1981/ 2/20 Houston Hall, Philadelphia, PA
1. Loop I / 2. Loop II / 3. Loop III / 4. Loop I And Solo / 5. Loop II And Solo / 6. Loop III And Solo
『 Musician Magazine 』
誌の1981年6月号に掲載されたフリップとジョー・ストラマーの対談(日本では、『 Rockin' On 』
誌の1982年2月号に翻訳が掲載)においてフリップは、「フィラデルフィアでのフリッパートロニクスの演奏中に次に弾くべき音が聴こえたので弾いて涙を流した」、という趣旨の発言をしている。
日にちこそ指定されていないが、該当するのが2/20、2/21(2回)でのライヴということになる。
この日の演奏は、3回のループと、それらにソロを重ねたもの。
(追加:2016年4月10日)
1981/ 2/21 Houston Hall Afternoon, Philadelphia, PA
1. Loop I / 2. Loop II / 3. Loop III / 4. Loop III / 5. RF Dialogue / 6. Loop I And Solo / 7. Loop II And Solo / 8. RF Dialogue
前日に続くフィラデルフィアでの演奏。
フリップはラジオ局にディレクターの誘いで慈善コンサートとして3回の演奏を行っているが、そのディレクターの記憶によると、フリップが「フィラデルフィアでのフリッパートロニクスの演奏中に次に弾くべき音が聴こえたので弾いて涙を流した」のは、この回の演奏と思われる。
ダイアローグを含め1時間強と長めの収録がされている。
(追加:2016年4月10日)
1981/ 2/21 Houston Hall Evening, Philadelphia, PA
1. Loop I / 2. Loop II
2/21の2回目の演奏。
音源が残っていないのか(前2回のソースは1/4テープとブート・カセットだが、本音源は1/4テープのみ)、そもそも2曲しか演奏されなかったかよくわからないが、ループにソロを重ねた演奏は収録されていない。
(追加:2015年4月10日)
1981/ 7/27 Washington Square Church, New York, NY
1. Test Loop / 2. Loop I / 3. Loop II / 4. Loop III / 5. Test Loop And Solo / 6. Loop I And Solo
4月から5月上旬にかけて、Discipline Crimson としての最初のイギリス、ヨーロッパ・ツアーを終えた10日後に、フリップはニューヨークのワシントン・スクエア・チャーチで6日間8公演を行う。
本作品はその初日の演奏である。
ループが4テイク、ループにソロを被せたものが2曲残っており、やはりソロを被せた2曲に惹かれる。 ” Test Loop And Solo ” はソロと言いながらも実際はシーケンシャル・フレーズをひたすら演奏している。 ” Loop I And Solo ” ではロング・トーンを中心にギター・ソロと言わんばかりの演奏を被せており、ポピュラリティの高い楽曲となっている。 もちろん、フリッパートロニクス音源にしては、という注釈が付くが。
(追加:2022年8月10日)
1981/ 7/28 Washington Square Church, New York, NY
1. Test Loop / 2. Loop I / 3. Loop II / 4. Loop III / 5. Test Loop And Solo / 6. Loop I And Solo / 7. Loop II And Solo / 8. Loop III And Solo
この日についての DGM Live の解説は、フリッパートロニクスの音源化について判りやすく解説している。
公式に残っているのはループ音源のみで、それが1曲目から4曲目となる。 これにソロを被せた演奏についたは公式には残っておらず、ブートレグ音源からソロ・パートのみを抽出しオリジナルのループ音源に被せたのが5曲目から8曲目ということになる。
” Test Loop And Solo ” 、” Loop I And Solo ” 、そして ” Loop II And Solo ” はウォーミーな音色のギター・ソロを展開しており、曲を追う毎に速弾き度が増していく。 ” Loop III And Solo ” は、シーケンシャル・フレーズを只管演奏、流石に指がもつれるだろうなというところでやっぱりもつれ、最後は前3曲のようなソロを展開する。
(追加:2022年8月10日)
1981/ 7/29 Washington Square Church, New York, NY, USA
1. Test Loop / 2. Loop I / 3. Loop I And Solo I / 4. Test Loop 27th And Solo II / 5. Loop I 27th And Solo III
ワシントン・スクエア・チャーチでの3日目の演奏。 前日と同じく、公式のループ音源と、ブートレグ音源からのソロ・パートを合わせたものとのこと。
この日は当日のループ音源による ” Loop I And Solo I ” の他、初日である27日の音源を使った ” Test Loop 27th And Solo II ” と ” Loop I 27th And Solo III ” という構成になっている。
” Loop I And Solo I ” は、前半がシーケンシャル・フレーズ、後半ば早弾きとロングトーンの組み合わせ。 元音源の問題だと思うが、もう少しソロの音色が全面に出てほしかった。
(追加:2022年8月10日)
1981/ 7/30 Washington Square Church, New York, NY
1. Test Loop / 2. Loop I / 3. Loop II / 4. Loop I And Solo I / 5. Loop II And Solo II / 6. Loop I 27th July And Solo III / 7. Loop III 28th July And Solo IV
ワシントン・スクエア・チャーチでの4日目の演奏で、これもループ音源とソロ・パート合わせたもの。
短めのループ演奏、及びループ音源を活用したためか、ソロ入りが4曲演奏されている。
ソロ・パートについてブートレグ音源という記載が無いことから、多分公式音源を組み合わせたのだと思われる。 そのためギター・ソロの音が大きく前面に出ているため、前3日と比べて格好良い。
個人的には ” Loop I And Solo ” と ” Loop III 28th July And Solo IV ” がお気に入りである。
(追加:2022年8月10日)
1981/ 8/1 Washington Square Church Afternoon, New York, NY, USA
1. Loop I /2. Loop II / 3. Loop III
休みを1日挟んで、この日から1日2回、2日連続のワシントン・スクエア・チャーチでの演奏が始まる。
この日の演奏については、昼夜ともギター・ソロ音源が見つかっていない。 DGM の倉庫からもブートレグ音源も見つかっていないため、ループ音源だけが3曲収録されている。
ワシントン・スクエア・チャーチの全8公演を続けて聴く場合、箸休めのような機能を果たしている。
(追加:2022年8月10日)
1981/ 8/ 1 Washington Square Church Evening , New York, NY
1. Loop I / 2. Loop II / 3. Loop III / 4. Loop IV
8月1日の2回目の演奏。
昼の部と同じくソロ・パートの音源が残っていないため、ループ音源のみの作品となっている。
この日のギター・ソロ音源が発掘された際に改めて聴けば良いのだと思う。
(追加:2022年8月10日)
1981/ 8/ 2 Washington Square Church Afternoon, New York, NY
1. Loop I / 2. Loop II / 3. Loop III / 4. Loop IV / 5. Loop II And Solo I / 6. Loop III And Solo II / 7. Loop IV And Solo III
最終日初回の演奏。
” Loop II And Solo I ” では、ギター・ソロが前面に出てくる箇所は少なく、ループ音を更に重ねているような印象がある。 また ” Loop IV And Solo III ” は緩やかなギター・ソロが多く印象は薄い。
この2曲を補って余りあるのが ” Loop III And Solo II ” である。 激しいギター・ソロは途中歪みきった音色になったり、フィードバックが繰り返されたりで、私のようなキング・クリムゾンのファンが期待する弾きまくりのフリップの姿がここにある。
(追加:2022年8月10日)
1981/ 8/ 2 Washington Square Church Evening , New York, NY, USA
1. Loop I / 2. Loop II / 3. Loop III / 4. Loop IV / 5. Loop II And Solo I / 6. Loop III And Solo II / 7. Loop IV And Solo III / 8. Loop IV And Solo IV
ワシントン・スクエア・チャーチでの最終公演
最終公演ということもあってか、かなり攻めてきた内容である。 5曲目のループは Loop II ではなく Loop I、6曲目のはLoop III ではなく Loop II、7曲目のは Loop IV ではなく、Loop III を使用していると思うのだが、クレジット通りとすると ” Loop III And Solo II ” が特に素晴らしい。 短めなループ音が後半以降ぶった斬られた ” Loop II ” 自体も珍しいが、そこに絞り出したかのような短めのギター・ソロが重なっていく所が凄い。
DGM Live の解説を読んでいるとワシントン・スクエア・チャーチでの公演に手応えを感じているようだが、特に最終日の2公演を聴くとそう評価するのも最もなことだと思う。
(追加:2022年8月10日)
1981/ 8/ 4 Inroads, New York, NY, USA
1. Loop I / 2. Loop II / 3. Loop III / 4. Loop IV
ワシントン・スクエア・チャーチでの6日間8公演の後、1日おいて始まったニューヨークのインローズでの4日連続公演の初日の演奏を収めた作品。
ソロ音源が残っていなかったためループ音のみの4曲で、そのループ音も凝った内容ではなく音の積み重ねと衰弱が判りやすく提示されている。
(追加:2022年9月25日)
1981/ 8/ 5 Inroads, New York, NY, USA
1. Loop I / 2. Loop II / 3. Loop III / 4. Loop IV / 5. Loop And Solo I / 6. Loop And Solo II / 7. Loop And Solo III / 8. Loop And Solo IV
インローズでの2日目の演奏。 DGM Live の解説もフリッパートロにクスのライヴについて難しいのか、時々情緒的な内容であったり何を根拠にベタ褒めしているのか判らない時があるが、この日の ” Loop And Solo II ” についてはの称賛は的を得ていると思うし、全体の完成度も非常に高い。
ループの中では ” Loop II ” と ” Loop IV ” が良い。 特に ” Loop II ” は長尺ながらループ音もバラエティに富んでいて、音数の多さと合わせ聴いていて飽きない。
そしてソロを被せた演奏も面白い。 柔らかな音色のソロやフィードバックも交えて轟音ソロも勿論、短めのギター・ソロをパターンを変えながら次々と繰り出しているのは聴いていてゾクゾクする。
トータル50分弱という短い演奏、ループ4曲とそれを使ったループ+ソロ4曲というバランスの良さ、多彩なループ、そこに被さるギター・ソロの秀逸さと、個人的にはフリッパートロニクスのライヴの中でもトップ・クラスの内容だと思う。 DGM Live のフリッパートロニクスのどれを選んで良いか迷っている方や、『 Exposures 』 を購入したものの Blu-ray 2枚に収録された1978年から1983年のフリッパートロニクスのライヴを聞き流してしまった方にもお薦めの作品である。
(追加:2022年9月25日)
1981/ 8/ 6 Inroads, New York, NY, USA
1. Loop I / 2. Loop II / 3. Loop III / 4. Loop IV / 5. Loop And Solo I / 6. Loop And Solo II
インローズでの3日目の演奏。
流石に前日の演奏が凄すぎたのか、落ち着いた内容の演奏が続く。 とは言っても決して悪い内容ではなく、特に ” Loop And Solo II ” は前日の名残が多少出ていたりする。
普通にやってもこのレベル、この時期のフリッパートロニクスのライヴ演奏が充実していたことがよく判る。
(追加:2022年9月25日)
1981/ 8/ 7 Inroads, New York, NY, USA
1. Loop I / 2. Loop II / 3. Loop III / 4. Loop IV / 5. Loop I And Solo I / 6. Loop II And Solo II / 7. Loop III And Solo III / 8. Loop IV And Solo IV / 9. Loop I August 1st Eve And Solo V / 10. Loop II August 1st Eve And Solo VI
インローズでの最終日の演奏。
1981年という年はフリップにとって創作意欲が爆発した年なんだと思う。 確信犯的な Discipline からキング・クリムゾンへの移行だけではなく、アンディ・サマーズとの
『 I Advance Masked 』 のレコーディング、そしてフリッパートロニクスのツアーと、常軌を逸したと言っても過言ではない程の活動をした上に、その各々が強烈なまでの成果を出している。
7月末から8月上旬までの僅か10日迄の間においてもフリッパートロニクスの演奏をしなければいけない程の創作意欲に溢れたフリップが、これだけの演奏を行っていたことをを決して忘れてはいけないと思う。
(追加:2022年9月25日)