガン時代の楽曲を独りで弾きこなすのは、レヴィンであったとしてもそれなり以上の苦労があったのかもしれない。 ただそれを、聴いている私達に全く感じさせないところが、レヴィンの凄いところである。
(追加:2008年9月10日)
(変更:2020年8月25日)

 

2008/ 8/ 8    Park West, Chicago, USA

  1. Introductory Soundscape
  2. Drum Duet
  3. The ConstruKction Of Light
  4. Neurotica
  5. Red
  6. Three Of A Perfect Pair
  7. Dinosaur
  8. The Talking Drum
  9. Larks' Tongues In Aspic Part Two
  10. Walking On Air
  11. BBoom
  12. Frame By Frame
  13. Level Five
  14. Sleepless
  15. Indiscipline
  16. Drum Duet
  17. Thela Hun Ginjeet
  18. Elephant Talk
  19. VROOOM
  20. Coda Marine 475

シカゴのパーク・ウェストでの3連チャンの最終日の演奏。

この編成での編成でもうひとつ特徴的なのが、ツイン・ドラムの存在である。
過去においても、ブルフォード+ミューア、ブルフォード+ブリュー、ブルフォード+マステロットというツイン・ドラム編成があったが、「ドラム担当」と「パーカッション担当」と演奏上役割が分かれてしまうことが多かった。 一方本編成ではそうした明確な役割分担がなく、裏拍子の強調、意図的なずらし、エコーのように聴こえるパートをもうひとりが担当する等、ツイン・ドラムによる複雑怪奇な演奏が行われている。
1公演で2回演奏される ” Drum Duet ” の完成度は、日に日に上がっていく、というより初期はあまり面白みがないのだが、既発表曲のバックでの演奏は変化に富んでいてとても面白い。 後のトリプル・ドラムという発想は、本編成での成果があったからこそ出てきたものだと思う。
(追加:2020年8月25日)

 

2008/ 8/11    Keswick Theatre, Philadelphia, United States

  1. Introductory Soundscape
  2. Drum Duet
  3. The ConstruKction Of Light
  4. Red
  5. Frame By Frame
  6. Neurotica
  7. Three Of A Perfect Pair
  8. The Talking Drum
  9. Larks' Tongues In Aspic Part Two
  10. One Time
  11. BBoom
  12. Dinosaur
  13. Level Five
  14. Sleepless
  15. VROOOM
  16. Coda Marine 475
  17. Drum Duet
  18. Thela Hun Ginjeet
  19. Elephant Talk
  20. Indiscipline

フィラデルフィアに移動し、ケズウィック・シアター初日の演奏。

そしてフリップである。
楽器の演奏力について語れるだけのバックグラウンドが私には無いが、それでも7人編成以降の、つまり2014年以降のフリップの演奏にミスが増えてしまっていることには気づいている。 一方この時期の演奏はそのようなことはなく、演奏自体は安心して聴いていられるが、緊張感もそれほど感じられない。
ディシプリン・クリムゾン以降の編成でのライヴを観る機会に私は恵まれたこともあり、本来この時期のライヴを観ることができなかったことをもっと悔やんでも良いと思うのだが、そこまでの思い入れが出てこない。 この時期のフリップの演奏に覇気があまり感じられなかったことが、その理由なのだと思う。
(追加:2020年8月25日)

 

2008/ 8/12    Keswick Theatre, Philadelphia, United States

  1. Drum Duet
  2. The ConstruKction Of Light
  3. Neurotica
  4. Red
  5. Three Of A Perfect Pair
  6. Dinosaur
  7. The Talking Drum
  8. Larks' Tongues In Aspic Part Two
  9. Walking On Air
  10. BBoom
  11. Frame By Frame
  12. Level Five
  13. Indiscipline
  14. Drum Duet
  15. Thela Hun Ginjeet
  16. Elephant Talk
  17. VROOOM
  18. Coda Marine 475

ケズウィック・シアターでの2日目の演奏。

私は、この時期のキング・クリムゾンに対してフリップ自身が不満足であったと勝手に推測している。
この北米での短期ツアーの後しばらくして、ブリューのダブル・ブッキングにフリップが怒って云々、というのがまことしなやかに話題になっていたがあったし、勿論そういう事実もあったのかもしれない。 しかしそれ以上に、リズム隊の再構成によるアレンジの変化があったにもかかわらず、ブリュー色が強くなることで、「複雑なギターのインター・プレイをバックにした歌モノ・バンド」という判り易い括りに収まることを、フリップが良しとしなかったことが大きかったんだと思う。
この時期ギターの演奏には余り表れなかったフリップの過激さが、こうした形で噴出していたのだとすると、それはそれで味わい深い。
(追加:2020年8月25日)

 

2008/ 8/14    Nokia Theatre, New York, USA

  1. Introductory Soundscape
  2. Drum Duet
  3. The ConstruKction Of Light
  4. Neurotica
  5. Red
  6. Three Of A Perfect Pair
  7. Dinosaur
  8. The Talking Drum
  9. Larks'Tongues In Aspic Part Two
  10. Walking On Air
  11. BBoom
  12. Frame By Frame
  13. Level Five
  14. Indiscipline
  15. Drum Duet
  16. Thela Hun Ginjeet
  17. Elephant Talk
  18. VROOOM
  19. Coda Marine 475

Lineup 7 は、最後にニューヨークのノキア・シアターで4連続演奏した後フェードアウトするのだが、そのラスト4連チャンの初日を収録したもの。

一方、フリップが Lineup 7 から Lineup 8 に発展させていった点もある。
先ず「ドラム奏者+パーカッション奏者」ではなく、「ドラム奏者2人」という編成での表現に可能性を感じたことが、「ドラム奏者3人」へと発展していったことは容易に想像できる。
また高音域でのソロ演奏も行っていたガンから低音域中心のレヴィンへの変更によって、リード楽器がギター2本になってしまったことへの対策が、Jakszyk, Fripp and Collinsでの検証へてメル・コリンズ復活に継ったと想定できる。
そう考えると短期間で終わったとはいえ、Lineup 7 の果たした役割も捨てたものではない。
(追加:2020年8月25日)

 

2008/ 8/15    Nokia Theatre, New York, USA

  1. Introductory Soundscape
  2. Drum Duet
  3. The ConstruKction Of Light
  4. Red
  5. Frame by Frame
  6. Neurotica
  7. Three Of A Perfect Pair
  8. The Talking Drum
  9. Larks' Tongues In Aspic Part Two
  10. One Time
  11. BBoom
  12. Dinosaur
  13. Level Five
  14. Sleepless
  15. VROOOM
  16. Coda Marine 475
  17. Drum Duet
  18. Thela Hun Ginjeet
  19. Elephant Talk
  20. Indiscipline

ニューヨークのノキア・シアターでの2日目の演奏。

キング・クリムゾン = “ 21st Century Schizoid Man ” というのもいい加減どうかと思うが、それでもこの Lineup 7 において同曲が披露されなかったのは疑問が残る。同曲は Lineup 5 でも 6 でも披露されていただけに、ブリューが唄えない曲ではないのに外されている。
また、Lineup 7 で演奏された Lineup 3 以前の楽曲は、” Talking Drum ~ LTIA2 ” といったインストであり、歌モノはブリュー加入後の楽曲で構成されている。
“ 21st Century Schizoid Man ” をこの時期演奏しなかったのは、オール・タイム・ナンバーを演奏するまで「とっておく」ことを既に決めたいたのかもしれない。
(追加:2020年8月25日)

 

2008/ 8/16    Nokia Theatre, New York, USA

  1. Drum Duet
  2. The ConstruKction Of Light
  3. Neurotica
  4. Red
  5. Three Of A Perfect Pair
  6. Dinosaur
  7. The Talking Drum
  8. Larks' Tongues In Aspic Part Two
  9. One Time
  10. BBoom
  11. Frame By Frame
  12. Sleepless
  13. Level Five
  14. Indiscipline
  15. Drum Duet
  16. Thela Hun Ginjeet
  17. Elephant Talk
  18. VROOOM
  19. Coda Marine 475

ニューヨークのノキア・シアターでの3日目の演奏。

ただ、Lineup 8 以降オール・タイム・ナンバーを演奏するようになった理由は、ブリューによる癖のあるヴォーカルが無難なジャッコに変わったことだけではないと思う。
Lineup 7 の段階でガンからレヴィンに交代し、その後リード楽器奏者としてのコリンズと飛び道具的なノイズ・メーカーでもあるビル・リーフリンが加入したことで、インスト・パートが何でもできちゃうようになったことも、オール・タイム・ナンバーを演奏するバンドに変わった理由であると思う。
Lineup 7 の役割は、こう考えるとやはり大きい。
(追加:2020年8月25日)

 

2008/ 8/17    Nokia Theatre, New York, USA

  1. Introductory Soundscape
  2. Drum Duet
  3. The ConstruKction Of Light
  4. Red
  5. Frame By Frame
  6. Neurotica
  7. Three Of A Perfect Pair
  8. Sleepless
  9. VROOOM
  10. Coda Marine 475
  11. Walking On Air
  12. BBoom
  13. Dinosaur
  14. Level Five
  15. The Talking Drum
  16. Larks' Tongues In Aspic Part Two
  17. Drum Duet
  18. Thela Hun Ginjeet
  19. Elephant Talk
  20. Indiscipline

Lineup 7 の最後の演奏を収録したもの。

勿論、オール・タイム・ナンバーを演奏するバンドにキング・クリムゾンが変化していった理由は、音楽的探究心だけではなく、音楽マーケット全体がCD等のメディアではなく、コンサートで稼ぐ方向に変化したことが挙げられる。 その徴候は既に2000年代後半から見られていたわけだが、Lineup 7 で演奏した/演奏できた楽曲だけでは、そのニーズに応えることはできなくなっていたのも事実である。
ただ現編成がスコアをそのままなぞるような懐メロ・バンドではなく、楽曲を深化させているのがキング・クリムゾンの凄いところで、そうした萌芽が Lineup 7 で既にあったことは特筆に値すると思う。
(追加:2020年8月25日)