2000/ 5/27 Amager Bio, Copenhagen, Denmark
ブリューの地元、ナッシュビルでの4回のウォームアップ・ギグを終えたキング・クリムゾンの、1ヶ月強23回のヨーロッパ・ツアーの初日の音源。
初日なのでしょうがないことだと思うが、” The ConstruKction Of Light ”、” FraKctured ”、”
Larks' Tongues In Aspic Pt IV ” といった新曲の中でも難曲での演奏にはミスが散見される。
” Improv I
” は、ProjeKct X 名義の ” Heaven And Earth ”
をベースに、ブリューとフリップがギターを弾きまくるところが格好良く、『 Heaven & Earth 』 の中の 『 Live
ConstruKction 』 収録の ” Improv : Heaven Groovistica ( Copenhagen ) ”
は、その殆どがこの日の演奏を元にしていると思われる。
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(追加:2019年8月25日)
2000/ 5/28 Amager Bio, Copenhagen, Denmark
前日と同じ会場で行われた音源。
本編成でのツアーが始まった直後という状況を踏まえると、移動やセッティングの変更が無いまま演奏を行えたことが功を奏したと思われる。 ”
FraKctured ” の後半は前日同様乱れるが、” The ConstruKction Of Light ” と ” Larks'
Tongues In Aspic Pt IV ” よりも安定した演奏となっている。
(追加:2019年8月25日)
2000/ 5/30 Musikhalle, Hamburg, Germany
ドイツでの初日の演奏。
この日の演奏は、『 Heavy ConstruKction 』 にも 『 Heaven & Earth 』
にも採用されていない。 ” The ConstruKction Of Light ”、” FraKctured ”、” Larks' Tongues
In Aspic Pt IV ” の難曲3曲にミスが出てしまうのは仕方がないにせよ、全体に冴えない演奏だったのが、採用されなかった理由と思われる。
” The Worlds My Oyster Soup Kitchen Floor Wax Museum ”
でのフリップの投げやりなソロに惹かれるところはないし、” Improv I ”
でのサウンドスケイプス → ギターのロングトーン → ギターのカッティング、という展開にも創造性がない。 そして何にも増して、” Heroes ”
の入りが格好悪い。
(追加:2019年8月25日)
2000/ 5/31 Columbia, Berlin, Germany
ドイツでの2日目、なのだが唐突なまでに素晴らしい内容になっている。
演奏のミスは少なくなったとはいえ、” The
ConstruKction Of Light ” でのフリップの外しっぷりは結構酷い。
ただそんなミスがどうこうといった話ではなく、演奏の勢い、迫力をほぼ全曲を通して感じることができる。
” VROOOM ”
での2回目のメインフレーズに入る時のリズムの変化も画期的だし、前日は失敗した ” Heroes ” のイントロ・パートも素晴らしい。
(追加:2019年8月25日)
2000/ 6/ 2 Serenadenhof, Nurnberg, Germany
DGM Live
の解説通り、冒頭のミスがモニターの問題によるものとするならば、ここまでのヨーロッパ・ツアーの中で最もミスが少ない演奏である。
では演奏も素晴らしいかと言うとそんなことはなく、聴いていてワクワクする所が少ない。
前日の演奏で手応えを感じたことで、逆に守りに入った演奏をしているようにも思える。
そんなこともあってか、『 Heaven & Earth 』 には映像以外、本ライヴからは採用された作品がない。
(追加:2019年8月25日)
2000/ 6/ 3 Liederhalle, Stuttgart, Germany
このヨーロッパ・ツァーの中でも、無難な演奏を行っている。
大きな演奏ミスは、(まさかの)” One Time ”
だけで安心して聴いていることができるがそれだけである。
『 Heavy ConstruKction 』 の ” ccccSeizurecc
” には、この日の ” Improv I ” が多く流用されていると思われる。
(追加:2019年8月25日)
2000/ 6/ 4 Circus Krone, Munich, Germany
” The ConstruKction Of Light ” はトレイ・ガンが入りから間違え、” FraKctured ”
はギターの絡みが最初から上手くいかない。 では ” Larks' Tongues In Aspic Part IV ”
がどうかというと、細かいミスは散見するものの勢いで上手く押し切っている。 難曲3曲の内、弦楽器群のコンビネーションが肝となる2曲に比べ、”
Larks' Tongues In Aspic Part IV ” は個々のソロ・パートが多いだけに、まとめ方が早い段階で出来たように思える。
ただ同曲の後に残っていたのが緩めの曲であったため、” Heroes ” が演奏されるまで盛り上がりに欠けてしまっている。
(追加:2019年8月25日)
2000/ 6/ 6 Museumsplatz, Bonn, Germany
このヨーロッパ・ツアーの中でもトップ・レベルの内容である。
演奏ミスをしようが、ミスを回避するために無難な内容に陥ろうが、とにかく連日演奏し続けた成果がここに結集している。
曲順を入れ替えただけの同じ15曲に固執したことが、難曲3曲を含めた全曲の完成度向上に繋がったといえる。
演奏側もその手応えを感じたらしく、この日の演奏から多くのマテリアルが使われている。
(追加:2019年8月25日)
2000/ 6/ 7 Stadthalle, Offenbach, Germany
流石に2夜連続凄まじい演奏が行われることはなかったものの、達成感からくる余裕からかインプロ・パートが15分弱にも及んでいる。
便宜上3曲に分けてクレジットされているが実質は1曲で、『 Heaven & Earth 』 の映像では ” Improv : Offenbach”
と1曲でクレジットされている。 ” Improv Pt I ” では地味なインプロが続き、そこからリフとギター・ソロが絡む ” Improv Pt
II ” に突入し、” Cage ” の前奏曲のような ” Improv Pt III ” へと展開していく。
また、『 Heavy
ConstruKction 』 には、” Improv Pt I ” に ”Improv Pt III ” を繋げた ” Ipmrov :
Offenbach ” と、” Ipmrov Pt I ” を編集した ” Off And Back ” が収録されている。
(追加:2019年8月25日)
2000/ 6/ 9 Arena, Poznan, Poland
7回に及んだドイツでのライヴを一旦終え、ポーランドに移っての初日の演奏。
ここまでのヨーロッパ・ツアーにいて、インプロ含め固定した15曲を律儀に演奏していたのだが、初めて ” FraKctured ”
を演奏しないという選択をしている。 以降同曲は本ヨーロッパ・ツアーで演奏されないケースが増えていく。
(追加:2019年8月25日)
2000/ 6/10 Roma, Warsaw, Poland
ワルシャワでの初日の演奏で、” FraKctured ” が復活している。
ただやはり前日に演奏していないことを踏まえてか、指定席であった4曲目から、演奏がこなれた中盤にもってきている。 そして代わりに前半にもってきた ”
Improv : I ” では、ブリューの趣味でビートルズの ” Tomorrow Never Knows ” が引用されている。
また、原因は不明であるが ” Sex Sleep Eat Drink Dream ” は演奏中に中断、そのまま終了している。
(追加:2019年8月25日)
2000/ 6/11 Roma, Warsaw, Poland
ワルシャワでの2日目の演奏。
この日の演奏では、” VROOOM ”
での2回目のメインフレーズに入る時に絡んでくるギターが非常に格好良い。 ここにギターが被せるパターンは珍しくアドリブによるものと思われる。
ただこれで気を良くしてしまったのか、続く ” FraKctured ”
では6分過ぎのギター・パートで演奏を見失ってい、ガンとマステロットだけが虚しく演奏することになる。
本ライヴからは、『 Heavy ConstruKction 』 には、前日と同じ編集が収録されている。
(追加:2019年8月25日)
2000/ 6/13 Archa Theatre, Prague, Czech Republic
チェコのプラハで行われたライヴ。
” FraKctured ” だけでなく、” Three Of A Perfect Pair ”
も ” Deception Of The Thrush ”
も演奏されておらず、23回に及ぶヨーロッパ・ツアーの中で最も少ない13曲しか演奏されていない。
演奏された曲自体は悪くないにもかかわらず、そうなってしまった原因は、” VROOOM ”
演奏時にカメラ撮影されたことを怒ったフリップが、客席ライトの点灯とカメラの没収を要求、そしてステージから一旦降りてしまったためである。
この顛末は、『 Heavy ConstruKction 』 には ” ” Lights Please ( Part 1 ) ” と ” Lights
Please ( Part 1 ) ” としててコラージュされるとともに、『 Heaven & Earth 』 にはその全編が映像収録されている。
(追加:2019年8月25日)
2000/ 6/14 Haus Auensee, Leipzig, Germany
再びドイツに戻ってのライヴ。
一言で言えば、無難な演奏。 ” Larks Tongues In Aspic Pt IV ”
冒頭の機材トラブルでも演奏を止めることなくこなしている。 多分前日のチェコでのライヴも、Light Please
事件が発生しなければ、この日のライヴと同じような展開だったのではないかと想像される。
本ライヴからは、『 Heaven & Earth 』 の映像版にのみ採用されており、演奏に面白さが無かったことがその理由かもしれない。
(追加:2019年8月25日)
2000/ 6/20 Piazza Cima, Conegliano Veneto, Italy
1週間弱の休みを経て再開されたヨーロッパ・ツアー初日、イタリアでのライヴ。
定番のアンコールであった ” Heroes ”
が初めて演奏されず、以降同年秋の日本でのライヴも演奏される/されないが日によって異なり、多くの人を喜びと落胆に陥れることになる。
『
Heaven & Earth 』 の中の 『 Live ConstruKction 』 に収録されている ” Improv : Mastelotto Maximatamus Est (Conegliano)
” は、” Improv I ” の冒頭部分をカットしている。
(追加:2019年8月25日)
2000/ 6/21 L'Ampiteatro, Gardone Riviera, Italy
DGM Live のライナーでは、べた褒めされているイタリアでの2日目のライヴ。
確かに、無難にまとめてみました、といった安易な演奏ではないが、個人的にはもう少し破天荒さがある演奏の方が好みである。
この辺りのバランスのとり方は演奏する側にはすごく難しいことで、聴いているだけの私がとやかく言うことではないのは充分承知しているが、同ライナーで絶賛されている
” Improv II ” にしても、前日の ” Improv I ” をベースにしていて大きな変化があるものではない。
(追加:2019年8月25日)
2000/ 6/22 Campo del Amicizia, Legnano Milan, Italy
本ライヴでの特徴は、10日ぶりに ” FraKctured ” を演奏したところにある。
難曲の10日ぶりの演奏となると、当然ミスの多発が想像されるのだが、ほぼ完璧に演奏している。
しかも可もなく不可もなく、ではなく、スリリングな演奏を展開している。
ライヴで演奏しないまでも、リハ等では演奏していた成果と思われるが、この唐突感は凄い。
『 Heaven & Earth 』
の映像盤には、この見事な ” FraKctured ” も収録されている。
(追加:2019年8月25日)
2000/ 6/23 Citta Della Musica, Rome, Italy
状況の悪さが重なってしまった残念なライヴである。
先ずブリューの機材の調子が悪く、『 Eyes Wide Open 』
の映像で明らかになったように、インプロ2曲でブリューがギターを演奏する時間は短い。 また、本音源からも、” One Time ”
に入る前に繋ぎのための即興演奏をしている。
そして写真撮影である。 ” Larks Tongues In Aspic Pt IV ”
の演奏直後にフラッシュが点灯、その後 ” Cage ” を演奏するためにブリューがギターをアコースティックに交換する間にフリップが出てきて、撮影をやめるように発言。 多分この後も撮影は続いたらしく、” Deception Of The Thrush
” 演奏後に唐突に終了、ブリューが「ロバートがおやすみと言っている」とコメント、その後客電がつくまでの間の混乱が全て収録されている。
フリップが、撮影や録音を発見した場合、コンサートを途中で終える可能性があることを、改めて認識してほしい。
『 Heaven & Earth 』 の中の 『 Live ConstruKction
』 には、” Improv : C Chill Uncill (Rome) ” が ” Improv : Mastelotticus SS
Blasticus (Rome)
” と順番を入れ替えて収録している。 また後者は中間部を3分程割愛している。
そして 『 Heaven & Earth 』
の映像には、インプロ2曲を含めた5曲を収録。 フリップの撮影やめろ発言も収録されている。
この日の演奏は、『 Heavy ConstruKction 』 の CD-Extra に以下の6曲が収録されている。
1.
Improv II
2. Larks Tongues In Aspic Pt IV
3. Cage
4. The Worlds My Oyster Soup Kitchen Floor Wax Museum
5. Sex Sleep Eat Drink Dream
6. VROOOM
” VROOOM ” の映像は、『 Heaven &
Earth 』 には収録されていないため、『 Heavy ConstruKction 』 でのみ確認できることになる。
(追加:2019年8月25日)
2000/ 6/25 Olympia, Paris, France
フランスに移動してのライヴ。
フランスでは1回のライヴということを意識したのか、それとも久々の屋内でのライヴで演奏に集中することができたためか、久々に安定かつ充実した演奏を行っている。
演奏曲目も14曲+インプロ1曲と、ヨーロッパ・ツアー初期に戻っている。
(追加:2019年8月25日)
2000/ 6/27 Zeleste, Barcelona, Spain
スペインの3回のライヴの初日。
あらためてキング・クリムゾンが内向的なバンドであることがわかる。 『 Heaven & Earth
』 の映像で確認すると、屋内でかつ非常に狭い箱であることが判る。 ” FraKctured ” は演奏されなかったものの充分な内容である。
こうして聴いてみると、イタリアでの野外での演奏というのが、キング・クリムゾンというかフリップにとって相当負荷が高かったことが判る。
(追加:2019年8月25日)
2000/ 6/28 Teatro Kursaal, San Sebastian, Spain
スペインでの2日目で、久々の野外。 しかも 『 Heaven & Earth 』
の映像を観て判ったのだが、野外コンサート・ホールというよりは、街の一画を区切ったスペースに過ぎず、隣接する建物には洗濯物が干してあったりする。
こういう状況下で、キング・クリムゾンというかフリップは集中した演奏ができず、ミスが連発する。 ただそのミスが功を奏したのか、” VROOOM ”
での2回目のメイン・フレーズではバラバラになった2人のギターがスリリングな展開をしている。
『 Heavy ConstruKction 』
には、” Improv I ” が ” Beautiful Rainbow ” と改題して収録されている。 これは前曲収録後にブリューが 「
Beautiful Night 」 と叫んだことから命名されたものと思われる。
そしてこのインプロは、『 Eyes Wide Open 』
では ” San Sebastion Improv : Crim Chill Thrill ” と、『 Heaven & Earth 』 の中の 『
Live ConstruKction 』 には、” Improv : Crim Chill Thrill (San Sebastian) ”
として収録されるのだが、ともにラスト1分半が強引にカットされている。
(追加:2019年8月25日)
2000/ 6/29 Riviera, Madrid, Spain
続く7月3日のロンドンでのコンサートを別途すれば、本ライヴはヨーロッパ・ツアーの実質最終日であった。
当然それなりの成果をバンドとしても出したかったはずだが、植物園のような天井の半野外の会場が影響してか、演奏に覇気がない。 ” VROOOM ”
も前日同様のミスをするのだが、そのリカバリーに面白みもない。 更に、” One Time ” の演奏が始まったところで、ブリューが ”
Dinosaur ” を演奏してしまうという集中力の無さも露呈している。
『 Heaven & Earth 』 の中の 『 Live
ConstruKction 』 には、” Improv I ” が ” Improv : Principio Mastelottico (Madrid)
” と改題して収録されているが、開始部分の少しと、後半をバッサリと削除している。
(追加:2019年8月25日)
2000/ 7/ 3 Shepherds Bush, London, England
ヨーロッパ・ツアーの集大成としての、シェパーズ・ブッシュ・エンパイアでのライヴ。
『 Eyes Wide Open 』
の 『 Live at the Shepherds Bush Empire 』
において本作品の全曲が映像版としてリリースされているが、その映像版は微妙に編集が異なっている。 ” Improv I Blasticus SS Blastica
” は冒頭1分強がカットされた上で、 『 Eyes Wide Open 』 では” London Improv 1 : Blasticus SS Blastica
” として収録されている。 他にも曲間に細かい違いがあるかもしれないが、この1分強の違いのためにも、『 Eyes Wide Open 』
を所有していても本音源を購入しなければならない。 奥が深い世界である。
また、同曲と ” Improv II C Blasticum ”
は、『 Heaven & Earth 』 の中の 『 Live ConstruKction 』 には、” Improv : Blasticus SS Blastica
” と ” Improv : C Blasticum
” と改題して収録されているが、前者は2分強、後者は30秒ほど冒頭がカットされている。
(追加:2019年8月25日)
2000/10/ 2 Tribute To The Love Generation, Tokyo, Japan
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キング・クリムゾンの2000年来日公演初日の演奏。
小規模な箱での演奏は、7月のシェパーズ・ブッシュ・エンパイア以来3ヶ月振りの演奏となったことを踏まえてリハーサルを想定していたものと思われる。 実際演奏はボロボロで、” The ConstruKction Of Light ” や ” FraKctured ” といった新曲ではアンサンブルの乱れを修正することができないまま演奏を続けていたりする。
それにしても、Tribute To The Love Generation である。 バブル時代を彷彿させるネーミングは当時からして充分恥ずかしかったと記憶している。 Google で検索してみてもクリムゾンのライヴ関係以外の情報が上位に出てこない程、時代の徒花であったことが判る。
(追加:2021年7月10日)
2000/10/ 3 Kanagawa Kenmin Hall, Yokohama, Japan
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キング・クリムゾンの2000年来日公演の実質初日となる演奏。
インプロの他 ” VROOOM ”、” Deception Of The Thrush ”、そして ” Heroes ” が復活しており、ブランクはあったものの日本でのツアーがヨーロッパ・ツアーの延長線上に位置づけられていることが判る。 新たに追加された ” Thela Hun Ginjeet ” については、やはりレヴィンによる演奏の方が良かったと思うが。
この後日本滞在中にブリューが体調を壊しライヴにもその影響が出てしまうのだが、この段階でのブリューは好調で、” Interlude ” において ” The Court Of The Crimson King ” のギター・パートを差し込むといったブリューらしい過度なサービス精神を発揮している。
(追加:2021年7月10日)
2000/10/ 4 Shibuya Kokaido, Tokyo, Japan
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2000年来日公演の東京初日のライヴ。
” Dinosaur ” 演奏前のブリューの操作ミス等、相変わらず演奏上のミスが散見されるのだが、この日はやはり ” Larks Tongues In Aspic Pt IV ” である。
途中までブリューのギターの音が出ないというトラブルの中、強引に演奏が続けられる。フリップのソロ・パートはともかくとして、メインのリフでは迫力は無くなるし、ギター2本が絡み合うパートではフリップがブリューの音を補うことなくそのまま演奏するため二人の役割分担が判る一方で曲としては半ば崩壊している。
幸いにもブリューのソロ・パート前にギター音は復活するのだが、復活しなかった場合の演奏がどうなったか聴いてみたかったりする。
(追加:2021年7月10日)
2000/10/ 5 Shibuya Kokaido, Tokyo, Japan
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演奏ミス、操作ミス、機材トラブル、はたまた体調不良と2000年の来日公演は多く不幸が重なった。 そんな中でも本公演は不幸が少なかった日と言える。
演奏ミスや操作ミスは散見するものの、前日のような酷い機材トラブルは発生せず、良くも悪くも無難な演奏となっている。 振れ幅の大きさをライヴの面白さの尺度とするのはどうかと思うが、問題が発生した時の対応、そしてそこから明らかになってくる個々の役割を確認できることが、この来日公演の楽しみである。
勿論そんな風に言えるのはこうして DGM Live からのアーカイヴ音源を一気に楽しむことができる今だからであって、ライヴ会場ではハラハラした緊張感が漂っていたと記憶している。
そして無難な本ライヴをこなした後、今回の来日公演最大の不幸が次のライヴで発生することになる。
(追加:2021年7月10日)
2000/10/ 7 Shibuya Kokaido, Tokyo, Japan
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後になって判るのだが、この日はブリューの体調が悪く声が枯れている。 元々ヴォーカリストとして卓越した能力は無いのだが、持ち歌である ” One Time ” も散々な内容となっている。 この辺りで見切りをつけたのかもしれないが、ライヴは短縮化され他の日と比べ30分弱短くなっている。 そして ” Heroes ” を期待する観衆の期待も虚しくライヴ終了のアナウンスが流されている。(しかもご丁寧にそのアナウンスまで収録されている。)
Double Trio Crimson の1995年の来日公演のようにステディなライヴも良いし、2000年の来日公演でのミスを含めてヴァライティに富んだライヴも好きだ。 だが流石にこの日の演奏は残念である。
(追加:2021年7月10日)
2000/10/ 9 Shi Kokaido, Nagoya, Japan
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名古屋に移動してのライヴを収録した作品。「 Shi Kokaido 」は「名古屋市公会堂」のこと。
1日の休みがあったもののブリューの体調は戻っていない。 それはヴォーカルだけではなく演奏にも影響が出ており、ライヴ開始早々 ” Thela Hun Ginjeet ” のイントロ・パートでいきなりミスをしてしまっている。
それ以外にも全体に覇気はなく、本来であればライヴを中止していてもしょうがない程の体調であったのかもしれない。 ヴォーカル・ナンバーである ” Heroes ” は演奏されず、ラストの ” Deception Of THe Thrush ” では殆ど演奏に参加しておらず、ProjeKct Three での演奏となっている。
(追加:2023年6月25日)
2000/10/10 Festival Hall, Osaka, Japan
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ボロボロだった名古屋での翌日、大阪でのライヴを収録した作品。
ブリューの喉は若干回復したのか、” Cage ” や ” Heroes ” といったヴォーカル・ナンバーが復活している。 また大きな演奏ミスや機材トラブルにも見舞われていない。
ただ総じて入れるのはおっかなびっくりしながらの演奏である。 DGM Live の解説には「astonishingly good show」との記載があるが、そんなことは決してない。
無難に収めようとした演奏よりも、例えミスが生じてもそのミスから圧倒的な何かを生み出すような凄まじい演奏を本当は聴きたい。
(追加:2023年6月25日)
2000/10/11 Yubin Chokin Hall, Fukuoka, Japan
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福岡郵便貯金ホールでのライヴを収録した作品。
この日は ” Heroes ” を筆頭にしたヴォーカル・ナンバーが少ない日。 多いか少ないかはブリューの喉のコンディション次第だったのだが、前日無難にこなせていたのにセットリストから外したのはラストの東京Days に備えたからかもしれない。
その結果ヴォーカル・ナンバーが少なかった日の演奏よりも総じて内容は良く、インプロも楽しむことができる。
(追加:2023年6月25日)
2000/10/13 Izumi T-21, Sendai, Japan
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Lineup 6 としての初回来日をした2000年のライヴ。
2000の来日時にクリムゾンは11回ものライヴを行っており、これはその終盤、9回目の演奏である。
DGM Live では ” VROOOM ”
を中心に素晴らしい演奏であったとかなり誉めているし、実際手堅く良い内容だとは思う。 ただこの来日時には、アンコールで
” Heroes ”
を演奏した日としなかった日とがあり、この日はまさにその演奏しなかった日である。 その点がとても残念である。
とはいえ、DGM Live
において日本公演関連のリリースは少ないので、これに限らず次々にリリースをして欲しい。
また、本公演については、King Crimson Data Baseのページ
も参照ください。
(追加:2010年1月25日)
2000/10/15 Sun Plaza, Tokyo, Japan