1972
The Rise And Fall Of Ziggy Stardust And The Spiders From Mars : David Bowie
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The Musicians Are:
David Bowie - Guitar, Sax And
Vocals
Mick Ronson - Guitar, Piano And Vocals
Trevor Bolder - Bass
Mick Woodmansey - Drums
ロックに殺られた、という感覚が今の時代には全くそぐわないことは判っているし、そもそも人生の半ばを超えた者が口にしたら失笑を買うことも判っている。
それでも、私はロックに殺られた。 セックス&アルコールの日々といったステレオタイプな経験は全く無いが、ロックに殺られた結果が今の自分である。
本作品は私を殺った1枚である。 本作品を聴いた後、私はジギー・スターダストになりたいと本気で思った。 中二病上等である。 そう思った過去の自分を恥ずかしいとは全く思わないし、今でもなれるのならなりたい。
全曲シングル・カットがOKな曲でありながら、アルバム全体は見事なまでに妖しくも格好良く統一されている。 こんな作品を聴いてジギー・スターダストになりたいと思わないでいられることの方が、不思議である。
(追加:2021年6月10日)
The Rise And Fall Of Ziggy Stardust And The Spiders From Mars ( 30th Anniversary 2CD Edition ) : David Bowie
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リリースは2002年
The Musicians Are:
David Bowie - Guitar, Sax And
Vocals
Mick Ronson - Guitar, Piano And Vocals
Trevor Bolder - Bass
Mick Woodmansey - Drums
Rick Wakeman - Harpsicord On " It Ain't Easy "
Dana Gillespie - Backing Vocal On " It Ain't Easy "
2002年に発売された 『 Ziggy Stardust~ 』 の30周年盤。 本作品の前にも後にも再発はされているが、本作品の特徴はデモ、別名義での楽曲、シングル曲を含めたボーナス曲がCD丸々1枚分収録されていることである。
元々 『 Ziggy Stardust~ 』 は生ピアノやアコースティック・ギターが多用されており、劇的ではあるが過度に派手なアレンジはされていない。 本作品に収録されたアレンジ前のデモを聴くと、個々の楽曲のメロディの良さを再認識することができるし、そこに臨界点手前のアレンジが施されたことで至高の名盤となったことがよく判る。
『 Ziggy Stardust~ 』 のことを益々好きになることができる、見事な編集盤である。
(追加:2021年6月10日)
Live Santa Monica '72 : David Bowie
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リリースは2008年
Musicians :
David Bowie <guitar and vocals >
Mick Ronson
< lead guitar, bass guitar and vocals >
Trevor Bolder < bass guitar >
Mick "Woody" Woodmansey <
drums >
Mike Garson < keyboards >
Recorded live at the Santa Monica Civic Auditorium, Los Angels, October 20th, 1972
海賊盤、ハーフ・オフィシャルを経て、現在はオフィシャルとしてリリースされている作品。 いつからがオフィシャルか、と問われても何が正解なのかは判らないが。
本作品を最初に聴いた時に感じたのは、「グラムにしては地味だな」であった。 1973年のライヴを収録した 『 Ziggy Stardust The
Motion Picture 』 を先に聴いていて、かつ思い入れが強かったことを差し引いても、1972年段階での本ライヴにはグラム・ロックから連想されるギンギラ感は少なく、
2年にも及ぶジギー・スターダストとしてのツアーや 『 Aladdin Sane 』 の制作が、本人の意図を超えたグラム・スターにボウイを変容させたことがよく判る。
ライヴ・アルバムとしての面白さはやはり 『 Ziggy Stardust The Motion Picture 』 の方が上だが、ただそこに至るまでを過程を提示してくれた本作品の意義は大きい。
(追加:2021年6月10日)
1973
Pinups : David Bowie
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Mick Ronson : guitar & piano
T.J. Bolder : bass
guitar
Aynsley Dunbar : drums
Mike Garson : piano & organ,
harpsichord, electric, piano
Ken Fordham : baritone sax
I worked
the moog, harmonica, and tenor and alto saxes
Vocal backings were
: Mac Cormack, Mick Ronson and myself
デヴィッド・ボウイがグラム編成のバンドのまま、勢いというか余技で制作したようなカヴァー・アルバム。
個人的には 『 Aladdin Sane 』
のような下世話でギンギラなノリを全面に出してほしかったのだが、グラム時代を終息させアメリカ・マーケットを狙いにいく過程で、落とし物のように本作品を制作することがボウイにとっては重要だったのかもしれない。
多少ネガティヴに書いてはしまったが、1970年代のボウイの作品だけに凡庸な作品だが完成度は高い。 正統派過ぎず、かといって捻り過ぎないアレンジは、溢れ出るボウイのセンスと原曲に対する愛が見事に融合していることがよく判る。
(追加:2020年3月25日)
Aladdin Sane : David Bowie
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David Bowie - vocals, guitar, harmonica, saxophone, Moog Synthesiser.
Mick Ronson - guitar, piano, vocals.
Trevor Bolder - bass.
Woody Woodmansay - drums.
Mike Garson - piano.
Ken Fordham - saxophone, flute.
G. A. MacCormack - percussion on 'Panic In Detroit'.
Backing vocals on 'Watch That Man' and 'Panic In Detroit' - Juanita 'Honey' Franklin, Linda Lewis and G. A. MacCormack.
Backing vocals on 'Lady Grinning Soul' - Juanita 'Honey' Franklin.
デヴィッド・ボウイのグラム時代の最後のスタジオ作品。
『 ~ Ziggy Stardust ~ 』 からコンセプト性を無くして下世話度を増した内容である。 あ、「コンセプト性を無くし」も「下世話度を増し」も貶し文句ではありません。
個人的には本作品より先に 『 Ziggy Stardust The Motion Picture 』 を先に聴き、そのライヴならでは喧騒感に圧倒されていた。
なのでそこまでの凄さはないだろうと、後追いで本作品を聴く時になめてかかって後悔したことを覚えている。 この時期のボウイにライヴだスタジオだといった括りは意味をなしておらず、ただただボウイの凄さを堪能することができる。
(追加:2021年12月10日)
Ziggy Stardust The Motion Picture : David Bowie
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リリースは1983年
Musicians
Mick Ronson : Guitar and Vocals
Trevor Bolder : Bass
Woody Woodmansey : Drums
Ken Fordham : Sax
Brian Wilshaw : Horns
John Hutchinson : Guitar
Geoffrey MacCormack : Backing Vocals and Percussion
Mike Garson : Piano
デヴィッド・ボウイのグラム期の最後を収録したライヴ・アルバム。 1983年というタイミングでリリースされたのは当然 『 Let's Dance
』 の大ヒットに乗じたものなのだが、その恩恵を蒙ることができたことが素直に嬉しい。
作品の起承転結がそのままグラム期のボウイの起承転結と重なり、同時公開された映像作品を観るまでもなくドラマチックな展開であることが聴くだけで判る。
最後の引退宣言など、筋書きとしては完璧である。
(追加:2021年12月10日)
Ziggy Stardust And The Spiders From Mars The Motion Picture Soundtrack : David Bowie
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リリースは2003年
Musicians
David Bowie - vocals, guitar, harmonica and saxopohone.
Mick Ronson - guitar and vocals.
Trevor Bolder - bass.
Woody Woodmansey - drums.
Ken Fordham - saxophone and flute.
Brian Wilshaw - saxophone and flute.
Geoffrey MacCormack - backing vocals and percussion.
John Hutchinson - guitar.
Mike Garson - piano, Mellotoron and organ.
2003年に拡大版としてリリースされたジギー・スターダストのサウンドトラック。
この拡大版のリリースにあたっては、アンコールに参加したと言われているジェフ・ベック入りのテイクが期待されたわけだが、残念ながら実現していない。
ただ一方でそれ以外の曲が増えたことで違和感も生じており、2LPフォーマットの聴き慣れた構成が完璧であったことが図らずも証明されている。
(追加:2021年12月10日)
Raw Power : Iggy And The Stooges
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Mixed by David Bowie and Iggy Pop
イギー・アンド・ザ・ストゥージスの本作について未だ誤解している人も多いが、『 淫力魔人 』
こそが本作の原題であり、『 Raw Power 』 はワールド・ワイドで発売している際のタイトルに過ぎない。
そう言いたくなる程の素晴らしさが本作品にある。
最高級のオーディオだと細かな良さがわかるということのもなく、モノラルのラジカセの方が本質がわかるということもなく、只々滅茶苦茶に歪んだ音の固まりがどんな再生装置を通してもそのまま提示され、ひたすら圧倒される。
デヴィッド・ボウイが本作品にどれだけ寄与したか実際には判らない。
後の作品と同じく、ボウイはイギー・ポップをそのまま提示することに腐心しているように思える。
イギー・ポップをコントロールしようとして諦めたのではなく、彼に対するリスペクトが現れているところに、本作品の良さがある。
(追加:2018年11月25日)