CD One
CD Two
CD Three
Blu-Ray Disc
Robert Fripp Guitars & Keyboards
Jakko Jakszyk
Guitar & Voice
Bill Rieflin Keyboards
Tony Levin Basses
,Stick & Backing Vocals
Mel
Collins Saxes & Flute
Pat Mastelotto
Drums & Percussion
Jeremy Stacey Drums & Keyboards
Gavin Harrison Drums
Recorded at Teatro Metropolitan, Mexico City 14-19 July 2017
2016年迄における現行キング・クリムゾンのライヴ盤は、演奏の充実度は 『 Live In Toronto 』
が、演奏の網羅度においては 『 Radical Action 』 が最強であった。
特に後者は日本でのライヴを収録しているということで、思入れ度も最強であった。
しかし2018年になると、演奏の充実度は 『 Live In
Chicago 』 に取って代わられ、演奏の網羅度においては本作 『 Meltdown 』 に取って代わられた。
それ程、本作品の内容は最高かつ最強なものである。
現行キング・クリムゾンが、メンバーを微妙に変更しながらレパートリーを追加し、演奏自体を進化させ深化させた成果が、本作品には見事にパッケージングされている。
2018年末に行なわれる日本でのライヴもレコーディングされるだろうが、演奏の充実度、演奏の網羅度、そして思入れ度の3点で最高かつ最強な作品に繋がることを期待したい。
映像作品としては、カメラマンがステージに周り込むことがなく、固定カメラによ撮影なのは 『 Radical Action 』
と同じなのだが、編集方法が異なっている。
『 Radical Action 』
では、映像をオーバーラップさせることで複数のメンバーを同時表示させることがあったが、本作では、メンバー2人を柔軟に入れ替えながらのカットや、ドラマー3人の分割カットを多用している。
更に8人全員を2行☓4列の均等分割カット表示することもあり、これはメンバー数が偶数になった恩恵とはいえ迫力がある。
唯一の難点を上げるとすれば、後列が5人となっているため中央に位置するビル・リーフリンの手元が捉えられていないことだが、いずれにせよ2018年の来日公演を映像化するにあたっては、本作品を超えるものを期待したい。
フリップは ” Dawn Song ” の頭のオーボエ・パートでキーボードを、” Prince Rupert's Lament ” のラストではギター・ソロを披露しており、 『 Lizard 』 からの楽曲に積極的に絡んでいることがわかる。
” Epitaph ” と ” Islands ” では、フリップ、リーフリン、ステイシーの3人でキーボードを演奏する場面があり、トリプル・キーボードというプログレ好きを垂涎状態にさせる場面がある。 ちなみに、” Islands ” 演奏時にはレヴィンも椅子に座るため、スタージ上で8人の内6人が座って演奏していることになる。
” Fracture ” と ” Easy Money ” を演奏した後に、フリップが最高のドヤ顔をしてみせるのが、本作品の楽しみ方の一つである。 ただ個人的には ” Fracture ” でウェットンが凄まじいベース・ソロをかましたパートは、ギターでユニゾン演奏することなくベースだけにしてほしいと思う。
フロントに3人のドラマーがいるというのは、相変わらず視覚的に強烈なのだが、観客受けをちゃんと計算している所があるのも素晴らしい。
特に ” Indiscipline ” での演奏ものまね合戦は、日本でも是非再演してもらいたい。
一人ひとりで気づいたことと言えば、マステロットが出す変な音の殆どが物理的に発信されているものであること、ステイシーが ” 21st Century
Schizoid Man ” でのハリソンのドラム・ソロに合わせて細かく首を振る仕草が可愛いこと、そしてそのドラム・ソロ終了前にシンセドラムで ” Smoke
On The Water ” のリフをハリソンが演奏すること。
音声盤には、メキシコ・シティにて複数日に渡って演奏された内容に加え、2018年の演奏が収録されている。 ” Discipline ”、” Moonchild ”、そしてフリップのソロ 『 Exposure 』 からの ” Breathless” といった新ライヴ・レパートリーを聴いていると、現行キング・クリムゾンに演奏できない曲は無いと思えてくる。
(追加:2018年11月25日)