- Walk On : Monk Morph Chamber Music
- One More Red Nightmare
- Banshee Legs Bell Hassle
- The ConstruKction O f Light
- The Letters
- Sailor's Tale
- Starless
Pat Mastelotto Drums
Bill Rieflin Drums
Gavin Harrison Drums
Jakko Jakszyk Guitar & Vocals
Robert Fripp Guitar
Mel Collins Saxes & Flute
Tony Levin Basses & Stick
Live at The Orpheum Theatre Los Angeles, CA September 30 & October
1
Music by King Crimson.
Monk Morph Chamber Music ( Collins, Fripp, Levin ); One More Red
Nightmare ( Fripp, Wetton ); Banshee Legs Bell Hassle ( Harrison ); The
ConstruKction of Light ( Belew, Fripp, Gunn, Mastelotto ); The Letters (
Fripp, Sinfield ); Sailor's Tale ( Fripp ); Starless ( Cross, Fripp,
Wetton, Bruford, Palmer-James )
2014年に再結成ツアーを行ったクリムゾンのライヴ・アルバム。
ツアー後半のロサンゼルスのオルフェウム・シアターでの2日間のライヴから編集されている。
ダウンロード販売にすればライヴの全容を明らかにすることができたにもかかわらず、1枚もの42分の作品としているのは、その全容を意図的に明らかにしないようにしているものと思われる。
2008年の Lineup 7 での再結成ライヴが、Lineup 6
の延長線上且つ進化系であったのに比べると、メンバー及び楽器編成の大幅な変更がなされたことで楽曲も今後大きく変わりうることを、この作品だけで判断されたくなかったのではないかと考えられる。
Lineup 8 としての本編成の活動が今回のツアーで終了せず、新曲によるスタジオ・レコーディング作品がリリースされることを切に願う。
- ” Walk On : Monk Morph Chamber Music
” は、ライヴの冒頭そのままの音源なのか、リハーサル音源を編集したものか疑問が残る。 一聴してわかるのは、『 Islands 』
のタイトル曲 ” Islands ” 終了後に収録されていたリハーサル音源を模していること。 後半の弦楽団らしき音、フリップ(?)のコメント、発信音(3回が2回に減っているが)、そして最後の
「 one-two-three, two-two-three 」というカウントは、そのままである。
- ” One More Red Nightmare ” は、トリプル・ドラムによる重さが強調されているため、オリジナルに比べてリズム・セクションの印象が大きく異る。
全篇に渡りコリンズのサックスが大々的にフィーチャーされており、コリンズの参加によってライヴでの再現が可能になったことが喜ばしいが、『 Red 』
に収録されているオリジナルのサックスは、実はイアン・マクドナルドによるものだったりする。
- ” Banshee Legs Bell Hassle ” は、ハリソンが作曲したパーカッションによる小曲。
次曲へのインターリュードのような役割を果たしている。
- 本作品の中で、原曲の曲構成を最も変更しているのが ” The ConstruKction O f Light
” である。
シーケンシャル・フレーズにコリンズのサックス・ソロを被せるところは、強引ながらも楽器編成の変更に伴う新鮮さを感じさせられるが、後半のヴォーカル・パートをバッサリとカットして終了しているところは、唐突感がある。
オリジナルの ” The ConstruKction O f Light ”
が実質2パートで成り立っていた曲だけに、全く違った印象を受ける。
- ” The Letters ” は、オリジナル編成においても、特に1972年になってからは演奏される機会が減ったナンバーである。
当時の編成で演奏機会が多かった ” Formentera Lady
” ではなく、本曲が本作品(と本編成によるレパートリー)に選ばれた理由はわからないが、演奏は比較的オリジナルに忠実である。
- ” Sailor's Tale ” は、イントロにシンバルが、中央→左→中央→右の順番で2回りする。
ステージ上の並びからそのままだと解釈すると、マステロット→リーフリン→ハリソンとなる。
ギターとコリンズのサックスの絡み、メロトロン音等も素晴らしく、『 Islands 』 期において最も緊迫感溢れる楽曲が見事に再現されている。
それだけに最後のフリップによるギターかき鳴らしパートが地味に終わってしまうのだけが残念である。
- フリップがクリムゾンを再結成してまで演奏したかったのが、この ” Starless ” だ、と言い切ることができないのがもどかしい。
イントロのギターのトーンも良い、ギターとサックスのソロの絡みも良い、ジャッコのヴォーカルの弱ささえ目をつむれば、全く問題はない。 ただやはり 『
The Road To Red 』 や、直前に 『 Starless 』 で聴いた1974年の ” Starless ”
とはやはり異なる。
ただフリップにしてみれば、そういったリスナーが多いことなど承知済み、いや、そもそも過去の曲を蔵出しすることで出てくる反応など想定済みなはずである。
曲の終了とともに余韻も全くなくアルバム自体が終了するところに、俺の考えなどお前にわかるか、というフリップの潔さを深読みしたい。
(追加:2015年1月25日)