2003/ 2/28 Orange Peel, Asheville, United States
2002年をセッション、レコーディング、編集に費やしたキング・クリムゾンは、2003年2月(日本では1月)に 『 The Power To Believe 』 をリリースし、同作のプロモーションを兼ねたツアーを開始する。
本作品はそのツアーの初日、アメリカ合衆国アッシュビルでのライヴを収録した作品である。
1年以上のライヴのブランクがあるだけに、個々の演奏ミス以上にオペレーションや構成のミスが散見している。 特に ” Level Five ” においてはフリップ、ブリュー、ガンの3人によるカッティングによるポリリズムのパートでは、フリップと思われるギターの音が出ていないため、単にリズム感の悪いギター・パートとなってしまっている。
(追加:2023年12月10日)
2003/ 3/ 1 Variety Playhouse, Atlanta, United States
ツアー2日目の演奏なのだが、ラスト3曲しか音源が残っていないとのこと。
翌日のライヴはブリューが体調を崩し欠場して ProjeKct Three フォーマットで演奏するのだが、この日既に体調を崩していたのかもしれない。 3曲しか残っていないのか、蔵出ししなかったのかは判らない。
(追加:2023年12月10日)
2003/ 3/ 4 Birchmere, Alexandria, VA
2003年の最初期のライブ音源。
前日の3月3日はブリューが体調を壊したためブリュー抜きの ProjeKct Three 形態でライヴを実施(
KCCC34
としてリリース済み)している。
そんなこともあり、若干の演奏ミスがあったりするのだが、それはそれで貴重に思えたりする。
そもそも難曲だらけのセット・リストであることを踏まえると、リハーサル不足にもかかわらずここまでの演奏を行ってることに凄さを感じてしまう。
(追加:2013年8月25日)
2003/ 3/ 5 Town Hall, New York, United States
一言で言うならば、ブリューの体調を考慮したコンパクトなライヴである。
ライヴ欠場後の前日のブリューの演奏、特に声の調子は良くなかった。 それを踏まえててか全体に短め、ヴォーカル曲数も少なくなっている。 ” VROOOM ” ではなく ” Red ” を演奏しているのも関係あるのかもしれない。
その結果レパートリーに不足感は否めないものの、演奏自体は ” Facts Of Life ” を除けばしっかりしていて総じて濃い内容となっている。
(追加:2023年12月10日)
2003/ 3/ 7 Tower Theatre, Philadelphia, United States
” The Power To Believe I ” で始まり ” The Power To Believe III ” で終了し、その間は ” The Power To Believe II ” 他 Lineup 6 の楽曲のみを演奏し、その後アンコールに突入する、というコンセプチュアルなライヴ構成となっているのが特徴。 Lineup 6 よりも前の編成時の楽曲を聴きたいと思った人の期待には全く応えていないが。
前日の3月6日には前々日の3月5日と同じニューヨークのタウン・ホールでライヴを行われているが、その音源は残っていないとのこと。
(追加:2023年12月10日)
2003/ 3/ 8 Orpheum Theatre, Boston, United States
本編が ” The Power To Believe ” で始まり終わり、Lineup 6 の楽曲だけで構成するのは前日と同じで、アンコールに ” Dinosaur ” が追加されている。
この2日間の演奏を聴くと、翌月の日本でのツアーでの演目が日本人受けを考慮して Lineup 6 の楽曲以外を増やしていることが判る。 この Lineup 6 の楽曲にフォーカスすることがこの時期のクリムゾンが狙っていたことなのかもしれない。
ただ前日と異なり ” Larks' Tongues In Aspic Part IV ” はかなりヘロヘロな内容となっている。
(追加:2023年12月10日)
2003/ 3/10 Albert Rousseau Theatre, Quebec City, Canada
冒頭の ” The ConstruKction Of Light ” の演奏が途中から収録されているのだが、いきなり音が外れている。 なので「あれ、これって ” The ConstruKction Of Light ” だよね」っと聴いている側にいきなりの緊張感が強いられる内容である。
ブリューのコンディションはほぼ回復したのか ” The Worlds My Oyster Soup Kitchen Floor Wax Museum ” だけでなく ” One Time ” が復活しており、前日までのコンセプチャルな構成に留まらない内容となっている。
また前日はヘロヘロだった ” Larks Tongues In Aspic Pt IV ” は完璧な内容で、このツアーでのベスト・テイクかもしれない。
(追加:2023年12月10日)
2003/ 4/12 Matsumoto Bunka, Kaikan, Japan
2003年の来日ツアーの初日の演奏を収録した作品。
1995年来日時の神奈川県民ホール、2000年の Tribute To The Love Generation と、来日公演初日でマイナー(キャパ小さめ)な会場でライヴを行うキング・クリムゾンだが、この年は松本文化会館であった。 ちなみに当時長野市に住んでいた友人から「前日まで連日、地元のFM放送でライヴの告知が流れていた」との情報があったので、超満員御礼にはならなかったのではないかと推測される。
日本ツアーの直前まで北米ツアーをしていたこともあり、演奏は総じて安定している。 ” VROOOM ” での2回目のメイン・リフの入りをギター(フリップ?)1本が入りをしくじるのだが、そこで生じたズレもその後戻す所も逆に格好良いと思えてしまう程である。
(追加:2023年5月10日)
2003/ 4/13 Hitomi Memorial Hall, Tokyo, Japan
2003年日本ツアーでの追加公演を収録した作品。
追加公演といっても初日(前日の12日)と本来の2日目(15日)との間が開いており、初めからブッキングしていたのかもしれない。
演奏はとても手堅い印象がある。 前日ギターの入りでミスのあった ” VROOOM ” では、当該部分直前からのドラム演奏をシンプルにしてタイミングを間違えないようにしている所はやり過ぎと思える程の慎重さが伺える。
前日から移動もあったが松本から東京の距離は短く、時差が残っていた初日よりコンディションは良かったものと思われる。
(追加:2023年5月10日)
2003/ 4/15 Kosei Nenkin, Tokyo, Japan
東京厚生年金会館に移って初日の演奏。
この日も演奏は手堅いのだが、”ELEKTRIK ” の途中でブリューのギターの音が聴こえなくなってしまう。 多分なんだかのペダル操作のタイミングで音が出なくなっと思うのだが、演奏はそのまま続き音も復旧する。 何事もなかったように演奏を続けその後も引きづらない、というのは大変なことだと思うのだが サラッと熟している。
映像作品 『 Eyes Wide Open 』 日本語ライナーによると、同作収録の 『 Live In Japan 』 の中で ” ProzaKc Blues ” のみがこの日の演奏から採用されているとのこと。
(追加:2023年5月10日)
2003/ 4/16 Kosei Nenkin, Tokyo, Japan
東京厚生年金会館での2日目の演奏を収録した作品。
この日の演奏は 映像作品の 『 Eyes Wide Open 』 に収録( ” ProzaKc Blues ” を除く)されているが、その演奏曲目に違いがある。
DGM Live の解説によれば、マルチトラックADATに ” The ConstruKction Of Light ” は残っていなかったため本作品には収録されていなが、サウンドボード録音の ” The Power To Believe III ” と ” VROOOM ” を追加収録している。
(追加:2023年5月10日)
2003/ 4/17 Kosei Nenkin, Tokyo, Japan
東京厚生年金会館3連続の3日目。
撮影が行われた前2日間の演奏が必ずしもベストな状況ではなかった理由がその撮影による注意力の問題かと思ったが、この日の演奏もベストではない。 というかこの時期のキング・クリムゾンは、一人ひとりの演奏というよりバンドとしてのアンサンブルが乱れることがある。 この辺り現行のキング・クリムゾンにアンサンブルの乱れが殆ど無いのと対象的である。
トリプル・ドラム時期から演奏している ” VROOOM ” や ” Dinosaur ” の演奏い、この日も乱れが顕著に現れている。
(追加:2023年5月10日)
2003/ 4/19 Mielpark Hall, Fukuoka, Japan
福岡に移動し福岡メルパルクホールでの演奏を収録した作品。
東京厚生年金会館での演奏/機材トラブルは続いてしまっている。 ” One Time ” のイントロ・パートではブリューのギター・トラブルから交換するため、ブリュー以外の3人で演奏をカヴァーしている。 また ” Dinocaur ” ではやはりイントロ・パートでギター・シンセサイザーの制御が不能状態になっている。
” Elephant Talk ” を演奏は唐突感はあるものの流れを断ち切るのには成功し、” VROOOM ” の演奏を勢いでこなしている。
(追加:2023年5月10日)
2003/ 4/20 Aichi Kosei Nenkin Kaikan, Nagoya, Japan
2003年来日時の、名古屋のライヴ音源。
この時の他の音源は未だリリースされていない。
本ライヴ、及び他の来日公演のレポートについては、当時会場に足を運んだ方々のレポートをまとめているので参考にしていただきたい。
しかし、すでにあれから10年もの年月が過ぎているのだが、このままこれが最後の来日公演になってしまうのだろうか。そうならないことを切に願う。
(追加:2013年8月25日)
幸いなことに2003年の日本公演の全音源が公開され、更にその後2015年、2018年、2021年と来日公演が行われた。
(追記:2022年10月25日)
2003/ 4/21 Osaka Kosei Nenkin Kaikan, Osaka, Japan
日本公演最終日、大阪簡易年金会館での演奏を収録した作品。
この日本ツアーは、機材設定という観点からは完全に失敗だったと思う。 とにかく連日トラブルが発生しており、演奏する上での集中力に影響を与えたことは想像に難くない。
ツアー終盤に ” Elephant Talk ” と ” Red ” がセットリストに加わったのは、負のスパイラルからの脱却を目的としてものだと想像できるし、また成功していると思う。
ただ今にして思うと、この時期ならではのヌーヴォ・メタルの完成形を観たかった。
(追加:2023年5月10日)
2003/ 6/ 8 Finlandia Hall, Helsinki, Finland
4月の来日公演を終えた後、クリムゾンは6月から7月にかけてヨーロッパ・ツアーを行っている。
本音源は、そのヨーロッパ公演からフィンランドのヘルシンキでのライヴを収録したもの。
ヴォリュームはCD1枚相当のコンパクトなものだが、これは録音上の問題では、実際には日本公演同等の演奏が行われたとのこと。 フィンランドでのクリムゾンの人気がどの程度なものかわからないが、数少ない生クリムゾンに接する機会で曲数がこれだかだったら、悲しい思いになるはずだ。
ただ、音源作品としてはこの時期のライヴを的確に捉えており、聴くだけの立場だとそれなりに楽しむことができる。
(追加:2013年8月25日)
本作品は、King Crimson Collectors' Clubu の44作品目としてリリースされた 『
Live in New Haven, CT 2003 』 と同じもの。
(追加:2019年9月10日)