- The Great Deceiver ( Wetton, Fripp, Palmer-James ) / 偉大なる詐欺師
- Lament ( Fripp, Wetton, Palmer-James ) / 人々の嘆き
- We'll Let You Know ( Cross, Fripp, Wetton, Bruford ) / 隠し事
- The Night Watch ( Fripp, Wetton, Palmer-James ) / 夜を支配する人
- Trio ( Cross, Fripp, Wetton, Bruford ) / トリオ
- The Mincer ( Cross, Fripp, Wetton, Bruford, Palmer-James ) / 詭弁家
- Starless And Bible Black ( Cross, Fripp, Wetton, Bruford ) / 暗黒の世界
- Fracture ( Fripp ) / 突破口
David Cross Violin, Viola, Keyboards
Robert Fripp Guitar, Mellotron & Devices
John Wetton Bass and Voice
William Bruford Percussives
Produced by King Crimson
1973年7月に一度ツアーを終えたクリムゾンは、9月から再びワールド・ツアーを行っている。
9月19日のケベック公演から始まり、北米、イギリス、ヨーロッパと、11月29日のマドリッドまで、休むことなくライブを続けている。
1974年3月16日にリリースされた本アルバムには、その1973年秋のツアーにおけるライブ・レコーディングと、1974年1月にロンドン・エアー・スタジオでの若干のレコーディングがミックスされている。 本構成が前もって意図されたものなのか、それとも1月のレコーディングが上手くいかなかったためとれらた策なのかはよくわからないが、曲の出来不出来にばらつきがあることは否めない。 出来の良い曲がどれも素晴らしいだけに、その差は歴然としてしまっている。
- ” The Great Deceiver ”
は、本アルバムにおける数少ないスタジオ・レコーディング。 ユニゾンを絡めたイントロの早いフレーズが何よりも素晴らしいが、ヴォーカル・パートでのブルーフォードのドラム、ブリブリとメロディアスなウェットンのベース、ラスト近くでのクロスのソロ等、聴き所が多い。
- ” Lament ”
もスタジオ・レコーディング。 ギター、バイオリン、メロトロンがヴォーカルにさわやかに絡む冒頭部から、フリップのギターを中心としたハードなパートに繋がっていく。 最後は得意の(?)ユニゾン・パートで強引に終わる。
- ” We'll Let You Know ”
は1973年10月23日、グラスゴーのアポロ・シアターでのライブ録音。 比較的まとまりのない穏やかなパートから、フリップのギターを中心に組織だったパートに移行していく。 クロスの存在感が殆どない曲が、この時期既に演奏されていたことが興味深い。
- ” The Night Watch ”
は、イントロが1973年11月23日のアムステルダムでのライブ、後半がスタジオ・レコーディングという面倒くさい構成の曲。 イントロ・パートも美しいが、ヴォーカルの最後のフレーズに絡む所から始まるフリップのギター・ソロが伸びやかで格好良い。
- ” Trio ”
は、1973年11月23日のアムステルダムでのライブ。 クロス中心の演奏で正直あまり面白くはない。 フリップは、「演奏しないことで曲に対して貢献した」ことで作曲にブルーフォードがクレジットされているとコメントしているが、いっそのこと叩いていてくれた方が良かったのではとも思う。
- ” The Mincer ”
は、1973年11月15日のチューリッヒでのライブ。 これは正直言って捨て曲でしょ。 特に最後のヴォーカル・パートは全く不要だと思う。
- タイトル曲である ” Starless And Bible Black ”
は、1973年11月23日のアムステルダムでのライブ。 曲構成は
” We'll Let You Know ”
と同じで、穏やかでまとまりなく始まり、フリップのギターを中心に次第に組織だって行く。 フリップのギターは、呪術的とか、思考のエネルギーの固まりとか、そういった言葉で(逃げることによって)解説したくなるのもわかるが、ねちっこくウニョウニョした音、と言ってしまえばそれまでのものである。
- ” Fracture ”
も1973年11月23日のアムステルダムでのライブだが、フリップによって「作曲」された曲。 中間部でのフリップのオスティナート、その後の激しいパート、ウェットンのうなるベース・ソロから続くフリップとクロスのソロの絡み等、どれをとっても素晴らしく、この時期のクリムゾンのベストの一つと言っても良いと思う。