2015年における7人編成クリムゾンの全容を捉えた作品。
CDが3枚とBlu-ray1枚(DVDだと2枚)に収められた情報量は圧倒的で、聴いても聴いても、観ても観ても新しい発見の連続である。
発掘ライヴ盤も相当聴きこんでいるつもりだが、再生回数だけで言えば 『 USA 』 が個人的には一番多い。 本作品はそれに次ぐ再生回数になりそうである。
当初予定されていた高松でのライヴ映像を収めた作品だったとしたら、『 Live In Toronto 』 の映像版で留まってしまった可能性もあったと思う。
勿論、それでも充分な作品になったと思うが、編集過程の初期に、「これだけ凄いライヴをしてたのだから全部収録してやろう」、という発想に切り替わったことが、本作品の完成度を高めたに違いないと勝手に想像している。
更にそこから映像版との対比という意図もあってか、オーディエンスのノイズを排除した上でテーマ毎にまとめたCD版、という特異な作品に発展したことも特筆に値する。
本作品は、クリムゾンのマスト・アイテムでも、プログレのマスト・アイテムでもなく、現在進行形のロック・バンドのマスト・アイテムである。
Disk-1 Mainly Metal
- Larks' Tongues in Aspic Part One / 太陽と戦慄 パート1
- Radical Action ( To Unseat The Hold of Monkey Mind )
/ ラディカル・アクション(トゥ・アンシート・ザ・ホールド・オブ・モンキー・マインド)
- Meltdown / メルトダウン
- Radical Action II / ラディカル・アクション II
- Level Five / レヴェル・ファイヴ
- The Light of Day / ザ・ライト・オブ・デイ
- The Hell Hounds of Krim / ザ・ヘル・ハウンド・オブ・クリム
- The ConstruKction of Light / ザ・コンストラクション・オブ・ライト
- The Talking Drum / ザ・トーキング・ドラム
- Larks' Tongues in Aspic Part Two / 太陽と戦慄 パート2
Disk-2 Easy Money Shots
- Peace / 平和
- Picture of a City / 冷たい街の情景
- Banshee Legs Bell Hassle / バンシー・レッグス・ベル・ハッスル
- Easy Money / イージー・マネー
- VROOOM / ブルーム
- Suitable Grounds for the Blues / ブルースに適した環境
- Interlude / 間奏曲
- The Letters / ザ・レターズ
- Sailor's Tale / 船乗りの話
- Scarcity of Miracles / スケアシティ・オブ・ミラクルズ
Disk-3 Crimson Classics
- One More Red Nightmare / 再び赤い悪夢
- Epitaph / エピタフ~墓碑銘
- Starless / スターレス
- Devil Dogs of Tessellation Row / デヴィル・ドッグス・オブ・テセレーション・ロウ
- The Court of the Crimson King / クリムゾン・キングの宮殿
- 21st Century Schizoid Man / 21世紀のスキッツォイド・マン
Blu-ray
- Threshold Soundscape / スレッショルド・サウンドスケープ
- Larks' Tongues in Aspic Part One / 太陽と戦慄 パート1
- Picture of a City / 冷たい街の情景
- Peace / 平和
- Radical Action ( To Unseat The Hold of Monkey Mind )
/ ラディカル・アクション(トゥ・アンシート・ザ・ホールド・オブ・モンキー・マインド)
- Level Five / レヴェル・ファイヴ
- Epitaph / エピタフ~墓碑銘
- The Hell Hounds of Krim / ザ・ヘル・ハウンド・オブ・クリム
- The ConstruKction of Light / ザ・コンストラクション・オブ・ライト
- Scarcity of Miracles / スケアシティ・オブ・ミラクルズ
- Red / レッド
- Backstage Adventures Of The Crimson King /
バックステージ・アドヴェンチャー・オブ・ザ・クリムゾン・カインド
- VROOOM / ヴルーム
- Banshee Legs Bell Hassle / バンシー・レッグス・ベル・ハッスル
- Easy Money / イージー・マネー
- Interlude/ 間奏曲
- The Letters / ザ・レターズ
- Sailor's Tale / 船乗りの話
- The Light of The Day / ザ・ライト・オブ・デイ
- The Talking Drum/ ザ・トーキング・ドラム
- Larks' Tongues in Aspic Part Two / 太陽と戦慄 パート2
- Starless / スターレス
- Devil Dogs of Tessellation Row / デヴィル・ドッグス・オブ・テセレーション・ロウ
- The Court of the Crimson King / クリムゾン・キングの宮殿
- 21st Century Schizoid Man / 21世紀のスキッツォイド・マン
Extras
- Suitable Grounds for the Blues / ブルースに適した環境
- One More Red Nightmare / 再び赤い悪夢
映像版の素晴らしさとして、先ずその画像の美しさを挙げることができる。
『 Deje VROOOM 』
以降の映像作品は、フリップの意向もあってステージが暗く、かつカメラの位置が遠かったこともあり、見やすいとは言い難いものであった。
しかし本作は、カメラの位置が遠いことには変わらないが、その性能の向上とステージが明るくなったことによって、とても見やすくなっている。
映像の編集が丁寧に行われていることも本作品の特徴である。
複数の映像が重なる場合、その映像がコロコロと切り替わると煩く感じてしまうこともあるが、切り替わりのテンポがゆっくりしているため、じっくり堪能することができる。
また、正面からメンバー全員を捉えた映像は、ドラムが3人いるため横に広がった結果画面の上半分がカーテンだけになってしまうのだが、そこにソロ映像を被せるという編集は秀逸としか言いようが無い。
CDと同じく、高松でのライヴが中心となっていると思われるが、複数の会場での映像が編集されて擬似的に全曲が演奏された1公演のようになっている。
その結果、「 ” Red ” が演奏されたけど ” Larks' Tongues In Aspic Part II ”
が演奏されなかった」 等々悲喜交交だった2015年の来日公演での問題点も解消されている。
基本同じ衣装・舞台セットだからこそできたことだと思うが、正面から捉えた映像でリーフリンのバス・ドラの角度が微妙に異なることで、会場の違いが判る。
しかしそれよりも判りやすいのが、メル・コリンズのシャツが白と黒に入れ替わるところだったりする。
堪能すべきところが多くある作品なのだが、フリップのドヤ顔も忘れてはいけない。
7,11,14終了後、特にを14終了後に右手をフレット上で動かし終わった後のフリップの顔は最高である。
(追加:2016年9月10日)