- VROOOM / ヴルーム
- Frame by Frame / フレイム・バイ・フレイム
- Sex, Sleep, Eat, Drink, Dream /
セックス、スリープ、イート、ドリンク、ドリーム
- Red / レッド
- One Time / ワン・タイム
- B'BOOM / B'ブーム
- THRAK / スラック
- Improv - Two Sticks / インプロヴィゼイション - トゥー・スティックス
- Elephant Talk / エレファント・トーク
- Indiscipline / インディシプリン
- VROOOM VROOOM / ヴルーム・ヴルーム
- Matte Kudasai / 待ってください
- The Talking Drum / ザ・トーキング・ドラム
- Larks' Tongues in Aspic Part II / 太陽と戦慄パート II
- Heartbeat / ハートビート
- Sleepless / スリープレス
- People / ピープル
- B'BOOM (reprise) / B'ブーム(リプライズ)
- THRAK / スラック
Robert Fripp Guitar, Soundscapes, Mellotron
Adrian Belew Guitar, Voice, Words
Trey Gunn Stick, Backing Vocals
Tony Levin Upright & Electric Basses, Backing Vocals
Pat Mastelotto Acoustic & Electronic Percussions
Bill Bruford Acoustic & Electronic Percussions
Music by King Crimson.
Words by Adrian Belew.
『 THRAK 』
のレコーディング前の1994年の10月にアルゼンチンで行われたライブを収録したアルバム。
ダブル・トリオ・クリムゾンの初ライブとして、海賊盤 『 Avendia
Corrientes 』
の対抗としてフリップが急遽リリースしたもの。 フリップの思惑は見事に当たり、『
Avendia Corrientes 』
は西新宿において一気に暴落した。 ただ、やはり急遽リリースしたことが原因なのか、プロダクション・ワークは最低で、演奏の粗さを増長させる結果になっている。
ライブ直前にも6人でリハーサルを繰り返したとのことだが演奏はバラバラ、練習不足であることは否めない。 特にディシプリン・クリムゾン時代のアンサンブル中心の曲、ダブル・トリオというフォーマット自体を中心に構成された曲の出来具合が酷い。
フリップによれば、アルゼンチン公演の音源は 『 THRAK 』
に流用されているとのことだが、どの部分なのかは全くわからない。
- 本アルバムにおける演奏の粗さを象徴するのが ”
VROOOM ”
である。 ダブル・トリオとして演奏は殆ど機能しておらず、とりあえず音を出してみました、といったレベルのもの。
- ” Frame By Frame ” は、『 Absent Lovers 』
におけるテイクの方が上。 4人で演奏していたものを6人で演奏してみました的なアレンジが芸がない上に、『
Absent Lovers 』
時のようにライブを重ねていないため演奏もこなれていない。
- ” Sex, Sleep, Eat, Drink, Dream ”
は、ヴォーカルを中心にした曲だけに、インスト・パートが活躍する場面が少なく、逆に演奏の粗さの目立つことがない。
- 本アルバムの最初のハイライトが ” Red
”。 確かに後のライブ作品ほどこなれてはいないものの、おかずや遊びのフレーズを取り入れながらの演奏はスタジオ・アルバムに忠実なアレンジで、(
ダブル・トリオというよりは )
演奏者が6名に増えたことがメリットとして出ている。
- ” One Time ” の出来具合は ” Sex, Sleep, Eat, Drink, Dream ”
と同じ。 理由もまた同じ。
- サウンドスケイプから始まる ” B'BOOM ”
は、ブルーフォードとマステロットのまさに独壇場。
- ” THRAK ”
は、メイン・リフの迫力も素晴らしく、本アルバムの中では最も格好良いインストである。
メイン・リフ→バラバラのインプロ→木琴系の音+ストリングス系シンセ→メイン・リフ→ストリングス系シンセという曲構成。
- 前曲ラストからそのまま引き続く、スティックによるデュオ。 次曲の前奏曲でもある。
- ” Elephant Talk ”
は、かなり酷い。 ディシプリン・クリムゾンのインプロが中心ではない曲は、練習を重ねた上で初めて各楽器の重なり合い、絡みが再現できたということが今更ながらよくわかる。
- 逆に、ディシプリン・クリムゾンの曲でも、フリーのパートが多い曲は、バンドとしてこなれていなくても、演奏者が増えた分だけ迫力が増していることが
” Indiscipline ” からよくわかる。
- ” VROOOM VROOOM ”
はダブル・トリオ・クリムゾンの楽曲ではあるものの、ユニゾン・パートが多いためなのか、”
VROOOM ” 程の演奏の粗さは目立たない。
- ディシプリン・クリムゾン時代にも各メンバーが暇そうに演奏していた
” Matte Kudasai ” は、演奏者が6名いる意義が殆ど感じられない。
- ” The Talking Drum ”
は、ドラムのカウントから始まるところに違和感を覚えるものの、クロスのヴァイオリンもギター・シンセで再現されており、楽しむことができる。
- ” Larks' Tongues In Aspic Part II ” は、” Red ”
に続く、本アルバムのハイライト。 決してこなれた演奏ではないが、『
Absent Lovers 』
より迫力のある演奏である。 本曲終了後のアンコールの求め方が、サッカーの応援の仕方と同じなのが笑える。 さすがアルゼンチン。
- ” Heartbeat ” も ” Matte Kudasai ”
と同じく、ダブル・トリオ・クリムゾンとして演奏することに疑問が残る。
- ” Sleepless ”
は、フリーになったブルーフォードのパーカッションが、楽曲のグルーブを損ねている。 レヴィン、怒っているんだろうな。
- ” People ”
は、弦楽器の音がしょぼくて格好悪いが、2人のドラムの絡みは素晴らしい。
- ” B'BOOM ( reprise ) ”
は、サウンドスケイプ後のドラムがそれほど盛り上がることなく次曲に繋がる。
- ” THRAK ”
は、メイン・リフ後のバラバラのインプロのパートがやや長め。 その分木琴の音のパートが短くなっている。メイン・リフが繰り返された後、ストリングス系の音で終わるのは一緒。