2001
The Sound Of Surprise : Bill Bruford's Earthworks
|
Drums
前作に引き続き、純然たるジャズ・アルバム。 今までのアースワークスの作品と異なり、全曲の作曲にブルーフォードが関与していることが何よりも特色。 ブルーフォード独特の変拍子に、クリムゾンの影を求めることはもはや全く不可能。
「クリムゾンを離れてまで」とかいうレコード会社の煽りや、クリムゾンに対する敵対心を恣意的に強調しようとするインタビューが氾濫する中、ブルーフォード自身はあまりそういったことは気にすることなくやりたいことをやっているだけのように思える。 というより、実際そうであってほしいと思う。
(追加:2001年2月25日)
Rock De Chambre : Jean-Philippe Goude
|
batterie
マグマの関連バンド Weidorje、そのメンバーで映画のサントラも手がけるジャン・フィリップ・グードのソロ・アルバム。 タイトル曲を含め3曲にブルーフォードは参加している。
変拍子をからめる ” L'entrain M'egoisse
” や徐々に激しく叩いていく ” A Penguin's
Tribute ” も良いが、やはりタイトル曲である ” Rock De Chambre ”
での演奏が突出している。 一聴してブルーフォードとわかる太鼓が格好良い。
アルバム全体は、一言で言えばチェンバー・ロック。 どの曲も山場をストリングスで盛り上げようとする手法がワン・パターンで注意深く聴いていないと、いつの間にか次の曲に進んでいたりする。
それだけにブルーフォードの演奏の素晴らしさが堪能できるのだが。
(追加:2003年9月25日)
2002
Footloose And Fancy Free : Bill Bruford's Earthworks
|
Drums
Recorded live at the PizzaExpress Jazz Club, Soho, London,June 23rd and 24th 2001.
ジャズ道をひた走るアースワークスのライヴ・アルバム。 もはやプログレ耳には本作品を楽しむことは出来ない。
選曲はジャズ色が強い直近の2作品からの選曲が中心だが、BLUEの
”Original Sin ”
とアースワークスのファーストに収録されていた ”Bridge Of Inhibition ”
が収録されている。 特にベスト盤やライヴ盤1作目にも収録されていた後者は、シモンズが大活躍してたオリジナル・フォーマットをジャズ・フォーマットで完璧に再演しており、ブルーフォードらしい根の暗さ感じざるを得ない。
我が道を行くブルーフォードにしてみればどうでも良いことなのかもしれないが、ジャズ耳の人にとって本作品はどれほどのものなのだろうか。 気になるところである。
(追加:2002年5月10日)
Footloose in NYC : Bill Bruford's Earthworks
Drums
Recorded live at " The Bottom Line " , New York , May 30 and 31,2001
アースワークスのライヴDVD。 同時期に発表されたライヴCDより約1ヶ月前のニュー・ヨークでの演奏を収録している。
日本盤としてリリースされているにも拘わらず、最近のクリムゾン・アイテムの中では最も地味で話題にならなかった作品と言っても過言では無いと思う。 来日直後というタイミングの悪さ、リリースがポニーキャニオンからではなくユニーバサル・インターナショナルであったため過去の作品と連動したプロモーションが行われなかったこと等の外的要因もあるが、作品自体が地味で面白みに欠けているところがその原因と思われる。
そろそろブルーフォードの金も尽きてきたはずである。 クリムゾンに戻れとまでは言わないが、ジャズはやめてもらいたい。
ライヴ映像とは別に、インタビュー、バイオグラフィ、ディスコグラフィが収録されている。
オリジナルがリリースされてから日本盤がリリースされるまでの間に期間があっただけに、インタビューとバイオグラフィについては、日本語訳を収録してもらいたかった。 また、ディスコグラフィについては完全版にはほど遠いものである。
(追加:2002年7月10日)
Emergent : Gordian Knot
|
「伝説のテクニカル・メタルのカリスマ CYNIC
のショーン・マローン(B)率いるゴーディアン・ノット」の4年ぶりのセカンド・アルバムだそうです。 CYNIC
のこともゴーディアン・ノットのことも不勉強で全く知りませんでした。
音自体はメタル色は薄く、テクニカルなインスト集といったところで、ブルーフォードとメタルの競演といった趣はない。 ” The Brook The Ocean ” は、Bruford
を思い起こさせたりする。
なによりもジャズ・フォーマット以外でブルーフォードのドラムを聴くことができるのが嬉しい。 自身のコントロール下でテクニカルなミュージシャンと演奏しているアースワークスと比べ、テクニカルなミュージシャンのコントロール下で演奏している本作でのブルーフォードの方が、個人的には好きである。
アースワークスでの活動に専念していたブルーフォードがセッション活動を開始したということは、アースワークスだけでは食っていけなくなってきた可能性が高い。 クリムゾンへの再加入を望みはしないが、幅広い音楽活動を再開するきっかけになってほしいと思う。
(追加:2003年1月10日)
2003
Yes Remixes : YES
|
Drums
例えばフリップがサウンドスケイプで参加している作品を購入した時、例えばウェットンの糞ライヴ・アルバムを購入した時、もしクリムゾン道に足を踏み込んでいなければもっと建設的な作品に金を使うことができるのにと思うことがある。 雑誌でべた褒めされている作品や、ロック名盤100選みたいな企画の常連作品を聴いてみたいと思う。
でも、結局は所謂「クリムゾン関連作品」を購入している。 当然他に廻す金など残っていない。 そしてまた後悔する...
本アルバムは、スティーヴ・ハウの息子がYESの作品をリミックスしたもの。 素人芸以外のなにものでもなく、果てしなくつまらない作品。 サンシャイン通りを闊歩する女子高生に「ありえない」と一刀両断されるような作品。
よりによって ” 5 Per Cent For Nothing
”
が収録されていることが最終的に購入という判断を下したわけだが、聴く前、聴いてる時、聴いた後、と三段階で後悔できる作品。
(追加:2003年10月10日)
2004
Random Acts Of Happiness : Bill Bruford's Earthworks featuring Tim Garland
|
Tim Garland : Tenor And Soprano Saxophones, Flute, Bass Clarinet.
Steve Hamilton : Piano.
Mark Hodgson : Bass.
Bill Bruford : Drums, Log Drum.
Recorded live at Yoshi's, Oakland, CA, USA, May 13th And 14th 2003
ジャズ・バンド、アースワークスの前作に続くライヴ・アルバム。 演奏者・作曲家としては勿論、ネーム・バリューの観点からも位置づけが高いのか、バンド名に新加入のティム・ガーランドが大きくフィーチャーされている。
本アルバムの最大の魅力は、やはり初期アースワークスの ”My Heart Declares A Holiday ” や、Bruford の
”One Of A Kind ”
の再演だと思う。 ジャズ・バンド用に用意されたわけではないこれらの曲の再演には、原曲に親しみすぎていることを差し引いても、微妙な不自然さを感じてしまう。 所謂ロック・バンドにおいては不自然に感じるジャズよりの演奏をしたブルーフォードが、ここでは逆のことをしているのである。 ただ、この不自然さはネガティヴなものではなく、この不自然さこそがブルーフォードの最大の魅力なのだと思う。
発売に合わせて行われた『ストレンジ・デイズ』誌No.56のインタビューを読むと、ブルーフォードの生真面目なまでのジャズに対する想いがよくわかる。 是非、ジャズの枠に固執することなく、今のままの素晴らしい演奏を続けて欲しいと思う。
(追加:2004年4月10日)
Every Step A Dance, Every Word A Song : Bruford Borstlap
|
Bill Bruford : Drums, Log Drum
Michiel Borstlap : Piano, Keyboards
Produced by Bill Bruford
Recorded Live on tour in Europe, 2003-4
2004年春に来日公演も果たしたブルーフォードとボルストラップの作品。
キーボードとのデュオとしてはパトリック・モラーツとの2作品が思い出されるが、今のブルーフォードの活動を反映してか、モラーツとの作品と比べジャズの要素が強い。
最近のブルーフォードの作品の中でも、本作品は気に入っている。 ジャズに精通していないためアースワークスを正当に評価できていないことも原因だとは思うが、デュオでの演奏ということもありブルーフォードが緊張感の高い演奏を行っていることが評価につながっているのだと思う。
ロックの世界に未だ戻ってきてくれないのは残念だが、ジャズの世界においてアースワークスにこだわらなくても、これだけ質の高い作品をリリースすることができるのは素晴らしいことだと思う。
(追加:2004年12月25日)
In Concert In Holland : Bruford - Borstlap
|
Michiel Borstlap - keyboards
Bill Bruford - drums
Produced by Bill Bruford
1-7 : Recorded at the Music Meeting, Nijmegen, Holland, November 3 2002
9-12 : Recorded at Theatre aan het Vrijthof Maastricht, Holland, February
28th 2004
ブルーフォードとボルストラップの映像作品。 前述の
『 Every Step A Dance, Every Word A Song 』
と同タイミングでリリースされている。
やはりピアノとドラムだけのデュオが格好良い。 曲によってはボルストラップがシンセサイザーを演奏することもあり、フォーマット自体はバリエーションに富むのだが、ピアノとドラムという打楽器だけの演奏の方に惹かれる。 特にブルーフォードのイニシャルを冠した
” Mister B.B. ”
での緊張感は凄まじく、二人が眼を飛ばしながら演奏している姿まで確認することができる。 もしブルーフォードがライヴ作品のリリースにこだわるのなら、今後はDVDオンリーにしてもよいのではないかとさえ思えてくる。
本作品にはCDが同梱されているが、Nijmegen
でのライヴのオーディオ版である。
(追加:2005年1月25日)
2005
|
デビューから90125時期までのライヴ音源を集めた作品。 全時期が満遍なく収録されているわけでもなく、ブルーフォード脱退直後のライヴは、『
Yessongs 』
のとの重複を避けたためか収録されていない。 その結果としてブルーフォード在籍時の音源が丸々CD1枚分収録されているのが嬉しい。
そんな中でも、ウェイクマンが演奏している ” Your
Is No Disgrace ” 以降の音源が貴重。 特に同曲と ” America ”
における、およそジャズ・ドラマーとはかけ離れた力強く生硬な演奏が本作品の聴き所だと思う。
クリムゾンのように過去のライヴ音源をこまめにリリースしてこなかった
Yes
だからこそできた作品だと思うが、寄せ集め感は少なく、丁寧に編集された印象を受ける。
ブックレットも良くできており、クリムゾンのファンの立場として、うらやましく思う。
(追加:2005年9月10日)